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転職を考えはじめたら、転職にまつわる噂や忠告が耳に入ってきます。
たとえば、
など。
実際は、どうなのでしょうか。
第二新卒という言葉をお聞きになったことがありますか。第二新卒とは、社会人歴0~3年目の職歴が浅い人を指します。
短期間で辞める人に対して、偏見を持つ人がいるのは事実です。しかし、「第二新卒歓迎」という求人もあります。ですから、1社目が短いというだけで、転職ができないということはありません。
にもかかわらず、まれに「すぐに辞めるヤツ」だと思われないよう、在職期間をかせぐためだけに、ただ我慢を続ける人がいます。耐えるだけの時間は人生の無駄遣いだと、わたしは思います。
だからといって、安易な転職をすすめるわけではありません。1~2年で職を転々とする人を指して「ジョブホッパー」と呼びます。ここまでくると、「すぐ辞めるのではないか」と疑われる可能性が高まります。
転職を決める前に考えること
転職する前に、これらを考え、行動してみましょう。
「これ以上、できることはない」と思えてからの転職活動なら、面接でよく聞かれる「転職理由」「退職理由」も、堂々と納得感の高い話をすることができます。
転職したとたんに活躍する人がいます。仕事ができないのも、人間関係がうまくいかないのも、ただ単に「その会社とあわない」という場合です。
たとえば、総合商社に就職したAさんとBさんのコメントを見ると、あう・あわないとはどういうことかを理解しやすいと思います。
例1 Aさんの場合 【会社に合う】
とにかく面倒見のいい会社なんです。先輩も上司も丁寧に仕事を教えてくれますし、仕事で行き詰ったときも、プライベートで悩んだときも、飲みに行こうと言って親身に相談に乗ってくれるんです。同期も仲がよく、週末にしょっちゅう集まりますし、連休には旅行にも行ったんですよ。良い会社に入りました
例2 Bさんの場合 【会社に合わない】
手取り足取り、懇切丁寧に指導されるんですよ。そこまでされると、監視されているようで、信頼されていないと感じて辛いです。毎日のように飲みに誘われますし、同期はべったりで、一緒に旅行までしちゃうんです。この会社にはプライベートがありません。仕事は楽しいけれど、ここで続けていくことはできません。
このように、同じ環境でも、人によってあう・あわないがあるのです。人それぞれ、個性があるように、会社にも個性があります。いま、あなたが不満に思う事柄が、会社特有の体質・風土・仕事の仕方ならば、転職によって不満がなくなる可能性が高まるでしょう。
人間関係も、会社特有の体質・風土・仕事の仕方に起因するものならば転職によって解決できます。ただし、風土や人間関係をつくるのは、社員1人ひとり。あなたの振る舞い、かかわり方で、会社の風土や人間関係は変化するものです。
「箸よく盤水を回す」という言葉があります。たらいいっぱいに張った水の真ん中を、細い一本の箸で根気よく回し続けると、周りの水が回り始め、最後には、たらいの水全部が回り始めるという意味。
つまり、小さな乏しい力であっても、大きなものを動かす力があるということです。自分にとって快適な人間関係になるように働きかけをするという選択肢もありますね。
単に、上司・先輩にあわない人がいるということならば、転職先でも同じ環境になる可能性があります。今の状況は、あなたの人間関係のスキルを伸ばしたり、人に対する見方のゆがみを調整したりする時期なのだと考えてみてはいかがでしょうか。
もし、「上司がダメだから私はうまくいかない」「上司のせいで私は不幸だ」と考えているとしたら、転職してもうまくいきません。それは、悪い出来事を自分の以外のもののせいにする習慣がついているからです。
上司や先輩も、ひとりの人間です。完璧な人間はいないように、完璧な上司・先輩は存在しません。あなたはこれまで経験のない仕事を与えられ、失敗しながら成長してきました。同じように上司も、完璧に上司業ができるから上司になったのではありません。失敗しながら成長することを期待されて任されているのです。
上司を育てるのも、部下の仕事です。上司を育てると、自分の仕事がしやすくなりますし、評価もあがります。
何よりすばらしいことに、ここで身に着けたスキルと経験は、あなたの財産となります。
上司は完璧ではないとわかった上で、自分にできることを考えましょう。良い関係を築けるように手をつくしてから転職を考えたほうが、あなたの力になります。
ただし、良い関係を築くといっても、上司にあわせて自分を殺すのではありません。
たとえば、
これまでの行動パターンを崩して、チャレンジしてみてください。どうせ辞めてしまおうと考えている会社です。「嫌われてもいい」「評価が落ちてもいい」と勇気を出して行動してみましょう。
たとえば、上司に「きついです」と話すことで、異動して楽になった人がいます。部署はそのままに、仕事の与えられ方が変わったり、上司のフォローが変わったりして、転職を決意していたほどの辛さが消えてしまった人もいます。
また、対話によって、自分が本当に求めるものや好きなことを整理したり、会社や社会の仕組みを知ったりすると、問題が気にならなくなることもあります。
少し勇気を出すだけで、転職しなくても良くなるかもしれません。
あなたが「してはいけない」と思っていることをしたり、「しなければならない」と思っていることをしなかったりする「常識はずれ」な人がいると、イライラしますし、腹も立つことでしょう。その人がクビになることもなく、社内で認められていたら、なおさら嫌な気持ちになってしまいますね。人間関係の不満に多い例です。
もし、常識はずれな人に心が乱されるならば、自分自身の常識のほうを疑ってみましょう。「常識」だと信じることは、人それぞれ異なるからです。
コンサルティングでお会いする人には、「常識」だと信じてきたことにがんじがらめになって身動きが取れない人が多いです。もしあなたが、「苦しい」「天職を実現したい」と思われるならば、いま信じている常識を、はみ出してみてください。
そのために「ありえない人」の「ありえない行動」を真似てしてみるのもひとつ。「こんなことをしても大丈夫なんだ」「あんなことをしてもいいんだ」とわかるだけで、あなたの行動の選択肢が増えます。それだけ仕事がしやすくなります。
そして、わたしの経験上、「天職は、自分の常識の外にある」ことが多いです。日常の行動や思考が、常識の外に飛び出していくことは、天職を選ぶ準備運動のようなものだと感じています。
転職活動をはじめる前に、まず、不満や悩みを解消するための工夫をしてみましょう。