新型コロナウイルスが感染拡大する中、自宅で働けるテレワークの仕事が注目を集めています。特にプログラマーやシステムエンジニアなどIT関連の仕事は、パソコンを使って作業できるため、テレワークとも相性が良いでしょう。
コロナ禍のテレワーク普及に伴い、未経験でIT業界へ転職を考えている方もいるでしょう。そこで注目されている職種がWebデザイナーです。
Webデザイナーは、IT業界へ転職したい人の入り口とも言える職種で、未経験から目指す道も開かれています。そこで今回の記事では、仕事内容や知識を身に付ける方法、フルリモートワーク正社員への転職の仕方など、Webデザイナーを目指す方への指針を解説していきます。
まずは、Webデザイナーへの転職を目指す前に仕事内容を知っておきましょう。Webデザイナーの仕事は大きく4つの工程に分けられます。それぞれの工程について、順番に詳しく解説します。
制作するWebサイトのデザインは、クライアントの要望や狙うターゲットによって異なります。制作を始める前にクライアントと話し合い、Webサイトをどうデザインしていくか決めておく必要があるのです。この作業を「要件定義」と呼びます。
Webサイトの規模によっては、要件定義をWebディレクターが担当することもあるでしょう。その場合でも、Webサイトのターゲット設定はきちんと理解しておく必要があります。狙うターゲットによってボタンの形やフォントサイズなど、UI(ユーザーインターフェース)が変わるからです。
ターゲットを設定する際には、年齢、性別、職業、年収、性格など架空の顧客像を想定するペルソナ設定が重要となります。ペルソナを細かく設定することにより、制作すべきWebサイトのデザインも明確化するでしょう。
要件定義の次は、Webサイトの構成やレイアウトなど骨組みを制作する作業に入ります。このような作業を「ワイヤーフレーム作成」と呼びます。ワイヤーフレーム作成も、Webサイトの規模によってはWebディレクターが担当することもあります。
ワイヤーフレーム作成では、まず大まかに下書きを行います。下書きしながら、デザインに必要な要素の配置場所を決めていきましょう。例えば「サービス名」「コンテンツ」「会社ロゴ」「アイキャッチ画像」など、掲載する情報を閲覧者の目線に合わせて適切に配置することが重要です。
下書きが終われば、ツールを使ってワイヤーフレームを綺麗に清書しましょう。そして清書したワイヤーフレームは、一度クライアントに見せて確認をとることをおすすめします。ワイヤーフレームはクライアントの要望が目に見える最初の成果物であり、Webサイトのイメージを持ってもらうために役立つはずです。
ワイヤーフレームを作成したら「Photoshop」や「Illustrator」などのグラフィックソフトを利用し、実際にWebサイトをデザインしていきます。Webサイト全体の配色や、アイコン・画像の作成、文字組みなど、必要な要素を作成しましょう。
デザインは、Webデザイナーのメイン作業ともいえる工程です。美しい色の組み合わせや、余白の取り方、レイアウトのバランスなど、制作者のセンスが問われます。クオリティの高いWebサイトを制作できるよう、細部にこだわりましょう。
Webサイトのデザインは、クライアントに納得してもらうために数パターン用意すると親切です。数パターン作成すると聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、グラフィックソフトを使えば配色やパーツ位置の変更は簡単に行えます。
コーディングは、デザインをWebサイトとしてインターネットで表示されるようにプログラムを組む作業を指します。文章を構造化するHTMLや、見た目や装飾を整えるCSSをコーディングしていきましょう。
Webデザイナーとしてのコーディングは、スキルレベルによって大きな差があります。最低でも、Webサイトとして表示できるように、基礎的なHTML・CSSのコーディングを学んでおきましょう。
