「今の会社に留まりキャリアアップを目指し邁進するか」
「これまでの経験を通してやってみたいと思える仕事、前々からやりたかった仕事へ新たにチャレンジしていくか」
キャリアの分岐点ともなる30代。
30代は未経験からのキャリアチェンジ転職成功のチャンスとなります。
はたして30代で未経験から異業種・異職種への転職は可能なのか?
年収ダウンしてしまうのではないのか?
この記事では、未経験業界・職種へのキャリアチェンジ転職成功への秘訣を詳しく解説します。
この記事の監修者:渡部幸さん
- 合同会社アクトクリア(アクトクリア)代表
- キャリアコンサルタント(国家資格)
- 産業カウンセラー
- 全米NLP協会認定NLP(神経言語プログラミング)トレーナー
- NLPプロフェッショナルコーチ
プロフィール
接客販売、商品開発、営業統括の仕事に携わった後、人材開発マネージャーとして人事制度再構築、採用、全社の能力開発体系構築を行う。5割の早期離職率を2割に引き下げた。
もっと悩んでいる人の役に立ちたいという思いが強くなり起業。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、心理学等の手法を身に付け、現場経験や、マネジメント手法を活かし採用支援、企業研修、コーチング、大学、などで6万人以上をサポートしてきた。
離婚、再婚、不妊治療、介護、といった人生の出来事も経ながら仕事を続けてきた自身の体験をぜひ役立ててほしいという思いでイキイキとやりがいを持って働く人を増やし続けたいと活動している。
30代で未経験異業種にキャリアチェンジするのは難しい?
30代になると転職は厳しくなるという話がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
詳しく解説していきます。
30代のキャリアチェンジ転職事情
- 30代での転職は珍しいことではない
- 30代で未経験職に挑戦する人は男女共に多い
- 20代や40代とのキャリアチェンジの違い
- 30代前半/後半で求められるレベルや人物像が異なる
30代での転職は珍しいことではない
下記は「doda」が転職先が決まった方に行った調査です。
参照:doda『【転職成功者の年齢調査】年代別転職のポイントも解説!コロナでどう変わった?』
上記を見ると、2021年の転職成功者平均年齢が31.7歳であり、2021年はやや低い結果となりましたが、10年前と比較すると平均年齢が年々高くなっている傾向にあることが分かります。
定年退職後も働く人が増えた現代では、30代はまだキャリア形成の真っ只中という考え方が定着しつつあります。
30代はまだ伸びしろがある上、社会人としての経験も長いことからすぐ戦力になりやすいため、未経験の業種にもチャレンジしやすい世代です。
30代で未経験職に挑戦する人は男女共に多い
「でもやっぱり未経験の業種に転職するなら20代までだろう」と思う方もいるでしょう。
しかし30代でキャリアチェンジした人は、最近さらに増加しているのです。
参照:type転職エージェント『30代の転職で考えなければならないポイント』
この調査結果を見ても、30代の転職者が今後の働き方について真剣に考えて、未経験の仕事に転職を決意していることがうかがえます。
ただ、30代前半と後半で企業側の目線は大きく異なります。どこを見られるのかを下記で解説します。
20代や40代とのキャリアチェンジの違い
30代の未経験からの転職において、20代や40代と異なるのは企業が求める人物像です。
ではどういった点が異なるでしょうか。
40代の転職市場では管理職の経験がある人や専門性を持った人が求められます。
では20代はどうかというと、経験や専門性というよりも仕事に対する前向きな姿勢や将来性が重視されます。
その狭間である30代は、「これまで何をしてきたか」というキャリアとしての経験に加え、「これから何ができそうか」という管理職候補としてのポテンシャルの両方が求められます。
|
企業が求める人物像 |
20代 |
仕事に対するスタンス・将来性 |
30代 |
これまでの経験・管理職候補としてのポテンシャル |
40代 |
管理職としての実績・高い専門性 |
自分は何が求められているのかをしっかりと把握して、30代ならではの強みをアピールするのが大切です。
30代前半/後半で求められるレベルや人物像が異なる
同じ30代であっても、前半(30~34歳)と後半(35~39歳)とでは未経験業種・職種への転職に於いて求められるレベルや人物像が異なります。
30代前半に求めるレベル・人物像
- これまでの経験+ポテンシャル(即戦力とまではならなくても+αでカバー)
- 明確なキャリアプランを持っている
コミュニケーション能力、柔軟な対応力、仕事への熱意をアピールすることでプラスに働く
30代前半だとまだエキスパートとしての経験は浅いと見られますが、その分可能性にスポットを当ててもらいやすいというのが特徴です。
30代後半に求めるレベル・人物像
- 即戦力となり得る人材であること(前職から活かせる経験・知識・実績・スキル)
- マネジメント経験がある(異業種・異職種であってもマネジメント経験は武器になる)
30代前半で求められる内容はもちろんのこと、マネジメント経験をアピールすると◎
30代後半は仕事でエキスパートとしての役割を求められやすく、そのため未経験の仕事への転職が難しくなりがちです。
ですから、全くの未経験業種・職種ではなく「同業種・異職種」や「異業種・同職種」の転職であれば可能性が広がります。
【30代からキャリアチェンジしやすい仕事】とは?
