前回まで職種別の具体的な職務経歴書の書き方について解説しました。
今回からは年代別の書き方について解説していきます。
まずは30代前半の場合。
「転職は35歳まで」、「SE35歳限界説」と世間一般で言われていたり、求人情報の応募資格欄に「~35 歳【年齢制限理由】長期勤続によるキャリア形成のため若年者等を採用するため」といったように、ちょうどこの世代まではキャリアチェンジ(異職種への転職)も含め、まだいろいろな可能性が残っています。
一方で30歳未満までしか中途採用を許容しない企業もあり、転職市場の厳しい現実を直面するケースが出始める世代でもあります。
さて、作成方法ですが、求人情報に対して直接売りにつながる経験・スキルがあれば、それをきちんと訴求するのは言うまでもありません。
この年代は最も転職市場で求められている年齢層の一つなのですから、その経験・スキルがあれば非常に強力な売りになります。
たとえば、「大卒以上、業界を問わず法人営業経験5年以上有する方」と求人情報にあれば、その営業経験を詳細に説明すればいいことになります。
また求人情報に「未経験可」、「未経験歓迎」と表記があったとしても、「歓迎条件」が詳細に述べられている場合は、それに合致するものがあればアドバンテージがとれるということです。
だから「歓迎条件」に合っているものを見出して、深堀して語る必要が出てきます。
次ページの実例については、医薬品の営業であるMR職に応募するケースですので、約5年の前のことであっても、前々職での医療業界での営業経験を「職務詳細」欄や「貴社で活かせるスキル・経験」欄を使って、詳細に記述することでPRします。
一方で見当たらない場合は、ポテンシャル(潜在能力)をPRします。
具体的に言うと、「ビジネススキル」や「ヒューマンスキル」をPRするようにします。
「ビジネススキル」とは業種・職種に関わらず、プロのビジネスパーソンとして身につけている基礎的なスキルのことです。
一例を挙げると、プレゼン能力、コミュニケーション力、論理的思考力、計数感覚、俯瞰的視野、コーチングスキルなどがあります。
「ヒューマンスキル」とは仕事に活かせる自身の特性です。
明朗活発、心身ともにタフ、慎重で几帳面など、自身の性格に起因する長所などが典型例です。
これらを「貴社で活かせるスキル・経験」欄や「自己PR」欄を活用してPRします。
<30代前半 応募者プロフィール例>
33歳男性。大学卒業後の約11年半の間、3社で営業職に従事。
今回は外資系医薬品製造・販売会社のMR職(医療業界での営業経験者優遇)への応募。 |
ここがポイント!
若くて経験も浅いために、「時系列記述法」を用いて書きます。
前々職の医療業界で働いた経験が、今回の応募にマッチするので、ここで謳っておくのは効果的です。
年齢の割に経験社数が3社と多い方ですが、オーソドックスに「編年式」を用いるのがよいでしょう。
誇るべき営業数字を盛り込むのは、いい表現方法です。
若くして3社経験しているため、必ず採用人事に突っ込まれる退職理由を先回りして書くことで、この懸念を払しょくできます。
営業経験や医療現場での医薬品営業の経験だけでなく、「面会効率を上げるためのノウハウ」や「プレゼンテーションスキル」でポテンシャルをPRするのは有効です。
営業力の裏付けとなる能力やスキルを3つに分けてPRするのは、非常にいいやり方です。
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次に30代後半の場合。
35歳を超えた途端に、応募可能な求人数が明らかに激減します。
転職市場では30歳まで、譲っても35歳までと年齢制限を設けている企業が圧倒的に多いのが実態です。
応募者にいくら豊富な経験・スキルであったとしても、年齢制限がかかってしまっていると応募すらままならない現実があるのを忘れないでください。
それゆえに応募可能な求人は大切にして、丁寧かつ慎重に対応していかないといけません。
さて、この世代はおおよそ13年以上のキャリアがあるはずですから、この年代に求められることは、年齢に見合った経験・スキルです。
この豊富なキャリアの中から、いかに応募先企業に合わせて記述していくかが最大の作成ポイントになります。
この求められることについては、大きく分けて2つのケースに分類されます。
一つは1プレイヤーとして採用するのであれば、高度な専門性、スキルを要求されるということです。
この場合、「職務詳細」欄を軸にして、これを明確に伝えるようにしなければなりません。
もう一つは、プレイングマネージャー的なポジションでの採用が多いですから、プレイヤーの役割だけではなくマネージャーの役割も要求されるということです。
これは組織上の管理職ポストに就いていたというオフィシャルなものでなくても構いません。
チームリーダー、プロジェクトリーダーといった短期的なものでもPRできますので、何らかのマネジメント経験を適宜盛り込むようにしてください。
たとえば、次のページの実例で言うと、大企業ではありませんが、中小企業でのプレイングマネージャー経験が豊富なため、これを前面に打ち出す戦略で書いています。
この2つのどちらのケースであっても、「未経験歓迎、「第二新卒歓迎」のような求人の場合のように、単なる1プレイヤー採用であれば、この年代よりも若年層でいいという心理が働きますので、必ず30代後半ならではのプラスアルファの魅力を記述するようにしてください。
具体的な書き方ですが、「貴社で活かせるスキル・経験」欄を使って、たとえば「・プロジェクトリーダーとしての5名程度のチームマネジメントの経験(約3年)」といったように、端的にまとめて体言止めで表現するのは有効です。
また「自己PR」欄を使って、応募職種にマッチした自身の専門性やスキル、マネジメント力を文書で説明する方法も訴求力が高くなります。
<30代後半 応募者プロフィール例>
38歳男性。大学卒業後の約16年半の間、3社でシステム保守と営業職に従事。
今回は現職と同じITベンチャー企業の営業マネージャー職への応募。 |
ここがポイント!
年代的には「時系列記述法」、「一気通貫記述法」どちらでも構いませんが、「時系列記述法」を用いる場合は、このように営業実績とマネジメントという訴求ポイントを絞り込んで明確にそれを伝えるようにします。
時間の経過とともにキャリアアップしていく様子が伝わるので、ここは「編年式」を用いるのがよいでしょう。
応募先企業の求める人材像に合わせて、マネジメントの実績を前面にPRするのは、非常にいいやり方です。
今回、課長職に就いているにもかかわらず、転職を志望する理由は、採用人事が最も知りたいことの一つになりますので、転職志望理由を先回りして伝えておきます。
ここでも営業マネジメント力を推すのは効果的です。
自身がメインで携わっていた部門の事業撤退のような、マイナス点となることに関して、きちんと向き合って自分の考えをきちんと述べておくことは大事です。
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転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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