面接官が、転職者の面接で気にすることは、何でしょうか。それは、「なぜ、転職しようと思ったのか=転職動機」です。
あなたが辞めたいと思った要素が、転職先の企業にもあるならば、また不満に思って退職することになりますよね。それは、あなたにとっても、企業にとっても残念なことです。
あなたが「転職したい!」と思う理由は何でしょうか?
次の質問に答えてみてください。できるだけ、紙に書き出してみましょう。頭で考えるだけではなく、紙に落とすことで、考えが整理されますし、今まで意識していなかった本音にも気づきやすくなります。
紙に書き出してみよう!
※思いつく限り、できるだけたくさん挙げてください
これらをじっくり思い出し、書き出すことで、少し冷静に自分の本音と向き合うことができます。
こうした転職動機となる不満を自己分析することによって、転職するのがいいか、もう少し今の会社で働くのがいいか、判断ができます。転職する場合は、今と同じ不満がない転職先選びにつながります。転職は、人生の大きな選択。納得いくものにするために、ぜひ不満分析に取り組んでみてください。
注意!
面接用に「転職動機をつくる」のではなく、自分の「本音に気づき、整理する」こと。一度、面接を意識せず、自分の本音と向き合いましょう。
それをせずに面接用につくった転職動機は、多くの場合、面接官にとって納得感が薄いものにしかなりません。そのため、「信頼できない・何を考えているのかわからないので、不安だから落としておこう」という結果になる可能性が高いのです。
「2社目は早めに辞めてしまう人が多い」と言われることがあります。
相談に来られる方の傾向をみると、はじめての転職では、1社目の不満を解消する“だけ”の仕事選びをしてしまいがちだからだと考えます。
不満を解消したのに、なぜ満足できないのでしょうか。それは、不満を解消しても「マイナス」から「ゼロ」になるだけだからです。そのため再度、本当の満足を得るために転職をする人が多いのでしょう。
例1 Aさんの場合 【給与の不満】
メーカーで開発に従事していたAさんは、成果を出しているのに、同期と横並びの給与が不満で転職。
転職して、年収は倍になりましたが、リストラの恐怖におびえながら仕事をすることになりました。というのも、転職先の同僚は、終業後も趣味の延長で勉強するような人ばかり。しかしAさんは、好きな仕事内容ではなかったため、勉強する意欲がわきません。技術は移り変わるので、高収入を維持するためには、常に知識や技術を磨く必要があります。
そのため早々に「長く続けることはできないだろうな」と思い、相談にいらっしゃいました。満足、充実、やりがい、喜びを得られることを条件に、次のキャリアを考えています。
例2 Bさんの場合 【時間の不満】
残業が多いことが不満だったBさんは、転職先の実態を調べて、ほとんど残業がない会社を選びました。当初はプライベートが充実して楽しかったのですが、2〜3カ月もすると、新たな不満が出てきました。「仕事が暇すぎて物足りない」と感じるようになったのです。
Bさんが前職で本当に嫌だったのは、残業ではなく、自分の時間がまったく取れないことでした。Bさんは、平日の夜に月に2日、自宅で好きなDVDを見るくらいの時間があれば、満足だったのです。再び転職し、3社目では好きな仕事に忙しく、楽しく取り組んでいます。
Aさん、Bさんのように、不満を解消する“だけ”の転職をすると、2社目の勤続年数が短くなりやすいのです。2社目で気づいた人は良いほうで、中には、立ち止まって自己分析をすることなく、不満を解消するために4社、5社と渡り歩く人もいます。
勤務時間、安全、給与、賞与は、不満要素にはなりますが、満足要素にはならないと言われています。不満要素とは別に、「どんな会社で、どんな仕事を、どれくらいすると喜びを得られるか」を考えてください。その希望に沿って転職活動をすれば、長く勤められる、納得の転職先を見つけることができます。
では次に、転職活動の流れを見ておきましょう。
応募から内定までは、1~2か月かかることが多いです。
ただしこれは、あくまでも目安。内定までの期間には、企業差・個人差があります。
たとえば書類選考。応募があった順に面接する企業では、書類を提出したその日に連絡がくる場合もあります。逆に「ある程度の応募数が集まってから、まとめて選考したい」「他の応募者との比較検討をおこないたい」という企業は、合否の返答に時間がかかります。2~3週間待たされることもあるでしょう。
また、面接の段階に入ると、より差が出てきます。面接回数は各社で異なります。1回の面接で内定するところもあれば、4回以上おこなうところもあります。
選考と選考の間隔も各社それぞれ。たとえば、面接の後にすぐ結果連絡があり、次の面接が1週間後という具合に進んだ場合、2~3回の面接ならば、応募から内定までは1か月以内です。
しかし、面接官とあなたの予定があわない場合や、1回の選考結果が出るまでに時間がかかる場合には、内定まで2~3か月かかります。中には、「当社は、必ず最低3か月かけて見極めています」という企業もあります。
内定後の退職交渉や引き継ぎなど、いわゆる「退職活動」期間は1~1.5か月が目安となります。法律上は、退職の申し出から14日後に辞める権利がありますが、多くの会社の就業規則には、30日前までに申し出るよう書いてあります。どちらを採用するかは、あなたの気持ちに従ってください。
退職希望日のある人は、逆算して半年前から準備するのが良いでしょう。
上の図のように、応募から内定までに1~2ヵ月、引き継ぎに1~1.5か月で、大体3か月は必要です。選考が長引いたり、希望の企業が見つかなかったり、いま勤めている職場で引き継ぎに時間がかかったりする可能性を考えると、半年前からの準備をおすすめします。
最後に、退職してから転職活動をする人や、現職が辛すぎて早く辞めたくてしょうがない人への警鐘です。
良いタイミングで、最適な求人があるとは限りません。しかし、早く決めたいという焦りが出てくると、当初の転職動機を忘れて、「とりあえず雇ってくれる会社=内定した会社」に決めてしまいがち。それにより、せっかく転職したのに、前職と同じ悩みに苦しんだり、中には以前よりもひどくなったりする人もいます。
また、“焦り”は面接でもマイナスです。面接とは本来、選び・選ばれる対等なもの。しかし、焦りは「採用してください」という必死さとしてあらわれます。面接で伝えるべき熱意は、「入社への熱意」ではなく「入社後の仕事に対する熱意」です。
焦りがあると、「入社への熱意」が強くなってしまい、「仕事への熱意」が伝わらずに、評価を得にくくなります。
面接官が不慣れで、「入社への熱意」を「仕事への熱意」だとカン違いすることもあり、内定が決まることもあります。その場合は、仕事へ熱意を持てているわけではないので、入社しても、あわない仕事だったり、転職の動機であった不満を解消すらできない職場だったりする可能性が高くなってしまいます。
「早く次を決めたい」という焦りを感じたら、少し落ち着いてみてください。
次回のテーマは、「転職するか、今の会社に残るか?」です。
転職したい!と思ったら、転職するか、今の会社に残るかを真剣に考える人が多いです。これはとても良いことで、納得のいく選択ができるだけではなく、あなた自身のスキルを高めることにもなります。
次回は、よくあるお悩みを解消するための考え方や行動のアドバイスをいたします。
お楽しみに!