【作:ちょっ子さん】
「アットホームな職場です!」
よく求人広告で見かけるお馴染みのフレーズ。
某有名求人検索サイトで“アットホームな職場”とキーワード検索すると9万件以上の求人がヒットするほど世の中にはアットホームな職場がたくさんあるのです。
あなたはこの“アットホームな職場”というフレーズにどのような印象を受けますか?
「働きやすそうだな」「社員同士仲が良いのかも」と良いイメージを持つ人もいれば、「逆にあやしい」「具体的にどういうこと?」と悪いイメージを持つ人もいるでしょう。
ネット上では『アットホームな職場です=ブラック企業』とまで言われるようになっていますが‥実際の所はどうなのでしょうか?
アットホームな職場の実態!?そして、求人広告に惑わされない満足度の高い転職を叶えるための方法についてもお話ししていきたいと思います。
アットホーム(=at home)
[形動]自分の家にいるようにくつろげるさま。家庭的。
※出典:デジタル大辞泉
アットホームの意味はこのようになり、求人で使用されることの多い「アットホームな職場」で伝えたいことは、
・家のように居心地の良い会社
・仲間意識が強く社員の仲が良い
・仕事終わりに飲み会もあります
・休日も社内イベントがある楽しい会社
‥など、楽しく働きやすい会社であることをアピールしているのだと思われます。
退職理由で挙げられることが多い「職場の人間関係」に悩み転職を決意した人にしてみれば、仕事内容や給料よりも人間関係が良好で居心地の良い会社であることを求める傾向にあると思うので「アットホームな職場」というフレーズに興味をそそられるのかもしれません。
もちろん、働くのであれば人間関係が良好で居心地の良い会社に越したことはありませんが、仕事とプライベートをしっかり区別したい人にとっては逆にアットホームな職場を敬遠したくなる人もいるでしょう。
「アットホームな職場です」を謳う求人広告はたくさんありますが、そのフレーズを魅力的に感じ素直に応募してみたいと思う人はどのくらいいるのでしょうか?
※参照:しらべぇ『「アットホームな職場です」を信じる人は?』
https://sirabee.com/2018/07/22/20161649471/
しらべぇの調査によると求人広告の「アットホームな職場です」を信用していない人は全体で56.5%と半数以上であり、男性よりも女性の方がより信用していないことが分かりました。
逆に考えると、半数弱の人は「アットホームな職場なら働きやすそう」と多少なりとも感じているとも捉えられます。
求人広告に記載された「アットホームな職場です」が全て偽りではありませんが、学生時代のアルバイトなども含めこれまでの就業経験から良くも悪くも働く現場の実状を知ってしまったからこそ素直に受け入れられなくなってしまう人が多いのでしょう。
そして、約3割がこれまでに「アットホームな職場です」に騙された!と思った経験があると答えています。
※参照:しらべぇ『求人で「アットホームな職場です」と記載されている会社の内情3選』
https://sirabee.com/2018/11/25/20161862276/2/
まず「アットホームな職場」というフレーズが曖昧であることに問題があるのかもしれません。
会社側が思う“アットホーム”と求職者側が想像している“アットホーム”とが必ずイコールになるとは限らず、とても主観的なことであるため「アットホームじゃない!騙された!」となってしまうこともあるのではないでしょうか?
