安定している職業のイメージが強い公務員から民間企業への転職を考えている人はいませんか?
いくら「安定している」と言われている公務員でも仕事は仕事。仕事に対して不満や不安を感じることがあるはずです。
それならば、思い切って転職を!と考えるのが自然な流れですが、公務員から民間企業へ転職をして後悔する人がいることも確かです。
ここでは、公務員を辞め転職をするべきか悩んでいる人に向け様々な視点から「公務員の転職」について、実際に公務員からの転職を成功させた筆者が解説していきたいと思います。
公務員から民間企業への転職に限った話ではありませんが、転職前の事前準備が転職を成功へ導く重要なポイントとなります。
身体的・精神的に疲れてしまい「辞めたい」という気持ちが大きくなってきているときは、冷静な判断が出来なくなり、衝動的に転職を決断してしまうと後々後悔してしまうことも少なくはありません。
公務員が民間企業へ転職をしたときに後悔や失敗したと感じる事例を挙げていきます。
民間企業では業績や情勢次第で年収が下がってしまったり、賞与がカットされてしまうということがあります。
公務員であればその点については保証されていた分毎年、毎月給与にばらつきがあると不安に思う方は少なくありません。
福利厚生の面においても、企業によって異なります。
昔に比べると、業務時間や残業、休みの確保や健康診断などの福利厚生は改善され、よくしていこうという企業も増えてきています。
ですが、まだまだ公務員ほど手厚いものではないことは事実です。
ここが気になる方は、転職を決意した際にしっかりとリサーチが必要です。
仕事のやり方や、職場の雰囲気が大きく異なり戸惑いを感じる方も多いです。
一日のスケジュールの立て方から仕事の進め方などにおいて、紙を使用しない、隣の席の人に質問や報告がある場合にはまずチャットで連絡するなど仕事のやり方は会社によっても大きく異なります。
この辺りも公務員に比べるとギャップに感じる方が多いかもしれません。
上記の内容と重なってしまう部分ではありますが、仕事内容が大きく異なり所属する会社によっては相手にするお客様も変わってきます。
また、社内で使用するツールも異なります。そのため、仕事についていけない、公務員でやってきたことが活かせないと感じる人が多いです。
公務員はつぶしが利かないと言われているように、公務員での仕事と民間企業で仕事をすることは切り離して考えたほうがよさそうです。
感覚が民間企業と大きく異なるため、扱いにくいと思われることも少なくありません。
民間企業に転職する際は、今までの経験を活かして働こうと思うのではなく1からまた頑張ろうという気持ちが必要です。
定時で上がれない日や、週休二日でないことがあったり、休日出勤を余儀なくされることもあります。
もちろん、福利厚生面や求人条件に記載があるので、事前にリサーチは必要ですが、ワークスタイルの変化をマイナスに感じる方も多いです。
「なぜ公務員を辞めたいのか?」を明確にしておきましょう。
辞めたい理由は転職をしないと変えることが出来ないことなのか?
上司に相談することや人事異動で解決できないのか?
など、はじめに転職以外の解決方法を考えてみる。
それでも転職への気持ちが変わらないのであれば、転職先に望む条件(給与、勤務地、仕事内容、やりがい、職場環境など)を挙げていくとともに優先順位を付け、希望にマッチした転職先を探していきましょう。
そして、つぶしが利かないと言われる公務員であってもこれまでのキャリアを振り返り自分自身の強み・弱みを客観的に知っておくこと、アピールポイントを見つけておくこと、転職先で実現したいことを明確にしておくことが大切です。
転職をすることで職場環境がガラッと変わることを頭に入れつつ、自分自身を客観的に分析することが出来たら、次に転職先に関する情報収集をしましょう。
求人を探すことからはじめ、気になる企業のHPや口コミ、実際に働く人などありとあらゆる視点からの企業研究、気になる業界の動向をチェックするなど事前の入念な情報収集がカギとなります。
これらの事前準備は在職中に計画的に進めていくことが大切です。
ここでは公務員からの転職について年代別にポイントをご紹介していきます。
・転職理由を明確に
・熱意が伝われば、どの業界でも比較的転職しやすい世代
新卒で公務員になって、初めての転職という方がほとんどでしょう。20代の転職では、その人の実績や経歴よりも「ポテンシャル」と「今後の仕事に対するスタンス」が重要視される傾向にあります。
面接では必ずといっていいほど、「この仕事に就いてどんな自分になりたいか」といった具合に【将来の展望】を尋ねられます。
そのため仕事を通じて自分がどう成長したいか、将来像を明確にしておく必要があります。学生時代の就活の際に行なった自己分析を思い出し、自分軸に合った求人を探すことも大切です。
