転職を考えた時、まず一番初めに頭を悩ませるのが【仕事を続けながら転職活動をするか、退職してから転職活動をするか】どうか。「キャリアや生活を考えると先に転職先を決めてしまいたい…けれど、忙しすぎて転職活動をする時間なんてない!」そうやって悩んでいるうちに、時間だけが無情に過ぎていく――という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、在職中に転職活動を行うメリットとデメリットをおさえた上で、転職活動を成功させるためのポイントと注意点をご紹介します。
まずは、在職中の転職活動と退職後の転職活動、双方のメリットとデメリットをご紹介します。どちらが自分に合っているか、比較検討の材料にしてみてください。
働きながら転職活動を行うメリット
働きながら転職活動を行うデメリット
会社を辞めて転職活動を行うメリット
会社を辞めて転職活動を行うデメリット
いかがでしょうか。退職後の転職活動は、長期化しなければそれ程デメリットがないようにも感じます。しかし、やはり転職活動が長期化しない保証はどこにもなく、長期のブランクは転職市場において非常に不利になってしまいます。
転職先を絶対に決めるとまではいかないにしても、ある程度の“転職できる見込み”が見えるまでは、安易に退職しない方が賢明だと言えるでしょう。
加えて在職中に転職活動を行った場合、転職先が決まり退職意思を伝えた時に引き留めに合うことも少なくありません。その際に、昇給や昇進を打診されたり、これまで解決する兆しのなかった不満が解消されたりと、結果的に転職せずに待遇が良くなる可能性だってあります。これは、退職してしまった後には起こり得ないことです。
また退職してもハローワークで失業給付を受ければよいという考えもありますが、それも安易な判断は禁物です。退職理由が「自己都合」の場合、失業給付の受給まで3か月の給付制限があるため、すぐにお金は振り込まれません。
「会社都合」であれば7日間の待期期間だけで済みますが、結局銀行口座に振り込まれるのは1か月後です。給付される日数も、年齢や雇用保険被保険者であった期間などにより90~360日と幅がありますし、受給には要件を満たす必要もありますので、事前に必ず確認するようにしましょう。
ちなみに企業側にとって在職中と退職後どちらの求職者の評価が高いかというと、実は与える印象に差はそれほどありません。ただし退職後の離職期間が長期化してしまうと、やはり「どこにも採用されない人=何か欠点があるのではないか」「計画性のない人=後先考えずに退職したのではないか」と思われる可能性が非常に高いので、長期化は避けたいところです。
在職中の転職活動で最も重要なのは、いかに時間を有効に使うかどうかです。ここでは、限られた時間で転職活動を有利に進めるためのポイントをいくつかご紹介します。
在職中の転職活動は、経済的に追い込まれていないこともあり長期化しがちです。期限を設けない転職活動は、どうしてもダラダラと長引いてしまったり、せっかく内定をもらっても「もっと良い企業があるのでは」と理想を求めすぎて長期化してしまうことが少なくないのです。そこで大切なのは、転職活動のスケジュールをしっかり計画することに他なりません。目標とする退職時期を決めて、余裕を持ってスタートさせたいものです。
在職中の転職活動は、一般的に求人情報の収集から転職先企業に入社するまでに凡そ3ヶ月から半年かかると言われています。現職に迷惑をかけないよう引継ぎなどの時間や繁忙時期も踏まえ、退職しやすいタイミングから逆算してスケジュールを立てることが計画のコツです。
昨今の世情から面接もオンライン化が進んでおり、直接訪問せずに面接を受けられる企業が増えてきています。オンライン面接であれば、現職の職場状況によっては休憩時間を利用して面接を受けることも可能ですし、業務終了後に面接を受けるにしても移動時間が大幅に節約できるなど、在職中の求職者にとっては非常にメリットが大きいといえます。
応募する企業側も、求職者が在職中であることを伝えれば必ず配慮しますので、面接方法や日時、またオンライン面接を受ける場所(会社近くのカフェなど多少雑音が入ってしまう旨など)についてははっきりと相談すると良いでしょう。
また、在職中の求職者にとってオンライン面接にはもう一つ利点があります。それは服装です。在職中の転職活動において、「面接の日にスーツで出社すると転職活動していることがバレる」というお悩みをよく耳にしますが、オンライン面接であれば上半身さえ考慮すれば問題ありません。ジャケットを羽織ればよく、普段に近い服装で出社することができますよ。
在職中は現職の仕事で忙しく、なかなか書類作成や企業研究、面接対策などを行う時間がないという方が殆どです。そんな方の転職活動の方法としては、転職エージェントの利用がおすすめです。企業の選定や応募、企業とのやり取りから選考後のフォローまで、エージェントが企業とあなたの間に入って取り合ってくれます。また場合によっては、エージェントが企業に推薦してくれることで面接が免除される場合もあります。時間の有効活用はもちろん、有利に転職活動を進めることにもつながりますので、利用しない手はありません。
