アメリカでは、自分の体重すら管理できない肥満社員は管理職に就けません。
そして、肥満はこの昇進問題以上に、健康問題を引き起こす危険因子ですから、疾病による安定勤務の不安、健保組合の健康保険料の負担アップなど、労務リスクが非常に高い。
つまり、面接官にとっては「肥満=悪」で、採用したくないのが本音です。
特に中高年の肥満は長年の生活習慣の蓄積ですから、改善が難しいのは周知の事実。
だから、改善への断固たる決意と具体的な取り組みをアピールできるかに全てがかかっています。
現状を肯定したままで終わる人はいないでしょうが、自覚はあるけれども口だけで行動が何ら伴わないような場合もNG。
回答構成としては、肥満の要因とその反省の弁をきちんと述べた後、今具体的に何をしているのか、今後はどうしていくのかという取り組みをしっかりと語る必要があります。
たとえば
とその要因を語り、その後
といったように、反省の弁や具体的な取り組みをアピールしてください。
悪いとわかっていてそのままにするのは愚の骨頂、今すぐ改善に臨み実行できるかどうか、その本気度をPRできるかどうかが鍵です。
事例の前提となる人についての情報
42歳男性、大卒。
今まで2社での勤務経験あり。 今回は3社目の転職で、異業種・同職種(法人営業職)への応募。 |
NGな受け答え例
「痩せたいと思っていますが、なかなか難しいですね。
ただ、今まで病気で仕事に穴を開けることなく、今までちゃんとやってきましたので、今後も何ら問題ないと考えています。」
寸評:これでは開き直っている感があり、自覚が足りないと思われます。
既に改善努力をしていることが望ましいのですが、そうでなければ、今すぐやる!という断固たる決意を語らないと、不採用決定です。
OKな受け答え例
「確かにおっしゃるとおりだと思います。
仕事上、接待も含め飲み会は相変わらず多くて、明らかに摂取カロリーオーバーでした。
実際、今年度の健康診断では、医師からメタボであると診断され、その健康上のリスクを改めて知り、肥満を改善する決意を固めた次第です。
診断の後すぐにダイエット・プログラムに申し込み、まず自分が取り組める範囲から始めています。
具体的には、平日はどうしても時間がないために、休日は妻と一緒にウォーキングを約2時間やるようにしておりまして、更には妻にはカロリーを気遣ったメニューづくりをお願いしております。
また飲み会や接待では、事前に水を飲んでおく、野菜から食べる、夜9時以降はなるべく口にしない、というルールを守るようにしています。
本格的に始めてまだ2ヶ月ですが、少しずつ効果が出てきています。
急にやるとリバウンドや免疫力が低下するなどの問題があるようなので、今できる範囲で時間をかけて、何とか標準に近い体重に落とし、それを維持する決意です。」
寸評:健康上のリスクをちゃんと認識している旨を伝えることはもちろん、その後の改善への取り組みの話が一番大事です。
ただし、絵空事のように、頑張ります!一辺倒では面接官も納得しないので、既に具体的な取り組みがあれば、それをPRしてください。
今の会社で要職に就いている場合、会社の引き留めや綿密な引き継ぎなどによって、簡単には辞められない、というケースが懸念されます。
特に会社の熱心な引き留めによって、心境が変化して転職を断念した、という事例も少なくありませんから、面接官はその確実性を確認したいと思っています。
応募企業に対していい格好を見せようとして、「いや、大丈夫です、可及的速やかに退職します」ではいかにも白々しく、いい加減さだけが残ります。
ここは、退職にかかる障壁があるのでしたら、その内容説明と、退職までどれだけかかりそうなのか、という客観的・合理的な期間の見通し、そしてその理由説明が必要です。
たとえば
私は普段から手順書を作成したり等、自分の頭のものをアウトプットしてデータで残すようにしていますので、これらを活用すれば、おおよそ1か月で引き継ぎ完遂できると予測しています」
といった感じです。
退職に躊躇しているようなそぶりを見せるのはもちろん論外。
転職の意思は固いんだという強い決意、覚悟は必ずPRするようにしてください。
事例の前提となる人についての情報
44歳男性、大卒。
今まで2社にて勤務経験あり。現在、経理マネージャーとして在職中。 今回は3社目の転職で同業種・同職種(経理課長職)への応募。 |
NGな受け答え例
「確かに今、重要なポジションに就いていますので、退職は容易ではないと思いますが、御社の入社タイミングに合わせられるように頑張りたいと思います。」
「確かに私の今の役職名は凄いのですが、実際は大した仕事はしていませんから。」