また「なぜ転職したいか」の理由も大切です。20代で、さらに難関を潜り抜けて得た公務員からの転職となると、採用担当者は「またすぐ辞めてしまうのではないか」と不安に感じてしまいます。
【ポジティブな転職理由】と、採用担当者を納得させる【熱意】が転職成功のカギとも言えます。将来への期待値が高い20代は、公務員時代と全く違う仕事内容だったとしても採用のチャンスはあるでしょう。
・転職後、即戦力となれるか
・採用担当者を納得させる熱意と意思があるか
30代となると後輩や部下ができ、ある程度の経験が積み重なっています。30代の転職では、これまでの経歴が転職先でどう活かされるかが重要です。
これまで培ってきたスキルはあるか、転職先で即戦力となるかを明確に伝えられれば、大きなアピールポイントとなります。
またどの業界においても、通用する資格は持っていれば有利となります。加えて30代はチームをまとめるリーダー役として期待されることが多い年代なので、役職についていた経験の有無に限らず、マネジメント経験があれば積極的にアピールしましょう。
もともと公務員の仕事は社会貢献を目的としているため、民間企業で働くにはこれまで以上の熱意が必要です。転職市場では、年齢が上がるとともに採用のチャンスは低くなります。
「新たなことにチャレンジしたい」「自分で成果を出したい」といった想いを、しっかりと採用担当者へ伝えることを忘れずに。
・20代30代の転職とは全く違うことを認識する
・採用条件を熟考する必要がある
40代での公務員からの転職は20代30代の転職と違って非常に難しく、かなりの覚悟が必要です。まず長年務めてきたことから、公務員の仕事のやり方や民間企業と異なる環境に慣れてしまっているという点は、自覚しなければなりません。少なからず企業側も、そういった点を不安要素として考えている可能性が高いです。
民間企業の仕事は利益・成果重視であり、そういった競争の中で仕事を行なうことはこれまでとは畑がまったく違います。
会社によって独自のルールも多く存在しており、これまで自分が常識だと思っていたことが通用しないことも多々あります。例え転職先が同じ分野で「経験●年以上」といった経歴があったとしても、同じようには働くことができないと考えておきましょう。
特別な資格を持っている場合は、それを最大限に活かす仕事探しを。また公務員は給与面で安定していることがメリットですが、民間企業となると業績が給与へ影響することもあり、年収が下がる可能性も考慮しておかなければなりません。
家族を養っている場合は、家庭内での話し合いが必要不可欠です。後悔のないよう転職活動に挑みましょう。
公務員から民間企業に転職することは本当に可能なのか、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に公務員から民間企業へ転職している人はたくさんいます。
自身の経歴を棚卸して、これまで培ったスキルが活かせる業界・職種を探してみましょう。
窓口業務等で市民対応をしていた人には、営業やカウンセラーがおすすめです。
相手の悩みをうまく引き出しつつ、問題に応じた的確なアドバイスができるため、コミュニケーション能力を活かせる仕事がぴったりです。
営業職では相手のニーズに応じたサービスの紹介、カウンセラーであれば悩みや問題を解決するための援助が必要なので、市民対応での経験を活かせるでしょう。
営業職の求人は多く、専門知識を必要としない場合が多いため、選択肢が豊富で転職しやすいことも特徴的です
税務を担当していた人は、知識や経験を活かして、企業の経理や財務担当として勤務することがおすすめです。
市役所等で税務を担当していたことで、お金や税金に関する網羅的・専門的な知識が身に着いています。そのため、広い視点でポイントを押さえた業務が可能となり、企業にとって貴重な人材となり得るでしょう。
労働基準監督署で働いていた人は、企業の労務や法務担当がおすすめです。
近年は、働き方改革などによりワークライフバランスが一層重視され、各企業による労働環境の整備が求められています。そのため、労務や法務に関する専門的な知識を所有していることは、企業にとって大きな魅力です。
時代の流れを捉えながら従業員の働きやすい環境を整備するためには、労働基準監督署で働いていた知識や経験が大きな武器となるでしょう。
教師をしていた人は、教育関係の会社で働くのがおすすめです。たとえば、塾、教材制作会社、スクールのコーチ等です。
子どもの特徴・成長に応じた適切な指導や支援は、実際に子どもと関わってこなければ得られない能力です。教育関係の会社であれば、教師としての経験を子どもの成長のために存分に活かせるでしょう。
また、専門的な知識やスキルを活かし、塾や教材制作会社、またはスクールのコーチとして勤務することもおすすめです。
警察官をしていた人は、業務内容が似ており、スキルや経験をそのまま活かせる警備会社がおすすめです。
