これまでは、あなたが新しい職場でどのようなスタートを切り、どのような働き方をしていけば、あなたのやりたいことを応援してくれるような信頼関係を築けるのかという、対「人」に関することを述べてきました。
けれど、これらを実行する上で最も大切なものがひとつあリます。
それは、あなたの「メンタル」です。
何かを実行しようとしても、あなた自身の気持ち(メンタル)が保たなくては、それを続けることが難しくなってしまいます。
最後の第3回目では、あなたがあなたらしくはたらき続けられるための「メンタル」についてお伝えしていきます。
あなたは自分に自信がありますか?
このような不安に共通しているもの。
それは、自信がないということです。
そもそも、この「自信」というものはなんなのでしょう?
自信の正体。それは「思い込み」です。
自信というものは数値で測れるものではありません。
例えどんなに周りの人から自信があるように見えていても、その人自身が自分に自信を持てていなければ、自信がある人にはなれません。
逆に就職活動がうまくいかなくて何度も面接で落ちてしまっても、自信満々な人もいます。
つまり自信というのは、自分で自分をどうやって評価してあげられるかで決まります。
目の前の出来事や現状をどのように捉え、どのような意味づけをするかによって大きく変わってくるのです。
では、自己評価はどのように決まるのか?
それは、「自己肯定感」と「自己効力感」によって決まります。
自己肯定感というのは、(どんな自分であっても)自分のことを認めてあげることができ、自分は自分でいいんだと思える力のことをいいます。
自己効力感というのは、自分ならできると、自分で自分の能力を評価してあげられる力のことをいいます。
これらの力を培う上で大切なポイントが以下の3つです。
新しい職場に行った時というのは、仮に同じ業種であったとしても文化ややり方が違い、思い通りに進まないことも多いことでしょう。
また中途採用となると即戦力として求められることも多く、うまくいかないことでフラストレーションが溜まったり、同僚と自分を比べて自分の不甲斐なさに落ち込んだりしてしまうこともあることでしょう。
周りの人と比較して、「もっと自分も頑張ろう!」と良い刺激として受け止めることは、今後の成長に繋がることでしょう。
けれど、そこで気を付けなくてはいけないのが、周りと自分を比較して必要以上に落ち込まないということです。
人と比べない方が良い理由。それは、キリがないからです。
どんなに頑張っても、世の中には自分より優れた人が必ずいます。
例えば大学。東大生と聞くと、この人には学力では敵わないなと感じるかもしれません。
けれど、東大生は東大生でハーバード大学の人に比べたらと感じるでしょうし、ハーバード大学の中でも学力の順位の差があることでしょう。
そういう風に考えると、上を目指すことは大事なことかもしれないけれど、そこを人と比べてしまうと結局は敵わない相手が出てきてしまいキリがありません。
そしてよく考えてみてください。
新しい職場であなたの周りにいる人というのは、あなたよりもそこでの経験が長い人になります。
部活で考えてみると、高校1年性が高校3年性の人を相手にするようなもの。先にいる人はあなたよりも経験を積んでいまのスキルを身に付けている訳です。
それを入って数ヶ月の人が追いつけるということの方が、どちらかというと不思議なことなのです。これまでの経験が違う人と比べたところで、そもそもの土台が違う訳ですから比べようがありません。
比べる相手を間違ってはいけません。比べるのは過去の自分です。
いかにあなたが成長してきているかということに目を向けましょう。人の成長スピードも人それぞれです。
あなたにはあなたのペースがあります。仮にいま周りとの差を感じたとしても、あなたのゴールはいまではありません。
結果を測るのは何年も先の話でしょう。人生100年時代。
いまの差なんていうのは、この長いスパンで見れば誤差みたいなものです。
もっと長い目で自分のキャリアを捉えるようにしてみましょう。
私たちが目標を立てるときというのは、結構大きな目標を立てると思います。
例えば、「100万円貯めるために毎月5万貯金する」とか「痩せるために毎日10㎞走る」とか、頑張りたい気持ちはわかるのですが、変化を嫌う性質の人間には、この変化は大き過ぎるのです。
