発達障害職業コンサルタントの貫井まなぶです。
今回は3回目、「魅せる履歴書・職務経歴書の書き方」をお伝えします。
突然ですが、問題です。
企業の人事担当者が障害者枠採用に抱いている感情はどんなものがあるでしょうか?
「期待感?」
「不安感?」
答えは「不安感」です。
私が以前法人営業で障害者雇用の開拓営業をしていたとき、多くの人事担当者の口から出たのは発達障害者の採用に関して不安視する言葉でした。
「この応募者、体調は戻っているのだろうか?」
「始業から終業まで仕事は出来るのだろうか?」
「どんな仕事をお願いすればいいのか?」などなど
企業によっては発達障害者の採用が不慣れなところや発達障害者自体の採用が初めてのところもまだまだ少なくありません。また、人事担当者自体が発達障害者に対する偏見や誤解を持っている場合も残念ながらあります。
要するに、人事担当者は「不安」なんです。その不安を一蹴できるほどの「安心」を応募者である皆さんが届けられるか。不安を安心に変える、ここが障害者枠を強気で勝ち取るためのポイントであり外せないところです。
「中々書類選考が通らない!」
と言う方は残念ながら人事担当者の不安感を安心感に変えることが出来ていないということです。
今回は履歴書や職務経歴書の書き方についてと人事担当者の不安感を安心感に変えるための方法である「5つの安心材料」を皆様にお伝えします。
採用側と応募者の最初の出会いが履歴書や職務経歴書です。この出会いを「多くいる応募者の一人」ではなく「特別な一人」と思ってもらえるかどうかがポイントです。
では、どうすれば「特別な一人」「この人に会ってみたい!」と思ってもらえるか・・履歴書など各種書類は、本人の身代わりとして最初に「面接」を受けることになります。あなたの魅力が十分に伝わるように以下を参考に書いてみましょう。
履歴書は特に指定のない限りコンビニや文房具店で販売されている履歴書を使えば大丈夫です。最近ではパソコンで検索すると無料でダウンロードできる履歴書のフォーマットもあります。自分に合ったものを探してみましょう。
また、特に企業側から指定がない限りは手書きでもパソコン作成でも構いません。手書きが苦手な方はパソコンで、字に自信がある方は丁寧な字がアピールになることもありますので手書きで作成しましょう。
ボールペンには油性、水性、ゲルインクを使用したものがあります。インクによって特徴は異なりますが、履歴書に使用するインクは、「水に強くて」「にじみにくく」「書き出しからスムーズ」に書けるものにします。
この特徴を持っているのはゲルインクボールペンです。また、ペン先の太さはバランスが良く字が見やすい0.7mmの太さを選びましょう。
ここからは具体的に書き方を見てみましょう。
郵送する場合はポストに投函する日付を、面接に持参する場合は面接日を記入します。記入漏れが多い箇所なので注意が必要です。
戸籍に登録されている正確な字で丁寧に書きます。例えば普段は「桜井」を使っていても戸籍上が「櫻井」なら「櫻井」と記入します。
「ふりがな」となっている場合は「ひらがな」で、「フリガナ」となっている場合は「カタカナ」で書きます。
元号で記入するのが一般的です。ここを元号にしたら、日付、学歴、職歴の年数も元号で統一します(西暦で書いた場合は、全て西暦で統一します)
写真は3か月以内に撮ったものを使います。履歴書で一番最初に目が行くのが顔写真。人事担当者は「この応募者はどんな人なんだろう?」と先ずあなたの写真をチェックします。
そのため、写真はスピード写真ではなく写真店でプロに撮影してもらいましょう、きっとあなたの魅力を引き出してくれます。また、「もったいないから」と写真を使いまわしている方がいますが、これはNG!どんなに綺麗にはがして貼り直しても写真の真ん中に線が入りヨレヨレに。
「なんども落ちているから写真を使いまわしているのか・・」と採用側を不安にさせますので毎回新しい写真を使いましょう。
住民票の登録の通り、都道府県から番地まで記入。集合住宅の建物名、部屋番号も省略せずに書きます。
学歴欄は中学校卒業年次から書くのが基本ですが、これは絶対というわけではありません。
中学校卒業年次から書くと、その分職歴欄のスペースが埋まりますので職歴が多い場合は、中学校卒業年次などを省略して最終学歴のみ記入し職歴を優先させましょう。
自己都合退職の場合は「一身上の都合により退職」
リストラ、倒産などの場合は「会社都合により退職」