さらに、画面遷移の判断やサーバーとの通信を行うJavaScriptを覚えると、制作できるWebサイトの幅が広がります。また、マーケティングに適したコンテンツを作成できると、Webサイトのアクセス数増加が期待できます。Webデザイナーがプラスアルファのスキルを身に付けることで、収入は大きく上がるはずです。
Webデザイナーになるために資格は必要ありません。IT業界を未経験だった方がWebデザイナーになった例も多くあります。
しかし、もちろん誰でも簡単に仕事をもらえるほど甘い仕事ではありません。Webデザイナーとして働くためには、グラフィックソフトの使い方やHTML・CSSのコーディングを覚える必要があります。そこで本章では、IT業界未経験の方がWebデザイナーとして働くための知識を身に付ける方法について解説します。
Webデザインスクールは、講師がWebデザイナーとして働きたい方を対象として授業を行います。同じ授業を受ける仲間がいるため、勉強のモチベーションを維持しやすい点がメリットと言えるでしょう。
インターネットで検索すると、多くのWebデザインスクールが表示されます。それらの中から、良い学校を見分けるポイントを2つご紹介します。
1つ目は、受講期間が短い学校を選ぶことです。Webデザイナーは、勉強よりも実務の方がはるかに実践的なスキルを学べます。基本的な知識を学んだあとは、実際にWebサイトを制作することでテクニックを身に付けていきましょう。
2つ目は、現役でWebデザイナーの仕事をする講師がいることです。Webデザイナーの技術は常に進化しており、実際に仕事をしていなければ最新の技術を身に付けられません。現場の経験が豊富な講師に教えてもらうことで、実践的なテクニックを学べます。
次に紹介する方法は、Webデザインを学習できるオンラインスクールで学ぶ方法です。自宅で学習できるため、実際に学校へ通う必要がなく、授業料も安くなるメリットがあります。特にコロナ禍の今は、人気が急増していると言えるでしょう。
多くのオンラインスクールでは受講前に無料レッスンを体験できます。様々なオンラインスクールの無料レッスンを体験し、自分に合っているか判断しましょう。
オンラインスクールを選ぶ際には、実践的な技術を教えてもらえることが大切です。実践的な技術を学べるか見分けるポイントとしては、オリジナルのWebサイトを制作する課題があるかが一つの判断基準となります。実際に制作したWebサイトを添削してもらえることで、より具体的なテクニックを学べます。
Webデザイナーの中には、学校に通わず独学で勉強して転職を実現した方もいます。最近ではWebデザインに関連した技術書も多く販売されており、独学でWebデザイナーになる道も開かれていると言えるでしょう。
独学で勉強する際は、まずオンライン学習サービスでHTMLやCSSの知識を身に付けましょう。インターネット上には月額1,000円程度のオンライン学習サイトが多くあり、格安でプログラミングを学べます。
プログラミングの知識を身に付けたら、次はデザインスキルを向上させます。ここでおすすめの方法は、実際にWebサイトを作ってしまうことです。デザイン的に優れたWebサイトを模倣することで、自分のスキルとして蓄えられます。
もしもWebサイトを制作している途中で分からない点があれば、インターネットでの検索やプログラミング質問サイトを利用しましょう。さらにインターネット上で共に勉強する仲間を見つけられると、学習のモチベーションを維持しやすくなります。
HTML・CSSのコーディングやグラフィックソフトの使い方を学び、Webサイトを制作できるようになっても、未経験からWebデザイナーへの転職は簡単に実現しないでしょう。転職では基本的に即戦力が望まれており、実務経験が重要視されるからです。
では、IT業界未経験でWebデザイナーに転職するためにはどのような道を辿ればよいのでしょうか。Webサイト制作の実績を積みながら、正社員採用を目指す方法について解説します。
Webデザイナーのアルバイト採用は、正社員と比較して門戸が大きく開かれています。求人の募集が多く、未経験でも比較的簡単に仕事を始められるでしょう。