寸評:ここは頑張る、という抽象的な話で終わらず、退職の障壁となるものやかかる期間などを丁寧に説明しないといけません。
また、謙遜かもしれませんが、軽口をたたくような発言は、差し控えておきましょう。
OKな受け答え例
「はい、確かに今、財務経理部のマネージャー職に就いていて、役員兼財務経理部長に上げる最終権限は私にありますから、重責を担っていると言えます。
ただ、今当社では業務の平準化を推進していますので、通常業務は誰でもできますし、私の代わりとなるであろうサブマネージャーも育っていますので、私の退職は特に大きな障壁もなく、スムーズにいくものと思っています。
経理は繁忙期と閑散期が明確です。
今月末で当社の決算がちょうど終わりますので、退職するならばこのタイミングがベストと思いました。
引き継ぎも1か月もあれば充分で、そもそも引き継ぎはダラダラ長くやるものではありません。
たとえ引き留めにあったとしても、私の退職の意思は固く、御社で働きたい気持ちは揺らぎませんので、内定をいただきましたら、しかるべきタイミングで御社に転職したいと思っております。」
寸評:確実に辞められるのか、ちゃんと我社に来るのか、という懸念を払しょくするのが、ここでの最大の回答ポイントです。
この例のように、現在のポジション、業務内容、退職タイミング、引き継ぎ、意志の固さなどをバランスよく盛り込んで、丁寧に説明すれば、面接官も納得してくれるでしょう。
応募先企業が、その業界で上位に位置する業績を上げているわけでもなく、また明確な「他社に負けない強み」を持っているわけでもないという場合、このような圧迫質問が出されることもあります。
「いえ、御社が第一志望です」と言うのは簡単ですが、必要以上に応募企業を持ち上げるような、白々しい回答は逆効果です。
特にこのような企業の面接官は、当社の人気度が低い実情をよく認識していますので、「御社第一志望」発言の後にその理由を徹底追及されますから、ここでしどろもどろになって、嘘の上塗りになってしまうと、事態を悪化させること必至です。
心にないのであれば、絶対にやめておきましょう。
だからここは、たとえば
と現状をできるだけ誠実に語り、その後に
と表現を工夫してフォローを入れます。
つまり、第一志望ではないとの指摘を、「確かにそんなに志望度が高いわけではありません」と本音をそのまま伝えることなく、できるだけ表現を柔らかくして受け返した後に、応募企業も志望度の高い企業の一つである旨のフォローを入れることが大事なのです。
事例の前提となる人についての情報
39歳男性、大卒。
今まで新卒入社した1社に勤務経験あり。 今回は2社目の転職で同業種・同職種への応募。 |
NGな受け答え例
「確かに今の応募企業の中で、御社が第一志望というわけではございませんが、志望順位の高い他社に決まる保証もないですから、御社で働くかどうかは今後の状況次第だと思っています。」
「包み隠さず正直に申しますと、他に行きたいところがありまして。この結果が来週出ますので、それがダメでしたら、ぜひ御社にお世話になろうと思っております。」
寸評:いずれも偽らざる本音でしょうが、ここは本音をそのまま伝えてしまってはいけません。
多少お茶を濁すことになっても構いませんので、応募企業への魅力や想いにシフトしてください。
OKな受け答え例
「確かにそのようなご指摘を受けるのは、当然のことかもしれません。
私は転職は初めてですが、次の会社で最後まで勤め上げたいと思っていますので、できるだけたくさんの会社に応募させていただき、あらゆる可能性を探っている最中です。
そのため、まだ私自身が志望順位をきちんと整理できていないため、今回のご指摘につながったものと思います。
そもそも御社で働いてみたいという想いがなければ、この面接にはそもそも参加しませんし、私は御社の△△に非常に共感しており、私の経験を最も活かせる企業の一つであると感じています。
ただし転職は縁やタイミングも重要だと考えておりまして、もし御社から内定をいただけるのであれば、前向きに検討させていただきたいと思っております。」
寸評:場合によっては歯切れが悪いと見られる可能性がありますが、嘘を突き通す方がよくありません。
本音と建て前が交錯する面接で、まさしくここは冴えたる例。
ここは原則どおり「できるだけ誠実に現状を伝え、表現を工夫してフォローする」ことに終始してください。
資格取得やセミナー参加の自己啓発に没頭して、仕事そっちのけ、では会社は困るのですが、「自己啓発=善」という思い込みから、これを猛烈に推進する方がいらっしゃいます。
だから「そもそも応募者の頑張りのその本来の目的は何だ?」ということをきちんと聞きたいと思っています。
