新型コロナウイルスにより外出自粛が叫ばれる今、労働者の働き方が大きく変化しています。特に普及が進んでいる働き方が、場所や時間にとらわれず柔軟に働くテレワークです。
最近では、当面の間テレワークで勤務する求人を見る機会が多くなりました。また求人サイトでも、テレワーク可とする案件を簡単に検索できます。
システムエンジニアの仕事は、パソコン作業を中心とするため、テレワークにも向いていると言えるでしょう。
そこで今回の記事では、システムエンジニアのテレワーク・リモートワークにおけるメリットやデメリット、仕事のやり方・転職のポイントをご紹介していきます。
数ある職業の中でもシステムエンジニアは、テレワークに向いている職業の1つだと言われています。では、システムエンジニアの業務はなぜテレワークに向いているのでしょうか。3つの理由を具体的に挙げながら解説していきます。
システム開発の工程は「要件定義」「設計」「プログラミング」「テスト」と、大方4つに分類できます。この工程のうち、クライアントとのコミュニケーションを伴う「要件定義」以外は、パソコンとインターネット環境さえあれば、大抵の作業が可能となります。
そして「要件定義」においても、電話やテレビ会議を活用することで、実際に顔を合わせることなく業務を進められます。IT企業は建設業や製造業と違い、形がないソフトウェアを取り扱うため、インターネットを利用するテレワークとの相性は抜群と言えるでしょう。
テレワークにおいては様々なツールを利用します。例えば、テレビ会議には「Zoom」、チーム内のコミュニケーションには「Slack」、クラウドストレージには「Googleドライブ」などが挙げられるでしょう。これらのツールは、システムエンジニアの業務には一般的で、利用したことがある方も多いはずです。
テレワークにおけるツールの導入は、日頃からソフトウェアを利用しているシステムエンジニアには難しくありません。例え利用したことがない新規ツールの導入であっても、システムエンジニアであれば比較的楽に使いこなせるでしょう。
これが日頃ソフトウェアを扱わない職種だと、ツールの導入方法から使い方まで詳細にフォローしなければなりません。日頃からたくさんのツールを使うシステムエンジニアは、テレワークの導入において大きなアドバンテージを持つと言えるでしょう。
テレワークにおける業務のデメリットとして、作業量が見えず社員の評価が難しい点が挙げられます。しかし、システムエンジニアの業務においては、このデメリットも解消しやすくなるでしょう。
テレワークにおいて社員の評価基準となる考え方が成果主義です。成果主義は社員の実力や仕事量に応じて、報酬や昇給を決めていきます。
システムエンジニアの業務は、システム開発における作業工数の計算など、日頃から定量化の考え方が導入されています。個人の作業においても、工数の割り当てと作業日数から社員の生産性を計算できるため、仕事量を把握しやすいと言えるでしょう。
前章で、システムエンジニアの業務がテレワークに向いていることはお分かりいただけたかと思います。では、テレワークはシステムエンジニアにとって、どのような利点があるのでしょうか。そのメリットを具体的にご紹介します。
多くの社会人にとって、満員電車は悩みの種の一つでしょう。特に都会に住んでいる人は、通勤時間が長くなりやすく、かなりのエネルギーを消耗します。
しかし、テレワークは働く場所を選ばないため、通勤する必要がありません。余った通勤時間を、自分の勉強や余暇に充てられるため、時間を有効に使えます。
通勤時のストレスもなくなるため、朝から100%のエネルギーで業務に臨めます。満員電車で消耗していたエネルギーを仕事に使えるメリットは大きいでしょう。
テレワーク開始後、オフィスでの業務より生産性が向上する人がいます。自宅での仕事は、基本的に人から話しかけられることがないので、集中力をもって作業できるからです。
テレワークでの作業は、同僚と会話しながらやる気を高めていくタイプではなく、一人で黙々と作業するタイプの性格に向いているようです。システムエンジニアはパソコンで作業するため、後者のタイプの方も多いのではないでしょうか。
また、仕事ができるシステムエンジニアは、開発チームのフォローに使う時間も多いでしょう。自分の作業に集中することで本来の実力を発揮しやすくなります。
システムエンジニアには、家族思いの方が多いように感じます。例えば、スマホの待ち受けを家族写真にしている人もいますし、会社で家族参加のイベントが開催されることもあります。ただし、システムエンジニアの仕事は残業や休日出勤が多く、家族と過ごす時間が少なくなりやすい難点があるでしょう。
