⼥性は出産・育児(介護)を境に専業主婦となる場合があります。
数年間家庭にいたというだけで、再就職へのハードルがぐんと上がしまったという声をよく⽿にします。働く意欲も能⼒も⼗分なのに、⾃分への⾃信をなくす⼈も⾒受けられます。それは社会全体としても勿体ない話。
主婦期間は決して「ブランク」ではないことをもう⼀度再認識していただき、ご⾃⾝の未来を考えるきっかけにしてください。
⽇本では「専業主婦」の⽴場が低く⾒られがちですね。これは男性が外で働き、⼥性は家を守るという昔からの慣習が未だに染み付いている現実なのだと思います。
共働きもずいぶんと当たり前にはなってきましたが、⼀旦⼥性が仕事を辞めてしまうと再就職に不利になると考えている⽅も多いものです。
では、専業主婦になってしまうと本当に⾃⾝のキャリアはそこで途切れてしまうのでしょうか?私⾃⾝も専業主婦を10年以上経験しています。
4⼈の⼦育てと家庭、地域との関わりを通して学んだことがたくさんあり、それが今に繋がっています。
また、ママ友や⼦供の学校で出会ったお⺟さんたちのスキルの⾼さにはいつも感⼼し、尊敬していました。主婦はデキる⼈が多いのです。
具体的な「主婦⼒」について例を挙げてみましょう。
朝の時間を思い浮かべてみてください。
家族が出かけるまでの時間です。朝⾷の⽀度をしながら家族を起こし、洗濯機を回し、お弁当を作り、着替えを⼿伝う。
忘れ物はないかと声を掛け、天気予報をチェックして傘を持たせる。ぐずる⼦供をなだめすかせて送り出すこともしますね。
「マルチタスク」ともいいますが、複数の作業を処理する能⼒は主婦の強みです。
特に⼩さいお⼦さんがいる⽅はここが鍛えられます。家庭内であろうと外出先であろうと⼦供は無理難題を訴えてきますね。押したり引いたりしながら解決する。当たり前の⼦育ては、職場であっても役⽴つ対応⼒を磨いてくれているのです。
また、主婦は役割が多いものです。⺟親・地域(町内会)・PTA 活動など多岐にわたります。そのときどきで⾃分が果たすべき役⽬をこなす器⽤さも持ち合わせているのです。
家族に対し⼼配りができ、時には悩みを聞き、アドバイスをする。お⺟さんがいなければ、家庭が回らない!と⾔われるのは家事をやってくれるだけではなくて、家族というチームをしっかりまとめ上げているからなのです。
学校の⾏事・地域の⾏事なども把握しているからこそ家族は安⼼していられる。主婦の皆さんは⾃覚がないだけで、この能⼒は社会で通⽤するのです。
これらは履歴書には書けないとしても主婦が持つスキルであり、家庭の総監督としての実績です。社会に出ても⼗分に役⽴てることを感じてもらえたでしょうか?
私事になりますが、⼦供の⼿が離れ働こうと思ったのは単純な動機でした。
それは「⾃分が⾃由に使えるお⼩遣いが欲しい」こと。
夫には「4⼈の⼦供の教育費を稼ぐため」といいましたが、所詮週3⽇のパートタイムではそれほどの収⼊にはなりません。結果、フルタイムの仕事へとチェンジせざるを得なくなりました。
その当時は「キャリアを考える」ことなど誰も教えてはくれない時代です。キャリアコンサルタントとなった私は、もっと⾃分の将来(キャリア)を考えることが出来ていたなら遠回りせずに済んだのにと思ったものです。
最初は家計のためにと、働きに出ることもあるでしょう。
ですが、ちょっと⽴ち⽌まってみてください。
⽬先の求⼈に⾶びつくのではなく、⻑期的に考えることも⾝に付けて欲しいのです。
何も考えずに7回もパートタイムを転々とした私には、履歴書の職歴欄を埋めることは出来ても胸を張って誇れるスキルが何もありませんでした。
年齢もすでに40代後半となり、「使えない主婦」というレッテルを貼られているように感じたものです。
⾃分ひとりでは上⼿く考えられないのであれば、キャリアコンサルタントなどに相談をしてみることもおすすめです。
主婦の⽅の再就職相談を受けているとよく話題に出るのが「何か資格を取ったほうがいいでしょうか?」という質問です。
これは⾃分に⾃信がない(不安)ので、資格取得することで安⼼感を得ようとするようです。
本当にやりたい仕事があって、そのためには必要な資格であれば問題はありません。ただし、採⽤側が何を求めているかを⾒極める⽬を持っていてください。
資格がある=即戦⼒として働けます!ではないことを会社はシビアにみます。
新卒の新⼊社員ならば研修等で教えることはあっても、中途採⽤に求めるのはすぐに使えるかどうかです。逆に資格がなくても仕事の経験がある場合は採⽤もあります。
資格は魔法の杖ではないということは覚えておいてください。
年代が⾼い⽅に多いのが、昔のやり⽅で進めようとすること。
今はどの職場も PC 操作は必須です。ところが「検索以外は操作が分からない」とおっしゃる主婦の⽅もいます。これまで⾃宅ではワードもエクセルも使う出番がなかったケースです。
職種にもよりますが、PC は分からないから出来ませんでは通⽤しません。⾃分なりに覚える努⼒ができるかどうかです。⾃信がなくてもやってみるという姿勢が問われます。
実は私もPCは全く出来ませんでしたが、職場で必要に迫られワード・エクセル・パワーポイントを最低限使えるようにしました。独学なので⾃⼰流ですが出来ない⾔い訳はしないことで信頼度もあがります。職場のやり⽅に適応する⼒も必要です。
主婦が働きに出るということは、それまでやってきた家事や育児の時間が減ることでもあります。
しばらくぶりに職場復帰や再就職を考える⽅は、「家庭と仕事の両⽴」に不安を抱きがちです。皆さんとても真⾯⽬なのです。「私がやらなければ!」と思っているし、全てを⼀⼈でやろうと頑張ります。
ちょっと待ってください。それはあなたが全て引き受けなければいけない事なのでしょうか?
