大企業勤務が長い人は、そのキャリアに自信を持っていますが、
中小・零細企業ではその規模の違いのよる仕事のやり方や企業文化から、そのキャリアがうまく機能しないことが多いのです。
組織体制がしっかりしていて、それぞれの役割がきちんとしている大企業と違い、何でも一人でやらなければならないような業務範囲が広い中小・零細企業では、明らかに仕事のやり方や企業文化が違うと言えます。
たとえ能力や実績を充分に兼ね備えていたとしても、和を尊ぶアットホームな中小企業に入社した場合に、みんなと一緒に掃除をしない、という理由で、オーナー社長から即座に見限られたという事例もあります。
この仕事のやり方や企業文化をちゃんと理解してそれに適合できるのか、という採用人事の不安点を取り除かなければなりません。
経理職を例にとると、大手企業で経験した、連結決算や国際会計基準会計などの高度な会計スキルを声高に謳ったとしても、中小・零細企業にとっては、そこまで高度なものは求めていない、オーバースペックであるから見送ろう、という選考評価に至ってしまいます。
それなので、具体的な書き方としては、スペックをダウンさせても構わないので、その求人情報で求めているものに徹底的に照準を合わせて書く、高度なものをこれ見よがしに書くとかえってマイナス印象であるので、下の実例のように「連結決算対応」とサラっと触れておく程度にしておく、どこでも馴染める素直さや環境適応能力、協調性などのヒューマンスキルをPRする、といった3点を盛り込むのが効果的な記述方法です。
なおこれらをどこに記述するか、という点ですが、スキル・経験面に関しては、基本どおり「職務要約」、「職務詳細」、「貴社で活かせるスキル・経験」の3つの欄をフル活用します。
そしてヒューマンスキルは、「自己PR」欄に盛り込んでおきます。
このスキル・経験と適応性・順応性とは別に、採用人事がもう一つ大きく懸念すること、それはなぜ労働条件が恵まれた大企業ではなく、劣る中小・零細企業である当社を志望するのか、という点を明確に伝えておく必要があります。
これは「特記事項」欄を設置して、述べるのが最善です。
<大企業から中小・零細企業へ応募する人 応募者プロフィール例>
38歳男性。大学卒業後、東証一部上場企業のAV機器メーカーで経理職として約16年従事。業績悪化のための早期退職制度を利用して退職。
今回は中小企業の部品メーカーの経理職(幹部候補)への応募。 |
ここがポイント!
1社ですが年齢と部署異動の関係から、ここは「一気通貫記述法」を用いてまとめておきます。
最後にグループ長としてのマネジメント、部下育成のPRを持ってくるのは、今回の幹部候補の応募先求人にマッチしているので、非常に効果的です。
経験社数が1社ですが、4度の異動があってその異動先で担当業務が違うために、「キャリア式」で書いてまとめています。
表を用いてコンパクトにまとめることで、くどくどと説明しなくても、応募先が求める経理スキルは充分に保有していることをPRできています。
応募先で求めるものに合わせて、箇条書きでPRできています。
ここは応募先に合わせてスペックダウンして表現するのも効果的です。
協調性をPRするのはいい表現方法です。また大局的な観点が幹部候補としての資質を感じさせます。
ここでなぜ大企業ではなくて、中小企業なのか、という想いを先回りして伝えておくのは、重要なポイントです。
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
一般的に中小・零細企業よりも大企業の方が給与面も含め、いろいろな面で恵まれていますから、中小・零細企業から大企業へ応募する場合は、多くのライバル達がひしめき合うために難易度が高くなると言えます。
ただし、大企業だからと言って身構えることなく、基本どおり応募先求人の内容を熟読して、その応募条件(必須条件・歓迎条件)を、一つ一つ潰していくことが大切になります。
具体的な書き方ですが、多数の応募が寄せられることを見込んで、下の事例のように「フリースタイル式」を用いて、すっきりとまとめて見やすさをPRするのも有効な方法の一つです。
そしてこの年代を募集する企業は、年齢相応の安定感と即戦力性が欲しいのですから、勤務していた企業規模が小さいがゆえに実績や成果が小さくても、何ら卑下することなく堂々とPRすることが肝要です。
規模の大小に関わらず、着実に残した実績や成果を記述することはここでの最大のポイントです。これは「職務詳細」欄に記述しましょう。
また規模が小さかったことを逆手にとって、幅広い業務をこなしたユーティリティプレイヤー的活躍や同年代での大企業社員では難しい、経営層との近い距離感などを際立たせて、その他大勢から自身の魅力を際立たせる構成上の工夫も効果的です。
これは「貴社で活かせるスキル・経験」欄か「自己PR」欄に書きます。
またその企業への熱い想いも必要になります。
大企業ならどこでも構わない、と感じさせるような記述はNGであるのは言うまでもありません。
この入社意欲や入社後の貢献をしっかりと書くことによって、採用人事の心情にしっかりと訴えておきます。
これは「自己PR」欄か「特記事項」欄を用いて書きます。
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中高年転職力アップ~その他応募書類編~
第1回「その他応募書類の書き方1~WEBフォーム編~」 へ続く
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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