このような仕事と家庭の調和を考える「ワークライフバランス」の実現に、一役買う働き方がテレワークです。例えば、通勤時間がなくなると家庭にいる時間が増えるでしょう。また、自分の仕事が終われば他人に煩わされることなく、定時にパソコンをシャットダウンできるでしょう。さらに業務の隙間時間を利用して、家事を進めることも可能です。
今までテレワークの良い点ばかりを解説してきましたが、当然メリットだけでなくデメリットも存在します。それは、比較的テレワークに向いていると言われるシステムエンジニアの業務においても同様です。本章では、システムエンジニアにおけるテレワークの具体的なデメリットについて解説します。
IT企業の仕事の多くは、システム開発やソフトウェア導入の提案など営業によってもたらされます。クライアント側から企業を見つけて仕事を依頼されることもありますが、割合的には少ないでしょう。
営業は電話やメールでも可能ですが、実際に顔を合わせるよりも信頼感を得てもらえず、テレワークでは苦労するはずです。
営業の難しさは、IT企業だけでなくフリーランスのシステムエンジニアにとっても同様です。リモートワークの案件でも、初回の打ち合わせにおいて実際に会うことを重視するクライアントが多く、仕事の獲得は少なくなるかもしれません。
システムエンジニアの業務は、スキルによって仕事量が大きく変わります。新人とベテランでは、仕事量が10倍、100倍と変わってくることも珍しくありません。今は仕事がバリバリできるシステムエンジニアも、かつては何も分からない状態でシステム開発の現場に放り込まれてきたのです。
しかし、テレワークではシステム開発の現場で鍛えるという荒業が実現できません。プログラミングの知識を、実際のシステム開発に落とし込むためには、経験が必要不可欠です。
テレワークの働き方において、新人はテストやデプロイなどマニュアルを元に仕事できる業務を担当することが増えるでしょう。自分でプログラミングの勉強を進め、いつか来るチャンスに備えることが大切です。
システム開発において扱うデータの多くは、セキュリティ対策が必要です。特に社外秘や個人情報のデータは、情報漏洩厳禁のため取り扱いには細心の注意を払わなくてはなりません。
まず基本的な対策として、パソコンは業務用と家庭用にキッチリと分けましょう。業務用のパソコンは仕事で、家庭用のパソコンは私用でしか使わないようにします。
また、通信手段に公共のWi-Fiを使ってはいけません。必ず自宅のインターネット回線を使用しましょう。
さらに、VPNシステムの導入も有効的です。会社にVPN装置を設置し、社員のパソコンにVPN接続ツールをインストールしましょう。
どの方法も確実とは言えませんがセキュリティ上の安全性は高まります。どうしても外に出せないデータについてはオフィスで管理し、出社する社員の人数を絞る手段も有効的です。
オフィスワークからテレワーク主体の働き方に移行すると、今まで活躍していた人の元気がなくなったり、目立たなかった人の仕事量が増加したりといった現象が起こります。これは、テレワークに対応できている人とできていない人がいるためです。
では、テレワークで成果を出していくためには、どのように行動していけば良いのでしょうか。在宅勤務でもやる気を出すコツについてご紹介していきます。
テレワークで特に重要なスキルは、自己管理能力です。「誰も見ていなくてもやる気を出せるか」「仕事と家庭の時間を切り替えられるか」「普段通りの生活リズムを維持できるか」など、自己管理能力が問われる場面は多いでしょう。
テレワークでは時間管理ツールを使い、集中する時間と休憩する時間を明確に分けましょう。モチベーションを維持しやすくすることで、自己管理能力が低い人でも仕事がしやすくなります。
テレワークでは社員同士が顔を合わせないため、上司が「本当に一生懸命仕事をしているのだろうか」と疑心暗鬼になるケースもあります。そこで、上司に頑張っているなと思わせるテクニックを身に付けましょう。
まず重要なテクニックが、チャットツールの即レスです。指示や質問のメッセージに即座に反応することで、仕事をさぼっていないことをアピールできます。もしも、食事休憩や邪魔されたくない作業をしている場合には、ステータスやメッセージで状況を共有しておきましょう。理由が分かれば、即座に返信がなくても状況を察してもらえます。
社員を指導する立場にある方は、テレワーク環境の中、部下とどのようにコミュニケーションを取っていけばよいのでしょうか。コミュニケーションの頻度が低ければ、やる気がなくなりサボってしまう社員が現れるかもしれません。逆に頻繁に連絡しすぎても、相手の心理的安全性や作業時間を奪ってしまうでしょう。
