「内定」を目指して転職活動を行ってきたものの実際には「内定」がゴールではありません。内定通知をもらってから入社までの間にもやるべきことがたくさんあります。
入社を承諾する前に勤務条件・給与・待遇などの再確認はもちろんのこと、複数の企業で面接を受けている場合は他社の結果待ちのために入社諾否の返事保留、まだ在職中で明確な退職日が決まっていない人など、すぐに入社承諾をしその後の手続きを始められないケースもあります。
ここでは、内定通知連絡をもらってからのそれぞれのケースに合わせた適切な対応の仕方や流れについてを説明していきたいと思います。「内定」をもらったことで気を抜いていると返事や対応次第でマイナスイメージとなることもあるので、是非参考にしていただければ幸いです。
電話やメールなどで「内定」の連絡があります。不採用の場合はメールでの連絡が多いようです。
もしも電話に出られなかった場合は、なるべく早く折り返すようにしましょう。
内定通知連絡の際に、「条件の確認がしたい」「他社の選考状況を待ってほしい」と言った希望があればそのことも伝えておきましょう。
第一希望の会社からの内定通知だとしても、後々のトラブルを避けるためにも必ず労働条件の確認をしましょう。不明点や疑問点は些細なことでもしっかりと聞いておくことが大切です。
【確認しておきたい項目】
・勤務条件
・給与、賞与額
・給与以外の手当
・休日、有給休暇
・転勤、異動の有無
・社会保険の有無
・契約期間(※契約社員の場合)
内定承諾、辞退のどちらにしても、1週間以内には連絡を入れましょう(※労働条件確認面談後なら2~3日以内)。あまり長く連絡を待たせてしまうと入社辞退と見なされる場合もあるので注意しましょう。
在職中の場合は退職日を考慮し入社日を決定。退職スケジュールを必ず連絡しておくこと。
失業中の人は内定先企業の希望入社日に合わせる。
内定先企業と労働契約書を交わします。入社手続きには以下の書類が必要となります。
【必要書類】
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・年金手帳
・扶養控除申告書
・給与振込先の届書
・健康保険被扶養者異動届け など
初出勤の前までに転職先の業界・職種に関する予備知識を身につけておきましょう。出勤時間や場所、必要な準備品をしっかりとチェックしておきましょう。
内定後の流れでも説明しましたが、内定通知の電話連絡で「入社します」とすぐに入社承諾をするのではなく”契約内容、労働条件通知書等の確認”をしてから返事をするようにしましょう。
企業側には労働条件を書面で通知する義務があり、労働条件の書面には「雇用形態・給与・勤務時間・休日・就業場所」の5項目が必須内容となっています。
これらの内容を確認し、書面だけでは情報が足りない場合は労働条件に関する面談の場を設けてもらい、確認しておきたい内容をしっかりと聞いておくようにしましょう。また、給与など条件面での最終的な交渉タイミングともなり得ます。
面談後、問題が無ければその場で入社承諾の返事を伝えるか、翌日もしくは2~3日以内には返事をすることが理想です。後々のトラブルの原因にならないためにも労働条件の確認をしっかり行いましょう。
内定通知後、労働条件の確認以外でも入社承諾の返事を待ってもらうケースとして、他社の選考結果を待ってから返事をしたい場合や、現職の退職日が決まっていない場合などが挙げられます。
では、それぞれのケースでどのくらいまで入社諾否の返事を待ってもらうことが出来るのでしょうか?
【他社の選考結果待ち】
保留期間:早くて2~3日。長くて1週間程度。
この場合は正直に他社の選考結果待ちと伝えるべきか、伝えないべきが悩むところですが、伝えない場合企業側としてはどんな理由で内定を保留しているのかが分からず印象を悪くすることも考えられるので、正直に事実を伝える方がいいのですが伝え方には注意を払う必要があります。
また、「○○日までに返事をします」と返事の期限を伝えておくと尚良いと思います。
【退職日が決まっていない】
保留期間:3ヶ月以内が一般的
現在の上司と相談の上、退職日が決定したら出社できる日を内定先企業に伝えましょう。退職日の延期を求められたときなどは出来る範囲で応じるべきですが、その都度内定先企業には入社の意思があること、具体的な退職までのスケジュールを伝え待ってもらうようにしましょう。
内定通知をもらった後には応募先企業へお礼の電話やお礼メールをすることが望ましいとされています。電話、メールでの返事方法を「内定承諾」「内定保留」「内定辞退」などパターン別に紹介します。
「内定承諾」
【電話】
「○月○日に内定の連絡をいただきました××と申します。先日は内定のご連絡を頂きありがとうございました。本日は御社からの内定を有り難く受けさせていただきたいと思い、お電話いたしました。これからどうぞよろしくお願いいたします。」
【メール】
本文:
株式会社◯◯
人事部 ▲▲様
お世話になっております。
×× ××(名前)と申します。
この度の採用のお知らせ、大変嬉しく思っております。
心より感謝申し上げ、謹んでお受けいたします。
まだ至らない点も多いかとは存じますが、さらなる努力を積み、
貴社のご発展に貢献できるよう、邁進する所存です。
どうか今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
まずは取り急ぎ御礼申し上げます。
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名前×× ××
〒000-000
○○県○○市○○0-0-0(自宅住所)
090-0000-0000
メールアドレス:○○○○@××××.jp
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「内定保留」
【電話】