会社側に悪意がなく求職者との感じ方が異なる場合は仕方ないですが、中にはあえてアットホームであることを求人広告の前面にアピールしている会社もあり少し注意が必要となる可能性もあります。
一部では地雷求人と言われていますが、何を持って求人広告に「アットホーム」と謳っているのか?そこが大事なポイントです。
決してアットホームな職場が悪いわけではありませんが、ブラック企業が悪い部分を隠すためアットホームという文言をいいように使っていることもあります。
「アットホームな職場」の本当の意味を深掘りしてみましょう。
社員の人数が少ない環境であることを“アットホーム”と呼んでいる。
小規模会社の場合、人数が少ないからこそ本当にみんな仲良く居心地の良い環境である場合と、仲間にも入れてもらえず他の社員もギスギスしていて居心地の悪い場合がある。
アットホームの意味にもある“家庭的”にぴったりな家族経営・親族経営の会社でも「アットホームな職場です」が使われることがある。
家族経営会社には、社長がワンマンになりやすい・公私混同が酷い・身内贔屓がある・給料が低い・閉鎖的‥などのデメリットが挙げられることがあるため注意が必要なことも。
社員同士の仲が良いことは悪いことではありませんが、既存社員達の仲間意識が強すぎることで社内コミュニティが出来上がっていて新人は輪に入れない(入りにくい)場合や酷いときは態度が気に入らない・価値観が合わないからと集団で嫌がらせをしてくることも。仲間に入れないと厳しい。
仕事終わりの飲み会、休日のバーベキュー、などプライベートな時間にまで当たり前のように割り込んでくる。「行くor行かない」ではなく参加一択。社員同士の交流やイベントが好きな人でなければ地獄でしかない。
会社のアピールポイントとして求人広告に記載できるようなことが特別無い場合やブラック気味であることを隠したい場合に、漠然と“良さそうな雰囲気” “ホワイトな印象”を与えるための文言として「アットホームな職場です」を使うことがある。
at homeには「家に居る、自宅で」というような意味もあるため、繁忙期のサービス残業で徹夜・仮眠など会社に泊まることや長時間労働は当たり前。感情の赴くまま何しても良いんです。だってアットホームな職場って会社が家みたいなことだから‥。
元々「アットホームな職場です」は、社員一丸となりみんなで会社を成長させよう!社員は家族!定年までしっかり面倒を見る!と言う考え方が当たり前であった高度経済成長期の頃に生まれた文言であり、一昔前まで「アットホーム」は多くの人がメリットと感じる要素でした。
今でもその名残として「アットホームな職場です」が使われており、昔ながらの意味合いで温かみのある会社もありますが文言を悪用した“偽・アットホームな職場”には注意が必要です。
偽・アットホームな職場にありがちな特徴は‥
本当に居心地の良い職場なら定着率が良く求人を出す必要が無い
給料・休日・残業の有無・昇給などの記載がアバウト、条件がブラック気味?
社内で肩組み・社員旅行・バーベキューなどの写真が掲載されている※実際に働く社員ではなくイメージ写真であることも
求人票に記載されている内容はその会社のことを知る重要な情報源になりますが、「アットホームな職場です」のようにそれらの情報を全て鵜呑みにしてはいけません。
(例)
このように噓を書いているわけではないとしても、受け取り側が勝手に良い解釈をするように書かれている場合もあります。
曖昧な表現で記載されている求人票よりも、
・平均年齢 ・平均勤続年数 ・月平均残業時間 ・3年後離職率 ・年平均有給休暇消化日数 ・入社○年目のモデル賃金 ・研修教育体制 など
具体的な数字や未経験者への対応がしっかり示されている求人の方が信頼性は増すものと考えられます。
そして、求人票だけでなく企業HPの確認、企業口コミサイトやSNSでの口コミ確認は必ず行いましょう。
求人票からは見えてこなかった内情が透けて見えてくるかもしれません。
A社というアットホームな職場に勤めているBさんとCさん。
Bさん「上下関係も厳しくないし、居心地が良くて楽しい会社」
Cさん「確かにみんな仲良くアットホームな職場だけど、実はこの雰囲気が苦手」
このように“アットホームな職場”は主観的な部分が大きいので一概には言えませんが、「アットホームな職場=職場環境(社風)の満足度が高い仕事」とまいにちdodaで紹介されています。
【アットホームな職場トップ20】 ※「アットホームな職場」と回答した人の割合
※参照:まいにちdoda「職業によって「職場の雰囲気」はどこまで違う? 93職種の社風を一斉調査!」
