転職を考えている方は、どんな業界がいいのか・どんな職種がおすすめなのかと悩んでいる方や異業種転職へのタイミングに迷う方は多いのではないでしょうか。
様々な職種がありますが、自分に向いている職種を選ぶポイントを誤ると転職失敗の原因となります。
今の転職市場は売り手市場で転職者に有利といわれている中、人手不足が深刻な職種によってはさらに転職しやすいチャンスです。
しかし、必ずしも転職が成功するわけではなく、イメージや憧れだけで転職してしまうと「こんな仕事ではなかった」とミスマッチ転職に陥る事態になってしまいます。
今回は、転職しやすい職種について、未経験からの転職・手に職の職種・女性の転職…など様々なパターン別に転職におすすめの職種をご紹介させていただきます。
転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省から発表されている「平成30年雇用動向調査結果の概要」から産業別の入職率・離職率をみてみましょう。
図3のデータより、宿泊業、飲食サービス業の入職者が多く、次いで卸売業,小売業、医療,福祉となっており、離職者では卸売業,小売業が最も多い人数で、次いで宿泊業,飲食サービス業、医療,福祉の順になっています。
入職、離職率ともに宿泊業,飲食サービス業が最も高く(入職率 29.3%、離職率 26.9%)、次いで生活関連サービス業,娯楽業(入職率 28.1%、離職率 23.9%)となっています。
参照:厚生労働省 「平成30年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf
次に「令和元年上半期雇用動向調査結果の概要」をみてみましょう。
「産業別未充足求人の状況」表8 産業別未充足求人の状況(6月末日現在)では、「卸売業,小売業」の未充足求人数※1が最も多く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」です。
金融・保険業では未充足求人の人数は少ないため転職者にとってはハードルが高く狭き門となっています。
※1 未充足求人:仕事に従事する者がいない状態を補充するために行っている求人
参照:厚生労働省 「令和元年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/20-1/dl/kekka_gaiyo-05.pdf
また、内閣府の「マンスリー・トピックス(最近の経済指標の背景解説)人手不足感の高まりについて」をみると、未充足求人数は、中小企業での増加が目立っています。
参照:内閣府 マンスリー・トピックス(最近の経済指標の背景解説)人手不足感の高まりについて
https://www5.cao.go.jp/keizai3/monthly_topics/2018/0302/topics_052.pdf
卸売業、小売業の中心となる業務は販売ですが、販売業務での包装や加工、洗浄、修理、取引先や顧客への営業職も卸売業、小売業に含まれています。
まとめると、中小企業の卸売業、小売業が転職の狙い目ということがわかりますね。
転職を考えたとき、現在働いている業界や実務経験を積んだ職種での転職を考えている方が多いかと思います。
実務経験がある業界や職種での転職は、キャリアやスキルの実績がありアピールしやすいため即戦力として期待でき、企業としても採用したい人材です。
特に中小企業では、経験者であり即戦力となる人材は育成コストがかからず重宝されるため転職活動でも有利。
同業種転職では、異業種転職からの転職者に比べてキャリアやスキル面で一歩リードしていますが、ライバルとなる同業種転職者との差をつけるための採用されるポイントは、アピールの工夫です。
これまで培ったキャリアやスキルについて「転職先企業でどう活かせるか」「どんな貢献ができるか」といった具体的な説明が必要です。
例えば、業務の効率化からコスト削減した事例や業務改善によって売り上げアップを実現したエピソードなどがあれば具体的にイメージできるため良いでしょう。
キャリアとスキルのアピールには、具体的なエピソードを伝える
20代の若手世・中堅の30代~40代、50代以降のミドル世代関係なく転職しやすい職種は営業職です。
コミュニケーションスキルを発揮できる営業職は、これからビジネススキルを高めたい若手、これまで培ったキャリアやスキルを活かしたいミドルと全年代におすすめの職種。
給与もインセンティブが入ると、基本給にプラスされますので年収アップを目指す転職者にぴったりです。
仕事の成果が評価や給与に反映されやすいというのも、やりがいのひとつですね。
キャリアやスキルがない!という方も転職しやすい職種、就業先がたくさんある職種についてご紹介します。
オンラインショッピング(通信販売・ネット通販)などの宅配分取り扱い数の増加により人材不足に陥っているのが運輸・郵便業のドライバー職です。
