前回、外国仕事は競争率が低く、チャンスが大きいというお話をしました。そして、そのチャンスを掴むためにはこのような人材になる必要があります。
1.外国で働ける人材
2.外国人を喜ばせることができる人材
3.外国人と働ける人材
今回は、1おとび2になるための方法をお伝えします。
外国で働ける人材になるために、必要なことは、一度、自分が外国に住むことです。
会社があなたを海外駐在員に抜擢するとき、一番に考えることは「この人は、日本と海外どっちが良いパフォーマンスをしてくれるだろうか?」です。
日本でのパフォーマンスはもうわかっていますから、ポイントは、海外でのパフォーマンス。
「初めての海外生活で、体調を崩さないだろうか?」
「慣れない外国人との仕事で、心を乱さないだろうか?」
こんなことが懸念点となります。
つまり、海外駐在員になりたければ、日本の業務で高い実績を残した上で、「私は海外でも生きていけます」と断言する必要があります。
ビジネスの中で断言をするために必要なのがエビデンス(証拠)。
つまり、あなたが用意すべきは、「海外で生活しても大丈夫でした」という実績です。
私が経営している会社では「海外で活躍できる若者を育成する」という方針の下、海外インターンシッププログラムを運営しています。
大学生を中心とした若者に、カンボジアやインド、タイなどで、1週間から4週間のビジネス体験をする中で、海外で働ける人材に必要なスキルとマインドセットを身につけてもらっています。
実は、上記3つのポイントの中で、最も簡単に身につけられるのが「外国で働ける人材」です。
カンボジアやインドでの長期滞在と言うと、学生はみんな怖がるのですが、実は、生活は意外と快適です。特に、カンボジアの首都プノンペンにはイオンモールもありますし、Grab Taxi(タクシー配車アプリ)を使って日本よりも快適に移動ができます。
寒くならないし、花粉も飛んでいない。物価も安くて、家も広い。私は一年の半分をプノンペンで生活しているのですが、正直、東京よりも生活しやすく、毎回東京に来るのが苦痛です。
そんな感じで「カンボジアでもこんなもんか」「インドでも意外と大丈夫」と思えるようになれば、海外で生活する恐怖はなくなります。(テロや災害は日本でも起こりますし)
一度、こう感じると、多少の不便があっても、自力で前向きに何とか対処出来るようになるので、苦痛を感じることは少なく、心も病みません。
大切なのは、体験することなのです。(なお、体験してみて「こらダメだ」と思う神経質な人は、国内でサバイブする道を歩んだ方がいいです)
結論「外国で働ける人材」になるためには、とりあえず1週間以上、海外に住んでみよう。
ちなみに、我々のプログラム卒業生は、海外で働いている率が高く、若いうちからインドやイギリス、ベトナム、台湾などの仕事に抜擢されています。
日本人にとって、一番難しいのが「外国人を喜ばせること」です。
外国人を喜ばせるにあたって絶対に忘れてはいけないことは
「自分がいいと思うものではなく、お客さんがいいと思うものを出さなくてはならない」ということです。
しかし、日本国内で仕事をしていると、周りが日本人だらけなので、自分と趣味嗜好が似ている場合が多く、「自分がいいと思うものが、お客さんがいいと思う」と勘違いしてしまうのです。
例えば、我々のプログラムではカンボジアで学生にカレー屋を経営させるのですが、カンボジア人は、日本のカレーライスが嫌いです。(ちなみに、インドのカレーも嫌いです)
日本人の90%が好きなカレーライス。
しかし、カンボジア人からしてみると、香辛料の匂いが「臭い」と感じます。
我が社のカンボジア人従業員サボンくんは、日本式カレーを作るのはうまいのですが、自分でつくったカレーは絶対食べません。
ちなみに、カンボジアのカレーは、ココナッツミルクの味で、甘いです。
彼らからしてみたら、カレーは甘い食べ物。それなのに、食べたら辛塩っぱいと「なにこれ!?」となるのです。
だから、カレーを売っても目標達成できない。そこで、カンボジアでカレーを売るのではなく、カンボジアで、カンボジアに売れるモノを、探して売ることが必要になるのです。
これが出来なくて、日本の家電業界は海外で全滅しました。
例えば、日本の洗濯機は、アメリカでは「小さくて安定感がない」、アジアでは「機能が多すぎて使い方がわからない」と評価され、全然売れていません。(最近は、家電量販店の売り場で見つけることすらできません)
ただ、例外もあります。以前、パナソニックがインドネシアで大ヒット洗濯機を作りました。
その洗濯機は、蓋の部分がざらざらしており、洗濯板として使えるのです。
インドネシアのお母さんは、ただぐるぐる回しただけでは汚れが落ちた気がしない。
ゴシゴシ洗いたいから、洗濯機をぐるぐる回した後、自分の手でゴシゴシして、その後すすぎ、脱水をしたいのです。
この発想、日本人のあなたには絶対出てこないですよね。
きっと、パナソニックの人は、インドネシアのお母さんに徹底的にヒアリングをし、彼女らが洗濯している光景をしっかり観察し、彼女らが喜ぶ製品を作ったのだと思います。
こうやって、「自分がいいと思うものではなく、お客さんがいいと思うもの」を見つけたという実績がある人は、非常に高く評価されます。
我々のプログラムでは、マーケティングの3Cや4Pといった基礎の話を1時間程度講義をし、この内容を踏まえて「競合調査」「ペルソナ分析」「試食」「販売」をすることで、この能力を身につけてもらいます。
みなさんも、日本の街を歩いている中で「自分は行きたいとは思わないけど、お客さんが入っている店」を見つける練習をしてください。
そして、「その店には、どんなお客さんが来ているのだろう?」「そのお客さんは、なにを楽しんでいるのだろう」「お客さんと自分との感覚の違いなはんだろう」ということを考えるクセをつけて欲しいのです。
自分と違う考えの人を、「意味不明」と片付けるのではなく、じゃあ、そういう人にはなにを提供したら喜んでもらえるかを徹底的に考え、仮説が立てられるようになればステップ1はクリアです。
就職・転職するときには面接官に、社内で海外事業にチャレンジしたいときには上司に、この仮説をぶつけて、「自分がいいと思うものではなく、お客さんがいいと思うもの考えられる」人材であることをアピールしてください。
なお、一番強いのは「海外で、こんなものを作ったら、こんなに売れたんです」という実績を作る事です。仮説を検証するところまでやった実績があれば、最強です。
次回は「外国人と働ける人材」になる方法と語学についてお伝えします。