テレワークでのコミュニケーションは、「Zoom」などのWeb会議ツールを有効に活用しましょう。社員同士が顔を合わせて会話することで、やる気を引き出す効果があります。ただし、会議が長引いてしまうと、本来の作業に充てる時間を奪ってしまうので、会議は業務上の工夫や問題点の共有など短時間に収めておきましょう。
また、テレワークは社員によって向き不向きがあります。サボりがちな社員に対しては、チャットメッセージだけでなく音声通話を有効に活用しましょう。通話はテキストよりも感情を共有しやすく、指示の細かなニュアンスも伝わりやすくなります。
自宅勤務において、一番の大敵がモチベーションの低下です。特に、生活リズムがくるってしまうと、仕事へのやる気が落ちてしまいます。オフィス通勤時と同じ生活リズムを維持するため、起床時間と就寝時間、食事の時間をきっちりと定めましょう。
また「太陽の光を浴びる」「定期的に運動する」「栄養のある食事をとる」といった行動も、生活の質向上に効果的です。生活環境を整えることで、仕事へのモチベーションをアップしましょう。
新型コロナウイルスによって働き方が激変する中、業績不振や職場環境の問題により転職を考える方もいるかもしれません。ただし、企業によっては採用活動の一時停止や中途採用の選考停滞の動きがあり、早々に退職を決めてしまうのは考え物です。
転職を検討している人は、業界の動向や最新の求人を定期的にチェックしていく必要があります。そこで本章では、IT業界におけるテレワークの導入企業や、フルリモートワークのシステムエンジニア求人について解説していきます。
インターネット上で在宅勤務の情報を公開している企業や、新型コロナウイルス対策としてテレワークを実施すると発表した企業は多くあります。テレワークを導入しているIT企業の一部をご紹介します。
(順不同)
上記の企業はほんの一部で、実際には多くのIT企業がテレワークを導入しています。IT企業はオンライン業務と相性が良く、他の業界よりもテレワーク導入が進んでいるようです。
転職サイトや求人サイトの多くに「リモートワーク可」の検索条件が設けられています。各サイトでフルリモートワーク可とする案件も多くヒットするため、フルリモートワークのIT求人は十分にあると考えていいでしょう。
では、フルリモートワークの求人には、どのような職種や仕事内容があるのでしょうか。その一部をご紹介します。
システムエンジニアのフルリモートワーク求人案件は、業務系や組み込み系よりもWEB系が多いようです。ソフトウェアを取り扱い、セキュリティ対策も容易であることが要因でしょう。
テレワークにおいては、フォローを受けなくても成果を出せる力が求められます。仕事へのアプローチ方法よりも仕事量が大切です。成果を出すためには、自分なりの集中できるスタイルを確立しましょう。音楽を聴きながらでも、休憩を頻繁に入れても構いません。他の人にはない圧倒的な成果は、リモートワークにおいて大きな武器となります。
そして、上記の仕事量や成果物のクオリティの高さを会社に知ってもらう必要があります。ドキュメントや表で自分の成果を可視化し、実力をアピールしましょう。
最後に、チームで仕事を進める以上、コミュニケーション力も重要となります。特にリモートワークでは、「Slack」などビジネスチャットツールの活用が重要です。TwitterやFacebookなどのSNSによる発信力がある人は、テキストによるコミュニケーションも上手な傾向があります。採用面接においては、SNSによるマーケティング力をアピールすると良いかもしれません。
テレワークにおけるシステムエンジニアの働き方やアピールポイントについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。システムエンジニアにとってテレワークはメリットが多く、業種によっては求人も多いことが分かっていただけたかと思います。
転職を考えている方の中には、新型コロナウイルスによって採用が自粛傾向にあることを悲観している方もいるかもしれません。しかし、IT業界の中にはコロナ禍で業績を伸ばしている企業も多く、転職活動が成功する可能性は十二分に考えられます。
むしろ、新型コロナウイルスによって求められる人材が変化している今こそ、転職のチャンスも増えていると言えるでしょう。テレワークに適したスキルを身に付けることで、貴重な人材であることをアピールできるはずです。