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あなたを採用する企業は、選考を通して、「あなたが、入社して活躍するか」を見ています。
面接マナーもその要素のひとつ。ですから、企業によって、受かる基準はもちろん、正解すら異なります。それを念頭に置いて、読み進めてください。
面接にふさわしい服装は、その企業で働くイメージをさせるもの。かつ、あなたらしさが出ているものです。
ですから、社会人になってから一度も着ていないような、学生時代のダサいリクルートスーツは、面接の服装としてふさわしくありません。
一部上場メーカーに採用コンサルティングに行ったとき、採用担当者が悪態をついていました。「あー、毎日、黒、黒、黒。葬式みたいで、気がめいる」と。
別のPR会社の面接官、専門商社の社長からは、質問を受けました「どうして面接は、黒のスーツじゃないとダメなんですか?」と。
さらに、「100歩ゆずって、黒スーツを着るとして、なぜ鞄も黒なんですか? ベージュと茶のツートンなんかだと、黒いスーツにもあうし」ともおっしゃっていました。
このように、応募側は「面接は黒いスーツであるべきだ」と思っていても、採用側は、それが嫌いであったり、疑問を持ったりしているケースがあります。
好きで選んだ黒いリクルートスーツなら良いのですが、「こうあるべき」だと思って着ているならば、辞めませんか。
男性のシャツは、ストライプ柄やカラーシャツなど、真っ白でなくてもOK。ネクタイは顔移りの良い、色・柄を選びましょう。
女性は、スーツの男性の横に立って違和感のない服装。ジャケット着用であれば、スーツではなくても、ほとんどの業界で受け入れられるようです。夏ならば、ブラウスのみでも気にしない企業が多いです。
応募する企業で働く人たちのドレスコードを見てみてください。それにあわせれば安心です。
ビルについただけでは安心できません。エレベータの場所がわかりづらかったり、同じフロアに何社も入っていたりして、ビル内で迷ってしまうことがあります。受付の場所を確認しましょう
受付の場所を確認したら、建物内のお手洗いや近くのカフェなどで身支度を整えてスタンバイ。
遅刻は厳禁ですが、早く訪問しすぎるのもマナー違反です。
受付では訪問目的と時間、訪問先(先方の担当者名)、自分の名前を伝えます。丁寧に言いすぎてまどろっこしくならないように注意!
【例】「14時からの面接にまいりました梅田幸子です。管理部の大木さんをお願いします」
受付に人がおらず、内線電話で呼び出すケースもあります。
また、ドアやエレベータを空けたらすぐに事務所という場合は、大きい声であいさつをして、出てきた担当者に訪問目的と時間、訪問先(先方の担当者名)、自分の名前を告げます。
そのまま面接室へ通されることもありますし、控え室で待たされる場合もあります。すぐに立てるように浅く腰掛けておきましょう。
受付の人と案内の人が違う場合は、もう一度あいさつをしましょう。立って「梅田幸子です。本日はよろしくお願いします」と言い、軽く(ただしキビキビと)おじぎをします。
案内の人かと思いきや、面接官だったというケースも少なくありません。
あいさつをするタイミングは、3回
1つアクションをおこすごとにあいさつをする、と覚えておきましょう。
提出書類がある場合は、座ったらすぐに出してください。
書類はカバンから取り出しやすいように、事前に準備を。出したら、両手で差し出します。
面接後も、「1アクション、1あいさつ」です。
どのあいさつも「ありがとうございました」では芸がないので、「失礼いたします」「よろしくお願いいたします」などを織り交ぜるとスマートです。
仲介者がいる場合は、面接終了の電話を入れましょう(転職エージェント、紹介してくれた知人など)。
ノックの目的は何でしょうか。「室内にいる人の注意を向けること」です。家にたとえると、チャイムと同じです。
ですから、案内係がいる場合は、案内係がノックをするので、あなたは後について入れば良いだけ。
友達の家に遊びにいって、「どうぞ」と玄関を開けてくれているのに、チャイムを鳴らしませんよね。
では、面接会場がパーテーションで区切られただけのスペースでドアがない場合だといかがでしょうか。
面接官が、下を向いて書類を読んでいるなど、あなたに気づいていない場合は、パーテーションをノックし、「失礼します」と声をかけて、注意を向けましょう。
面接官が、顔をあげて待っているならば、目があいますね。玄関はあいていて、家主がそこにいるのと同じ状態。ノックはせずにあいさつが正解です。
あいさつは「こんにちは」「はじめまして、○○です」「失礼します」なんでもOK。
このように、マナーは「目的」を考えながら覚えると、応用がききます。
わたしは、キャリアコンサルティングの他にも、企業に呼ばれてその企業の面接官をしたり、新入社員研修をおこなったりしています。そこで気になるのは、言葉づかい。
丁寧に言おうとして、間違った敬語をつかったり、ただ単に文字数の多い言葉におきかえたりするだけの人が目につきます。
ビジネスは、経済効率性を求めるので、短く丁寧に伝えるのがよしとされます。文字数を増やすだけでは、真意も伝わりにくくなるので、面接では避けたほうがいいです。
これを敬語にすると? | 多い間違い | 正解 |
---|---|---|
いま | まもなく | ただいま |
どんな | どういった | どのような |
します | しておきます | いたします |
営業です | 営業をさせていただいております ※注1 |
営業をしております |
これらは、敬語を使いなれていない方に多い失敗例。
面接の場だけ敬語を使おうとして、間違った言い方をし、話が伝わりにくくなるならば、敬語を使わないで、普段のままで臨んでください。そのほうが、あなたらしさが伝わりますよ。
ですから、間違ったときの言い換えも、意図が伝わらないときだけで結構です。
「僕は今のプロジェクトで、あ、間違えました! わたくしは……」と面接中に何度も言いなおす人。僕といったくらいでは、多くの企業では落ちませんので、内容に集中してください。
好まれる敬語のグレードは企業によって異なります。
エグゼクティブ相手に、高額商品を提供する仕事ならば、しっかりとした敬語力が必要です。別の企業は、「うちのお客様は、工務店の職人さんなので、ハイグレードな敬語だと嫌われます。少しくだけたくらいがいい」とおっしゃいます。
正しくマナーができているか、次はどうするのが正しいのか、と考えるあまり、おどおど、ギクシャク、ダラダラして見える人がいます。これらはマイナス印象で、不採用の決定打になりえます。
面接は、働く姿をイメージしてもらうためのもの。
あなたを採用する企業は、選考を通して、「あなたが、入社して活躍するか」を見ています。
おどおど、ギクシャク、だらだらと動く人は、活躍のイメージが持ちづらいのです。
マナーは、できるにこしたことはありません。普段の生活では、しっかりとしたマナーが身につくように、学び実践(練習)していきましょう。
しかし、面接会場では、間違ってもいいから、堂々と!「正しさ」は横に置いて、あなたを伝えることに力を注ぎましょう。
おどおどと正しい言動をする人も、堂々と間違った人が採用されていきます。