【作:松本勇祐さん】
「自分には何もアピールできるスキルがない」
「強みがないから働くことができない」
「自分はこんなスキルしかない」
“働くこと”に対して大きな不安や諦めを感じてしまっている方も多いのではないでしょうか。
就職や転職では、自己分析を行い自分の強みを見極めることが重要とされていますが、自分自身の強みはなかなか気づきにくく客観的な視点やきっかけが必要です。
特にあなたが当たり前のように行っている行動や技術、スキル。
自分にとっての当たり前が、誰かの助けになったり必要とされるスキルだったりするかもしれません。
今回は、“働くこと”の無限性、当たり前のスキルの活かし方について説明させていただきます。
自分自身の強みに気付いていない方、技術やスキルがないと諦めている方はぜひ参考にしてください。
終身雇用制度、定年退職、優雅なシニアライフ…というのは過去の話。
人生100年時代となり、70代や80代になっても働き続ける方が増えていきます。
誰かの役に立ちたい方、老後の生活費のためなど様々な背景があるかと思いますが、社会の一員として所属すること、やりがいをもつことが“働くこと”の本質なのではないでしょうか。
これから年齢を重ねる中で、「生き生きと働き社会に必要とされる人材」として生き残るには、「強み」が必要不可欠です。
強みを正しく理解し、意識することで、社会的な居場所を確保し豊かな人生を歩むことができるでしょう。
働くことで、誰かに必要とされている喜びや存在意義を見出し、他人とのつながりを作っていくのです。
そして存在意義や居場所の確保のために必要な「強み」は、毎日の当たり前や無意識のスキルや行動に隠れています。
普段、何気なく行っている自分にとっての「当たり前」の行動を思い浮かべてみてください。
近くにいる方と当たり前の行動について話し合ってみるといいかもしれません。
意外と、自分にとって当たり前は他人にとって当たり前ではないことも多いでしょう。
1人ひとり人生が異なるように「当たり前」のスタンダードも異なります。
…など、無意識に行っていることがあるかと思います。
自分にとっては容易くて当たり前なことでも、自分以外の誰かから見ると「スゴイ!」と感じる行動やスキルもあるでしょう。
その当たり前に隠れている強みに気が付けば、“働くこと”へのハードルが少し低くなり、働きやすさや就職・転職活動の軸になっていきます。
自分の強みは当たり前の行動の中にあると伝えましたが、自分だけでは気づきにくいものです。
そして「こんなことが強みになるの?」ということも、誰かにとって必要な技術やスキル、必要とする場所はたくさんあるのです。
では、どうしたら「当たり前」が「強み」と認識できるようになるのでしょうか?
「自己分析はもうしたけど…」という方、もう一度チャレンジしてみてください。
キャリアや仕事における技術・スキルに捉われず、これまで生きてきた自分史を書いてみましょう。
意外とこんな経験をした、あんな経験をしたという出来事や考え方のきっかけが出てくるかと思います。
自己分析では、仕事へのアピールやビジネススキルにつながる強みに注目しますが、自分史では隠れた強みを発見します。
ぜひ当たり前だった強みの棚卸をしてみましょう。
ものの見方は一面からでなく多面で見ないとわかりませんので、自分視点でなく客観的な視点をもつことが大事です。
自己分析だけでなく自分史を作成することで、より広い視野をもち可能性を広げることにつながるでしょう。
自分史を書いてもなかなか自分の隠れた強みに気付かないなら、他人の力を頼って客観的に見てもらうのもひとつの方法です。
できるだけ、遠慮なく単刀直入に伝えてくれる相手をおすすめします。
家族や兄弟、友人ですが、おすすめは客観的な視点をもち率直に伝えてくれる転職エージェントのキャリアアドバイザーやカウンセラーです。
自分が思う「強み」に縛られて、活躍のフィールドを狭めてしまっている方が少なくありません。
とネガティブなイメージを持っていることでも、チャンスがあれば飛び込んでみる勇気が必要です。
そうすると、強みの発見や気持ちの変化に気付くこともあり、「当たり前」を必要としている人や場所を見極めることができます。
自分にとって当たり前すぎる技術やスキルは、社会にとってさほど役に立たないだろうと思いがちです。
例えば、ニートのスキルをみてみましょう。
働かずに家に引きこもってゲームばっかりして…とあまりいい印象はありませんが、視点を変えるとこんなスキルを秘めているのです。
ニートの隠されたスキル
と、いいところはたくさん出てきます。
一見、価値がなさそうな生活の一部が「強み」になる可能性は大きいのです。
自分のスキルや知識には価値がある、ということを理解しましょう。
ここでひとつ、当たり前の技術やスキルに関する名言をご紹介します。
『当たり前が一番難しい。当たり前を積み重ねると特別になる』
これは、日本を代表する菓子職人、京橋「HIDEMI SUGINO」(イデミ・スギノ)オーナーシェフである杉野英実さんがNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で語った言葉です。
これまでの人生で学んだことや身に着けてきたこと、当たり前のことを継続することは難しいものですが、それを積み重ねて培った強みは特別なものになります。
希少価値の高いスキルだったり誰かにとって必要だったり…
ぜひ、自分を振り返り当たり前に潜んでいる強みや新しい可能性に一歩踏み出してみましょう。
いかがでしたでしょうか?
自分だけの力で当たり前の技術やスキルを「強み」として認識し、それを活かすのは難しいものです。
しかし、長い歴史を歩んだ人生であなたにとっての当たり前のことが強みになり、色んな場所で活躍できるチャンスや可能性は無限にあるのです。
キャリアや資格だけで評価してしまう企業も多いものですが、あなたの人生のスキルや強みを必要とする企業もたくさんあります。
強みを見出してくれる人や自分を必要とする場所、社会の中でもポジションを見つけると“働くこと”がより楽しく、やりがいのあることになるのかもしれませんね。