この記事は、難病の方の『就職』に関する悩みを解決する内容です。
具体的には、下記のような疑問や悩みにお答えします。
難病があると、就職先ってなかなか見つからない?
面接で「難病」ということを伝えると、露骨にマイナスな反応をされる…。結果はいつも不採用。私って就職できないのかな…。
難病があるせいで就職することが恐い。ちゃんと「治療と仕事の両立」ができるのかな…。難病でもできる仕事がしたい…。
結論、難病があっても就職できます。
そして、10年20年と無理せず働き続けることも可能です。
その方法はたった1つ。
あなたに合った職場に就職すればいいのです。
厚生労働省のHPに掲載されている『難病の方を対象とした各種雇用支援策リーフレット』によると、こんなデータが出ています。
「難病のある人は、体調のよい時に就職活動をすれば、80%が就職できたといったデータもあります。ところが、就職して 10 年位の間には、その半数近くが仕事内容や職場の配慮が受けられなかったことにより仕事を辞めています。
つまり、「難病がある方の80%は就職できるが、その仕事を10年続けられる人数は半分しかいない。」ということ。
せっかく就職できても、続けられなければ意味がないですよね。
そこで今回は、『難病があっても、無理せず20年働ける職場に就職する方法』をご紹介します。
参考文献:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『難病の方の就労を支援しています』
https://www.mhlw.go.jp/content/000510863.pdf
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター『難病のある方の雇用管理マニュアル』
http://www.nivr.jeed.or.jp/download/kyouzai/kyouzai56.pdf
『難病に理解のある職場』に就職しましょう。
では『難病に理解のある職場』とは、どんな仕事・職場なのでしょうか。
それは、身体的に負担が少ない仕事。
そして、難病の治療や特性に配慮してもらえる職場です。
身体的に負担が少ない仕事とは、『デスクワーク』や『短時間勤務が可能な仕事』です。
難病にはたくさんの種類があります(指定難病だけでも333疾患)。
これだけたくさんの種類がある難病。
しかし、どの難病にも共通している特徴があるのです。
それは、『全身的な体調が崩れやすい』という特徴です。
具体的には下記の通り。
つまり、デスクワークや短時間勤務などの『身体的に負担が少ない仕事』が難病の方に合った仕事と言えます。
難病の治療や特性に配慮してもらえる職場とは、働きながら、通院・治療に配慮してもらえる職場。
または『体調が崩れやすい』という特徴に配慮してくれる職場です。
難病の方は、定期的な通院が不可欠です。
「通院しなきゃいけないのに、仕事が休めなくて病院に行けない。」なんてことは絶対避けましょう。
つまり、配慮のない職場に就職することは避けなければなりません。
そして、『休憩のとりやすさ』も重要です。
「急な体調の変化時に、適度な休憩がとれない。」といった仕事は避けましょう。
一般的に、下記のような仕事は難病の方に向きません。
仕組み的に『適時休憩のとりやすい仕事』をすることは重要ですが、柔軟な業務調整を行ってもらえるよう、自らコミュニケーションを図っておくことも大切です。
ここまで、『難病に理解のある職場に就職しましょう。』といった説明をしました。
しかし、実際はそこが1番難しいところ。
つまり、難病の方が就活で困ることは『難病への理解がある職場探し』なのです。
そこで、それを可能にする就職活動の方法を4つご紹介します。
ハローワーク(公共職業安定所)を利用しましょう。
一般雇用はもちろん、障害者雇用の求人も探すこともできます。
ハローワークでは、難病の方が利用できるサービスを提供しています。
それは下記の通りです。
難病患者就職サポーター
障害者トライアル雇用
ハローワークでは、『難病患者就職サポーター』による支援を受けることができます。
難病患者就職サポーターとは、就職を希望する難病の方には就労支援、在職中に難病を発症した方に対しては雇用継続などの支援を行う専門支援員です。
支援は、難病相談支援センターと連携しながら行われます。
