実際に企業に応募する段階になると、作成したレジュメと共に、志望動機や自己PRが求められるケースがあります。
どちらも最大全角1000文字の量があり、作成に腐心する方も多いと思います。
作成についての基本的な考え方ですが、既に書類バージョンで作成した内容の本質を変える必要はない、ということです。
字数が増えたからといって、全然違う内容になってしまった、話があっちこっち飛んで支離滅裂になった、では、かえってマイナスになりますので、注意してください。個別に見ていきましょう。
まず志望動機について。
この作成方法については既述しましたが、履歴書の志望動機を書くスペースは最大180字ですので、少し視点を変えて長文の志望動機が書けるようにするために4つの階層から考えます。
の4つです。
即戦力が求められるこの世代にとっては特に④が重要で、○○をやりたい(will)だけではなく、○○ができる(can)をPRする発想が必要になります。
そしてこれらを自身の豊富な職務経験から具体的に語ることが非常に大事で、抽象的で曖昧なものではなく、その企業向けのオリジナルでオンリーワンなものを作成しなければなりません。
次に自己PRについてです。
これも職務経歴書の章で既述しましたが、この書き方にしたがって書けるのはせいぜい400字程度です。
それなので、1000字の場合は、字数が増えたからといって、新たにPRを増やすのではなく、作成済みのPRを深耕するのがポイントです。
具体的に言うと、そのセールスポイントを補完するエピソードを増やすのです。
たとえば「粘り強い交渉術」を職務経歴書上の自己PR欄に謳っていたとしましょう。
これを裏付けるエピソードが1つだったとしたら、新たに他のエピソードを追加するのです。
心理学上でも、裏付けるエピソードが2つ以上あると、人はそれを確からしいと感じるようです。
経験豊かなこの世代ならば、何らかのエピソードは必ず追加できるでしょう。
このようにして両項目について、ボリュームアップ対策を行ってください。
なお、字数については、最低でも8割(800字/1000字)以上は欲しいところです。
ボリュームが多い場合の志望動機の作り方
この世代は、したい、やりたいよりも貢献できることをPRすること
ボリュームが多い場合の自己PRの作り方
営業職の職務経歴書で3つをセールスポイントとして挙げた場合
目標必達に対する強い執着心
+裏付ける理由やエピソード
傾聴技法を軸にしたコミュニケーション力
+裏付ける理由やエピソード
信頼関係構築力
+裏付ける理由やエピソード
赤字のようにボリュームが許す限り、裏付けを増やしていくのがポイント!
WEBフォーム上には、備考というタイトル名で自由に記入できる欄がいくつか設けられています。
たとえば、大手転職サイトでは学歴の中に備考欄があり、「学歴に関して補足があれば入力してください(専攻・研究テーマ/留学経験/部活動の経験・成績など)。」と、そこで書くべき主旨がきちんと示されております。
通常はその指示に従って書けば大丈夫ですが、この年代で一番注意が必要なのは、職務経歴の中にある備考欄です。
この世代ですから、職歴上、何らかのハンディやマイナスがあっても全然おかしくないですが、WEB上であってもこれをどこかでフォローしなければ、採用人事には何にも理由や事情が伝わらないことになります。
この場合にこの備考欄をフル活用します。
職務経歴書の章で「特記事項」欄を設けて、本文では書けなかった諸事情をフォローするやり方を解説しましたが、この備考欄はこの理論と同じで、「WEB版の特記事項」と捉えてください。
たとえば、WEBフォーム上では退職理由を明記するところがないケースが多いので、採用人事が訝しく思う前に、備考欄に前職の退職理由を詳細に語ってフォローするような効果的な使い方ができます。
システムの特性上からか、備考欄は、他の項目と同じく1000字程度を確保しており、このボリュームに怯んでしまうのか、うまく活用しないで応募してしまうケースが目立ちます。
たとえば、ブランクをフォローする場合は、その期間と概要(例.2008年2月~2009年1月の1年間は、父親の介護に専念)を書けばいいので、1行35字以内であってもボリュームは問題ありません。
この世代は、先回りしてフォローしなければならないのに、備考欄をそのまま空白で応募送信してしまうのは、応募への配慮が足りません
(もちろん、フォローすべき内容がない場合は、無理に書く必要はないことを申し添えておきます)。
なお、これらと違って書くべき内容説明がいない備考欄もありますが、上記の職務経歴の中の備考欄などを使って既にフォローを盛り込み済みである、特筆すべきことがない場合は、何も入力せずにブランクで構いません。
中高年が一番注意しなければならないこと、それは備考欄はあくまで補足的な役割を担っている項目ですので、目的外の内容を書いたり、他の項目で書いたことを繰り返してみたり等、書き過ぎないことです。