https://mainichi.doda.jp/article/2018/09/10/121.html
上位の職種はクリエイティブ系職種や専門職という特徴があり、他にもサービス系職種のランクインが多いことから以下のような傾向になることが考えられます。
・同じような価値観を持った人が集まる職場
・接客を伴うサービス業では和気あいあいとした雰囲気を好む
そして、同じくまいにちdodaの調査で「職場環境(社風)の満足度が高い仕事ランキング」の上位を見てみると、
【職場環境(社風)の満足度ランキング】
※参照:まいにちdoda「職場環境(社風)の満足度が高い仕事は?93職種・79業種のランキングを発表!」
https://mainichi.doda.jp/article/2018/10/01/379.html
アットホームな職場トップ20に入っている「薬剤師」「ブライダルコーディネーター」「リサーチ・市場調査」「クリエイティブディレクター/アートディレクター」「翻訳/通訳」「販売スタッフ」「医療事務」「営業(MR以外の医療系)」は、職場環境(社風)の満足度ランキングのトップ15にもランクインしているのです。
アットホームな職場と感じており、その環境にぴったりマッチしている人にとっては満足度の高い理想的な会社になります。
業界や職種によってアットホームな職場になりやすいこともありますが、偽・アットホームな職場に引っかからなければ結局のところ会社の雰囲気が自分に合うか合わないかが大切になってきます。
わりと変わっててアットホームな会社なので職場でお素麺作って食べました☺️🌼具材は大体社長からいただいた❤︎#昼ごはん #おうちごはん #Twitter家庭料理部 #お腹ペコリン部 #料理好きな人と繋がりたい #料理好きさんと繋がりたい pic.twitter.com/el9gTQzHcs
— nina (@NinaAsahi215) June 11, 2020
本当にアットホームな職場だから休みの日や就業時間が終わったら会社でごはん作ってみんなで食べて、誰かが好きなDVDを持ってきてお酒飲みながら鑑賞会開いたりする会社
コロナ収まったら推しの鑑賞会したいなー
映画刀剣乱舞から見せていく計画— さざゆめ (@ro_ssp11) June 16, 2020
Twitterでは「アットホームな職場」という文言はネタのように使われることが多いのですが、結果的にアットホームな職場だったと感じている人は意外と世の中に多いようには感じます。
「アットホームな職場」という文言に騙されてブラック企業のようなところに転職したくない!‥でも、怪しいとは分かっていても和気あいあいとした雰囲気のアットホームな職場で働きたい。
いくら“偽・アットホームな職場”を事前に見極めようにも、実際に働いてみないと内情なんて分からないと思うのが普通です。
その悩みを解決するには個人で転職活動を進めていくのではなく、転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めていきましょう。
転職エージェントのサポート
転職エージェントでは、あなたの希望条件や経験・スキルなどを考慮した条件にマッチする求人紹介を行うだけでなく、紹介先企業の内部事情(社内の雰囲気・人間関係・労働環境など)を事前に教えてくれるのでミスマッチを感じることのないスムーズな転職を叶えることが可能です。
あなたが重視しているポイントを押さえた転職ができること、個人では知り得ない情報の提供が受けられること、一般には公開されていない非公開求人からの紹介も受けられることなど転職エージェントを利用した転職活動にはメリットがたくさんあります。
これらのサービス・サポートは全て無料で利用出来るので、転職活動に不安がある人はまずは気軽に相談から始めてみてはいかがでしょうか?
もはやネタとなりつつある「アットホームな職場です」。
今までは素直に受け取っていた人も、少々危険なニオイのする文言であることに気付いていただけましたか?
アットホームな職場が悪いのではなく、それを求人に悪用する企業があることが問題なのです。
うっかり騙されないためにも転職エージェントを上手に活用して、リアルアットホームな職場への転職を目指してみてはどうですか?
転職エージェントを利用する際のポイントは「最低でも2~3社に登録し比較検討をしながら転職活動を進めていく」ことです。
転職エージェントにもそれぞれ特徴があるので、求人量・質、キャリアアドバイザーの質・相性を見極めながら最終的には自分に合った転職エージェントの力を借りてみましょう。