中小企業診断士とは、中小企業に対し、経営面で相談に乗ったり、課題や問題点を分析し解決の手助けを担う仕事です。中小企業診断士資格の人気は非常に高く、2016年1月に日本経済新聞社が行なった「ビジネスパーソンが取得したい資格ランキング」では、堂々の1位を獲得しています。
ただ中小企業診断士の資格取得は、そう簡単なものではありません。大半の方がスクールや通信講座を利用しますが、「一体どれを選べばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
しかし「ちょっと聞いたことがあるから」と、知名度の大小だけで判断してはいけません。勉強する内容は同じかもしれませんが、テキストとの相性やサポート体制など選ぶ講座によって合格への道のりが違ってくるので、しっかりと検討する必要があります。特に働きながら資格を取得したい方は、いかに効率良く勉強できるかがポイントです。
最近では、どのサービスも映像授業やアプリなど学習環境が充実しており、通学講座に通うのと同等のサービスを受けられるようになっています。今回は人気の中小企業診断士通信講座を項目別に比較したので、検討中の方は是非参考にしてみてください。
たくさんの講座から自分に合ったものを選ぶためには、必ずチェックすべきポイントがあります。特に重要な5つのポイントは、下記のとおりです。
一人で学習を進めることの多い通信講座では、テキストが何よりも重要になります。自分のレベルに合う教材を使用しなければ、無駄な勉強時間が発生してしまいます。カラーかモノクロか、テキストの量など、自分が勉強しやすいテキストかどうかを見ておくのも大切ですよ。
初心者であれば、カラー・イラスト入りのテキストが理解しやすいのでおすすめです。学習経験がある方は、演習問題中心のテキストでたくさんの問題に触れるのが効率よく勉強できるのでおすすめですよ。
現在仕事をしている方なら、映像講座の有無はチェック必須です。スマホ一つでどこでも勉強できる映像講座。そういった環境が作られれば、とても便利に効率よく勉強を進めることができます。
また映像授業は、ストリーミングだけでなく、ダウンロードできるものが良いでしょう。事前にスマホに入れておけば、通信環境や通信料を気にせずどこでも視聴することが可能です。
通信講座で確認すべきは、質問サービスがあるかどうか。これがないと、分からない部分でつまづいてしまい、結局独学と同じ状態になってしまいます。
さらに最近では学習計画や進捗管理を提示してくれる講座があり、学習サポートの充実度も選び方の重要項目です。
また中小企業診断士は2次試験の記述問題が難関だと言われており、独学では自分の回答が合っているか判断しづらいため講座受講が圧倒的におすすめです。
費用は安いに越したことはありませんが、講座内容、サポート内容とのバランスで選びたいものです。また費用と併せて、教育訓練給付金制度の対象かどうかも重要なポイント。その際、必ず合格することが条件ではないことをチェックしましょう。合格お祝い金制度の有無も大切なポイントになりますよ。
中小企業診断士は非常に難易度が高く、合格率はおよそ30%ほど。数年かけて挑む方も多くいらっしゃるのが実情です。そのため、不合格時に全額返金になる制度や、1年間の受講期間延長対応サービスなど、再チャレンジしやすい制度があるかどうかもおさえておきたいポイントですね。
上記の5つのポイントをもとに、おすすめの通信講座を6つご紹介いたします。
アンケートで「講義の分かりやすさ、講座満足度、継続しやすさ」において3年連続1位に選ばれた講座です。(※ゼネラルリサーチ株式会社「中小企業診断士に関するイメージ調査」全国の20代~50代の男女に行ったインターネット調査より)実際、様々なサポート制度が盛り込まれています。
・教材の特徴 テキストはフルカラーで図やイラストが多用されており、初心者でも分かりやすい構造。
・映像講座 〇 ダウンロード形式のため通信環境がなくてもどこでも講座を見ることができる。また映像講座以外のすべての教材もダウンロード可能。
・サポート体制 〇 無制限でメール質問をおこなうことができる。また過去5年分の問題集がついている。
・合格フォロー制度 〇 1年目で合格できなくても3年まで受講可能。また最大30,000円の合格お祝い金がある。
・講座費用 1次対策コース42,000円、1次2次対策プレミアムフルコース49,800円(※いずれも税抜)
クレアールは、東京にある資格取得のエキスパート校です。テキストや講師の質がとても高く、本気で短期合格を目指す人には特におすすめの講座となっています。
・教材の特徴 過去問題を徹底検証して作られた独自テキストは要点が絞り込まれていてかなり質が高いと言える。過去20年分の問題を「論点別」「重要度別」にして提供。
・映像講座 〇 「Webテスト(1000問ノック)」や「PDF教材」をダウンロードすることが可能。
・サポート体制 〇 講座の勉強サイクルが明確化されており、進捗管理が苦手な方でも進めやすい。無制限でメール質問をおこなうことができる。また過去5年分の問題集がついている。
・合格フォロー制度 〇 ストレート合格をした場合、50,000円の合格お祝い金がある。さらに合格後のフォロー体制が充実。
・講座費用 1次2次ストレート合格パーフェクトコース 250,000円(※税込、送料込)不定期で大幅な割引キャンペーンをおこなっているので要チェック。
仕事をしながら、隙間時間で合格を目指す人のための講座です。代表自らも中小企業診断士であり、短期間で合格した人の実績を徹底分析した独自の合格メソッドを、オンラインに特化して提供しています。
また毎年講座内容が更新されているため、最新の情報にも対応しているのが特徴です。
・教材の特徴 テキストはすべてPDFにてオンラインで提供。また勉強範囲を体系的に図化した「学習マップ」や映像講座後すぐにおこなう「チェックリスト」など独自のテキストを効率よく揃えている。
・映像講座 〇 短時間で習得することができるように、映像の倍速再生に対応。休憩時間や通勤時間などの隙間時間に見やすい仕組み。
・サポート体制 × 質問は有料。Q&Aチケット1枚1,100円、4枚4,000円(※いずれも税抜)となっている。
・合格フォロー制度 × 特になし。
・講座費用 中小企業診断士 1次2次合格コース[2021年度試験対応]48,900円(※税抜)
