「ビジネス実務法務検定」はビジネスにおいて実践的かつ有効的な「法律」の習得を目的とした資格です。
法律と聞けば、弁護士や行政書士を目指す人向けのように感じますが、この資格は仕事をしているすべての人に役立つものとなっています。
「コンプライアンス」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。コンプライアンス違反は、企業にとって絶対に避けなければなりません。
ビジネス実務法務検定では、ビジネス上のリスクを事前に察知し、最適に対処する能力を培うことができます。
今回は級ごとの難易度や合格率、対策法について解説します。
受験を検討している方は参考にしてみてください。
「ビジネス実務法務検定」は、東京商工会議所が主催する民間資格です。
取得内容は実に幅広く、民法、商法、独占禁止法、個人情報保護法、消費者保護法、その他ビジネスにまつわるあらゆる法律を網羅しており、「仕事の法律入門」と言われることも。
近年、一社員の小さなミスが会社の大きな損失に繋がる事例が増えたこともあり、組織全体でこの検定に取り組む企業もあります。
レベルは3級~1級まであり、合格すれば各称号が付与されます。
最上位の1級は難易度が非常に高く、合格率も低いです。
そのため1級で不合格になったとしても、得点上位者には「準1級」が認定されています。(2008年度実施・第24回試験以降が対象です。認定書の発行もあります。)
「ビジネス実務法務検定」を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的には、下記のようなビジネスシーンで役立ちます。
など様々ありますが、これはほんの一例です。
このことからも、実にたくさんの法律が私たちの身近に存在していることがわかります。
「ビジネス実務法務検定」でこのようなビジネス法を網羅することで、自分自身の業務改善と業務上のリスク回避に役立つでしょう。
また「ビジネス実務法務検定」の資格取得は、特にこんな方におすすめです。
業界問わず、様々な業種で役立つ知識だといえますね。
それでは実際の試験内容や難易度について、級ごとに詳しく見ていきましょう。
まずは、3級の内容と合格率からです。
ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定)
などについて習得します。
試験はマークシート方式、制限時間は2時間。100点満点で70点以上が合格となります。
専門的というより社会人としての幅広い知識が求められるため、比較的身近に感じられる問題が多いのが特徴です。
合格率は高く受験者の業種にも偏りがないことから、比較的取り組みやすいレベルといえます。
就活生などの学生にもおすすめの資格です。
合格者には、「ビジネス法務リーダー」という称号が与えられます。
次に、2級の内容と合格率を見ていきましょう。
企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家に対する相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している(知識レベルのアッパーレベルを想定)
などが出題範囲。
民法・商法・会社法に関する問題が多く出題されるので、特に対策が必要です。
試験はマークシート方式、制限時間は2時間。100点満点で70点以上が合格となります。
合格率は40%前後で推移しており、難易度は中レベルほどでしょう。
それぞれの法律に対し、より深い理解と実務での応用能力が求められるため、実際に管理職で実務を扱っている方に有効な内容といえます。
合格者には、「ビジネス法務エキスパート」という称号が与えられます。
最後に、1級の内容と合格率を見ていきます。
業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
試験内容は1級・2級・3級の範囲に該当する法律および関連法令を出題範囲とし、
民法・商法・会社法を中心に、できるだけ全業種に共通して発生することが考えられる法律実務問題
法務実務の担当者が遭遇するであろう様々な場面を想定した出題
それぞれ制限時間2時間の論述式です。
合格ラインは200点満点中、各問題ごとに得点が50%以上、かつ合計点が140点以上となります。
1級は論述式です。回答を自分の言葉で簡潔にまとめて記述しなければなりません。
