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転職活動でよく聞かれる質問は、
です。
それぞれについて、よくある失敗と、成功のポイントをお話ししていきます。
わたしは、転職したい人のキャリアコンサルティングと、採用したい企業やお店の面接の両方をしています。
転職したい理由は、非常によく聞かれる質問ですが、転職したい人側の「誤解」によって、受かる面接に落ちてしまう人が多いことを残念に思っています。
誤解① 転職理由は、キャリアアップがいい
誤解② 離職期間が空いている人は、親の介護か、資格取得と言うべし
誤解③ ネガティブなことを言ってはダメ
それぞれ解説していきましょう。
ある企業では、「キャリアアップしたい」という人は、不採用にしています。
その企業では、各人で仕事の役割と範囲が決まっており、ひとりひとりが、自分の仕事を全うしなければなりません。
ですから、キャリアアップしたいと思っても、隣の人と仕事を交換するくらいしか、変化がないのです。
たとえば、「営業事務」→「経理」「○業界向け営業」→「△業界向け営業」。しかも、そんなに難易度は高くありません(お給料はいいので、人気求人です)。
社長は「当社では、いろんなことにチャレンジしたり、どんどんレベルの高い仕事をしたい人に、道を用意できないので」と言っていました。
つまり、「転職理由はキャリアップがいい!」は、ウソ。
キャリアアップしたいという気持ちが本当ならば、いいのです。キャリアアップできない職場から、不採用にしてもらえるのですから。
しかし、自分にできる仕事を、のんびり続けていきたい人が、ウソをついて、希望どおりの会社から不採用にされるとしたら、これほど残念なことはありません。
ウソをついて、介護・資格取得のために離職していたと言う人が増えています。面接に慣れている企業では、だいたいばれます。
たとえば離職期間が1年間なるのに、2~3か月で取れる資格を取っていても納得感はありません。
「英語の勉強をしていた」と言っても、それなりの力がついていないと、「他の時間は何をしていたのだ?」と疑問に思われます。
在職のまま勉強している人もいるので、転職理由としては説得力が弱いです。
そもそも「辞めてまで学ぼうと思った」動機を語れる人はあまりいませんし、「辞めてまで取った資格を、活かさないでいい」と言われても解せません。
介護は、「辞めなければならないほどの状態であったのか(症状や家庭環境など)」「休職が許されなかったのか」「就職しても、また介護で辞めることになるのではないか」といった様々な疑問や不安をクリアしなければなりません。
いずれも、本当のことならば語れるでしょうが、ウソで納得させるのは、困難です。
「会社が粉飾決算をしている」から辞めたのだけど、粉飾決算なんて、めちゃめちゃネガティブなこと言ってはだめですよね? 転職理由をどう説明したものか……」とご相談がありました。
言っていいです。いえ、言ってください。
面接官は、「なぜ辞めたの?」「なぜ、転職したいの?」に、納得いく回答がほしいのです。
何の不満もなく会社を辞めたいとは思いませんよね?
前職(現職)の不満を聞くことで、あなたが入社して、不満なく働いてもらえるか、相性のすりあわせをしているのです。
「会社が粉飾決算をしている」からと聞けば、「あ~、そりゃ嫌だねえ」と納得する面接官が多いでしょう。
もちろん中には、「会社が粉飾決算をしているくらいで辞めるなんて、甘い!」と言う面接官もいるでしょうし、「それを是正する努力はしなかったのか?」と考える面接官もいるでしょう。その場合は、落とされます。
それは、落とされていいのです。
自分にはあわないということですから、ちょうどいいフィルタリングになります。
そうすると、「前の会社の悪口を言うのは、ダメって聞きました」と不安になる人もいます。
面接では、悪口、恨み、つらみ、怨念は、言わないほうがいいですね。そういう人、怖くて採用できませんから。
しかし、冷静に事実を言うのは、「理由」であって、「悪口」ではありません。
ほかにも、ご相談者が、ネガティブだと思い込んでいて、転職理由に言えなかったことには、このようなものがあります。
など。
すべて言っても大丈夫ですよ。
本当の理由を隠しても、ウソをついても、面接官は納得できないので、突っ込まれます。
本当の理由を言ったことが原因で落とされたなら、それはとても良いことです。嫌な会社に入らなくてすむのですから。
悪口、恨み、つらみ、怨念にならないように、心の整理は、必須です。しかし、転職理由は、応募先があなたとあっているかを見極める重要な要素です。本音を伝えましょう。
本当のことを……といっても、言いたくない心の傷もあるかもしれません。
そのような場合は、ありのままの事実の中から、言えることを言ったら良いのです。
特に、前職で不満に思う事柄の中で、転職後に解消したい内容は、必ず伝えましょう。入社してみたら、希望とまったく違ったというリスクが減ります。
緊張した面接で、気持ちや事実を整理して話す自信がない人は、職務経歴書に書くのがおすすめです。
転職活動の面接は、職務経歴書をもとに進められるのが一般的です。
何をしてきて、何ができるのかを問われます。
質問のままに答えていては、同じ業界の、経験職種にしか転職できません。
あなたの経験業務を細かく分類して、下の表にあてはめ、何をアピールするか決めてください。
水色の部分が、アピールするにふさわしい部分です。
どんなに緻密に準備しても、面接に受からない人は、共通した価値観を持っています。
それは、「面接官は敵」で、面接は、だましあい、ばかしあい、かけひきと思っていることです。
「面接官は、ひっかけ質問で、本音を引き出そうとするから、注意していなくては」などと言う人も、同じです。
もしあなたが、このように思っていたら、その考えは捨ててください。
面接官は、将来の仲間であり、上司になるかもしれない人です。
決して、「敵」ではありません。あなたが敵だと思っている限り、相手は、「働く仲間」として見てはくれないでしょう。
さあ、心構えができたら、面接=未来の仲間探しにいってらっしゃい。
あなたは、仲間として選ばれるだけではなく、あなたのほうも、相手があなたの仲間としてふさわしいか、あなたが所属したい場所かを見極めるんですよ。