元警察官であれば、即戦力として活躍できるうえに選考でも有利となるでしょう
また、自動車学校の教官もおすすめの転職先です。道路交通法などの専門的な知識を有していることで、法律に基づいた正確かつ説得力のある教育が可能となります。
警察官は仕事上パトカーなどの自動車に乗ることが多いため、自動車学校の仕事に慣れるのも早いでしょう。
自衛官は、日々のハードな訓練の中で培った、体力や身体能力を活かせる仕事が向いています。
具体的にはインストラクターやジムトレーナーがおすすめです。
これらの仕事は業務内容そのものが体力を使うものが多く、かつお客様にとって目標となるような肉体であることが理想です。自衛官として身に付けた体力や鍛え抜かれた肉体を存分に活かせるでしょう。
消防士は夜勤があるため、長時間勤務や夜間帯の労働に慣れています。そのため、労働時間が似ているドライバーがおすすめです。
日々の業務で培った体力を活かせるジムトレーナーも向いています。
また、怪我や病気などにより身体を使う仕事はできないため転職するという人もいるでしょう。
そのような人には事務職がおすすめです。事務職であれば、ルーティンワークが多く、自分のペースで仕事を進められるため、心身への負担が少なくなります。
公務員からの転職を決意したら、最初の一歩として転職サービスに登録しましょう。
登録するとアドバイザーと面談でき、現在のスキルを見て、あなたがどんな職種に向いているかをアドバイスしてもらうこともできます。
転職エージェントに登録するなら、dodaがおすすめです。
dodaは言わずと知れた大手サイトで、20万件以上(※2023年3月時点、非公開求人を含む)の求人情報を誇る無料の転職支援サービス。
なぜ公務員にdodaがおすすめなのかというと、dodaにはスカウト機能があるからです。
元公務員という肩書は、一般企業の採用担当者からのイメージはとても良いです。「真面目そう」「きっちり仕事をしてくれそう」という印象を持ってもらえます。
そのため、元公務員なら企業からのスカウトも期待できるのです。
元公務員というメリットを活かすなら、スカウト機能ありのdodaに登録しないともったいないくらいです。
多くのスカウトメールをもらうためには、レジュメをしっかりと記入するのがコツですよ。
公式サイト | https://doda.jp/ |
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年齢 | 全年代対象 |
特徴 | スカウト機能あり |
リクルートエージェントは、転職成功実績No.1※の実績をもつ大手転職エージェント。
登録すると専門のコンサルタントが担当につき、自分に合った求人を紹介してくれたり、相談に乗ってくれたりと手厚くサポートしてくれます。
「dodaだけではスカウトが来るかどうか不安」という人は、リクルートエージェントも併用してみましょう。
転職エージェントは、複数サービスの同時利用を推奨しています。
求人数が多いリクルートエージェントと、スカウト機能のあるdodaを両方使えば、より多くの質の高い求人に出会えますよ。
公式サイト | https://www.r-agent.com/ |
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年齢 | 全年代対象 |
特徴 | 求人数が豊富 |
※厚生労働省「人材サービス総合サイト」における有料職業紹介事業所のうち無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の合計人数(2021年度実績を自社集計)2022年6月時点
「VOLVE」は、国家公務員(官)から民間企業(民)へ、または民間企業(民)から国家公務員(官)への転職を目指す人を支援するサービス。官と民両方のキャリアを持つ創業者の吉井弘和氏により、2022年10月に事業をスタートしました。
官・民の越境転職に特化しているからこそ、他の転職エージェントよりも圧倒的に濃いキャリア相談ができるのが魅力。
たとえば、国家公務員としての経験が具体的にどんなスキルになるかを詳しく分解し、「自分は民間で仕事ができるのか」などの漠然とした不安にも、明確な言語化で応えてくれます。
事前研修や入社後のカウンセリングも無料で提供しているほか、興味のある業界で働く人との交流なども可能。
「民間企業の社風に適応できるだろうか」「官公庁の仕事とのギャップを感じてしまわないだろうか」と悩んでいる人にこそおすすめです。そのモヤモヤを解消し、民間で働くイメージをつけられるかもしれません。
公式サイト | https://volve.co.jp/ |
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年齢 | 全年代対象 |