IT業界はスキルが重視されており、アルバイトであっても仕事ができれば、Web制作に直接かかわる作業を担当できます。アルバイト採用を行うIT企業の多くは正社員登用制度を採用しており、正社員への道も開かれているはずです。もしも就職した企業に正社員登用制度がなくても、現場での実務経験を積めばWebデザイナーへの転職は難しくありません。
現在勤めている企業を退職せずに、未経験からWebデザイナーへの転職を目指す方法もあります。その場合は、副業でWebデザインの仕事をしながら、実務経験を積みましょう。
副業で仕事を探す際におすすめの方法が、クラウドソーシングサイトの利用です。クラウドソーシングサイトは、テレワーカーが仕事を得るために活用しているサービスで、短時間の案件も多く紹介されています。合否を決める際の書類選考や面接もほとんどないので、気軽に副業を始められるでしょう。
Webデザイナーへの転職で必要となる書類の一つがポートフォリオです。ポートフォリオとは、これまでの手掛けてきたWebデザインの仕事をまとめた資料を指します。正社員への採用では、ポートフォリオが最重要視されるため必ず作成しましょう。
ポートフォリオの作成は、紙に印刷する方法とWeb上に構築する方法の2つに分けられます。Webデザイナーへの転職であれば、Web上にポートフォリオを構築する方法をおすすめします。面接の際にタブレットやノートパソコンを持ち込み、採用担当者に閲覧してもらいましょう。
Webデザイナーの仕事の大半はパソコン作業であり、テレワークとの相性も抜群です。しかし、最初からフルリモートワークで仕事を始められる求人は多くありません。Web制作案件の大半はチームを組んで作業を行うため、チームワークが重要視されるからです。
では、正社員で採用されてからフルリモートワークで仕事を始めるためには、どのような方法を採ればよいのでしょうか。転職するべき会社や、フルリモートワークの始め方について解説します。
転職する会社を選ぶ際は、フルリモートワークが実現できそうな会社を選びましょう。求人票にフルリモートワーク可と記載してある転職先が理想的ですが、求人数はそう多くありません。
そこで、転職する会社を選ぶ際に、社員数が少なく設立間もない会社を選んでみましょう。社員数が少ない会社は社長との距離が近く、自分の希望を伝えやすいメリットがあります。
そして転職面接の際、将来的にフルリモートワークへ移行したいことを伝えます。ただし自分の希望だけ伝えていては、採用される確率が減ります。希望を伝える際は、自身のスキルの高さや移行期間を設けることをアピールすると良いでしょう。
テレワークの経験が少ない企業は、在宅勤務に関して不安があるかもしれません。例えば「作業をさぼる」「チームのコミュニケーションが滞る」「部下のマネジメントができない」などの不安が挙げられるでしょう。
そこでフルリモートワークを始める前に、テンポラリー・ハイブリッドリモートワークから始めてみましょう。テンポラリーリモートワークは一時的に遠隔業務を行うこと、ハイブリッドリモートワークは会社へ出社する日と在宅勤務する日を分けることを指します。フルリモートワークと比較すれば、テンポラリー・ハイブリッドリモートワークの提案は通りやすいでしょう。
そして、実際にリモートワークを行い前述の不安よりも、生産性向上やコスト削減のメリットが多いことをアピールします。もちろんメリットをアピールするためには、自身のスキルが高いことに加えて仕事量を増やすための努力が必要です。
Webデザイナーの仕事内容や知識の身に付け方、未経験で正社員に就職する方法、リモートワークの始め方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。転職の際は実務経験が重要視されるため、まずは現場で経験を積み、自分の力をアピールできるポートフォリオを用意することが大切です。
正社員のリモートワークは、収入を安定させつつワークライフバランスを実現するための働き方として最適解と言えるでしょう。通勤がなくなって空いた時間を趣味や旅行に使うことで、人生に充実感を感じられます。
たとえIT業界未経験であっても、Webデザイナーへの道は開かれています。ぜひ正社員採用を勝ち取り、理想通りの働き方を実現しましょう。