30代で未経験の仕事への転職がしやすい業種・職種にはどのようなものがあるのでしょうか?
業種・職種に分け紹介していきたいと思います。
30代がチャレンジしやすい異業種
- 不動産業未経験者を積極的に採用している。やりがいも大きく求人も豊富な不動産営業職が狙い目
- 介護業慢性的な人手不足となっている。体力のある30代男性には特におすすめ
- 保険業未経験者でも人生経験やコミュニケーション能力に長けていればフィットしやすい
- サービス業研修体制がしっかりしているため未経験者でも働きやすい。人手不足の企業も多い
30代がチャレンジしやすい異職種
- 営業職多くの業種で必要とされている職種であり、人柄やコミュニケーション能力を重視されやすい
- 介護職人手不足が深刻。入社後に資格取得支援を行っているところが多い
- エンジニア職人手不足が深刻なため、未経験からでも教育体制が整っているところが多い
- ドライバー職教育体制が整っているところが多く、未経験者でも積極的に採用している
- 販売職経験だけでなく人間性も重視されやすい
上記に挙げたチャレンジしやすい業種はあくまで一例です。
この他の業界・職種には転職できないというわけではありません。どんな業種だったとしても、自分がチャレンジしたいと思う求人を見つけたら積極的に応募しましょう。
30代/異業種キャリアチェンジで意識する事
30代で未経験の業種や職種に転職する場合、どういったことを意識すると転職や転職後のキャリアを成功できるのでしょうか。
30代未経験の転職でおさえたいこと
- 一からのスタートだという意識を持つ
- 転職活動は在職中に完結させる
- 企業の下調べをしっかり行うこと
一からのスタートだという意識を持つ
異業種・異職種への転職ではこれまでのキャリアを活かすのが難しい場合も多いため、即戦力としてバリバリ成果を挙げるということにはなりにくいもの。
未経験の仕事でより良いキャリアを積むためには、「経験」や「実績」に変わる他の部分でいかに補っていくかを意識して考えておく必要があります。
30代、未経験の転職で意識すること
- 人柄・人間性
誠実な人柄や真面目な考え方はどんな職場でも重宝される
- 円滑なコミュニケーション能力
同僚や上司とスムーズにやりとりできれば、仕事も覚えやすい
- 仕事への意欲・熱意
やる気を持って取り組むと、知らないことを楽しみながら仕事ができる
未経験の転職は、新卒で働き始めたときと比べて社会人としての経験やプライドがある分働きにくさを感じることもあるでしょう。
しかし「自分は新卒のようなものだ」という気持ちで臨むと、一から真摯に取り組めるものです。
転職活動は在職中に完結させる
30代からの未経験業種・職種への転職は確かに可能ですが、転職活動が長期化してしまう可能性も高いため注意が必要です。
特に、退職後の転職活動は生活のこともあるため長引けば長引くほど「早く転職先を決めなくては」という考えになりがちで、焦って就職先を決めた結果希望に沿わない会社に入社してしまうこともあります。
長引く転職活動に焦り、納得しないまま転職先を決めてしまうことのないように、在職中から転職活動を進めていくことをおすすめします。
30代未経験での転職先企業を選ぶ際の下調べ
転職先企業を選ぶ際は、上辺だけの情報やイメージだけでなくしっかりと下調べをしておくことが大切です。
第二種電気工事士
- キャリアの棚卸しをしておく
…これまでやってきた仕事内容、実績、成果などを書き出し整理しておく
- 自己分析をしっかりとしておく
…自分の強み・弱み、アピールポイントを客観的に知る
- 企業研究をする
企業の特徴を理解し相性を見極める
- 多くの企業へ応募する
転職活動の長期化を防ぎ、なるべく多くの可能性を広げるため