そして、例えば1日5㎞しか走れない日があったりすると失敗体験となってしまい、「できなかった」「もうダメだ」といった風になってしまいやすいのです。
人が何かにチャレンジするときというのは、自転車を漕ぐのと似ています。
自転車は、漕ぎ始めが一番重たくて力がいりますよね?ただ、それが1回漕いで2回漕いでとやっているうちに、簡単にペダルを漕げるようになっていきます。
簡単に漕げるようになると、今度はブレーキを使わないと止まれないぐらい、脚は自動で動くようになっています。
これと同じなのです。
当たり前のように毎日10㎞走っている人は、自転車でいうと脚が自動で動いている状態です。
ですので、やっていることはすごいように感じても、やっている本人としてはそこまで負担を感じずに自然とやっているものになります。
ですので、実はいま変わろうとしているあなたの方が、行動するのにエネルギーが必要(ペダルの漕ぎ始め)なのです。
ここでつまずかないように、最初はちょっとの行動で合格点をあげる。
そして行動することが定着していくなかで、少しずつ取り組むことを増やしていくのです。
行動が定着するまでにつまずきをつくらないように、最初のハードルを絶対にできる低いハードルで設定する。まずはここを押さえておきましょう。
必要なのは成功体験。成功体験の積み重ねが「自分はできる」という効力感を生むのです。
一発逆転を狙って大きな成果を上げようとしても、うまくいかない確率が高いです。フルマラソンだって、一歩一歩進めばいつかはゴールに辿り着けます。
小さなことをコツコツと積み上げていく努力をしていきましょう。
アドラー心理学においても、「人の悩みはすべて対人関係に行き着く」と言われているように、組織の中で働く上で切っても切り離せないのが人間関係です。
人はなぜ、対人関係でストレスを抱えてしまうのでしょう。
人がイライラする原因は、「価値観の違い」にあります。
物事の良し悪しの判断基準や出来事の受け取り方というのは、育ってきた環境や、学んできた知識、これまでの経験から培われるものです。
つまり、この世において自分と同じ人間というのは存在しないのです。そしてそれは、人の数だけその価値観の物差しがあるということを意味しています。
時間を守る人は時間がルーズな人にイライラしてしまうし、几帳面な人はズボラな人が気になります。
これは、自分の大切にしている(しようと思っている)ものをないがしろにされてしまうことに対してイライラしてしまう訳なのです。
自分にとっては当たり前なのに、その考えが通じない。そこにフラストレーションが溜まっていきます。
ここで少し考えてみて欲しいのが、逆に相手から見たら自分はどうなのかということです。
先にも、人の数だけ価値観の物差しがあるとお伝えしたように、相手には相手の価値観(判断基準)があります。
つまり、どちらが正しいとか正しくないというのは抜きにして、相手から見ると自分の方が間違っていると感じている可能性があるのです。
あなたの常識は誰かの非常識。これを考えの根底に持っておく必要があります。
そしてそれを踏まえてもうひとつ大切なのが、どんなに自分がよく振舞っていたとしても、世の中にはどうしても自分と合わない人がいるということです。
全員に好かれようと思ってもそれは難しいものです。どんなに頑張ってもうまくいかない相手がいるという気持ちでいることが人間関係の悩みを軽くし、自分らしくいてもいいんだという気持ちにさせてくれることでしょう。
自分の気持ちに素直に、自分らしく生きること。
これは一見するとワガママのように感じるかもしれませんが、そうやって自分に素直に生きることができるようになると、それは「自分」も「相手」も大事にすることに繋がります。
人は自分が自分に対してしていることを、無意識に人にも求めてしまいます。
自分の思いや自分が自分でいることを大事にしようとする人は、無意識のうちに相手の人が相手の人でいることも同じように大事にしよう、尊重しようとするようになるのです。
自分は自分でいいんだと思えることで、相手は相手のままでいいんだと思えるようになる。
それが、相手と自分との違いを認められることに繋がります。
ほんの少しの勇気を持って、自分を大切にし、一歩踏み出してみましょう。
大丈夫。ここまで出来ればあなたと職場の人との関係性はうまく築けているハズです。
きっとみんながあなたを応援してくれますよ。