司法試験予備試験の合格率は数%…難関試験だが合格者は司法試験でも好成績

司法・法務おいて最高峰とも言えるのが「法曹三者」と呼ばれる弁護士や検事、裁判官でしょう。これらの職に就くためには、国家資格である司法試験に合格しなければなりません。

受験資格も設定されており、その1つが予備試験に合格することです。予備試験は合格率が低い試験としても知られています。

今回は予備試験の合格率や、合格者の司法試験成績などを分析します。

司法試験の概要

まずは司法試験とはどのようなものなのでしょうか。まずは司法試験の概要について説明します。

司法の最難関資格

司法試験は言わずと知れた司法の最難関国家資格試験で、弁護士、検事、裁判官になるためには、司法試験に合格しなければなりません。法務省の公式ホームページ上でも「裁判官,検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験」と記載されています。

受験資格

司法試験には受験資格が設けられています。1つは「法科大学院の課程の修了」、もう1つは「司法試験予備試験の合格」によって受験資格を得ることができます。

予備試験の概要

先ほど説明したように、予備試験に合格することが司法試験の受験資格を得る方法の1つとなります。次にはこの予備試験の概要について説明します。

予備試験の目的

司法試験予備試験はどのような試験なのでしょうか。法務省の公式ホームページでは予備試験の実施目的について、「法科大学院課程を修了した者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務基礎的素養を有するかどうかを判定すること」と記載されています。

法科大学院終了者以外にも、司法試験受験の門戸を開くために設置されたものなのです。予備試験には受験資格は設けられておらず、誰でも制限なく受けることができます。

試験内容

次に司法予備試験の内容を説明します。予備試験は大きく分けると、「短答式試験」、「論文式試験」、「口述試験」の3つがあり、それぞれ順に別々の日程で行われます。2022年(令和4年)の試験日は「短答式試験」が5月5日、「論文式試験」が7月9日・10日、「口述試験」が11月5日・6日です。1つずつ試験に合格しないと、次の試験を受験することができません。

「短答式試験」はマークシートで行われます。法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)から各科目10問ないし15問程度出題されます。一般教養科目は人文科学,社会科学,自然科学、英語から40問出題され、そのうち20問を受験者が選択します。合格すると、同一年に行われる「論文式試験」の受験資格を得ます。

「論文式試験」は法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)は各科目1問ずつ、選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法から選択)は受験者が選択した科目から1問、法律実務基礎科目(民事訴訟実務、刑事訴訟実務及び法曹倫理)は民事と刑事から1問ずつ出題されます。合格すると、同一年に行われる「口述試験」の受験資格を得ます。出題範囲は論文式試験の法律実務基礎科目と同様です。口頭試問にて、法的な推論,分析、構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定を行います。

「短答式試験」、「論文式試験」、「口述試験」はいずれも合計得点で合否判定を行います。なお、法律基本科目,選択科目,法律実務基礎科目,一般教養科目のそれぞれについて,最低ライン点を定めるかどうかは、試験の実施状況を踏まえつつ検討されます。予備試験に合格すると、司法試験の受験資格を取得できます。受験資格の期間については法務省・司法試験の公式ホームページにて、「予備試験の合格発表日後の最初の4月1日から5年の期間内は毎回受験することができる」と記載されています。

どのような人が予備試験を受けるか

司法試験予備試験の概要は以上となります。それでは、どのような人が予備試験を受けるのでしょうか。

仕事をしながら司法試験を受験したい人

まずは、現在社会人で仕事をしながら司法試験を目指す人が挙げられます。司法試験の受験資格を得るためには、「予備試験に合格」する以外に「法科大学院課程の修了」があります。

しかし法科大学院に2年間通う必要があり、仕事をしている人にとっては難しいでしょう。働きながら司法試験合格を目指す人にとっては、勉強時間をフレキシブルに設定できるため予備試験を経由しての受験が方法の1つになるのです。

実際に令和3年の全受験者11,717人のうち、約40%にあたる4360人がなにかしら仕事をしている人(公務員、教職員、会社員、法律事務所職員、塾教師、自営業)でした。

学生も多い

社会人が司法試験受験資格を得るための予備試験と思われがちですが、受験者の中には学生も多くいます。令和3年の予備試験受験者のうち、4594人が学生(大学院生、大学生)でした。さらに予備試験の最終合格者数は大学生が252人と最も多くなっています。合格率でも法科大学院生が約9%、大学生が約6%と、社会人より高い点も特徴です。