仕事量が増加しているにもかかわらず、需要に対して人員確保が追いついていない状況です。
また、公益社団法人 全日本トラック協会の資料によるとトラックドライバーの高齢化が分かります。
平成30年では、40代以降のドライバーが72.6%を占め、平成20年から平成30年の間に若手人材のドライバーが減少したことにより高齢化と若手人材の不足が読み取れます。
参照:公益社団法人 全日本トラック協会
「2019 日本のトラック輸送産業 現状と課題」
http://www.jta.or.jp/coho/yuso_genjyo/yuso_genjo2019.pdf
企業は若手ドライバーの人材確保や労働環境の改善などを積極的に行っているため、給与や待遇面の向上がみられる業界で、比較的高い給与水準のためたくさん稼ぎたい転職者にはおすすめです。
“肉体労働”“きつい”などのイメージが強いドライバー職ですが、国土交通省が労働力不足解消に力を入れ労働環境の改善が進められている今、転職のチャンスでしょう。
また、1人での労働が多いため、人と関わること、コミュニケーションが苦手な方は働きやすい環境です。
必要な資格は運転免許ですが、トラックドライバーで必要な免許は以下のとおり。
運送業界では4トントラック以上のトラックが活躍しているため、中型免許があれば有利
経営状態や企業の方向性を分析し今後のアドバイスをするコンサルタント職。
経営コンサルタント、ITコンサルタント、建築コンサルタント…と業種や仕事内容によって求められる知識とスキルが幅広い職種です。
これまで培ったキャリアやスキルを活かした転職ができる職種であり、仕事内容も様々。
例えば以下のような仕事が依頼されます。
コンサルタントの仕事内容
新しい分野で幅広い経験とスキルを得ることができるのはコンサルタント職の醍醐味といえるでしょう。
異業界・異業種転職でもキャリアとスキルが無駄にならない
販売やサービス業といった業界は未経験無資格からチャレンジできるフィールド。
例えば、小売り店などの販売接客業やホテルのコンシェルジュ、ブライダルコーディネーターなどがあります。
必要とされるスキルは、主に基本的なビジネススキルとコミュニケーションスキルで採用が人物重視・ポテンシャル重視なので転職におすすめです。
海外からの旅行客も多いため、特にホテル業界では人材の積極的な採用が行われているため、雇用ニーズは高いでしょう。
日本の経済市場の約7割を占めるサービス業の多くは中小企業ですが、顧客ニーズの多様化によりこれからの市場規模の拡大が見込まれ、大企業へ発展する可能性もあります。
ビジネススキル、ビジネスマナーがあれば働くフィールドは無限
転職に有利なのは「手に職をつける」ということです。
仕事で必要なスキルを身につけることで、他の転職者との差をつけ専門的な知識とスキルを武器にすることができます。
手に職の仕事
医師や看護師、弁護士、美容師なども「手に職の職種」となり就職率は高いですが、取得までに時間や費用がかかるため、転職を考えたときに資格取得を目指すのは現実的ではありません。
ここでは、専門スキルを身につけ手に職をつける職種についてご紹介します。
あらゆる企業でのIT化が進み、人材不足が深刻な日本のIT業界。
平成31年 経済産業省によるIT人材需給に関する調査(概要)の調査報告によると、IT業界での需要と共有のギャップは2020年で30万人とされ、2030年には45万人の人材不足が予想されています。
参照:経済産業省によるIT人材需給に関する調査(概要)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
IT業界では、エンジニア職、営業・コンサルタント職、マネジメント職、総合職の職種がありますが、中でもエンジニア職がおすすめです。
主なエンジニア職の職種
いずれにしてもプログラミングスキルは必須ですが、未経験でもOKの企業や入社後に研修で育成する企業など様々。
転職を目指すなら、在職中からのプログラミング学習や、プログラミングスクールに通いプログラミングの知識とスキルを身につけましょう。
プログラミング以外には、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルが重視されます。
IT職から職種を変えたいときは、IT職の知識を活かしながら営業を行うプリセールス(セールスエンジニア)へ転職できる可能性があるので将来性もバッチリ
高齢社会が進み、介護が必要な高齢者が増加する一方でそれを担う人材ニーズが不足している医療・福祉・介護業界。
慢性的な人材不足悩んでいるため、介護職は年齢問わず転職しやすい職種です。
また、高齢者介護に限らず医療施設や障害者施設など“介護・福祉”に関する仕事は常にニーズのある職種ですので、リストラや職を失う心配もなく長く働き続けることができるでしょう。