具体的な支援は、自分にあった仕事内容や職場に関する相談はもちろん、面接への同行、入社試験を受ける企業への説明なども行ってくれます。
『障害者トライアル雇用』という制度を利用することもできます。
障害者トライアル雇用とは、企業と『試用期間(3~12ヵ月)』を定めて契約し、継続雇用を目指すことができる制度です。
つまり、『お試し』で働いてみることができます。
『障害者短時間トライアル雇用』というコースもあります。
障害者短時間トライアル雇用とは、使用期間中(最長12ヵ月)に週20時間以上働けるようになることを目指す制度です。
つまり、「週に20時間以上働くのは難しい。」という方向けの制度です。
両者とも『障害者』という記載はありますが、障害者手帳が必須ではありません。
障害があれば利用することが可能になる場合があります。
自身が対象になるかは、ハローワーク窓口でお問い合わせください。
就労移行支援を利用するのも1つの手です。
就労移行支援では、一般企業への就職に向けた、全般的なサポートを受けることができます。
対象は「65歳未満の、一般企業への就職を目指している障害をお持ちの方」です。
障害者手帳をもっていなくても、主治医の診断書や定期的な通院をしていれば利用できる場合があります。
就労移行支援の支援内容は、下記の通り。
ただし、就労移行支援を利用するには、料金※1が発生するので注意してください。
※1 参考画像1
※2 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。
※3 収入が、おおむね600万以下の世帯が対象。
※4 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」。
就労継続支援を利用する方法もあります。
就労継続支援とは、障害が原因で一般企業に雇用されることが難しい方に対し、就労の機会を提供するサービスです。
就労移行支援と同様、障害者手帳を持っていなくても、主治医の診断書があれば利用できる場合があります。
働きながら能力の向上を図り、『就労継続支援A/B型』→『一般就労』という流れを目指します。
そして、上記のように就労継続支援は『A型』と『B型』に分かれます。
両者の大きな違いは、『雇用契約の有無』です。
A型は雇用契約を結んで働き、B型は雇用契約を結ばずに働きます。
そのため、A型のほうが収入が多くなります(A型は最低賃金が保証されるため)。
ただ、B型は体調や能力面への配慮を受けることができるため、柔軟な働き方が可能になります。
就労継続支援についても、詳しくは別記事(下記リンク)を参照してください。
【障害者雇用】一般就労への第1歩!就労継続支援B型で活躍しよう!
就労継続支援も利用料※1が発生します。
ここまで紹介した3つの方法に加えて、転職エージェントを利用するという方法もあります。
もちろん転職エージェント単体で利用することも可能です。
しかし、ここでは+αとして利用することをオススメしています。
その理由は、職業選択の幅が広がるからです。
ここまで紹介した、『ハローワーク』、『就労移行支援』、『就労継続支援』を利用して一般就労を目指す場合、基本『ハローワークに登録された求人』から探すことになります。
つまり、1つのハコに登録された求人から探すことことになります。
ただし、転職エージェントを併用することにより、2つのハコのなかから求人を探すことができます。
転職エージェントは基本的に「成功報酬制」であるため、無料なのは嬉しいですね。
今回の内容をまとめます。
難病に理解のある職場とは?
難病に理解のある職場に就職する方法
雇用契約を結び、働きながら能力の向上を図る。
雇用契約は結ばず、働きながら能力の向上を図る(A型より収入は低いが、より柔軟な働き方が可能)。
(あなた専門のアドバイザーが提案してくれるので、自分で動き回る必要がない)
現在、医療の進歩により、難病の方でも「働きながら通院している。」という方が増えています。
つまり、難病でも働くことはじゅうぶん可能なのです。
ただし、疲れやすかったり、急な体調の変化時の対応方法など、事前の対策が必要になります。定期的な通院もかかせません。
このような難病の方特有の対策をするには、職場の理解が必須です。
そのために、職場選びは慎重にならなくてはいけません。
「就職すること」に気をとられず、「この先無理せず働き続けられるのか。」ということを意識して就職活動を行うよう、心がけてくださいね。