上司から話しかけられると声がでなくなる。
会議で発言を求められても声が出ない。
雑談に加わることができない。
勇気をだして電話にでたが、話すことができない。
普段は普通に会話できるのに…
上記の例のように、特定の場面や人に対して話せなくなる。不安障害の1つである、『場面緘黙(選択性緘黙)症』の症状です。これらの症状が原因で、『仕事に関する悩み』を抱えている方は多いでしょう。
そこで、場面緘黙の方の『仕事に関する悩み』を解決する方法をご紹介します。下記はその『悩み』の具体例です。
結論、『自分に合った仕事を探すこと』、『仕事の探し方』次第で解決できます。それではさっそく悩みを解消していきましょう。
『自分に合った仕事』に就く。
これが仕事の悩みを解決する1番の方法です。いま『自分に合った仕事』をしてない方は、まず転職することをオススメします。
下記、場面緘黙症の方にオススメできる仕事です。
①下記の仕事
②医療・福祉関係
①は『人間関係が希薄でも問題ない職業』です。
すべての仕事において他人とのコミュニケーションは必須です。
ただ、①で紹介した仕事に関しては、『最低限のコミュニケーション(仕事の指示、メールでのやり取りなど)』と『あなたの作業』だけで完結する仕事です。
②は『場面緘黙症に対する理解』がある職業です。
実際、医療・福祉関係の職場では『場面緘黙症の方』が多く活躍されています。(筆者は障害者福祉をメインとする法人に勤めています。)
医療や福祉の現場で働く人は、全員『障害に対しての理解』をもっています。そのため、『場面緘黙症の方が、一般雇用で10年以上働いている』という状況はまったく珍しくありません。
今までいろいろ会社に勤めましたが一番長く勤められたのがプラスチック用品の工場でした。
工場だから仕事中は余計なことを話さなくてすみましたが工場が効率性を高くした結果、製品が以前より流れるようになり私は手がついていけず辞めました。そこではおよそ9年働きました。
引用元:https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=4833674&id=79265966
治療を始めて半年後、キャラクターショーのスーツアクターのアルバイトに応募した。家で話す練習を重ね、面接もスムーズにできた。
初めてキャラクターショーに出演すると、お客さんがうれしそうに集まってきた。写真や握手に応じると、笑顔で帰っていく。着ぐるみとして接しているが、自分でも目の前の人を幸せにできるかもしれない。
「消えたい」と思っていた自分だったが、初めて「人間の普遍的な幸せを得た」とほづみさんは話す。
引用元:https://withnews.jp/article/f0190530000qq000000000000000W06910801qq000019187A
上記、2名の場面緘黙症の方の声の通り、やはり『人間関係が希薄な仕事』は無理なく続けられるポイントになりそうですね。
『自分に合う仕事』がわかったら、まず行動です。
仕事を探しましょう。
ただ、ここでまず悩むポイントがあります。
「『障害者雇用』で働くか『一般雇用』で働くか」という悩みです。
就職(転職)活動を行うさい、最初に問題となるのが『障害者雇用か一般雇用』どちらがいいのか。結論、どちらを選択しても大丈夫です。
ただし、下記2つを踏まえたうえで選択してください。
自分の症状
希望する就業先
『一般雇用』『障害者雇用』のどちらで就職(転職)活動を行うにせよ、「必ず事前に伝えるべき2つのポイント」があります。
職場見学や面接のさいに、下記2つを確実に伝えるようにしてください。
自分の症状
配慮してほしいこと(できれば具体的に)
この2つを説明してまったく問題がないのであれば、
その職場は『無理なく働ける職場』である可能性が高いです。
逆に「え?」というような返答がきたら、そこで働くのはやめておきましょう。
もしも、この2つをうまく伝えることができなそうなら、事前にメモしていきましょう。そのメモを読んだり渡すだけでも構いません。
本当に『理解のある職場』であれば、それで難色をしめすようなことはしないはずです。
では、実際に仕事を探しましょう。
『すぐに働きたい方向けの手順』と『支援を受けてから働きたい方向けの手順』、2つの手順を用意しました。
まずは、各手順のなかで紹介する①~⑤のサービスについてカンタンに解説します。
国によって運営される職業安定所です。
一般雇用の求人はもちろん、障害者雇用の求人もあります。
ハローワークでは、職業紹介の他に、下記2つの支援を行っています。
ⅰ.障害者トライアル雇用事業
あなたが働きたい会社に、トライアル期間(原則3ヵ月)として雇用してもらうサービスです。問題なければそのまま継続雇用に移行できます。
このサービスを利用することで、「ほんとにこの会社で問題なく働けるか。」ということを確認することができますね。
そして、『障害者トライアル雇用事業』のなかには『障害者短時間トライアル』というコースもあります。
「初めは週の労働時間を週10時間~20時間までとし、トライアル期間中に労働時間週20時間以上を目指す。」というものです。
