「年収900万」は、世間一般ではかなりの高収入。大手企業への勤務や、管理職の人、特殊なスキルなどを持った限られた人の収入という印象を受けますね。
国税庁による令和2年分の「民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、900万円超~1000万円の収入がある人は、男性で2.8%、女性で0.4%。
全体で見ても1.8%しかおらず、やはり年収900万円は、ほんの一部の人だけが手にできる金額と言えるでしょう。
同じ調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、正規雇用で496万円。
この数値も決して少なくはない数字ですが、年収900万円と比べるとその差は実に400万円以上となっています。
年収が900万円となると、手取り額も当然増えますが、社会保険料や税金などを引いた手取り額はいったいいくらになるのでしょうか?
企業勤めの40代の男性のおおよその手取り額を計算してみると…
扶養家族の有無や社会保険料などの違いにより、差はありますが660万円台~690万円台がおよその手取り額となります。
仮に690万円が手取りとしてもらえるとしたら、月々に手に入る金額はボーナスなしで57万5000円。
無駄な支出をしなければ、家計の支出のなかでも特に大きい住宅ローンや教育費などを差し引いても、十分に老後の資金を貯めることができる金額と言えます。
業界全体の賃金が高いトップ3の業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業、保険業」「情報通信業」。生活インフラをはじめ、IT関連やテレビ、携帯電話、銀行や保険など、どれも私たちの生活に密接に結び付いている業種ですね。
業種別の給与階級別構成割合の統計を見てみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」の業界で働いている人のうち、3分の1を超える37.4%が年収800万円以上。
早ければ30代で1000万円台の収入も夢ではない大手銀行や保険会社なども、年収800万円以上は26.6%もいます。「情報通信業」においては、19.6%が年収800万円以上、そのあとに続く4位の「学術研究、専門・技術サービス、教育、学習支援業」も、16.4%が年収800万円以上となっています。
年収900万円を得るには、管理職になったり、専門職として働いたり、会社の発展につながる業績を上げることはもちろん不可欠ですが、伸びしろのある業種を選ぶことも大切と言えます。
平均年収が高い業種は前述のとおり。では、どのような職種が年収900万円以上を稼ぐことができるのでしょうか?
年功序列の会社では勤続年数が多くなったり、管理職になったりすることで年収900万円を超えることも多くあります。また、入社年数に関わらずインセンティブにより年収900万円を超えたケースもあります。いずれにせよ転職して自分の目指す年収に近づくには、入社後の自分の頑張り次第と言えます。
上記であげた、業種・職業には医師なども入っていますが、普通の会社員が今からでも目指せる現実的なモデル年収のランキングがマイナビ転職に掲載されていたので、転職の参考にしてみてください。
職種(分類) | モデル年収(平均) | |
---|---|---|
1位 | コンサルタント(経営戦略) (コンサルタント・金融・不動産専門職) |
1,335万円 |
2位 | システムアナリスト (ITエンジニア) |
1,295万円 |
3位 | アクセス解析・統計解析 (WEB・インターネット・ゲーム) |
975万円 |
4位 | コピーライター (クリエイティブ) |
899万円 |
5位 | 不動産営業 (コンサルタント・金融・不動産専門職) |
992万円 |
参照:マイナビ転職『2022年版 職種別 モデル年収平均ランキング』
コンサルタント・金融・不動産専門職に分類される職種は10位以内に4職種がランクインしており、近年注目の職業です。
ITエンジニアの年収に注目してみましょう。IT業界はスキルがあれば、年収を増やすことはそんなに難しいことではありません。
需要の高まりにより、給料面も高くなっきている傾向にあります。また外資系のエンジニアは優秀な人材の確保の為に高額年収を提示することが多いです。
不動産営業も年収900万円を現実的に望める職業です。収入重視なら、実力次第でかなり稼ぐことができるのでおすすめです。
従事員の人数による、事業所の規模別にみた給与階級別構成割合の統計によると、従事員が1~9人の事業所では、年収900万円を超え1000万円以下の人の割合は男女平均で0.8%となっています。
従事員が30~99人の場合のみ一時的にこの割合が減っているものの、従事員の数の増加に従って年収900万円を超え1000万円以下の人の割合が増えており、5000人以上の従事員がいる事業所では男性7.2%、女性0.7%、平均でも4.5%となっています。
この統計から分かるように、一般的に従事員の数が多く会社の規模が大きい会社ほど、高収入の割合が高いと言えます。
年収900万円を達成するには、個人の努力や成績はもちろん必要。でも業界全体の賃金が低い場合や、業界自体が伸び悩んでいる状態では、個人の努力も実を結びにくいものです。
また業界によっては、数社で国内シェアを独占している場合もあるので、より規模が大きい会社へ業界内での転職を目指すことも選択肢の一つになるでしょう。
異業種への転職については、比較的異業種からの転職者を多く受け入れている業界もあれば、未経験者には門を閉ざしている業界もあります。転職し、かつ収入アップを狙うのであれば、少なくとも今までの経験を活かせる業種や職種についたほうが得策です。
また転職先選びについて、会社の規模が大きい大手企業を選ぶのも一つの選択ですが、中には一般的に有名企業でなくても新しい事業を手掛け急成長を遂げている会社や、業界内でシェアが高く、業績が順調に上がっている会社もあります。会社の規模だけにとらわれないで、事業内容や業績、業界内シェアなどをよく考慮することも転職活動には必要です。
年収900万円を目指すハイクラスの転職には、転職活動をサポートしてくれる転職エージェントが必要。転職エージェントにも、非公開求人数が多い、20代・30代の転職活動のサポートが得意、案件数が多いなどそれぞれ特徴があるので、複数登録して情報を集めておくのがおすすめです。
年収900万円を目指せる転職サイトで最も有名なのがビズリーチ。登録後はスカウトを待つだけなので転職エージェントよりも気軽に利用できるのがメリット。年収1000万円を超える求人が3分の1以上なので、他の転職サイトを利用するよりも高年収求人をすぐに探すことができます。
次に、パソナキャリアはハイクラス転職に特化しているサービス。年収アップ率67.1%と高い実績を誇り、内定先との交渉が得意なコンサルタントで利用者の満足度が高くおすすめです。
また、スイスに本社があり人材サービス企業として世界第1位のSpring転職エージェント(アデコ株式会社)も20代・30代向けのハイクラス求人が中心となっており、年収900万円を目指す方が利用すべき転職エージェントです。
転職エージェントは求人を紹介するだけでなく、給料や待遇などについても交渉役となってくれるので活用しない手はありません。今後のキャリアプランをしっかり描き、年収や仕事面で満足のいく転職になるよう、しっかりと転職の準備をしましょう。