ベビーマッサージは、まだしゃべることができない赤ちゃんと大人をつなぐためのスキンシップ手段として注目を集めています。ベビーマッサージを行うことは、赤ちゃんの発育を促す効果が期待できるのに加え、産後の気分の落ち込みやストレスを解消することにもつながります。ベビーマッサージを勉強することはお母さん側にもメリットが多いのです。
またベビーマッサージの資格を取得すれば、講師として活躍する道も見えてきます。
このように魅力的なベビーマッサージの資格ですが、様々な民間団体で認定が行われており、各資格の違いが分かりにくいという人も多いのではないでしょうか。
この記事では4つのベビーマッサージ資格について資格取得の方法や取得費用を詳しく紹介します。また、資格の選び方についてどのような点に注目すればよいのかも解説していくので、自分にぴったりの資格を探す参考にしてみてください。
ベビーマッサージとは、文字通り赤ちゃんへのマッサージのことです。
生まれたての赤ちゃんは言葉をしゃべることができません。そんな赤ちゃんとのコミュニケーションをとるのは実のお母さんでも難しいものです。
泣いているか眠っているだけの赤ちゃんとどのようにスキンシップをとってよいのか悩み、子育てに自信を無くしてしまうこともあるでしょう。そんなときに試してみたいスキンシップの手段が、ベビーマッサージです。
赤ちゃんの素肌に優しく触れ、体温を感じることで、親子で心が通い合うようになります。親とスキンシップがとれるようになった赤ちゃんは心が安定し、よく笑ったり気持ちよく眠れるようになるといわれています。
マッサージの刺激による自律神経の調整や発達の促進効果も期待できるので、成長面、健康面でのメリットもあります。
またお母さんの方でも素肌に触れることで、赤ちゃんの気持ちや状態をより敏感に感じ取れるようになります。
赤ちゃんとのふれあいは子育てに自信を持つことに繋がります。さらに赤ちゃんと肌を合わせることで、幸せホルモン「オキシトシン」の分泌が促されます。そのためベビーマッサージは産後うつの解消にもよいとされているのです。
もちろんお母さんだけでなく、普段は忙しくて赤ちゃんとどう向き合っていいのかわからないお父さんにもベビーマッサージはお勧めのスキンシップ方法です。
このようにベビーマッサージは、赤ちゃん、大人双方にとってメリットがたくさんあります。
赤ちゃんはデリケートな生き物です。ベビーマッサージのやり方はネット上や本でも学ぶことができますが、きちんとした方法を身に着けて実践したいという人も多いでしょう。
ベビーマッサージをしっかり学ぶには、ベビーマッサージの講習を受けて資格を取得するという方法が一般的です。またベビーマッサージの資格を持つことは、自宅で教室を開いたり、保育関係の仕事のスキルアップをすることにもに繋がります。
では、ベビーマッサージの資格には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ベビーマッサージの資格にはたくさんの種類があり、認定団体によって重視している理論やベビーマッサージの目的、資格取得の方法などが異なってきます。
ここでは代表的なベビーマッサージ資格について認定団体別にご紹介します。
NPO法人ロイヤルセラピスト協会(RTA)が認定するベビーマッサージ資格を取得できる講座は2つあります。「ベビーマッサージベーシック講座」と「ベビーマッサージアドバンス講座」です。
特徴を理解した上で、どちらの講座を受講するか(あるいはどちらも受講するのか)を決めましょう。
RTA認定ベビーマッサージ資格取得のための流れは以下の通りです。
なお、正規ライセンスの種類には以下の2種類があります。
ホワイトライセンス:RTA講師として活動できるが開業はできない。有効期限1年
ゴールドライセンス:RTA指定スクールを開業できる。有効期限3年
ベビーマッサージに加え、おくるみタッチケアも同時に学ぶことができる基礎講座です。一般的にベビーマッサージを始める適切な時期は、刺激に慣れてくる生後2~3か月ごろといわれています。一方おくるみタッチケアは新生児にも行えるスキンシップの方法です。2つを同時に学ぶことで、生後すぐから赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しめるというわけです。
この講座を受講してゴールドライセンスを取得すると、おくるみタッチケア教室やベビーマッサージベーシック教室を開催することができるようになります。
17時間
ベビーマッサージ:筆記試験+動画試験(実技動画をWeb上にアップロード)
おくるみタッチケア:動画試験
RTA指定スクールの受講料金 204,600円(税込)
RTA認定試験料金 33,000円(税込)
RTA会員費 月額1,000円
講師認定検定費用(ライセンス取得費用) ゴールドライセンス: 27,500円
ホワイトライセンス: 22,000円
オンライン参加の場合 ゴールドライセンス: 39,600円
ホワイトライセンス: 31,680円
ベビーマッサージアドバンス講座では赤ちゃんのスキンケアについての知識を学びます。赤ちゃんのデリケートな肌について学ぶことは、ベビーマッサージに大切なことです。受講費用はベーシックよりアドバンスの方が安くなっています。