介護職は、施設の形態によって無資格でも働くことができますので「無資格未経験」からのキャリアチェンジ転職もしやすいことが特徴です。
施設の形態には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入居施設、通所介護を行うデイサービス、認知症の高齢者の生活を支えるグループホームなどがあります。
求められるスキルや体力の負担やケアの方針などを見極め、自分に合った事業所を選ぶのが転職成功の鍵となります。
また、介護の仕事は介護保険で定められているため、他府県に引越しをしてもそれまでに培ったキャリアやスキルを活かして働くことができ、まさに手に職の職種。
給料が安いといわれる介護業界ですが、無資格未経験から実務経験を積むことでキャリアアップ&給料アップが実現します。
実務経験を積み、国家資格である介護福祉士やケアプラン作成などを行うケアマネジャーへのステップアップを目指したいものですね。
努力と成果が実感できるため働き甲斐を求めている方におすすめです。
採用率アップなら、介護職員初任者研修の修了を目指そう
20代はポテンシャルを活かした転職活動ができ、企業側としても若手人材を育成し企業色に染めたいと、採用意欲が強いことが特徴。
そのため、どの年代よりも異業種転職はしやすい傾向です。
一方30代ではキャリアやスキルを活かしたステップアップの転職となり、企業が求める即戦力としての期待値は高め。
しかし、ポテンシャルも期待されるため未経験職種へのキャリアチェンジの可能性もある年代となります。
20代(既卒・第二新卒)~30代が転職しやすい職種は前項でもご紹介した2職種。
様々な企業での総務・人事・経理・営業事務など幅広い仕事内容がある事務職。
デスクワークが中心ですが、企業で働く他職種とのコミュニケーションが多いため基本的なビジネスマナーや社会人スキルが求められます。
「未経験可」の求人も多いですが、パソコンスキルと簿記のスキルがあれば採用に有利となるでしょう。
ビジネスのベーシックスキルをもつ若手転職者におすすめ
たくさんの職種の中でも人気が高いマーケティング職は、憧れをもって転職を目指している方も多い職種です。
マーケティングは、市場調査を行いデータの収集・課題分析を行い、実態を見極める仕事ですが、結果から企画の提案やプロモーション活動を行うなど仕事内容は幅広いことが特徴です。
「未経験可」の求人も多いですが、マーケティング戦略のフレームワークなど基本的な知識を身につけておいた方が採用には有利になり、マーケティング・ビジネス実務検定やネットマーケティング検定などの資格がありますので、合格すれば基礎的な知識を持っていることのアピールにつながります。
向上心や働く意欲、将来性などポテンシャルが重視されやすく、比較的若手人材を求める傾向があるため20代、30代の若手にはチャンス!
これまで培ったキャリアとスキルは幅広い仕事内容のマーケティング職に役立つ!
一般的に転職は難しいとされる40代・50代の中高年世代。
特に未経験職種への転職はかなりの勇気がいるため、新しい仕事へのチャレンジに一歩踏み出せないでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、職種の選び方によっては未経験職種へのキャリアチェンジ転職も不可能ではありません。
これまでのキャリアやスキルを活かした転職ができるのは、マネジメント職や管理職です。
企業の経営目標達成のために人材育成や人材育成を行い、豊富な経験と人材育成スキルが求められます。
これまでの経歴で管理職の経験があれば他業種からの転職も有利
工場で製造ライン・軽作業のラインスタッフとして働く作業員は、年齢・経験不問で幅広い雇用ニーズがあり、40代・50代未経験でもチャレンジできる職種です。
普通自動車免許、フォークリフト運転者、危険物取扱者乙種第4類などの資格があれば、さらに採用は有利
老後の生活や貯金のためにと働くシニア世代におすすめの職種をご紹介します。
給与面よりも社会的な交流や生きがいのためにと働かれる方が多く、「シニア世代歓迎」と掲載されている求人情報であれば、採用されやすい傾向です。
会社の早期退職や定年から転職される方が多い警備員は、シニア世代の男性だけでなく女性からも人気が高い職種です。
警察庁生活安全局生活安全企画課による『平成29年における警備業の概況』の警備員の年齢別・男女別状況(平成29年末)をみてみましょう。
40歳以降で働く方が8割近くを占め、60代以降では全体の4割以上。
警備員として第二の人生を選択するシニア世代が多いということがわかりますね。
参照:警察庁生活安全局生活安全企画課 『平成29年における警備業の概況』
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/statistics/29keibi.pdf