- 転職エージェントの活用
…転職のプロのサポートを受けながら効率良く転職活動を進めていく
今までの仕事から応用できるスキルを把握する
30代で未経験の転職を成功させるためには、「今までとはまったく違う仕事に就く」という意識を変えることが大切です。
たしかに、職種や業種としては未経験の業務かもしれませんが、大きな「仕事」というくくりでいうと、30代まで培ってきた自分の経験を活かせる部分があるはずですし、企業側もそれを求めて30代を採用しようとします。
これまでの経験でどのような工夫や努力を行ってきたのか、具体的な業務遂行のプロセスを棚卸ししておきましょう。自分がどのような思いで行動してきたのか、「思考」の部分も含めて整理すると役立ちます。そこから
・問題解決力 ・コミュニケーション能力 ・周囲を巻き込む協働力 ・提案力 ・前向きな姿勢
などの、新たな仕事に応用できる汎用性のあるスキルや人間的な長所を見つけることが重要になってきます。
30代からキャリアチェンジを考える人は「転職ージェント」を利用すべき
30代でキャリアチェンジを伴う転職は可能ですが、誰もが簡単に成功できるものでもありません。
先ほどお話ししたように、転職エージェントを利用すれば転職のプロが様々なサポートをしてくれます。
転職エージェント 主なサポート内容
- キャリアカウンセリング(転職相談、キャリアの棚卸し、キャリアプラン、自己分析など)
- 求人紹介(一般には公開されていない非公開求人からの紹介もあり)
- 応募書類作成、添削
- 面接対策、面接日程の調整
- 雇用条件交渉(給与など)
- 入社日の調整
転職活動を何から始めたらいいのか分からず不安に感じている人・上手なアピール方法が分からない人など、転職活動に行き詰まってしまっている人は、転職エージェントのサポートを受けることで明確な道筋が見えてくるはずです。
「今更異業種や異職種への転職なんて無理かも」と思って諦めてしまう前に、30代の未経験からの転職こそ転職エージェントを有効活用しましょう!
30代・未経験に強い転職エージェント
「転職サービスってどれも似たようなものばっかりで違いがわからない」という人も多いですよね。
ここでは、数ある転職エージェントの中でも特に30代未経験からの転職に強い転職エージェントを紹介します。
ホワイト求人が豊富なのは|doda
dodaは、業界屈指の知名度を誇る転職エージェントです。
dodaの魅力はホワイト企業の求人が多いこと。
転職エージェントではあるものの、自分で求人を検索し応募することも可能です。
「初めての転職で失敗したくない」
「どのサービスを選べばいいか迷っている」
そんな人にdodaがおすすめです。
※2024年 オリコン顧客満足度®調査 転職エージェント 20代 第1位
理想の職場が見つかりやすいのは|リクルートエージェント
リクルートエージェントは、大手なこともあり求人数が圧倒的。
30代のキャリアチェンジを叶える、未経験OKの求人や研修制度が充実した求人を豊富に取り揃えています。
数多くの転職者を成功させてきた実績と安心感があります。
「経験豊富なコンサルタントのアドバイスが欲しい」
という方は、リクルートエージェントを選ぶと良いでしょう。
外資系を目指してみたいなら|LHH転職エージェント
LHH転職エージェントは、スイスを本拠地とするアデコグループの運営するサービス。
外資系企業の求人が多いのが特徴です。
「外資系にチャレンジしてみたい」
「今より年収をアップさせたい」
という方には、LHH転職エージェントがおすすめです。
30代からのキャリアチェンジ転職に関するよくある質問
最後に、30代のキャリアチェンジ転職に関する質問をまとめました。
30代未経験で事務職への転職は可能?