派遣・契約期間満了の場合は「契約期間満了のため退職」
人事担当者が重視している情報の一つがあなたの「職歴」です。この職歴欄によって応募者がどの程度の実務知識や経験があるか自社に貢献してくれそうかを読み取ります。
履歴書の職歴欄では、「どんな会社で」「どれだけの期間」「どんな業務を担当してきたか」を書きます。上の例では、従業員1,000人ほどの通信機器関連会社で「法人営業部管理課に配属」され「電話応対」や「経費計算」などをしていたことが分かります。
続けて以下の例を見てみましょう。あなたが人事担当者で以下の職歴を書いた応募者がいたら、どんな仕事か想像できるでしょうか。
上の例のような「〇年 A株式会社 入社」「〇年 退職」といった入社と退職しか書かれていないものだと、どんな会社で実際に応募者が何をしていたのかさっぱり分かりません。
また、空欄が多くスカスカなので本気度を疑われることも残念ながらあります。配属先や職務内容もしっかり書きましょう。
職歴欄には今まで行ってきた「業務」を全て書く必要はありません。企業のニーズに沿ったあなたのアピールになるものを職歴欄に書きましょう。
例えば、応募先の会社が一般事務経験者を求めていたら、これまでの経歴から事務面にスポットを当て「電話応対」「エクセルを使って顧客管理帳簿作成」など一般事務と関係あるものを書きます、他の事務面とは異なることは省略します。ニーズと合わない職歴を優先して書かないようにしましょう。
考えてみよう
例:前職「営業職」 今回「一般事務」募集に挑戦
職歴欄には何を書くべきでしょうか。
この場合、職歴欄に前職の営業方法、成果などを書いても採用側には響きません。理由は、一般事務員を募集しているのであって営業職を募集しているわけではないからです。では、どうするか?過去の営業職から「事務的な仕事」を思い出してみます。
「エクセルによる顧客帳簿作成、売上実績管理、パワーポイントによる提案書作成」など、こういったものが職歴に書ければ「この応募者、一般事務は未経験であるが、前職の営業でエクセル、ワード、パワーポイントを使いこなしていたようだから一般事務として活躍してもらえそうだ」と思ってもらえます。
企業のニーズを把握し、そのニーズに沿ったアピールをしましょう、と言うと難しく感じるかもしれませんが簡単に言うとこういうことです。
好きな彼女をデートに誘いたいとします。彼女の普段の言葉からフランス料理と「アナと雪の女王」が大好きだという事が分かりました。彼女のニーズを把握したら、あなたは彼女のニーズに沿ったデートのプランを考えアピールをするでしょう。
「とっても美味しそうなフランス料理が○○に出来たって知ってる?あそこのシェフは○○で有名なんだって!一緒に食べに行こうよ、で、食後にさ、この映画を見に行かない?(アナと雪の女王の映画のチケットを見せる)」
男性は、彼女のニーズに沿ったアピールが出来ていますので、デートに誘うことは成功するでしょう。
もし、彼女のニーズを確認もせずに、アピールをすればどうなるでしょか?
「中華を食べに行こうよ、食後にサムライ映画どう?」と言っても男性のアピールポイントが彼女のニーズとはズレていますのでデートに誘うことは出来ないかも知れません。
応募先企業のニーズを把握するときは彼女をデートに誘うときと似ています。先ず下調べ(企業研究)、どんな人材に来て欲しいのか(経験、資格、知識、体力、人間的な素養などなど)応募者に求めているニーズを考えアピールポイントを検討します。
職歴欄は「変えようがない」と思い、どんな応募先にも同じ履歴書を提出している方が多いです。しかし、一つの仕事にも多様な側面があり、応募先のニーズによって、スポットをあてるべきあなたの職歴も変わってくるはず。企業のニーズとあなたのアピールがズレないようにしましょう。
履歴書の中で一番悩むのが志望動機ではないでしょうか。採用側は応募者の「本気度」を確認するためにも志望動機の内容を重視しています。志望動機は応募先企業に送るラブレター、「なぜその会社か」思いが伝わるようにしましょう。
では、志望動機には何を書けばいいでしょうか?簡単に言えば、応募先企業で「何がしたいのか」「何ができるのか」が伝わるように書きます。「今まで自分はこういう仕事をしてきて、このような実績をだした。今後はこの経験を生かしてこういう仕事をしていきたい」という流れで書ければいいです。
①企業を志望する理由(なぜその会社?その業界?)