11時間
筆記試験+動画試験(実技動画をWeb上にアップロード)
RTA指定スクールの受講料金 137,500円(税込)
RTA認定試験料金 33,000円(税込)
RTA会員費 月額1,000円
講師認定検定費用(ライセンス取得費用) ゴールドライセンス: 27,500円
ホワイトライセンス: 22,000円
オンライン参加の場合 ゴールドライセンス: 39,600円
ホワイトライセンス: 31,680円
アタッチメント・ベビーマッサージインストラクターは一般社団法人日本アタッチメント育児協会(ABM)が認定している資格です。資格取得の方法が豊富に用意されている点が特徴です。
ABM認定ベビーマッサージ資格取得の流れは以下の通りです。
※ABMの資格は公益性と永続性を維持するため、年会費や資格の更新費用などは必要ありません。
講座は東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・北海道の6都市で対面形式で行われている他、オンラインでも受講することができます。
また、淑徳大学短期大学部、宝塚大学はアタッチメント・ベビーマッサージインストラクター講座を大学のカリキュラムに導入しているため、これら大学で保育士や助産師を目指す学生にとっても取得しやすい資格です。
アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター講座では、アタッチメント理論や発達心理学などの理論、ベビーマッサージの実践、教室運営スキル等を学びます。なお講座を受講することで、ベビーマッサージの資格とともに育児セラピスト前期課程(2級)の認定を得ることができます。
2日間
筆記試験+実技試験
講座受講料 160,000円(税別)
アタッチメント・ベビーマッサージ インストラクター認定試験料 10,000円(税別)
教材費(人形、DVD、オイル代等含む) 17,400円(税別)
育児セラピスト前期課程(2級)登録申請料 10,000円(税別)
アタッチメント・ベビーマッサージ インストラクター資格認定申請料 10,000円(税別)
ベビーマッサージタッチケアセラピストはNPO法人日本チャイルドマインディング&エデュケア協会(ACE)認定の資格です。オイルを使わないベビーマッサージが特徴です。
ベビーマッサージタッチケアセラピストの資格を取得する手順は次の通りです。
ベビーマッサージタッチケアセラピストの資格はヒューマンアカデミーの「ベビーマッサージ講座」を受講することで取得することができます。2020年9月時点では在宅オンラインで受講できるコースが開催されています。
※ヒューマンアカデミー「ベビーマッサージ講座」の概要を記載しています。
ベビーマッサージ講座では、江戸時代から続く「小児あんま」をもとにしたベビーマッサージを学びます。「なでる」「さする」が中心のベビーマッサージなので、服を脱がす必要もオイルを使うこともありません。
カリキュラムは10教程に分かれており、1教程は2時間30分となっています。標準学習期間は3か月で、時間をかけてゆっくり学べる点が特徴です。
25時間(週1の学習で約3か月)
筆記試験
入学金:33,000円(税込)
講座受講料:153,220円(税込)
わらべうたベビーマッサージはNPO法人わらべうたベビーマッサージ研究会認定の資格です。ベビーマッサージにわらべ歌を組み合わせているため、覚えやすい内容になっています。
わらべうたベビーマッサージの資格を取得する流れは以下の通りです。
なお、講習会に参加することが難しい人向けに通信講座やWEBセミナーも展開されています。
わらべうたベビーマッサージは生後2か月から始められるベビーマッサージです。わらべうたを歌いながら子どもに触れることで『触れる・見つめる・語りかける』の3つのコミュニケーションを同時に行うことができます。
講習自体は1日ですが、事前に届く教材で自習ができます。テストは自習をしっかりしておけば難しくはありません。
なお、5人以上の参加者がいれば、何処でも出張講習会を開催してもらうことができます。講習会ではわらべうたやベビーマッサージの練習に加え、英語バージョンのわらべうたマッサージや教室開業の話を聞くこともできます。
1日
実技試験
講座受講料:33,000円(税抜)
研究会会費:2,000円(試験合格後支払いが必要)
ベビーマッサージには国家資格はありません。上記で紹介したのは、NPO法人や社団法人が認定している民間資格です。そのためどの資格も同じように見えてしまい、「どれを取得したらいいの?」と悩んでしまう人もいるでしょう。
数あるベビーマッサージの資格から自分にあった物を選ぶには、まず資格を取る目的と取得費用の予算をしっかり設定することが大事です。
またそれぞれの資格の取得に要する時間や学習方法などを比較して、忙しい育児や家事、仕事と並行して学べるものを選んでみましょう。
以下では、様々な視点からベビーマッサージの資格を見ていきます。
ベビーマッサージの資格を取得するには、まず講習受講料を負担する必要があります。講習受講料は高額なものが多いので、取得目的と資格の価値を十分に考えることが大切です。
