前回はメールと添え状の書き方について解説しました。
そして今回はお礼状と推薦状の書き方について、解説します。
まずはお礼状について。
この年代ならば、ビジネスシーンでお礼状を書いた経験がきっとあるはずです。
仕事上、お世話になったり、サービスを受けたことに対して、お礼を伝えるのと同様、面接対応いただいたことに対して、そのお礼をお礼状ハガキを郵送することで伝えるのです。
そもそもビジネスシーンでお礼状を送ることは何ら失礼には当たりませんし、誰でもきちんとしたお礼状をもらって嫌な気はしません。
だからこれを面接後にも応用するのです。
まず作成方法についてですが、高級紙のハガキに直筆で書きます。
まず用紙についてですが、官製ハガキでは凡庸で非常に安っぽく感じます。
どうせやるならば、徹底的に用紙にもこだわってください。高級文具店に行けば、高級紙で作られた、洗練されたハガキが多数販売されています。
また「それならば封書の方がいいのでは?」という人もいますが、採用人事側にとっては開封に手間がかかるし、何が入っているかわからない怖さ(不採用にしたことの逆恨みの手紙もたまに届くことがあるのです)もあります。
その点、ハガキですと開封率100%で、採用チーム内でも回覧してもらえる可能性がありますから、ここはハガキなのです。
直筆で書く理由は、ワープロ打ちのハガキだと大量応募の匂いが醸し出てしまうからです。
履歴書ほど情報は多くありませんから、下手でも丁寧に気持ちを込めて書けば大丈夫です。
最も大事なことは、採用人事の選考評価が固まらないうちに、届けることです。
面接でのやり取りで評価を下すのが採用選考の鉄則ですが、採用人事も人の子、このハガキで評価が好転する可能性はゼロではありません。
ただし評価が固まってからでは、どうしようもない。
だから帰宅してからじっくりと腰を据えて書くというのでは遅過ぎます。
面接が終わったら、すぐに会社近くの喫茶店等に入って、その場で書いてポストに投函するのです。そうすれば明日には着くでしょう。
帰ってからでいいや、明日書けばいいや、の先延ばしはNGと心得ておいてください。
なお、最近は面接後にお礼メールを送る人は多くなってきていますが、やはりハガキに比べてインパクトは落ちます。ここはちゃんと手間暇をかけましょう。
ポイント解説
雇用有事の今、中高年は内定獲得のために、あらゆる手を尽くす必要があります。
その一つとして効果的な方法が、この「推薦状」の活用です。
自身の人脈をフル活用して、前職の社長や上司役員、取引先の部長といったオーソリティに「推薦状」を書いてもらい、応募書類と一緒に郵送します。
それで自身の実力や能力、身元が確かであることを社会的信用度の高い第三者に担保してもらうのです。
身元保証書や身元保証契約書といった責任の重い書類と意味合いが違いますから、頼む方も受ける方も比較的取り組みやすいといえます。
ぜひ自分の転職活動のサポーターになってもらえるよう、オーソリティに協力を求めてみてください。
なお、これを書いてもらう人は応募先企業の採用人事に対して、信用や信頼を与えられるような人を選ばなければなりません。ここでオーソリティと言っているのは、そういうことです。
だから父親や母親といった身内や遊び友達、社会的地位の低い人からの「推薦状」では、逆効果になる危険性があることを理解しておいてください。
内定獲得に苦戦している人はたくさんいますが、この「推薦状」を取ってまで就職活動に臨んでいる人は実際には稀有です
(筆者の経験からすると、多くてもおそらく0.03%未満の確率でしょう)。
中高年は周りに対して、長年仕事上で積み重ねてきた信用・信頼がきっとあるはずです。
これを文書化して自身の「売り」につなげていくくらいのバイタリティは必要ですし、まだ職務経験の浅い若手にとってこれを真似るのは難しいと言えます。
採用人事としても、どこの馬の骨ともわからない人よりは、後ろ盾があって身元がはっきりしている人の方が、絶対にいいに決まっています。
しかし、この「推薦書」を作成するにしても、そもそもどうやったらいいか、わからないことでしょう。
それなので、ポイントを順番に解説しますと、まずそのオーソリティに作成経験があるようならば、その人に今回作成をお願いする主旨や提出先などの情報を伝えて、作成を一任します。
たとえば、大学教授のようなオーソリティならば、自身のゼミ生、研究生の就活用の推薦状の雛形を持っていらっしゃったりします。
問題は作成方法がわからない場合です。この場合は、こちら側で草案をワープロ打ちで作成して、それにオーソリティに自署&押印してもらうのがベストです。
全て手書きとなると、手間がかかるためにオーソリティの気持ちが萎えてしまうし、オーソリティの字が読みにくい等のリスクがあるため、ワープロ原稿に自署&押印するかたちの方が無難です。
そして皆さんが一番難しく感じる推薦状の中身ですが、要はその働きぶりや評価を証明してもらうのが主旨ですから、長々と書かずに要点を書くのが作成のポイントです。
実際の採用現場では文面や構成云々よりも、オーソリティの社会的地位の高さや、ちゃんとその人が自署しているのか、押印してあるのか、の方に着目します(いわゆる「コネ入社」の際のコネの威力の大小を想像していただければ、おわかりいただけると思います)。
それなので、次ページのような実例を加工して、ササッと作成しても、きちんとオーソリティから推薦されていることがはっきりすれば、その威力に影響はありません。
ある場合 | ない場合 |
---|---|
オーソリティに主旨説明や応募先企業の情報を提供して、後は作成を一任 | 自身で草案を作成し、オーソリティに自署&押印をお願いする なお、草案は次ページのような実例を真似て作成して構わない |
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ポイント解説
中高年転職力アップ~面接対策編~
第1回「中高年の面接対策1~中高年の面接事情とは?~」 へ続く
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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