前々回から職種別の具体的な職務経歴書の書き方を解説していますが、今回は技術職とSE職です。
まずは技術職から。
一言で技術職と大きな括りで表現していますが、その専門領域、たとえば電気、自動車、機械、化学、医療、ITなど多岐に渡りますし、またここでは研究開発から製品開発、品質管理、製造技術・生産技術といった全ての工程業務を包含していますので、ここでは全体に共通した書き方を説明します。
技術職は他の職種と比べた場合、専門性と実務経験が最も重視される職種であるのは言うまでもありません。
それなので、まず求人情報の「必須条件」をきちんと満たしていることが最低条件となります。
この年代の技術職であれば、同業種・同職種への転職がほとんどを占めますから、限定された専門技術の業界内での人事異動的要素が強いと言えます。
だから、どの企業のどの部署で、どのような業務に従事していたか、というシンプルな職歴情報だけでも、採用人事はその応募者の力を即座に見極めることができます。
それなので、職務経歴書を書く場合は、応募職種で日常使っている専門用語や技術内容を適宜盛り込みつつ、携わってきた業務内容を具体的に書くことが最大のポイントです。
また応募企業にとっては、応募者の今までの取り組みや技術成果もさることながら、社内においてどの分野・どの領域の技術業務を任せることができるかという点もしっかりと把握したいと考えています。
この職種はその専門性・特殊性から職務経歴書という限られた書面の中で表現するのは非常に難しいと言えます。
それだからこそ、一目で採用人事がチェックすることができるよう、次ページの実例のように、あまり細かくならないレベルで、要素技術や担当工程、役割・職位・ポジションなどを見やすくレイアウトを意識して書くことも非常に重要です。
最後に、「必須条件」だけでなく、「歓迎条件」や「求める人物像」にも目を向けてください。
たとえば、「求める人物像」に「チームワークを大切にし、コミュニケーション能力、柔軟な対応力がある方」とあったら、次ページの実例のように、自己PR欄を使ってそれをPRしておけば更に訴求力は向上します。
<技術職 応募者プロフィール例>
37歳男性。高等専門学校を卒業後、2社の生産現場で生産技術業務に従事してきた。
今回は同じく生産管理職候補への応募。 |
ここがポイント!
17年と職歴が長いために、「一気通貫記述法」を用いて、コンパクトにまとめます。また後半にマネジメント力や現場主義をPRしておくのも有効な一手です。
自身の職位について見やすいように左側に配置して、時系列でステップアップしている様子を見せるやり方は、今回は管理職候補への応募のために、マッチしていることを期待させます。
もちろんそれだけではなく、企業・配属や担当工程・担当業務、身につけたことや実績などをシンプルに盛り込むのは必須です。
「生産性を向上させる現場改善のノウハウ」、「現場マネジメント経験」という、応募先企業が最も必要としているスキル・経験の2つを前面にタイトル出しして、その後に概略説明を入れる方法も非常に効果的で、PR度が高いと言えます。
これくらいのボリュームならば、無理にタイトル出しをしなくて、文書として読ませても構いません。ここで求人情報に掲載されていた「歓迎条件」や「求める人物像」の内容を盛り込んでおきます。
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
SE職はプロジェクト単位で仕事をすることが多いのですが、それをそのまま時系列で記述すると、2ページ以内には収まりません。
「この世界は特殊だから経験したことを全て詳細に書かないと、採用人事に伝わらない」と、10ページにも及ぶプロジェクト毎に書いたものを見たことがありますが、これでは明らかに多過ぎます。
この人のように削る怖さがあるのはわかりますが、コンパクトにまとめることも必要で、これはSE職だけが特別という訳ではありません。
この作成方法ですが、「編年式」を用いると上記の事例のようにオーバーフローする可能性が高いので、SE職の場合は「キャリア式」や「フリースタイル式」で書くことをお勧めします。
応募先企業が求めているスキル・経験は何なのか?をしっかりと見極めて、幅広くて豊富なSE経験の中から、そこに焦点を当てて詳細に記述する一方で、他のものは軽く触れるくらいにしておく、思い切って省く、といった抑揚をつけて記述するのがポイントです。
次のページの実例は、「フリースタイル式」を基礎にしながらも、2ページにカスタマイズして、応募先企業に役立つシステム開発経験を特別に切り出すことで、際立たせる工夫を施しています。
またSE職の場合は、開発システムの内容、担当したプロジェクトの概要、OS言語、ツールなどの開発環境、役割、規模、担当業務といった項目に沿って、自身が携わったSE業務を採用人事に明確にイメージできるように記述します。
また年齢的にプロジェクトマネージャー(PM)、プロジェクトリーダー(PL)といったプロジェクトを牽引してきた経験や実績が求められます。
それなので、大規模システム開発のPMやPL経験のような誇るべきものがあればそのまま表現すればOKですし、他方で小規模システム開発のPMやPLの経験しかない、少ないメンバーしか管理したことがない、としても、これらを経験したことは事実ですから、怯むことなく堂々と書くことが大切です。
<SE(システムエンジニア) 応募者プロフィール例>
42歳男性。大学卒業後、約19年間に、主にシステム開発業務に従事。今回は同じくシステム開発職(プロジェクトマネージャー候補)への応募。
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ここがポイント!
「時系列記述法」で書く場合は、最初の2社の経験が売りにつながらないために、サラッと触れておく程度にしておきます。3社目の現職が応募先企業にベストマッチしていますので、それを強調します。
「所属歴と業務概略」と「主なシステム開発経験」に分けて書くのが、この職務経歴書の最大のミソです。
「所属歴と業務概略」については、単に在籍期間と所属だけの「職歴年表」的な表記では今まで何をやってきたのかがわかりにくいので、ここで業務概要にまで触れておくことで、職歴全体をつかみやすくします。
「主なシステム開発経験」は、今回最も応募先企業にPRしたいところであるので、目立たせるために、これだけを別に切り出して独立させています。
使用可能なプログラミング言語やIT資格などでSE能力を語りながら、PMに必要なリーダーシップを盛り込んでおくと、応募先企業にしっかりと適合しますので効果的と言えます。
まず「豊富なシステム開発スキル」を打ち出して、システム開発者としての幅の広さや汎用性をPRしながらも、次に「プロジェクトマネジメント経験」を書くことで、年齢相応のプロジェクトを管理していく経験を積んできた、と評価してくれることでしょう。
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転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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