②①の根拠となる「経験」や自分の「価値観」、生かせる「能力」
③どんな仕事をして会社に貢献したいか
上記の「理由」「経験」「貢献」この3つを入れて志望動機が作れれば採用側に響く志望動機が書けます。
また、仕事の経験がない場合は上記②を学んだことや訓練したことと読み替えて考えます。
冒頭でもお伝えしたように、障害者枠求人において大事なのは人事担当者の「不安感」を「安心感」に変えること、究極これに尽きます。
ここでは簡単に安心感に変えるための「安心材料」をお伝えします(「安心材料」については今回と次回の「発達障害者のための面接対策~障害者枠での面接はこう乗り越えろ!~」でもお伝えします)
其の一 意外性・ギャップ
発達障害に関して現在多くのメディアが取り上げており少しずつ理解が広がりつつあります。と言ってもまだまだ発達障害者に対する誤解や偏見が多くあるのも現状です。
では、そのような誤解や偏見をどのようにすれば払拭できるでしょうか?誤解を解くこと、ここに発達障害者枠での採用を強気で勝ち取るカギがあります。払拭できる方法、誤解を解く方法はあなたの「意外性・ギャップ」を採用側に伝えることです。
人は期待値を超える高い意外性、ギャップを目の当たりにすると、そこに心動かされ、感動するものです。
例えば、あなたが超安宿に泊まったとします。
安宿なので何も期待せずに行ってみたら出される料理は最高で女将も美人で部屋からの眺望も最高。
「安宿だから・・」と最初は低い期待値でしたが、実際は期待をはるかに超えるギャップがあったらどうでしょう?人はそのギャップに感動し「また来たい」となります。
障害者枠においてこの「意外性・ギャップ」を示すことによって採用側の不安感を安心感に変えて内定を勝ち得た例は数多くあります。採用側の発達障害者に対して抱く誤解などをあなたの意外性やギャップで一蹴しましょう。
其の二 体力
「この応募者は体力が戻っているだろうか?」「ちゃんと服薬が出来ているだろうか?」と採用側は不安に感じています。体調は良いのか、服薬管理は出来ているのか、余暇活動やストレス発散は出来ているかなどなど、採用側の不安は尽きません。これら体力、体調面も伝えられると採用側の不安感を安心感に変えることが出来ます。
上記安心材料の「意外性・ギャップ」と「体力」は履歴書の「趣味特技欄」を生かして書くことが出来ます。趣味特技欄はあなたの「人となり」を掴むための情報であり、採用者側も「この欄は必ず目を通す」と言う方も多いのでしっかり書きたいところです。
しかし、「音楽鑑賞」や「読書」などと紋切り型で書かれる方が多く、これでは残念ながら何も伝わってきません。ポイントは具体的に書くことです。「スポーツ」であれば何のスポーツか、観る方か、プレイするのか、こだわりなどを書きましょう。また、上記、安心材料も加味し考えてみましょう。
①「音楽」 5年ほど前からトランペットを定期的に習っています。体調も戻り、今の目標は来年に開催されるジャズフェスティバルに出場することです。(トランペットが出来るという意外性、体力も戻っていると伝わる)
②「神社巡り」 3年前から御朱印集めをしています。友人と計画を立て、休みの日は一緒に神社巡りをしています。(御朱印集めという意外性、一緒に神社を巡れるほどの体力が戻っている、元気そうだと伝わる)
③「ジム通い」 最近ジム通いを始めました。参加者の方々と一緒にエアロビを行うのが楽しく、毎週通っています。最初は一番後ろで目立たないようにやっていたのですが、最近は一番前でインストラクターよりも元気な声でエアロビをしています(ジム通いという意外性、毎週エアロビから体力回復)
上記「趣味特技」には「意外性」「体力回復」以外の別のメッセージも隠されていることに気づかれましたでしょうか?そうです、①~③は全て「人とのコミュニケーション」が出来ていることを隠れたメッセージとして入れ込んでいます。
障害者枠であっても「挨拶、相談、感謝、謝罪、依頼」などのコミュニケーションが出来る方を採用側は望みます。上記例文では全て他者との接点、関わりがあり(ジャズフェスティバル、友人と計画、ジム通い)採用側には「人とのコミュニケーション能力」もありそうだな、と安心材料の一つになります。
履歴書のフォーマットによっては「健康状態」を書く欄があるものもあります。健康状態をどのように書くべきか悩まれる方が多いですが、障害者枠で応募する場合は最初から採用側は応募者に発達障害などの障害を持っていることを理解しているので障害について書いても、マイナス評価にはなりません。
むしろ「良好」と書かれている場合は「障害理解が出来ていないのでは?」と不安にさせるかもしれません。
この「健康状態」の欄で採用側が知りたいのは「今仕事が出来るほどの体調が戻っているかどうか?」この一点に尽きます。仕事が出来るほど戻っているのであれば、それをしっかり伝えることで不安から安心に繋がります。