たとえば、応募者が税理士のような難易度の高い資格にチャレンジしているとすると、税理士で独立開業するのが本筋で、単に当社の経理職への転職は腰掛けではないのか、と勘ぐりたくなるのです。
また仕事への想いを聞かせてもらいたいと思っています。
自己啓発や資格取得が理論だとすると、仕事はあくまで実践。
この差をきちんと理解し、自分が学んだ理論が実践に活かせれば最高なのですが、今学んでいる勉強は実践に活かすための理論である、という認識があるのか、を確認したいと思っています。
最後に、業務を遂行していく上で、理論も実践も両方大事であることは明白な事実、だからこのバランス感覚が片方に寄り過ぎるとバランス感覚が悪いと見切られますので、この平衡感覚があるかも確認したいと思っています。
事例の前提となる人についての情報
32歳男性、大卒。
今まで2社で勤務経験あり。 今回は3社目の転職で異業種・異職種への応募。 |
NGな受け答え例
「将来はどこかでCOOになりたいので、米国MBA習得のための英語習得は注力しています。~」
「オタクではありませんが、仕事するよりも勉強していた方が好きで向いていますね。~」
寸評:大きな夢は結構ですが、応募企業と関係のない展開に持ち込んでも秒殺でしょう。
また学者を養成するのではありませんから、仕事をちゃんとしてもらわないと困ります。
OKな受け答え例
「確かに近年、法律系の資格を複数習得することができました。これは前職で培った小売業の経験・スキルが、私が今回キャリアチェンジしたいと思った不動産業界と全く違いましたので、この経験・スキルのなさを補うために、ちゃんと周りに認められる知識を身につけようと思ったことがきっかけです。
今回、不動産関連の国家資格である、宅建、管理業務主任者、マンション管理者の3つの国家資格を習得できたのは、そのためであって、決して資格オタクではありません。
机上の理論と実務は違うことは予め認識しているつもりですので、学んだことを現場第一線で活用していきたいと思っています。」
寸評:今までの勉強と応募企業で働くことがマッチしています。
また理論と実践の線引きをきちんと話すことで、面接官の納得性を増すことにつながっています。
応募者の乏しい実績を皮肉った意地悪な質問です。
面接官はまずこれに屈しない、精神的な強さがあるかどうかを確認したいと思っています。
面接官も仕事として、わざと人が嫌がることをビジネスライクにやっているだけですので、このような質問にいちいち凹む必要はありません、動じずに堂々と反駁しましょう。
また若気の至りからか、「そんな実績を残せるような仕事をさせてもらっていませんから」というように、キレたりする人も多いのですが、こういったアクションも一切必要ありません。
そもそも若手ゆえに面接官もそこまで高いレベルのものを求めてはいません。
この質問に落ち着いて答えてもらうことで、応募者の懐の深さ(許容力や寛大さ)を見てみたいと思っています。
また何年かきちんと働いていて、全く実績がないという人は皆無でしょう。
輝かしい実績が見つからないとしても、何らかのものがあるはずです。
地味でも小さなものいいので、これを面接官に伝えることで、応募企業で働く想いや自信を感じ取りたいと思っています。
事例の前提となる人についての情報
32歳男性、大卒。
今まで新卒入社した1社での勤務経験あり。 今回は2社目の転職で同業種・同職種への応募。 |
NGな受け答え例
「仕方がないでしょう、そういった仕事に私を就かせなかったのですから~」
「なぜあなたに私の実績のことをそこまで言われなければならないのですか?~」
寸評:いずれも精神的に動揺しすぎで、開き直ったり、キレたりするのは、心に余裕がなくて、明らかにマイナス評価です。
OKな受け答え例
「はい、確かに前職では約10年勤務しましたが、他人に誇れるような実績を残せておりません。
先ほども申したとおり、私は分譲住宅の新規開拓営業でしたので、数字で評価される明白な世界でしたが、それこそMVP賞や特定の分野でのNo1実績などもありませんでした。
しかし、業績を残せなければ去らないといけないシビアな環境下で、30人いた同期ももう誰もいないといった離職率が高い会社で、私だけが10年続けられたのはMVP賞といった一過性の派手な実績よりも毎年安定した成績をきちんと出し続けた点であると思っています。」
寸評:面接官の厳しい問いかけを真正面から受け止め、粛々と自分の考えを反駁できています。
応募企業に入社しても安定した成果を上げてくれる自信も覗かせています。
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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