家事を完璧にしないと罰則でも与えられるのですか?
⼦供のお弁当に冷凍⾷品を⼊れると後ろ指を刺される?
誰もが24時間しか与えられていないなかで、何もかも抱え込もうとするのは危険です。中にはスーパーウーマンのような⼈もいますが、ごく僅かです。
多少部屋が散らかっていても、晩御飯がお惣菜コーナーの⼀品だとしても、あなたが毎⽇楽しそうにしているなら家族は幸せではないですか?
いつも時間に追われ、帰宅後は家族と会話をすることもなく家事に追い⽴てられる姿を⾒せるために働くわけではありませんね。
出来ないことは家族にも協⼒してもらい、⼿を抜くのも⼤事なことです。
家庭に「完璧」を持ち込まないように。
また、実際に働き始めると様々な出来事にも遭遇します。お⼦さんの急病・親の介護などは避けられません。その際も⼀⼈で解決しようとせずに周囲に助けを求めましょう。
その代わり、後⽇⽳埋めとして仕事はきっちりとする姿勢が⼤切。
⼥性(主婦)の多い企業様から聞いた話です。急な休みを取る主婦に対して周りも寛容ですが、休んだ分の仕事を次の⽇には仕上げて来る社員はチームからの信頼度が⾼く、⼈間関係もギクシャクしないそうです。
「働くことへの責任感を持つ」、当たり前のようですが基本は押さえておきましょう。
主婦は働くにしても制約がつくことがあります。
これから就職をと考えている主婦に取っては壁が⽴ちはだかります。
まずは、⾃分の状況を書き出しておきましょう。
A) 1 ⽇何時間勤務が可能か(通勤時間も含めて考える)
B) 週何⽇勤務が可能か(⼟⽇祝も勤務出来る?)
C) ⼟⽇祝の扱いは?(完全に休みがいいのかどうか)
D) いくら稼ぎたいのか(夫の扶養問題)
E) パートタイムか、ゆくゆくは正社員希望か
F) リモートワークは可能か
G) 急な⼦供の病気等の対応について(預け先は?)
H) その仕事(会社)で将来どうなりたいのか
I) ⼦供の⻑期休み(夏・冬休み)問題
これらを書くことにより、現状のワークスタイルが⾒えてくるはずです。
今が1⽇3~4時間、週3⽇の働き⽅で精⼀杯だと感じるなら、背伸びはしないことです。初めはそこから開始してもいいのです。譲れない⾃分なりの条件はブレないこと。
よくあるのは、求⼈に載っていることと実際の条件が違う場合です。
「週1⽇からでもOK」と記載があるので⾯接を受けてみると、「週3⽇は最低きて欲しい」と⾔われた。などの話はよく聞きます。応募の際は、事前の確認も⼤事ですね。
次は求⼈を探す段階になります。
ひと昔前なら、ハローワークへ⾏く・求⼈誌を眺めるといったところでした。今はネットでの求⼈サイトを検索するパターンが圧倒的に多いですね。
企業側も採⽤を急いでいる場合は、反応が早い求⼈サイトに出すと聞きました。こまめにサイトをチェックすることで、希望する仕事と出会える可能性もあります。
ご⾃⾝の条件に合う求⼈を⾒つけるのは⼤変です。そんな時は、「ダメ元」思考でいきましょう。
全ての条件は満たされなくても、⾯接時に交渉することは出来ます。本当に欲しい⼈材なら、会社としても打つ⼿を考えるものです。
その交渉⼒が「採⽤後に期待が出来る」と思われたらラッキーですね。
⼥性(主婦)の働き⽅に⼒を⼊れている企業は増えてきています。
会社によって違いはありますが。今後⼈⼿不⾜がさらに顕著となり主婦が活躍する場が増えると想定されます。
あなたのお住まいの地区に、主婦に優しい会社がすでに存在しているかも知れません。
今はSNSやネットで情報はいくらでも⼿に⼊れられます。チャンスを掴むのは、少し視点(⾒⽅)を変えることです。
いつもは読まないビジネス本を読む、オンラインセミナーに参加してみるでもいい。
アンテナを数本持つことで、社会の動きがちょっとだけ⾒えてくることもあります。
就職は「ご縁」と「運」だと思っています。それを⾃分のものにするのはあなた次第。
コロナ禍で働き⽅もずいぶんと変わってきました。
⾃分の条件に合わないからといって働くことを諦めず、あなたのキャリア(⽣き⽅)に繋がる場所を⾒つけてください。