ただし、転職エージェントの利用には注意点が一つあります。採用する側の企業にとって、転職エージェントから紹介を受けた求職者というのは、一般応募の求職者よりも要求が高くなる傾向があります。これは、転職エージェントから紹介された求職者を採用する場合、求職者の想定年収額の定められた割合分を紹介フィーとして転職エージェントに支払わなければならないからです。転職エージェントと企業間の契約内容にもよりますが、いずれにしても求人広告の募集で採用するよりも高い費用がかかることは間違いありません。
そのことをしっかり頭に入れて、転職エージェントから紹介された“お客様”感覚で選考を受けるのではなく、むしろ“紹介されるほど優秀な人材”という目で見られていることを忘れないようしましょう。
ハローワークは、退職後に失業給付を受けるために訪れる場所と考えている人も少なくありませんが、在職中に利用することも可能です。ハローワークは求職者の就職支援を行う行政機関ですので、求職申込登録を行えば、職業紹介はもちろん、職業訓練や就労相談など独自のサービスを受けることができるのです。特に、若年層向けの支援や、女性や高齢者に特化した相談窓口など、様々な雇用支援施策を実施していますので、他では見られないような求人に出会うことも可能です。
ただし開庁時間が平日の日中に限られているなど在職中の求職者には利用が難しいので、求人はインターネットで閲覧するなど工夫して活用しましょう。またハローワークで扱っている求人は、質の良し悪しにかなりばらつきがあることも否めません。これは、ハローワークへの求人票の掲載は無料で行えるためです。その分求人票の数は非常に多いのですが、内容が精査されていないことも多く、「実際に働いたら掲載されていた内容と全然違った」というトラブルがあることも事実です。
転職活動の成功のカギは、“決断力”にあるといっても過言ではありません。
「応募するかどうか」
「入社するかどうか」
転職活動には、決断をせまられる場面が多々あります。こんな時に、じっくりと検討しているようでは決まるものも決まりません。人気のある求人は掲載と同時に応募者が殺到し、あっという間に募集が締め切られたり、採用枠が埋まってしまったりしてしまいます。「準備が整っていないから」「他の企業も見てから」などとためらう気持ちもわかりますが、時には勢いも必要です。チャンスを逃さないためにも、準備や検討は応募した後でもできると割り切って、少しでも気になった企業はまず応募してみるという気持ちで、ぜひ取り組んでください。
内定の通知を受けた場合も、同様です。入社日についてはもちろん調整してもらえますが、内定が決まった段階で保留にできる期間は1週間程度です。どんなに長く見積もっても2~3週間が限界ですので、入社を決めるにしても辞退するにしても、できるだけ早い決断を心がけましょう。
在職中の転職活動で最も注意を払わなければならないことは、ズバリ現職への配慮です。せっかく転職活動がうまくいったのに、現職とトラブルになって転職が流れてしまったなんてことのないよう、以下を参考に円満退社に向けた行動を心がけましょう。
転職活動中において、“転職の意思があり、具体的に行動をしている”という事実が、現職の人達に知られることは絶対に避けなければなりません。転職活動をしていることが社内の人に知られると、気まずくなることはもちろん、万が一転職活動を辞めた場合に職場に居づらくなってしまいます。本来あってはならない事ですが、勝手に「やる気がない」と見なされて減給されたり異動を命じられたりと、不当な扱いを受けたという話も珍しくありません。
ですから、どんなに仲の良い同僚や友人であったとしても、どこで誰が聞いているかわかりませんし、話が湾曲してあらぬ人に伝わる可能性がゼロでない以上、絶対に人に話さないことです。そして、転職活動中であることが悟られないよう慎重な行動を心がけましょう。
転職活動が成功し見事内定を得ることができた段階で、いよいよ現職へ報告します。その際は、まず直属の上司から伝えましょう。人事や同僚などに先に伝えてしまい、そこから上司の耳に入ったのでは上司としても立場がありません。直属の上司の立場を悪くしてしまうと、退職までの手続きや引継ぎがスムーズに進まなくなってしまう可能性もあるので、気を付けましょう。
退職時期に関しても、配慮が必要です。退職意思の報告は、引継ぎなどのことを考えると退職予定日の1か月半から2か月前には伝えたいものです。法律では「退職日の2週間前まで」に伝えればよいとされていますが、会社の就業規則で「〇か月前」「〇日前」と定められているケースもあります。必ず事前に確認し、転職先の企業にもその旨は伝えトラブルのないように進めましょう。
在職中の転職活動は苦労や悩みなど大変なことも多く、一筋縄ではいかないかもしれません。しかし長期化のリスクを考えると、在職中に転職先を決められた方が結果的には求職者にとって一番負担は軽減されると思います。今回の記事を参考にしていただき、みなさんの転職活動が成功することを心から願っています。