> より働きやすい社会へ!働き方改革でどう変わる?

より働きやすい社会へ!働き方改革でどう変わる?

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2018年1月から行われている通常国会で、政府が最重要法案として成立をめざす「働き方改革関連法案」。同じく閣議決定し、審議に入っている「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案」と並んで、連日ニュースになっていますね。

労働者や雇用者にとって「働き方改革」とは一体何なのか、今までと何が変わるのでしょうか?実は正社員だけでなく、非正規の労働者にとってもこの「働き方改革」は大きく関わってきます。今回は安倍首相肝いりの「働き方改革関連法案」について、なぜこうした改革が必要なのか、その背景や概要、いつから施行になるのかなどをわかりやすくまとめてみました。

「働き方改革」とは?

働き方改革の目的は、労働者の多様な働き方を可能にし、労働生産性を向上すること。安倍首相が掲げるスローガン『一億総活躍社会』の実現に向けて、働き方改革は日本の労働制度と働き方にあるさまざまな課題を解決しようという狙いがあります。

安倍政権は、働き方改革を推進するため、2016年に働き方改革担当大臣を設置。閣僚や有識者による働き方改革実現会議※を設置し、「同一労働同一賃金」の実現や「長時間労働の上限制限」など9項目についての議論が行われました。2017年、第10回会議によって、この9項目について、それぞれロードマップに沿って実行することを定めた「働き方改革実行計画」が決定しました。このロードマップの進捗状況については、随時実施状況を調査・把握し、検討、施策の見直しを図ることとしています。

※“働き方改革実現会議(はたらきかたかいかくじつげんかいぎ)は、日本の第3次安倍晋三第2次改造内閣のもと、2016年9月26日に内閣総理大臣決裁により設置された内閣総理大臣(第97代)・安倍晋三の私的諮問機関。”Wikipediaより引用

少子高齢化による人口問題や労働人口の不足を解消、ワークライフバランスを実現し、日本経済の再生をめざす「働き方改革」の大きな柱となっているのが、「同一労働同一賃金」「残業時間の上限規制」そして「脱時間給(高度プロフェッショナル)制度」の項目です。

同一労働同一賃金とは?

1つめの柱として挙げられる「同一労働同一賃金」は、日本の労働環境で特に課題となっている正規(正社員)と非正規(パートやアルバイト・派遣社員など)の待遇格差について、その改善を目指すもの。改善の内容は、業務や責任の範囲など正規と非正規に違いがない場合、「同一労働同一賃金」として非正規も同じ賃金にするというものです。

内閣府の男女共同参画局によると、日本の女性の年齢階級別労働力は、結婚・出産・育児などで仕事から一度離れる女性の率が高くなっています。このような理由で仕事を一時的に中断した女性や、副業を持つ人、介護や育児との兼ね合いなどで非正規での働き方を選択している人にとって、働く意欲や能力を評価してもらえるのは嬉しいことですよね。

日本ではパートで働く人の賃金は正規の労働者に比べ、約4割低い状況ですが、ヨーロッパでは約2割となっており、その水準まで引き上げることが目標となっています。給料の他に、貢献度合による賞与や福利厚生、通勤などの各種手当についても、正社員との不合理な待遇の差を解消し、さらに最低賃金の全国加重平均が1000円となって労働者全体の賃金を底上げすることを目指しています。

政府が作成したガイドライン案では、働き方改革を実現するための事例集や具体例を掲載して企業の理解を深めてもらうようにし、「労働契約法」など関連する法の改正について進めています。

残業時間の上限規制とは?

過労死やうつ病、広告大手の電通で起こった痛ましい事件など、長時間労働はこれまでも大きく社会問題として取り上げられてきました。最近では地方公務員である教員の部活動指導など、学校における時間外労働の多さに対する指摘もあります。また、長時間労働は、仕事と子育てを両立する世代にとってもその両立を難しくし、労働者の心身の健康も損なうものです。

こうした背景を踏まえて今期成立をめざす関連法では、残業時間の上限を「月45時間、年360時間とし、違反については罰則が科せられるようになります。」現在の制度では、「36(さぶろく)協定」を結べば法定労働時間以上の残業が可能で繁忙期の上限はありませんが、この上限規制に従えば労使協定を結んでも、「最長で月100時間未満(休日労働を含む)、年720時間以内」が限度になります。

ただし、たとえ繁忙期であっても最長で月100時間の残業時間は、やはり多いというのが印象。長時間労働に歯止めをかける法案ではありますが、サービス残業が増える懸念も捨てきれません。残業をいかに減らしていくか、企業の意識改革や生産性を上げるための取り組みなど、課題や問題点はまだまだ多くあると言えるでしょう。

この上限規制の施行時期は、大手企業は2019年度、中小企業は2020年度以降の予定。また自動車運転業、建設業、医師は上限規制の適用除外となり2024年度以降に上限を定める予定で、新技術や新商品の研究開発業務には現行と同じく適用除外となっています。

脱時間給制度(高度プロフェッショナル)とは?

