- ① 金融商品取引の知識(証券外務員一種資格レベル)
- ② リテール営業の実績
- ③ チームマネジメントの実績または素養
前回は30代、前半と後半の職務経歴書の書き方について、解説しました。
今回は40代。
40代になると、30代後半とは比べ物にならないくらい厳しい現実が待っています。
現在の転職市場では、脂ののった40代であってもこれを求める求人の動きは非常に鈍く、そもそもこの世代の応募を許容するもの自体が少ないのです。
あったとしても後述の求人実例のように非常にハイスペックなものを要求されるケースが目立ってきます。
それなので、応募ができる求人に対しては、その内容を一つ一つ肌理細かくチェックして、きちんと焦点を絞って戦略的に記述していかないと、内定は程遠いと覚悟しておいてください。
応募先企業によって求めるものは若干の違いがあるものの、この世代は専門性や経験・スキルをPRするか、マネジメント力をPRするか、この両方をPRするのか、の3つしかありません。
自分自身、多少弱いと思っていても、年相応に養ってきたセールスポイントが必ずあるはずですし、ライバル達も完璧な人ばかりではありません。
セールスポイントを応募求人にきちんと適合させて、職務経歴書上に際出せることで、書類選考を有利に駒を進めることができます。
さて具体的な書き方について、汎用的な求人であれば若手で事足りるわけですから、この世代向けのものはピンポイント求人の色合いが濃くなります。
そしてこの求人の応募条件をきちんと満たしていることが求められます。
たとえば、この世代が対象となっている「営業マネージャー候補職」の求人情報を見ると、応募条件には下記のような表記があります。
① については、「貴社で活かせるスキル・経験」欄で謳い、②、③ は「職務詳細」欄で記述します。
なお、3)に「または素養」というキーワードがありますので、チーム実績がない場合ならば、そのポテンシャルがあることをPRしておきます。
よくこの「または」を見逃してしまい、自身はチームマネジメントの実績がないから応募できない、と早合点してしまう人がいますが、よく読めば応募が可能な場合があります。
このように、応募可能な求人に関しては細部まで目を光らせて、応募条件を一つも漏らさずに確実に潰しておくことが大切です。
<40代前半 応募者プロフィール例>
42歳男性。
証券会社を4社経験。 今回は外資系証券会社の営業マネージャー候補職への応募(詳細の応募条件は前述の応募実例参照)。 |
ここがポイント!
ここは年齢上、「一気通貫記述法」を用いて書きましょう。
経歴はサラッと概要レベルに留めておいて、リテール営業の経験の豊富さ、並びにチームマネジメントの経験の両方をPRしておくのは、非常に有効です。
経験社数が4社と多いことと、訴求ポイントを際立たせるために、「キャリア式」を用いて書きます。
誇るべき営業数字を個人別、チーム別でわかりやすく盛り込むのは、いい表現方法です。
他の項目で書き切れないような、資格などの応募条件について、十二分に満たしていることを証明しておきます。
年齢上、多少行数をとっても構わないでしょう。
このように自身の営業スタイル、チームマネジメント方法、パーソナリティと3つに分類して具体的に記述するのは、非常に訴求力が高くなります。
この年代だからこそ、凡庸的、抽象的な表現で逃げるのではなく、(もちろん求人内容と乖離していないということが大前提ですが、)このように自分のやり方、考え方を堂々と主張した方が、採用人事にとってもわかりやすく、好印象を抱くことでしょう。
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
続いて40代後半。
40代後半となると、企業側が求めるものにしっかりと適合していないと、まず採用してもらえません。
更に言うと、筆者のところには学歴もキャリアも含め、非常に優秀なこの年代の相談者が駆け込んで来られますが、今やハイスペックの人であっても、年齢上応募できる求人を探すのに本当に苦労されています。
30代なら、量稽古(実際にたくさんの企業に応募して書類選考や面接を受けること)で転職力を向上させていくことが可能ですが、40代はこれが非常に困難です。
特に40代後半となると、なかなかチャンスは巡ってきません。
選り好みせずに応募できる求人は全て受け入れるくらいの包容力、許容力を持ち、徹底的にその応募可能求人に集中して作成することが重要になります。
さて作成のポイントですが、この年代は年相応の業務経験以上に、かなりの確率でマネジメント経験が求められますので、この経験があれば必ずPRします。
これは「職務詳細」欄でそのポジションや部下の数、任務、チーム実績を書いておけば充分に伝わります。
また「自己PR」欄でそのマネジメントへの取り組み姿勢や考え方、想いを盛り込んでおくと、ドライで無機質な感じを与えがちな職務経歴書に、応募者の人となりをPRすることができますから効果的です。
次ページの実例では、まさしくこのとおり書いていますので参照してください。
なお、組織上の管理職経験がなくても、期間限定のプロジェクトリーダーやチームリーダーといったポジションでも構いませんから、必ずマネジメントについてはPRするようにしてください。
またこの年代ならば、長年の職歴において、転職回数の多さ、ブランクの長さ、リストラの憂き目に遭った、といったキャリア上のハンディやマイナスがあっても何らおかしくありません。
また、採用人事は、この年代に対してはどんなに当社の応募条件にマッチしていたとしても、硬直した考え方、古い価値観といった思考性、腰が重さ、柔軟性がないといった行動特性、持病を抱えているといった健康上の問題などを採用時の大きな障壁として見ていて、採用に至るまでに二の足を踏んでしまいます。
このような場合は、「特記事項」欄を設けてその心配は不要である旨を先回りして説明し、この懸念材料を払しょくしておくことがキモです。
<40代後半 応募者プロフィール例>
49歳男性。
ファイナンス会社で長年営業を経験し、直近の約2年は法務部に所属し会社都合で退職。 今回はノンバンク企業のセールスマネージャー候補職への応募。 |
ここがポイント!
ここは年齢上、「一気通貫記述法」を用いてコンパクトに書きます。このように2つの支店長時代の実績をPRすると、詳細を読んでみたくなります。
年齢的には「キャリア式」の方が適しているケースがありますが、この応募者は経験社数が1社なので、このように「編年式」を用いて書いてもOKです。
ポジションや部下の数、実績などを適宜盛り込むと、客観的にその人の環境を把握できますので効果的です。
部下マネジメント術と営業力に特化して書くと、訴求ポイントが明確になってわかりやすいです。
自身のマネジメントスタイルを自分の言葉で語ると、人柄が表れて非常に印象に残ります。
ブランクの長さの要因をつべこべ言い訳せずに潔く述べた後に、勤労意欲を語っておくと、採用人事もやる気を感じとってくれることでしょう。
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第9回「職務経歴書の書き方9~アルバイト・パート・契約社員・派遣社員・キャリアがない人編~」 へ続く
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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