特徴 | 官公庁と民間の越境キャリアチェンジに特化 |
公務員から転職した人は、どのような理由から転職を決意したのでしょうか。
実際に公務員から転職した人の体験談を紹介します。
※ユーザーの声の一部を掲載しています。
公務員から転職したのは、専門的なスキルや経験を身に付けたかったからです。
私は、地方公務員として市役所の総務課で働いていました。日々の業務は事務作業などの単純なルーティンワークが中心でした。
仕事に対するストレスは少なく、残業もほとんど無い部署でしたが、専門的なスキルや経験が得られる業務が少なかったのです。
「AIにもできる仕事」などと噂され、仮に公務員の身分を失った時に今のままでは生きていけないのではないか、と不安を感じ転職を決意しました。
上司との人間関係に悩みがあり、転職を決めました。消防士は体育会系で、上下関係が強い傾向があります。
業務中は出動に備えるために、同じ班の職員と行動を共にすることが日常です。上司と寝泊まりや食事を一緒にすることが多く、ストレスに感じていました。私の上司は、部下が少しでも気に入らない言動をすると、強い口調で攻め立ててくる人でした。
私はメンタル面での負担が大きくなり、ついに体調を崩してしまったのです。人事とも話し合った結果、自分のペースでできる仕事をするために、転職を決意しました。
私は、給与が低かったことを理由に、転職を決めました。高給のイメージがある公務員ですが、経験年数を重ねるまでは給与水準が低いのが実情です。
また、公務員の昇給は基本的に年功序列であるため、どれほど頑張って仕事をしても給料が上がる訳ではありません。
副業の制限も強いため、特に若いうちは、時間外勤務を増やさない限り収入を増やすことは難しいのです。
たしかに、将来的な収入が安定しており、賞与が年2回きっちり支給される点は公務員の魅力です。住居手当や扶養手当などの福利厚生も充実しています。
しかし、いくら頑張っても給料が低いまま変わらず、高収入は目指せません。若いうちから高収入を目指していた私は、次第に仕事へのモチベーションを無くし、転職を決意しました。
最後に、公務員からの転職を実現させた筆者の体験談をお話ししておきます。
私は、地方公務員(行政職)として人事労務などの管理業務を担当していました。給料は決して高くはありませんでしたが、地方で暮らすには十分。人間関係や労働環境も良く、はたからしたら転職する理由がないような職場だったと思います。
しかし私は、毎日のルーティンワークに物足りなさややりがいの無さを感じていました。
そして、入職から3年目を迎えて20代半ばに差し掛かった年、
「本当にやりたいことは何だろうか」
「自分のキャリアはこのままで良いのだろうか」
と深く考えるようになりました。
考えるにつれて、以前より興味を抱いていた福祉の分野で仕事がしたい気持ちが強くなり、民間企業への転職を決意したのです。
転職にあたっては、自分が関心のある業界や企業について調べ、同時に転職エージェントを利用し、求人情報や転職のポイントについて情報を得るようにしました。
doda等の転職エージェントに協力してもらいながら自分のやりたい仕事ができる会社を3社見つけ、選考の結果、3社から内定をいただきました。
最終的には、その中で最も私を必要としてくれた会社に入社し、今もやりがいを持って楽しく勤務しています。
公務員からの転職について調べていると「公務員から民間企業への転職は成功しない」という意見をたまに見かけますが、私はそうは思いません。
実際に私は、選考を受けた3社から内定をいただけました。
また、転職活動中に転職エージェントに「公務員から民間企業に転職する人はどのくらいいるのか」と質問すると、「公務員の方で転職する人も多いですよ。皆さん転職を成功させて、企業で活躍されています。」と仰っていました。
大切なのは、将来の自分をしっかりイメージすることではないでしょうか。
キャリアビジョンやなりたい自分、転職に求めるものを明確にしたうえで転職活動にのぞめば、転職はかならず成功すると思います。
いかがでしたでしょうか?
ここまでの内容は公務員からの転職を勧めるわけでも、公務員を辞めない方が良いと言っているわけでもなく最終的にどうするのか決めるのはあなた自身です。
公務員から民間企業への転職で後悔しやすい理由は挙げましたが、ネガティブな面だけではなく「公務員の時よりも年収アップ」「やりがい(頑張り次第で評価される)」「キャリアの選択肢が増える」「将来の可能性がある」といったポジティブな面ももちろんあります。
自分自身を成長させたい、可能性を探ってみたいといった気持ちがあるのなら転職も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?
そして、もしも転職をするのであれば年齢が高くなればなるほど難しくなるので早めの行動をおすすめします。