2級・3級と違って受験者数・合格率ともにぐっと下がっており、その難易度が伺えます。
偏差値でいうと65~67とみなされており、社労士や中小企業診断士と同等レベルの難易度だともいわれています。
実務レベルの中でも高度な判断ができる人材、管理職以上のレベルが求められています。
合格者には、「ビジネス法務エグゼクティブ」という称号が与えられます。
ビジネス実務法務検定には、1級に合格できなかった場合でも一定の基準を満たした得点上位の不合格者には「準1級」を認定する制度があります。それが「準1級認定制度」です。
下記のどちらかに該当している場合、準1級に認定されます。
2019年度の1級受験者数606名のうち、準1級認定者は194名。
認定率42.8%です。
1級取得は難しいと感じている方も、まずは準1級を目標に1級を受験するというのも方法の1つです。
2級・3級においては受験資格がないため、3級を飛ばしていきなり2級からの受験が可能です。
また2級と3級の併願も可能です。
1級を受験するは2級合格が必須条件です。申込登録時に「2級証書番号」が必要となります。
その他、学歴や年齢、性別、国籍による受験制限はないので、誰でも挑戦しやすい資格と言えます。
2級と3級は6月・12月の年2回試験があります。
1級は毎年12月、年に一度しかありません。
全国各地の商工会議所でおこなわれます。
※いずれも税抜
※期限までに振込がなかった場合、受験資格がなくなります。
※受験料払込後の返金はいかなる理由でもできません。
「ビジネス実務法務検定」を取得するための勉強法として、
という3つの方法があげられます。
受験したい級の難易度や、自身のスケジュールに合わせて選択するとよいでしょう。
3・2級に関しては、試験がマークシート方式のため過去問を何度も解くことで試験の傾向が掴みやすいです。
さらに比較的高い合格率であることから、独学での取得も不可能ではありません。
ただ、働きながら資格取得を目指すなど勉強する時間の確保が自分自身では難しいという方は、通信講座やスクールの利用をおすすめします。
勉強時間は、いずれの場合も1~3ヶ月が目安といわれています。コツコツと何度も問題を解くことがポイントです。
1級に関しては、勉強内容や難易度から3・2級に比べて勉強時間は倍以上必要といえます。
そのため勉強の全体像を掴み、しっかりスケジュールを組むことが大切です。
通信講座やスクールはもちろん、試験を主催している東京商工会議所でも受験対策セミナー(不定期)や公式通信講座をおこなっているので、活用してみてはいかがでしょうか。
主催団体・企業 | 3級 費用/学習期間(添削期間) | 2級 費用/学習期間(添削期間) | 1級 費用/学習期間(添削期間) | 備考 |
---|---|---|---|---|
東京商工会議所(公式通信講座) | 20,420円 3ヵ月(6ヵ月) | 25,620円 3ヵ月(6ヵ月) | 30,900円 3ヵ月(6ヵ月) | |
資格の学校TAC(Web通信講座) | 28,000円 1~6ヵ月 | 48,000円 1~6ヵ月 | 138,000円 8~9ヵ月 | 2・3級セット割あり |
資格の学校TAC(DVD通信講座) | 36,000円 1~6ヵ月 | 61,000円 1~6ヵ月 | 158,000円 7~8ヵ月 | 2・3級セット割あり |
資格の学校TAC(通学講座) | 27,000円 4~5ヵ月 | 56,000円 3~5ヵ月 | 134,000円 7~10ヵ月 | 2・3級セット割あり |
LEC東京リーガルマインド(Web通信講座) | 10,000円 1~2ヵ月 | 24,000円 1~3ヵ月 | – | 2・3級セット割あり、テキスト代別 |
LEC東京リーガルマインド(DVD通信講座) | 11,000円 1~2ヵ月 | 27,000円 1~3ヵ月 | – | 2・3級セット割あり、テキスト代別 |
スタディング(オンライン) | 4,378円 記載なし | 18,260円 記載なし | – | 2・3級セット割あり |
今回ご紹介したように「ビジネス実務法務検定」は、仕事のスキルアップや会社のコンプライアンス対策にとても有効な資格です。
今やコンプライアンス対策は企業だけでなく一社員も考えていかなければならない時代です。
社会人として安心安全に仕事をするために、是非「ビジネス実務法務検定」に挑戦してみてはいかがでしょうか。