要するに、「徐々に働く時間を延ばしていく」というコースです。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000029f49-att/2r98520000029f8e.pdf
ⅱ.『精神障害者雇用トータルサポーター』からの支援
『精神障害者雇用トータルサポーター』とは、精神障害の専門家のことです。
あなたに対し、下記の支援を行います。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000029f49-att/2r98520000029f8e.pdf
一般企業に就職することを目的とし、全般的なサポートをおこなうサービスです。
対象者は「65歳未満の、一般企業への就職を目指している障害をお持ちの方」です。
障害者手帳がなくても利用することができます。※1
利用料※2が発生する点には注意してください。
就労継続支援の支援内容は下記の通りです。
※1 『障害福祉サービス受給者証』が必要。
『障害福祉サービス受給者証』は、医師の診断書(意見書)などの書類を近くの行政窓口に提出することで申請できます。
※2
※3 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。
※4 収入が、おおむね600万以下の世帯が対象。
※5 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf
心の問題や病気の相談をうけたり、助言、援助を行っています。
利用料は無料であり、各都道府県に設置されています。
具体的には、下記7つの支援を行っています。
心の問題や病気で困っている本人・ご家族・関係者からの相談を受け付けています。
精神医学的問題に対して専門の相談員が相談に応じます。
精神保健福祉に関わる関係諸機関に対して、助言・技術的な援助・協力を行っています。
精神保健福祉関係の組織づくりに関して、情報や運営上の助言をしています。
こころの病気、メンタルヘルス、社会資源や福祉に関する情報の提供を行っています。
地域精神保健福祉に関する実践的な調査研究を行っています。
通所型の社会復帰施設を運営しています。少人数の医療デイケアを行っています。
精神保健福祉にたずさわる施設や機関の職員に対し、専門的研修や施設実習を行っています。
参考:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/sitaya/jigyo.htm
障害が原因で一般企業に雇用されることが難しい方に対し、就労機会を提供する事業です。
ここでは『就労に関する知識』と『能力の向上』を図り、一般企業に就職することを主な目的にしています。
就労継続支援は、下記の2つに分かれます。
就労継続支援A型
就労継続支援B型
A型とB型の主な違いは、「雇用関係の有無」です。
A型は雇用契約に基づいて働き、(=最低賃金が保証)、
B型は雇用契約を結ばずに働きます(≠最低賃金)。
つまり、B型のほうが賃金が安い分、雇用契約がないので自由がききやすいです。
詳しくは、別記事(下記ページ)を参照してください。
【障害者雇用】一般就労への第1歩!就労継続支援B型で活躍しよう!
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf
まずは『①ハローワーク』と『②dodaチャレンジ
※1
』に登録しましょう。
なぜ『ハローワーク』だけではダメなのか。
それは、職業選択の幅を広げるためです。
例えば、あなたが『欲しい商品』を探すとき、1つのお店だけに絞ってその商品を探すなんてことはしないですよね?
仕事探しも同じです。品揃え(求人)が多いところでも探してみましょう。
※1精神障害者保健福祉手帳(通称、障害者手帳)をお持ちの場合。
この章の冒頭で説明したサービスを利用して、『場面緘黙症による仕事に対する不安』を解消しましょう。
そして、そのサービスを受けた先で仕事探しをします。
ただ、どこでサービスを受けたとしても、基本的に『①ハローワーク』に登録されている求人から探すことになります。
つまり、『②dodaチャレンジ』に登録することで、職業選択の幅が広がります。
今回の内容をまとめます。
大人の場面緘黙症(選択性緘黙)の方が持つ『仕事の悩み』
で解決できる。
①場面緘黙症の自分に合った仕事
人間関係が希薄でも問題ない職業
場面緘黙症に対する理解がある職場
『一般雇用』と『障害者雇用』どちらでも問題なし。
②仕事の探し方
すぐに働きたい方
事前に準備したい方
現在の日本では、大人の場面緘黙症への理解がまだまだ浸透していません。つまり、場面緘黙症は職場からの理解が得にくい病気です。
そのため、自分から理解を得られる職場を探す必要があります。
実際、場面緘黙症の方の多くが『複数の転職』を経験されています。転職が多くなることは仕方ありません。
ここで紹介した方法が参考になり、あなたにとって最良の職場に巡り合えることを心から願っております。