特に必要なキャリアやスキルがなく、働く場所によっては体力的な負担も少なく、研修制度も整っているため安心。
主な仕事内容は以下の通りです。
入社後の資格取得でステップアップ・給与アップを目指せる
『一億総活躍社会』といわれ、出産・育児とライフイベントの多い女性の活躍の場が広がり、女性でも働くのが当たり前という中で、働きやすさやライフワークバランスを求めて転職する女性が増えています。
女性が転職を考える際のポイントはこちら。
ポイントから女性が転職しやすい職種をご紹介します。
Web業界の拡大によって注目されているWebデザイナー。
Webサイトの使いやすさや見やすさ、信頼性などサイトの目的の成功を左右するのがWebデザインです。
クライアントから依頼されWebサイトのデザインを構築するという仕事内容で、Webデザインの専門スキルをもつ職種がWebデザイナーとなります。
Webデザイナーのニーズは今後も右肩上がりで、経験を積むことでWebディレクターやWebプロデューサーへのキャリアアップも可能。
未経験からWebデザイナーを目指す場合は、独学やスクールに通いスキルを身につける必要がありますが、手に職の職種でもあり一生モノのスキルを得ることができます。
主にWeb制作会社が転職先となりますが、フリーランスとしての働き方もできるのでプライベートを充実させたい女性の在宅ワークとしておすすめです。
ライフワークバランスのとれた働き方ができる
設計士やデザイナーの指示でCADソフトを使い、建設や家電などの図面を修正、調整する専門職であるCADオペレーターは、人材不足に悩む職種のひとつです。
令和元年11月に発表された厚生労働省の職種別、求人・求職・賃金状況を見ると、CADオペレーターの月間有効求人数は435に対し、月間有効求職者数は351人、有効求人倍率は1.24となっています。
このことから、CADオペレーターの人材が不足し転職しやすい状況がわかりますね。
参照:厚生労働省 北海道労働局 職種別、求人・求職・賃金状況
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/000568747.pdf
建設業界・インテリア業界・アパレル業界などでは欠かせない職種で、正確さや仕事の繊細さが求められるため女性に向いているとされています。
デスクワークが中心となりますが、設計士やデザイナーとの協働も多くコミュニケーションスキルも欠かせません。
CADオペレーターはスキルを身につければ、出産・育児などでブランクがあっても雇用形態の幅が広く社会復帰しやすく、ライフスタイルに合わせた働き方ができるので、女性の新しいキャリアプランの一歩におすすめです。
独学でスキルを身につけることもできますが、スクールに通うとより専門性の高い知識とスキルを身につけることができます。
ハローワークの職業訓練を受講すれば無料で受講できる(教材費は必要)
病院やクリニックのレセプト業務(請求業務)を行う医療事務は、「ライフステージが変わっても転職しやすい」「年齢を重ねても長く働ける」と女性に向いている職種。
もちろん有資格者や経験者が優遇されますが、「未経験・無資格可」の求人も多いため、異業種からのキャリアチェンジが多いことが特徴です。
また、病院やクリニックだけでなく薬局、歯科医院など働く場所に困らない、引越しをしても転職しやすいことも人気の理由です。
医療事務の資格は民間の資格ですが、独学・スクール・通信講座など様々な方法で学ぶことができ、仕事をしながら資格取得を目指すことも可能です。
女性が多く働く職場なので育児中のママも協力体制が整っており働きやすく、体力的な負担が少ないため、女性が長く働き続けることができる職種としてもおすすめです。
学歴に自信のない方もOK!全国どこへ行っても転職しやすい
いかがでしたでしょうか?
転職しやすい職種について、パターン別にご紹介させていただきました。
転職活動において、選ぶ業界や職種によって成功は左右されますがそれだけを重視して選ばないようにしましょう。
「これから長く働ける仕事か?自分に合った仕事か?」ということを考えて転職先を選ぶことが大切です。
転職活動では、自分自身を見つめなおす自己分析や業界や企業の動向を調べる企業研究によって自分に合った転職先を見極めなければいけませんが、仕事をしながらの転職活動ではなかなか時間もとれず明確な転職軸を作ることは難しい…
そんなときは転職エージェントを利用することをおすすめします。
特に、異業種からのキャリアチェンジ転職では、転職のプロであるキャリアアドバイザーからアドバイスをもらい自分に合った職種を見極めることをおすすめします。
また、今回転職しやすい職種を紹介しましたが、履歴書や職務経歴書での書類選考、面接でのアピールの仕方によって転職の成功率に影響されるものです。
成功率をアップするための応募書類・面接対策が充実している転職エージェントを味方につけ、憧れの職種へ転職成功を目指しましょう。