「家事・育児との両立がしやすい」「安定して腰を据えて長く働ける」子育て世代の女性に人気なのが事務職です。
人気が高い分事務職の経験がなければ書類選考を通過することすら難しいという実態も。
ただ、事務職は20代向けの求人が多いため、30代からの事務職への転職は実はなかなか厳しいでしょう。
未経験だけど事務職で働きたい、という30代は転職支援サービスを使って賢く転職活動をしましょう。
会社によっては30代の人を採用したいと考える場合も当然あります。
転職エージェントはそうした求人を見つけるのが非常に得意なので、頼らない手はありません。
Point
激戦の事務職は転職エージェントを利用することで未経験でもスムーズに転職可能!
30代未経験|事務職に強い転職エージェントを探す!
転職したい理由や外せない価値観を明確にしよう
ここまで見てきて、「キャリアチェンジの転職」と一口に言っても、目指す理由は様々であることがわかります。
自分の転職したい最優先の理由は何でしょうか。
「業務内容でもっとやりたい仕事がしたい」のか、「子育てと両立しやすい事務職に職種を変更したい」のか「家の近くなど働く環境を変えたい」のか、転職活動に入る前になぜ転職したいと考えるようになったのか、理由を言葉にし、大事にしたい条件や価値観を出してみることをおすすめします。
その後、どの順番に必須だと思うのか優先順位をつけてみましょう。それによってマッチする業種や職種も変わってきますし、自分の方向性に合った転職エージェントを活用する方法も見つかりやすくなります。
30代キャリアなし未経験の転職は”資格なし”でも大丈夫?
資格の有無だけで転職が有利になる・不利になると言い切ることは出来ません。
確かに20代であれば業務に関係する資格を持っている・または転職のために資格を取得した場合は、仕事に対する前向きな姿勢が評価されアピール材料になる場合もあります。
ですが、30代は即戦力となり得る人材であることが求められる傾向にあるため、資格の有無よりもこれまでの経験をどう活かせるのかが問われるのです。
資格が必須でない仕事への転職を考えるのであれば、新たに資格試験の勉強をするよりも、これまでの経験の中から新しい仕事へ活かせるスキルや能力を見つける方が得策です。
30代で未経験の転職は”年収ダウン”必須?
同業種・同職種の転職であれば「キャリアアップのための転職」がほとんどなので、もちろん給料や年収が上がることを前提に転職が決まる人が多いでしょう。
しかし、キャリアチェンジを伴う転職では未経験という理由で年収ダウンの状態からスタートする場合も多くあります。
しかし、一時的に年収がダウンしてしまったとしても、業績や成果が認められれば年収アップは可能です。
求人を見るときのポイントとして「昇給あり」の記載があるかどうかはきちんとチェックを。昇給ありの場合は「どういった条件の場合昇給するのか」を面接時に確認しましょう。
転職で収入が下がる場合、現在もらっている年収と比較した上でどの程度の年収ダウンまでなら生活水準を保てるのかをあらかじめ考えておく必要があります。
大幅な年収ダウンを避けるためには”転職後”ではなく”内定時”に給与交渉を行っておくことも一つの方法でしょう。
転職後も給与の水準を保つPoint
- 昇給ありの求人に応募する
- 内定時に給与交渉する
- 転職後熱意・意欲を持って働く
- 短期間で給与アップが見込める仕事を選ぶ
ポイントをおさえて30代未経験の転職を叶えよう
30代で未経験の仕事へのキャリアチェンジは確かに簡単にできることではありません。
しかし、「今転職したい理由」・「転職をして実現したいこと」の2つを明確化しておくことで、転職活動にブレが生じにくくなります。
「自分には成し遂げたいことがあって転職する」という意思を持ち、転職を成功させるためのポイントを意識しながら転職活動を進めていくことで必ず道が開けてきます。
一人では不安に感じるとき、上手くいかないときは転職エージェントの力を借りてみましょう。新しいキャリアが納得・満足のいく転職となることを願っています。
30代におすすめ関連記事