さて、これまでやりたいことを見つけるための方法についてお伝えしてきましたが、今回は人生100年時代という長い期間を楽しみ続けるために欠かせない、重要なポイントをお伝えしていきます。
私はこれまで障害者の就労支援を仕事としてきました。
障害と言いましても、私の事業所に通われる方の大半が精神障害と呼ばれる診断のついた方でした。就労支援を行う中で気が付いたのは、これまでの職業生活の中でメンタル不調に陥り、体調を崩して診断がついたという人が多いということです。
精神障害と言っても様々な種類があります。細かく説明をしていくとここでは書ききれませんが、大きな意味で捉えると、精神の不調全般を指すと思ってください。
代表的なものでは、うつ病、統合失調症、中毒性精神病(アルコール中毒など)、躁うつ病、神経症、心身症などが挙げられます。
これらの精神障害については、先天的なものが要因ではなく、日常生活におけるストレスや生活環境などのなんらかの原因により、神経伝達物質(脳の神経の情報を伝達する物質)のバランスが崩れてしまうことで起こると考えられています。つまり、これは誰にでも起こりうる脳の病気なのです。日本においては、うつ病は一生のうち約15人に1人がなるとも言われています。そう考えると、あなたの職場でも身近な問題であることはご理解いただけるかと思います。
では、なぜ人は職業生活においてメンタル不調になってしまうのか?
厚生労働省の調査によると、現在の仕事や職業生活に関することが強いストレスになっていると感じる労働者の割合は、59.5%となっており、労働者の約6割がなんらかの強いストレスを感じているとされています。
強いストレスの内容としては、「仕事の量・質」が最も多く、次いで「仕事の失敗・責任の発生等」、「対人関係(パワハラ、セクハラ含む)」となっています。職場におけるメンタル不調というのは、何かひとつのことが原因で発生するものではなく、色々な要素が重なって発生すると言われています。
「仕事の量・質」や「労働環境」、「対人関係」といった職場でのストレスの原因に、性格や自己評価といった【個人的要因】、家族等からの要求といった【仕事以外からの要因】、そして、これらのストレスを緩和するような上司や家族といった【緩衝要因】が重なり合うことでストレス反応が表れ、それが進行すると、うつ病などのメンタル不調となっていきます。
この人生100年時代にやりたいことをやり続ける中で大切なポイント。それがこの、健康的にチャレンジし続けられることです。
あなたが何か新しいことを始めようとするとき、必ずと言って出てくるのが、それを快く思わない人たちです。
この連載の第二回でも書きましたが、何かやりたいことがあったとしても一歩踏み出せない理由のひとつに、「自信(勇気)がない」というのがあります。この反対勢力の影響でチャレンジを断念してきた経験というのは、少なからずきっと誰にでもあるのではないでしょうか?
チャレンジできないストレスと、またそれをやることで発生する周囲からの反応といったストレス。これらが積み重なることで自己肯定感も下がってしまい、段々と自分に自信が持てなくなってしまいます。このような負の連鎖を生まないために、1人ひとりが準備しておくべきもの。それが上記にもある【緩衝要因】です。
あなたの緩衝要因となってくれるような人はどれぐらいいますか?ここで思い浮かびやすいのは、「家族」や「友人」、それに「職場の上司や同僚」ではないかと思います。このように、あなたが何かを始めようとしたり、何かに困ったときに力になってくれるような人や場所を用意しておくこと。これがなにより重要です。
あなたの周りには、どんな仲間がいますか?
・何かあった時に力になってくれる
・なにも言わずにそばにいてくれる
・厳しいことでも本音で言ってくれる
・チャレンジを応援してくれる
友人であれ、親やパートナーといった家族であれ、職場の人であれ、あなたの周りには仲間がいると思います。そのような仲間とは、時にお互いを助け合い、支え合い、叱咤し合いながらも、それぞれのこの先がよくなることを応援し合えるような仲間でしょう。
では、なぜ仲間が必要なのか?
あなたはこの質問になんと答えるでしょうか。
「1人だと寂しいから?」「1人じゃできないことがたくさんあるから?」「何かあったときに困るから?」
理由はいろいろあり、思いついたもの全てがあなたにとっての答えなのだと思いますが、最大の理由は、壁を乗り越えられる力になるからです。
お正月の風物詩に箱根駅伝があります。
駅伝もマラソンも、同じ長距離を走る競技なのに、駅伝ではゴールと同時に倒れ込む選手が多く見られます。これは「誰かのため」という、自分以外の動機付けがあることで、人は自分の限界を超えるようなパフォーマンスが発揮できるということなのではないでしょうか?
そういった意味で、仲間の存在が必要だとも思うのですが、どんな仲間がいるかという質問の答えを、もう一度見返してみてください。これらは裏を返せば、『あなたの可能性を信じている人』ということでもあると思います。世の中で成功している人や、とてつもない成長を遂げるような人の周りには、否定的な人も多いけれど、必ずその可能性を信じて疑わない人が陰にいます。その先に、成功が待っています。
スポーツで言えばコーチであったり、ビジネスにおいてはメンターであったり、諦めずに指導し続けてくれる上司や信じてついてきてくれる部下などが、その存在にあたるのかもしれません。この無条件に信じてくれる存在というのが、壁を乗り越えられる原動力になるのです。だからこそ、仲間の存在が必要なのです。
私自身、どんな人であってもありのままを認め合え、何があっても帰ってこれるような、心理的安全性が保たれる第三の居場所づくりを札幌でやっています。家や職場でうまくいかなくても、ここにいればありのままの自分でいられるし仲間がいる。そんな場所を持つことが、あなたのチャレンジのハードルを下げ、やりたいことを見つけたりそこに向かって進むための原動力になります。
あなたにはそんな居場所がありますか?
もしいま思い付かなければ、是非そんな居場所も見つけてみてくださいね。
あなたが人生100年時代を楽しむ、手助けとなってくれるハズですよ。