働き方改革の柱の中で、最も今回議論が熱くなっている脱時間給制度(高度プロフェッショナル)。賞与を除いた年収1,075万円以上の一部の専門職について、賃金は労働時間に関係なく成果に応じて支払われるという制度です。

対象となる専門職は、金融商品の開発者や金融ディーラー、アナリスト、コンサルタントなどで、残業や休日出勤が多く、いずれも高収入で、成果が分かりやすい職種。脱時間給制度を適用するには、本人の同意が必要ですが、残業規制の対象外となり、残業代や深夜・休日出勤の割り増し賃金はありません。対象となる職種にとっては実際の勤務に沿ったものであると期待する声があがる中で、こうした制度が長時間労働を助長するとして反対を唱える声もあります。

働き方改革のメリット、デメリットは?

繰り返しになりますが、働き方改革の目的は労働者の多様な働き方を可能にすることであり、労働者にとって多くの選択肢があるということはメリットになります。特に脱時間給制度は個人の選択制なので、自分の考え方次第で働き方を選べ、十分に能力を発揮できることで会社への貢献や仕事の生産性が上がるのは大きな利点となります。

また、関連法では上に挙げた3本の柱のほかに、年10日以上の有給休暇がもらえる労働者に対して、「年5日以上の有給取得」が義務づけられることになります。今まで、有給休暇が取得できない状況で、有給休暇がたまる一方だった労働者も、仕事と生活の調和をはかるきっかけになるかもしれません。

一方、デメリットは脱時間給制度で労働時間が企業によって管理されない場合もあるということ。年間104日の休日確保が必要という条件はあるものの、長時間労働を是正するはずの働き方改革の本質に矛盾する部分もあるのではないかという懸念が残ります。

企業に求められる働き方改革とは?

働き方改革では、関連法案の整備だけでなく、企業側にもオフィス環境の整備や就業形態の多様化が求められています。 特に “ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない働き方” と定義されるテレワークは、働き方改革を推進する上での重要なキーワードです。

既に働き方改革を進めている企業では、在宅勤務やオフィス以外での就業で必須のモバイル環境やセキュリティ環境を整えることで、さまざまな働き方をサポートしています。ITツールで、業務の情報を共有したり、勤務管理を楽にしたり、ビデオ会議を導入したりと、業務の効率化を図るうえでの成功事例や効果のあったソリューションも多くあります。

AI(人工知能)を使って、事務処理を自動化するRPA(ロボットによる業務の自動化)も、業務の効率化を求める企業に近年導入されています。いずれにしても現場の実態にあった無理のない取り組みを進められるよう、職場アンケートの実施や社員同士で意見交換など、さまざまなアイデアを出して検証していくことが必要でしょう。

ちなみに、東京都の公益財団法人東京しごと財団では、働き方改革支援事業として、要件を満たした利用実績があった場合、働き方改革助成金を支給しています。
また、働き方改革に関するセミナーや講演、研修などは各地で実施されているので、企業での実践の例などを知ることができるでしょう。働き方改革についてより知識を深めたいと考える人には検定や書籍なども利用できます。

働きやすい社会への第一歩になる、働き方改革

働き方改革関連法案には、当初、裁量労働制の対象拡大についての項目も盛り込まれていましたが、厚生労働省が提出したデータが不適切だったことが発覚し、該当部分が削除になりました。脱時間給制度についてはまだ議論が必要ですし、失敗となるか効果があるのか、企業の取り組み次第の部分も多くあります。しかし、自分の人生設計やワークライフバランスなどを考慮した上で、働き方が選べること、働き方の多様性・柔軟性が認められることは、個人の能力発揮と企業の成長につながり、より働きやすい社会になっていくことに違いありません。

※この記事は、2018年6月1日現在の情報にもとづいています。

 

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