資格取得専門予備校・最大手であり、国内での知名度は抜群に高く、安心して受けられる講座でしょう。他と比べて費用は高額ですが、通学するのと同等内容の講座が受けられます。目的別のコースが豊富にあり、初めて受験する方や経験者向けなどその人に合ったコースが選びやすい仕組みです。
・教材の特徴 モノクロの一般的なテキスト。試験傾向・法改正に合わせて毎年改訂されている。
・映像講座 〇 アプリで動画をダウンロードすれば通信環境のないところでも動画を視聴可能。動画の倍速再生に対応。
・サポート体制 〇 メールで質問をおこなうことができる。(コースによって回数制限あり)受講生同士が試験や学習方法等を自由に意見交換できるオンライン上の交流の場がある。
・合格フォロー制度 ×
・講座費用 1・2次ストレート本科生(Web通信講座)264,000円、受験経験者割引224,400円、再受講割引211,200円(※いずれも税込)不定期で各種割引キャンペーンが開催されている。「教育訓練給付制度」の対象。(諸条件あり)
フォーサイトとは様々な資格取得講座を開講しているサイトで、とことん合格にこだわった資格取得講座を提供しています。受講者専用のeラーニングシステムがあり、学習環境が整っているのが特徴です。
・教材の特徴 テキストは図やイラストが多用されたフルカラー版。またテキスト以外に勉強方法を指南する「戦略立案編」や「中小企業診断士を詳しく紹介するマンガ」など初心者でも分かりやすいガイドブックがついている。
・映像講座 〇 通信講座専用の映像講座を提供。
・サポート体制 〇 メールで質問可能(コースにより回数制限あり)。
・合格フォロー制度 〇 「お祝いギフトコード制度」があり、設定している試験に合格しアンケートや合格体験記を提出すると、Amazonギフトコードのプレゼントあり。
・講座費用 バリューセット1 2021年度試験対策(1次試験対策)68,600円、バリューセット2 2021年度試験対策(1次・2次試験対策)98,400円、中小企業診断士通信講座
2020年度 2次試験対策29,800円、単科講座 1講座9,800円(※いずれも税抜)
少人数のオンライン授業をおこなう通信講座です。決まった時間にリアルタイムで授業に参加しなければなりませんが、その分、一人ではなかなかやる気スイッチが入りにくいという方におすすめです。講師とリアルタイムでやり取りができるのも、おすすめのポイントです。
・教材の特徴 KECオリジナル「パーフェクトトレーニングシート」を使用して目標を明確にした勉強方法を実施。また毎回宿題があり、確認テストで習得度や学習進捗を確認している。
・映像講座 ×
・サポート体制 〇 個別学習カウンセリングあり。その他電話、メールで質問ができる。
・合格フォロー制度 ×
・講座費用 初学者コース(全6コース)198,000円 ~、経験者コース(全2コース)120,000円~、その他2次専科コースやオプション講座各8,000円あり。(※いずれも税抜、テキスト代込)「教育訓練給付制度」の対象で、諸条件をクリアして合格すると最大で受講料の20%が返還される。
中小企業診断士の試験は1次試験、2次(筆記・口述)試験、実務補習・実務従事の3段階があります。
ー第1次試験ー
■目的 中小企業診断士に必要な知識を有するかどうかを判定すること
■マークシート形式
■試験範囲 7科目
1. 経済学・経済政策
2. 財務・会計
3. 企業経営理論
4. 運営管理
5. 経営法務
6. 経営情報システム
7. 中小企業経営・中小企業政策
■試験日 毎年8月頃
■受験資格 特になし
■受験会場 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇
■合格基準
① 総点数による合格基準
免除科目を除く全科目を受験し、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とする。
② 科目ごとによる合格基準
科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とする。
■受験料 13,000円(※税込)
ー第2次試験ー
■目的 中小企業診断士に必要な応用能力を有するかどうかを判定すること
■筆記4科目 + 口述
■筆記試験範囲
【事例Ⅰ】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅱ】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅲ】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅳ】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
■受験資格 1次試験合格者
■受験会場 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
■合格基準 筆記試験における総点数の 60% 以上で、かつ、1科目でも満点の 40% 未満がなく、口述試験における評定が 60% 以上であること
■試験日 毎年10月頃に筆記、その後合格者のみ12月頃に口述試験を実施
■口述試験 中小企業の診断及び助言に関する能力について、筆記試験の事例などをもとに、個人ごとに面接(約10分)
■受験料 17,200円(※税込)
ー実務補習・実務従事ー
■内容 コンサルティングの実践
(1)登録実務補習機関による実務補習
(2)中小企業基盤整備機構、都道府県等中小企業支援センターにおける実務補習
1コース5日間もしくは15日間で設定されており、主に土日祝を中心に実施。
■受験資格 中小企業診断士第2次試験合格者の中で、3年を経過していない方。
■実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡(※2019年度、2020年度実績)
■受講手数料(※2019年度実績)
5日間コース 50,000円、15日間コース 148,600円(※いずれも税込、テキストを持っていない場合)
いかがでしたか?今回は様々な特徴を持った、中小企業診断士の通信講座をご紹介しました。ご自身の性格や生活に合った講座を選ぶことで効率良く勉強することができ、それが合格への近道となります。費用、テキスト、サービスなど重要なポイントのバランスを見極めて、ぜひ合格を目指してください!応援しています!