また、講習受講料以外に認定団体の年会費が毎年かかってきたり、資格の更新料金が必要になる場合もあるので要注意です。
とはいえ金額が安い講座の場合は、教材や学べる内容が高額な講座に比べて少ないという可能性もあります。費用を考える時は、資格取得の総費用+講座の内容を総合的に判断するようにしましょう。
ベビーマッサージの取得のためには講座を受講する必要があります。講座受講に必要な時間はどの講座の場合もそこまで長くはありません。最短では1日で資格がとれる物もあります。
例えば、RTAのスクールの中には1日で終了証が受け取れる「ベビーマッサージ初級講座」というファミリー向け講座を開催しているところもあります。1日で学べて費用も17,000円と安く、手軽に資格を取得できます(ただしベビーマッサージベーシック講座で取得できるものとは別の資格ですので、教室を開くことはできません)。
また、わらべうたベビーマッサージの資格も1日で取得が可能です。こちらの場合はインストラクターとしての資格ですので、資格取得後は教室開催ができます。
ベビーマッサージの資格を取得するには、スクールに通う方法と通信で学ぶ2つの方法があります。
近くにベビーマッサージ教室があるなら、通学での資格取得がお勧めです。ベビーマッサージは実技が大切になるため、講師から直接指導を受けることができる対面での勉強の方が分かりやすいのです。
またベビーマッサージ教室に通うことで、同じ年齢の子どもを持つママ同士の交流がうまれ、楽しく学ぶことができるというメリットもあります。
一方、ベビーマッサージの教室が近くに見つからない、仕事や家事育児の関係上外出する時間が作れないという人もいるでしょう。
そんな人には通信制のベビーマッサージ講座が向いています。アタッチメント・ベビーマッサージインストラクターの資格や、わらべうたベビーマッサージの資格は通信でも学習が可能になっています。
ベビーマッサージの資格を収入につなげたい人は、資格取得後の開業・仕事に対するサポートを行ってくれる主催団体を選ぶとよいでしょう。
例えばRTAでは資格取得後のサポートとして、開業支援セミナーやブラッシュアップセミナーを行っています。開業支援セミナーでは、開業に必要な法律やお金の知識を学べるシステムになっています。ブラッシュアップセミナーは、自分が講師活動を始めてからでも技術の確認、向上ができるように開催されるものです。
また、ライセンス講座はRTA認定講師なら何度でも聴講が可能です。
ベビーマッサージは保育士や助産師など赤ちゃんに関わる仕事をしたい人、している人にも魅力的な資格です。
別の専門資格と一緒に取得したいなら、大学カリキュラムにアタッチメント・ベビーマッサージインストラクター講座が組み込まれている淑徳大学短期大学部や宝塚大学への進学を検討してみてはどうでしょうか。
また現在保育に関わる仕事をしているなら、職場の仲間を誘ってわらべうたベビーマッサージの出張講座を依頼してみるのもよいでしょう。
自分の赤ちゃんとのスキンシップのためベビーマッサージを学びたいという人の場合、開業支援の講義や、高いライセンス料は資格取得の負担になってしまうかもしれません。
小さい赤ちゃんが家にいるということは、なかなか勉強の時間が取れないということでもあります。自分の子どもだけにマッサージを行うなら、学習時間が少なく、費用も安い講座を選んでみてはどうでしょうか。
もしくは通信制で受講できる講座を選んで、赤ちゃんを見守りながら資格の勉強をするのも良いですね。
都市部なら通学できるスクールはかなり多くなります。例として東京と大阪でスクールの数を見てみましょう(2020年9月現在)。なお、わらべうたベビーマッサージの講習会は5人以上の受講者を集めればどこでも開催できます。
RTAのベビーマッサージベーシック講座が学べる指定校は東京23区内で100校近く存在します。ABMのアタッチメント・ベビーマッサージインストラクター講座は毎月東京で開催される予定です。
RTAのベビーマッサージベーシック講座が学べる指定校は大阪で約60校ほどあります。ABMのアタッチメント・ベビーマッサージインストラクター講座は大阪では2月ごとに開催されています。
ここで紹介したもの以外にも、ベビーマッサージの資格はいろいろあります。そして主催団体によってマッサージの方法、資格の内容や費用、学習形態も様々です。
まずは各主催団体の公式ホームページなどを参考に、どのようなベビーマッサージを行うのかを見てみましょう。
実際にベビーマッサージの資格を選ぶときは、資格をとる目的を考えることが大切です。
ベビーマッサージ教室を開き収入を得たい場合は、インストラクターの資格を得られる講習を選ばなければなりません。また資格を取得した後の開業サポートがどうなっているのか、卒業生で本当に収入に繋がっている人がどのぐらいいるのかを検討する必要があります。
一方自分の子どもだけにベビーマッサージを行いたい場合は、費用や学習期間から自分にあった物を選んでいきます。
ベビーマッサージ資格は短期間で取得できるものが多いです。
ただし資格取得費用は高額になりがちです。選ぶ視点を明確にし、各資格についてじっくり比較検討することをお勧めします。