第7回「履歴書の書き方~転職回数が多い・少ない場合~」

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中高年転職力アップ~応募書類(履歴書)編~全8回 転職コンサルタント 中谷充宏

転職回数が1度もない場合の効果的な書き方とは?

今回も前回に続いて、ハンデやネガティブ要因がある場合の履歴書の書き方について説明していきます。

まずは転職回数が1度もない場合です。一般的に転職回数が少ないほど転職には有利で、ハンデやネガティブ要因がある場合とは違いますが、その優位性をうまく表現できていない人が多いので、ここで取り上げます。

書き方のポイントとしては、1社でどのようなキャリアを積んできたか、を履歴書でわかりやすく伝えなければなりません。今回推奨している履歴書フォームでは、職歴欄に15行確保されていますから、


職歴
平成10 4 株式会社ソニック電子 入社
現在に至る
以上

せっかく17年超も職歴があるのに、これではあまりにも情報が乏し過ぎます。12行もブランクが空いてしまうと、スカスカ感は否めずに、在籍期間中にきちんと業務を遂行してきたか、疑問視される恐れがあります。


職歴
平成10 4 株式会社ソニック電子 入社(正社員)
事業内容:電子部品の開発・製造 資本金:30億円 従業員数:2千人
生産業務から仕様書作成、量産化サポート、生産管理、工場移転などの業
務に従事
現在に至る
以上

また、上記のように会社情報や経験した業務概要をまとめて書いても、6行しか埋まらず9行も余してしまうことになり、ブランクの方が過半数を占めるかたちになります。

だからこのような場合は、会社情報はもちろんのこと、配属先ごとの業務概要や昇進・昇格の情報に触れておくのが、最も適切な書き方と言えます。


職歴
平成10 4 株式会社ソニック電子 入社(正社員)
事業内容:電子部品の開発・製造 資本金:30億円 従業員数:2千人
山形工場に配属され、主に生産ラインの機械操作業務に従事
平成13 10 生産技術部に異動し、新製品の仕様書策定業務に従事
平成17 4 研究開発部に異動し、商品化や量産化の判断基準となる各種データ収集、
報告書作成等に携わる
平成22 10 九州工場に異動、生産管理に従事
平成23 3 海外移転準備室に異動、進出を検討している国での現地エージェントとの
打ち合わせや用地買収などの折衝・調整業務に携わる
現在に至る
以上

これで12行を記述することになりますので、8割は埋まったかたちになり、17年超のキャリアに相応しいボリュームになります。

15行を無理に全部埋める必要はありませんが、配属先ごとに書く、といった採用人事にも容易に読み取れる一定の規則性を持って書くのがポイントです。

また、配属先が多くて全部書いているとオーバーフローしてしまう場合は、古いところからまとめて表現する、応募先に直接関係のないところは省くなどの編集の工夫をする必要があります。

なお、他の欄を使って、勤務経験が1社のみで、そこで長年継続勤務したことをいちいち説明する必要はありません。転職回数が多いなど他のマイナス印象を懸念される状況とは全く異なりますから、くどくどと書くとかえってマイナスになります。

転職回数が多い場合の効果的な書き方とは?

次に、転職回数が多くなってしまった場合です。
中高年ゆえに転職回数が多くなったという人は転職市場では決して珍しくありませんが、やはり転職回数が多いと転職市場では不利に働きます。

一概には定義できませんが、この年代だと3回以上の転職経験があれば、多いとみなされる可能性が高いと念頭に置いておいてください。

では転職回数の多さをどうフォローするか?ですが、ここは職歴欄と退職理由欄の書き方について説明します。

まず職歴欄。短期間勤務の場合は、入社・退社のセットで2行で済ませてしまって長々と書かない、その一方で在籍期間が長い場合であっても応募先に直接リンクしないものも短くまとめてしまう、複数の勤務先情報を思い切ってまとめてしまう、といった表現方法のテクニックがあります。

職歴欄は15行しかないのですから、1社1社の勤務情報を同じピッチで書いていたら、すぐにオーバーフローしてしまうために、このように強弱をつけて表現する必要があるのです。

職歴
平成20 4 株式会社デザインエコー 入社 企業広告の制作に従事
平成21 3 一身上の都合により同社退社
平成21 10 株式会社イージースタヂオ 入社 印刷物のデザイン制作に従事
平成23 3 一身上の都合により同社退社
平成23 9 創美株式会社 入社 パッケージデザインの制作に従事
平成25 3 一身上の都合により同社退社

短期間の勤務であれば、一つの勤務先情報を入社・退社の2行でワンセットにして書きます。

職歴
平成13 4 株式会社モチベート 入社(正社員)
事業内容:企業向け研修事業 資本金:5千万円 従業員数:25人
企業向け研修の企画・立案、提案営業、営業管理などに従事
平成20 3 一身上の都合により同社退職

7年の在籍期間があったとしても、ここでの経験が応募先に対してPRにつながらない場合は、このように端的にまとめて他の企業での勤務歴などにボリュームを割くようにします。

職歴
平成20 4 デザイン会社3社にて正社員として勤務し、企業広告や印刷物・商品パッ
平成25 3 ケージのデザイン制作に従事

本来は1社ごとにきちんと書くのが原則ですが、転職回数が多すぎる場合は、素直に表現すると収まり切らない危険性もあります。このように数社分をまとめてしまうというダイナミックな表現も一手です。
次に退職理由欄等で、転職が多くなったことをフォローしておきます。

退職理由
前職においては定年まで勤め上げるつもりでしたが、今回の欧州危機の影響を受け業績が危機的な状況にまで悪化し、大幅なリストラに踏み切らざるを得なくなり、私自身、断腸の思いで会社の意向を受け入れることにしました。今まで転職を4回経験していますが、自己都合で退職したのは、25歳の時の1度だけで後は全てこのような会社都合になります。

採用人事は、転職回数の多い人に対して、何事も飽きっぽくて無計画・忍耐力がない、周りと協調できないトラブルメーカー・わがまま、労働条件にうるさいジョブホッパー、といったネガティブなキーワードを念頭に見ています。

転職回数が多くなった理由が、事業廃止や経営悪化によるリストラなど、やむを得ないような事由が重なったのであれば、これを前面に出してフォローしておく必要があります。
また、若い頃の頻繁な転職であれば、「若気の至り」と若さ・青臭さのせいにしてしまう方法も有効です。


転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール

著者写真
中谷 充宏(なかや みつひろ)

キャリアカウンセラー、社会保険労務士

経歴・実績

同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)、在籍出向先のNTTコムウェアにてシステム開発に従事する傍らリクルーターを務めた後、1社転職を経て、平成16年にキャリアカウンセラーとして独立。

独立から現在までの14年の間、グゼクティブ層から、転職回数が多い、長期ブランクがある、といったハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績あり。「マイナビ転職」では激辛面接官を務めるなど、マスコミ掲載実績も豊富。

著書に「質問の「建前と本音」が読めれば転職面接は突破できる!」、「厳しい書類選考を確実に突破するための本」、「30代40代のための転職パーフェクトガイド」(秀和システム)等、多数あり。

運営サイト
中高年の転職の悩み相談室:https://www.chuukounen.com/
「転職鉄板ガイド」掲載コンテンツ


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