法科大学院や大学の法学部に通っている学生は、法科大学院課程の修了により司法試験の受験資格を得られるため、予備試験を受ける必要はないと思う方もいるかもしれません。ですが、大学入学や在学中から予備試験や司法試験の勉強を進め、より早く司法試験合格を目指す学生も多くいるのです。

早く実務に就くことができる、経済的負担が減る、就職が有利になるなど、学生のうちに司法試験に合格することは多くのメリットがあります。

予備試験の合格率

次は予備試験の合格率を見ていきます。

予備試験は司法試験並みの難関試験

令和3年の予備試験合格者は、全受験者11717人中467人でした。割合にすると、4%を下回っています。令和2年、平成31年も4%程度と、この数字は例年大きな差はありません。このように、予備試験は超難関試験と言っても過言ではなく、受験者の多くが司法試験の受験資格を得られずに終わっているのです。

学生の合格率が高い

先述のとおり、合格率が高いのは社会人よりも学生となっています。令和3年の予備試験では、大学生の合格率が7.1%、法科大学院生の9.3%と全体の合格率を上回っています。一方で社会人(公務員、教職員、会社員、法律事務所職員、塾教師、自営業)の合格者の合計はわずか65人、合格率は1.5%です。仕事をしながら合格することがいかに難しいか、勉強時間の確保の重要性をうかがい知ることができるでしょう。

多くの受験者は「口述試験」前に不合格

次に試験ごとの合格状況を見ていきます。予備試験は前述の通り、3つの試験がありますが、多くの受験者は「短答式試験」、「論文式試験」で不合格となっています。「短答式試験」の合格率が23.2%、「論文式試験」の合格率が17.6%となっており、「口述試験」にたどり着くことができずにいます。一方で「口述試験」は479人中467人と97.5%の合格率です。

「短答式試験」は6割以上の点数で合格

最初に行われる「短答式試験」ですが、令和3年の試験では270点満点で合格点は162点でした。全受験者の平均点は132.0点、科目別に見ていくと行政法の得点が伸び悩む傾向が出ており、平均点は10.7点と全科目の中で最低となっています。

次に行われる「論文式試験」は各科目50点満点で10科目行われるため、試験全体では500点満点となっており、合格点は240点に設定されています。試験では長文の問題に対し、1500文字程度の論述で解答するため、試験時間がタイトと言えます。

予備試験合格者の司法試験

予備試験を合格した人と法科大学院過程を修了した人では、司法試験の合格率に差はあるのでしょうか。ここでは令和3年司法試験における、出身別の合格率を見ていきます。

司法試験の合格率は40%前後

まずは司法試験全体の合格率を見ていきます。令和3年の受験者は3424人、合格者は1421人で合格率は41.5%でした。令和2年は39.1%となっており、例年40%前後の合格率となっています。

予備試験合格者の司法試験合格率が高い

法務省は、司法試験法科大学院等別合格者数を公開しています。ここには予備試験合格者の数も載っており、令和3年の司法試験では400人が受験し374人が合格しています。実に93.5%の合格率となります。

次いで合格率が高いのが愛知大法科大学院の66.7%ですが、これは受験者が3人と少なくなっています。3番目の京都大法科大学院が、185人中114人合格で61.6%です。このように大学院過程修了者に比べ、予備試験合格者の合格率がいかに高いかがわかるでしょう。

予備試験合格者の司法試験合格率が高い要因

最後に予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由を考察していきます。

試験形式が司法試験に似ている

予備試験と司法試験の内容が類似していることが、1つ目の理由として挙げられます。予備試験と司法試験は、ともに「短答式試験」と「論文式試験」が課されます。試験内容に共通点が多いため、予備試験合格者は司法試験のために特別な対策をする必要はありません。予備試験の延長として、司法試験に臨むことができるのです。

予備試験合格には司法試験合格並みの力が求められる

先述のとおり、予備試験は合格率が4%程度と非常に難関試験となっています。突破すること自体が難しい試験であり、合格するためには相当高い能力、知識が求められます。予備試験合格には、司法試験でも十分通用するだけの能力を要求されます。

予備試験は難関だが、司法試験合格には必要な能力が問われる

司法試験予備試験は、合格率が数%の非常に難関な試験です。合格のためにはかなりの勉強量を要し、受験を断念してしまう人もいるかもしれません。

ですが、司法試験合格に必要とされる能力は予備試験で問われているものと共通しています。司法試験合格率が示す通り、司法試験合格を目指すのであれば通過するべき関門と言える試験です。

社会人、学生問わず自分の生活に合った効率的な勉強で予備試験合格を目指すことが、法曹への近道と言えます。

参考:法務省司法試験  https://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index1.html

参考:予備試験  https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/shikaku_saiyo_index.html

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