よくあるのが自己PRを繰り返すケース。
特に不採用が続くと、PRが弱いことが敗因と勝手に解釈して、備考欄に自己PRを延々と展開するのです。
この備考欄は紙面版職務経歴書の「特記事項」の位置づけである、という基本に立ち返って考えてみてください。
職務経歴の中の備考欄、書き方の実例
●職歴の中にブランクがある場合の、そのブランク期間の過ごし方 |
2007年4月から2007年6月の約3ヶ月間は、持病悪化による治療入院により、就労しておりませんでした。 ※この期間のおかげで現在では完治し、就労には全く問題ありません。 |
●前職退職後からブランクが長くなってしまった理由 |
2011年12月から現在まで転職活動に真面目に取り組んでいますが、年齢的なことと経験職種が▲▲と特殊なために、苦戦が続いております。 ▲▲は国内では斜陽なため、そもそも求人が少なく、募集していたところは虱潰しにあたったのですが、この○○ヶ月の間は結果が出ませんでした。 今後はもう少し視野を広げて、採用の可能性のある企業には、積極的に応募していく所存です。 |
●前職の退職理由 |
前職では入社以来ずっと20年間、○○職で働いてきましたが、2011年末に△△部門への配置転換を命ぜられました。 私はこの先も○○部門で働きたい気持ちが強く、ゼロリセットの状態から△△部門で勤務することに難しさを感じ、また○○職としてのブランクを開けたくない想いから、社外で○○職としての活路を見出すべく退職を決意いたしました。 |
Web応募の場合、必ず「送信メッセージ」という項目があります。
これは紙面版で言うところの「添え状」だと考えていただければ分かりやすいでしょう。
つまり、この項目は「貴社求人に応募します」というメッセージを伝えるための記入欄なのです。
入力内容ですが、例えば下記のような転職サイトで用意されているテンプレートをそのまま送っても書類選考上は問題ありません。
採用ご担当者様
貴社の求人内容を拝見し応募させていただきます。
応募データをお送りいたしますので、書類選考をお願い申し上げます。 是非面接の機会をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 |
ただ、応募者のほとんどがこのようなテンプレートの内容で送りますので、これでは採用人事に冷やかし応募、大量応募を感じさせる危険性があります。
たとえば、「人事総務部 人事課 採用グループ 山田」と採用担当名が求人情報にきちんと明記されているのに、上記の「採用ご担当者様」のままでは、「当社の求人情報をきちんと読んでいないようだし、当社に対する想いが感じられない。
きっとクリック一つであっちこっちに応募しているのだろう」と見限られてしまいます。
こういった細部まで気を遣って書かないと、選考評価に響く可能性があると認識しておいてください。
WEB版の「添え状」ですから、単なる送付状にしてしまってはもったいないですし、また採用人事が最初に目にするところですから、ここは戦略的に活用しましょう。
特にこの世代ならば、内容にも一工夫欲しいところです。
具体的な書き方ですが、特記事項等があるのでしたら、このメッセージ欄を使ってレジュメよりも先んじて伝えるのも一手です。
たとえば、この世代特有のハンディやマイナスのフォローを軽く触れておく、志望の強さをPRしておく、連絡時間帯や連絡方法などの希望を書いておく、といった使い方が効果的でしょう。
ただし、ここもボリュームには注意してください。
あくまで応募レジュメを送ります、ということを伝えるビジネスマナー的な要素が強いところなので、自己PRや志望動機をふんだんに盛り込んでしまうと、目的違いとなってしまいますし、採用人事も最初から内容ぎっしりでは、この先しっかりとレジュメを読もうという気持ちが失せてしまいます。
送信メッセージ欄の使い方実例
株式会社デンネット ①人事労務部 人事課 中途採用グループ 杉澤様 貴社の②プロダクトマネージャー職の求人内容を拝見し、応募させていただきます。応募データをお送りいたしますので、書類選考をお願い申し上げます。 ③なお、「エントリー後の流れについては、同社よりお電話でご連絡させて頂きます。」とありますが、現在在職中のため、勤務時間帯は電話対応ができません。 ④貴社に入社した暁には、必ず本職の商品開発業務で貴社に貢献することを誓います。 以上よろしくお願い申し上げます。 |
ポイント解説!
第3回「その他応募書類の書き方3~自己PRの書き方~」 へ続く
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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