「○月○日に内定の連絡をいただきました××と申します。この度はありがとうございました。すぐにでも入社承諾のお返事をすべきところではございますが、他社の選考結果を聞いてから判断させていただきたいと考えております。誠に勝手なことで恐縮なのですが、×月×日まで返事を待っていただけないでしょうか?」
【メール】
お世話になっております。
内定通知を頂戴した×× ××(名前)と申します。
早速にも入社承諾のお返事をすべきなのですが、
恐れ入りますが○月○日までお待ちいただくことは可能でしょうか。
現在、他に選考が進んでいる企業があり、
そちらの話も聞いてみてから判断したいと考えております。
貴社に対して、非常に魅力を感じておりますが、人生に関わる大きな決断となるため、
後悔がないように慎重に決定したいと考えています。
貴社にご迷惑をおかけするのは大変心苦しく思いますが、
ご理解いただけると幸いです。
ご検討の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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名前×× ××
〒000-000
○○県○○市○○0-0-0(自宅住所)
090-0000-0000
メールアドレス:○○○○@××××.jp
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「内定辞退」
【電話】
「○月○日に内定の連絡をいただきました××と申します。大変申し上げにくいことなのですが、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。御社で私がどのように貢献できるかと考え、自身の適性をあらためて鑑みた結果、別の会社とのご縁を感じ、他社への入社を決意いたしました。
本来ならば直接お詫びに伺うべきところですが、取り急ぎお電話でご連絡を差し上げました。この度は、面接にお時間を割いていただきましたのに、大変申し訳ありません。それでは失礼いたします。」
【メール】
お世話になっております。
貴社より内定通知を頂きました、××でございます。
この度は、内定のご通知を頂きまして、誠にありがとうございました。
このような光栄をいただきながら誠に恐縮なのですが、
検討の結果、貴社の内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
転職に際し、貴社で私がどのように貢献できるかと考え、
自身の適性をあらためて鑑みた結果、別の会社とのご縁を感じ、
他社への入社を決意いたしました。
面接や採用をご検討いただく時間など、貴重なお時間を割いてくださったにも関わらず、このようなご連絡になりますことを大変心苦しく感じております。
本来であれば貴社へお伺いし直接お詫びすべきところではございますが、メールでのご連絡となるところを、何卒ご了承いただきたく思います。
最後になりますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
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名前×× ××
〒000-000
○○県○○市○○0-0-0(自宅住所)
090-0000-0000
メールアドレス:○○○○@××××.jp
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電話の場合は出社時・お昼休憩・退社時を避け電話を掛けるようにしましょう。
メールの場合は内定通知メールが届いて24時間以内の返信が基本的なマナーです。誤字・脱字に注意し丁寧に返信しましょう。
内定承諾の返事をした後や内定承諾書を提出した後に「やっぱり自分が望む条件に合っていなかった」等の理由で内定辞退を申し入れることは可能です。
しかし、企業側としては入社を前提に準備を進めている場合もあるので迷惑をかけてしまうことやトラブルに発展することも考えられます。
あまり、おすすめできることではありませんが個人には「就業の自由」と言うものが与えられているため、やむを得ず内定辞退をする場合のポイントやマナーを説明したいと思います。
内定辞退のポイント・マナー
内定を辞退したことによって企業側が損害(備品の購入など)を受けることもあり損害賠償請求をされる可能性や、電話で罵倒されることもあるかもしれません。
しかし、この先一生働くかもしれない転職先なので慎重に選ぶことも大切です。内定辞退に対しての謝罪の気持ちを忘れないようにしましょう。また、こうならないためにも入社諾否の返事はしっかりと考える必要があります。
複数の企業で面接を受けている場合、内定辞退や内定保留と言った返事は避けては通れないことです。やむを得ないことですが、上記のように最低限のマナーを守り対応していく必要があります。また、内定辞退・内定保留に関する注意点も説明しておきたいと思います。
内定保留では2~3日、長くて1週間程度は返事を待ってもらえる可能性がありますが絶対ではありません。内定保留することで「第一希望の会社ではない」と受け取られることもあり、企業としては「出来ることならば第一希望の人に入社してほしい」と思うのが一般的です。そのため、内定保留の連絡をした時点で内定取消になるケースがあることも頭に入れておきましょう。
また、内定辞退の際の注意点ですが【内定辞退のポイント・マナー】で挙げたこと以外にも、「直接会って話がしたい」と言われ引き止めに合うケースも考えられます。辞退の意思が強いのであれば誠意を持ち直接会って謝罪するべきですが、気持ちが揺らいでしまいそうであれば直接会うことはせず電話で断るようにしましょう。
内定通知後の対応はお礼の電話・メールから始まり、初出勤の日までやるべきことがたくさんあります。「就業の自由」は与えられていますが、あなたの対応次第では企業にも迷惑を掛けることになります。
社会人としてのマナーを守り気持ちよく転職活動を終えられるよう、それぞれのケースに合わせた適切な対応をしていきましょう。