また、転職先の企業が自分の希望にあっているか診断するにはどうすればいいでしょうか?
今回の梅田先生の記事はその疑問を解消するものになるはずです!
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面接は、あなたが、応募先から選ばれるか落とされるだけではありません。あなた自身も、選ぶ立場です。
「わたしが働くにふさわしい職場か?」という視点で面接に行っていますか?
初回の面接から、このような気持ちで面接に臨んでいたら、内定時には、かなり不安が少なくなっているはずです。
ここでは、さまざまな不安を解消するために、見極めのポイントをお伝えします。
実態をチェックしたくて質問をするのは、とても良いことです。
しかし、ほとんどの人が大雑把に聞いて、大雑把な答えをもらい、納得できないまま入社するかどうかを判断しようとしています。
抽象的に聞けば、抽象的な答えが返ってきますし、具体的に聞けば、具体的な答えが返ってきます。
具体的に聞くとはどういうことか、例を見てみましょう。
厚生労働省の調査によると、若年層(15~35歳)が転職を考える理由の上位に、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が入っていますので、残業の実態について聞く場合を例に考えていきます。
このように聞くと、面接官の一般的な答えは、
「人によって違うので、一概には言えません。自分の仕事が終わったら帰っていいので、残業時間は人それぞれですね。早く終えるように工夫してください」
です。
あなたはこの答えで満足できますか?
これでは、
が、まったくわかりません。
答えをぼかされている……と感じたら、質問が抽象的なのです。聞き方を見直してみましょう。
たとえば、
22時くらいまで残っている人は、何人くらい(何割)ですか?
(22時の部分には、自分が限界だと思う時間や、この時間には終わりたいと思う理想的な時間を入れましょう)
忙しい時期は、いつですか?
その時期の残業は何時までですか?
(営業事務の場合)営業さんは何時くらいに社に戻られますか?
その日のうちに仕上げる仕事を頼まれることはありますか?
など。
しかし、具体的に聞くといっても、月の残業時間を聞くのは、NGです。
著書やブログに「質問は具体的に」と書くようになってから、する方が増えてきた質問です。
「何時間」と聞いているので、具体的に見えるかもしれませんが、これでは、満足な答えをもらえないケースが多いです。
それは、面接官が平均残業時間を把握していないからです。
ほとんどの社員は、会社の平均残業時間を知りません。
自分や、部署の月の残業時間も知らない人も結構います。
わからないことを聞いても、答えてもらえません。
「何時間」ではなく、「何時まで」「何人」のように、面接官が普段目にしている情景を聞くと、直観的にわかるので、答えてもらいやすいのです。
また、部署や職種によって残業時間は大幅に異なることもあります。
平均を聞いても、あなたの入社後の残業の実態を反映しないので、意味のある質問ではありません。
具体的に聞くときに、自分の事情を話して希望を伝えると、非常に効果的なすりあわせができます。たとえば、
残業はできますが、子どもの迎えを誰かに頼まなければならないので、帰る直前に頼まれると対応しにくいです。
事前にご指示いただくか、自分で計画的に進められると助かります。いかがでしょうか。
セミナーや社外研修で勉強するのが好きなのですが、予約している日は残業を避けられますか?
夜__時を過ぎると具合が悪くなります。
忙しいときは、朝早くきて仕事をしますので、夜は帰らせていただけますか?
○○のため、残業は___時までにしたいのですが、可能ですか?
今の会社では、___時まで残業していて体がつらく、転職活動をしています。
労働時間を短くしたいと思っています。週に2回は家で食事をするのが希望です。
御社では、実現できそうですか?
このように、自分の状況を開示して希望を言えば、面接官も可能か不可能かが答えやすいです。
代替案や既存社員の事例などを聞かせてもらえるかもしれません。
聞いているだけだと不安だという人は、自分の目で確かめに行きましょう。
勤務するところと面接会場が同じ場合には、夜の時間帯に面接を設定してもらいます。
面接の前後に会社見学をさせてもらい、どれくらいの人が残っているかを見ればよいのです。
残っている人の部署と立場、その人はどんな仕事で残業しているのかを聞き、あなたの配属後を推測しましょう。
見学しながら不安に感じたことは、案内役に聞いてもいいでしょう。
現場を見ながら話すことで、面接で質問しなかったときには出なかった答えが返ってくることもあります。
勤務場所と面接場所が異なる場合(本社で面接、支店で勤務など)は、あなたが残業のリミットだと思う時間に、勤務地を見に行くといいですね。
また、夜間に電話してみるのも手です。
訪問や電話の場合は、見学と同じく、残業している部署・立場を確認することを忘れずに。
よく、面接の不満として、「人事はいいことしか言わない。ホームページも転職情報サイトにも、いいことしか書いていません。
何を信じたらいいですか?」と質問されます。
人事は、「いいことしか言わない」のではなく、「よく聞こえるように言う」が正解です。
例文AとBを比べてみてください。
スキー場へは車で15分なので、週末はもちろん、仕事帰りに出かける社員も多いですよ。
夏は、ゴルフ、パラグライダー、BBQなどが楽しめます。ビアガーデンも気持ちいいですよ。
ただ、工場はゴルフ場やスキー場が近くにあるような田舎なので、非常に不便です。冬は雪が数十センチも積もるので、とても寒いです。
夏は、BBQやビアガーデンができますが、車通勤だと飲めませんからね。
多くの会社は、例文Aのように言い、例文Bのようには言いません。
「職場は田舎にある」「冬は寒くて雪が積もるほど」という事実を、肯定的に表現するか、否定的に表現するかで、ここまで説明が異なります。
つまり人事は、いいことしか言わないのではなく、1つの事実を、よく聞こえるように表現するのです。
あなたがすべきは、よく聞こえるように表現された情報から事実を抜き出し、あなたにとって魅力的かどうかを考えてみることです。
寒いのが苦手な人やスキー・スノボに興味がない人は、いくら会社が「毎日スキーができる」とアピールしても、応募しなければいいのです。
逆に、覚悟を求めようと、悪いことを言う面接官もいます。
「理不尽なクレームがありますが、大丈夫ですか?」
「ノルマは厳しいですが、大丈夫ですか」
「中小企業は、何でもしてもらうから」など。
理不尽なクレームって、どのようなクレームでしょうね?
あなたは、それを聞いても、理不尽だと感じないかもしれません。
理不尽なクレームを受けても、上司のサポートがしっかりしていれば、問題ないと感じるかもしれません。
「理不尽なクレームがありますが、大丈夫ですか?」だけでは、YESともNOとも言えませんね。
こういう場合は、
1)の具体的に質問するというのを使って、具体的な情報を引き出し、
5)あなたにとってプラスかマイナスか、どちらでもないのかを見極めましょう。
万人にとっていい会社・誰が働いても悪い会社というものは存在しません。
多くの人が働きたくないと思う会社でも、あなたにとっては素晴らしい会社かもしれませんし、人気ランキング上位の会社でも、あなたが幸せに働けるとは限りません。
あなたにとって、いい職場かどうかを見極めるーーこの気持ちで納得のいくまで情報収集しましょう。