「注意欠如多動症(ADHD)があります。症状は軽快、安定しており業務に支障はありませんが治療のため月に〇回、土曜日に通院しております(主治医の意見書添付あり)」
上記はあくまで例文ですのであなたの例で書きかえましょう。また、通院の「曜日」も採用側は気にするところなので書いておきましょう。
職務経歴書は、履歴書では不足しがちな自分を売り込むための情報を提供するための書類です。必ずしも提出を求められているわけではないですが、最近は提出を求めてくる企業も増えています。
職務経歴書を通して、あなたがこれまでどのような職場環境で仕事をし、どのような仕事に取組み、どんな結果を出して来たのかを人事担当者に伝えましょう。
・スペース 上下20mm、左右16~20mm程度空ける
・文字のサイズ 10から12ポイントを使用しましょう。「職務経歴書」は他の文字のサイズより2サイズ大きくしましょう。
・用紙 A4用紙の横書きが基本、手書きではなくパソコンで作成します。
・各項目にタイトルをつけ、そのタイトルは太文字にする。見た目にメリハリを付け読み手はどこに何が書いてあるかが一目瞭然になり読みやすくなります。
・1枚から多くても3枚以内にまとめる。それ以上枚数が増えると見てくれない可能性があります。
「職務要約」は経験を簡潔に記載します。担当部門、職種、何を身につけたか、何が強みか、障害に対しての向き合い方(発達障害を受け止めた上での仕事への取組み、改善してきたこと、工夫)などを200文字以内で簡単にまとめましょう。
使用可能なソフトを書きます。また、前職で得た知識や経験、具体的な成果などがあればそれも記入します。「入力スピード」が分からない場合は「キー操作はブラインドタッチ可能」としても良いでしょう。
自己PR欄をフル活用してあなたの魅力をアピールしましょう。今まで携わってきた業務の経験談を盛り込み、志望先企業で発揮できるスキルや能力、携わりたい業務について、その理由も交えながら書きましょう。
自己PRには
・何のために ・どんな行動 ・どんな結果 ・障害特性 ・得たスキル、知識 ・何に貢献
上記6つぐらいが入っていれば説得力がある自己PRが作れます。
上記自己PRの例を見てみましょう。
「何のために」は省かれていますが、「顧客に喜んでもらうために」などと言った「何のために」が伝わります。
「どんな行動」は「追加の資料を集めてご説明し・・」
「どんな結果」は「売上30%アップ」「お客様から喜びの声を頂いた」
「障害特性」は「自身の障害特性・・正確にこなすことができます」
「得たスキル」は「企画提案力・・」
「何に貢献」は「得たスキルを生かし挑戦したい」と書いています。
採用側の確認したいものの一つに「あなたの発達障害特性」があります。これを出来るだけ正確に把握しておきたいと考えています。
しかし、ネガティブに伝わりがちな障害特性をどのように伝えるべきか。ここでは履歴書や職務経歴書にて障害特性を書く際にネガティブに伝わりがちな障害特性をポジティブに伝える方法をお教えします。
大事なのは「書く順番」
親近効果を紹介する。これは行動経済学の一つで、ネガティブな情報、例えば自身の障害、苦手などを伝える際に相手にポジティブに伝える方法です。
ポイントは、ネガティブな情報を先に伝え、ポジティブな情報は後で伝える、ただそれだけ。私たちは、複数の情報を順番に提示されたときに、一番後に提示された情報を印象強く評価する「親近効果」と呼ばれる心理現象があります。
そのため、同じ情報でもネガティブなことを最後に言うと相手はネガティブな印象を持ち、ポジティブなことを最後に言うと相手はポジティブな印象を抱く傾向があります。
例えば以下例文から親近効果を考えてみましょう。
Aさん 口頭での指示は理解が難しいことがあります(ネガティブ情報)が、文章で指示を頂けると理解しやすいです(ポジティブ情報)
Bさん 仕事の指示は文章で頂けると理解しやすいですが(ポジティブ情報)、口頭での指示は理解が難しいです(ネガティブ情報)
続いて、既にご紹介した自己PR欄には障害特性について書かれていました、再度見てみます。
Aさん 自身の障害特性(マルチタスクが苦手)(ネガティブ情報)を理解し業務には都度、上司指導のもと優先順位を付け、シングルタスクに注力、結果一つ一つの仕事を的確に正確にこなすことができます(ポジティブ情報)
Bさん シングルタスクに注力すれは、一つ一つの仕事を的確に正確にこなすことができますが(ポジティブ情報)、自身の障害特性のためマルチタスクは出来ません(ネガティブ情報)
どちらの例文も伝えている内容は同じことです。ですが、ポジティブ情報とネガティブ情報の順番が違うだけで、受けての印象がだいぶ変わるのが分かって頂けたと思います。ポジティブ情報を最後に伝えることでプラスの印象が相手の心に残ります。
また、親近効果は普段の会話でも応用できます。
(試着室から出てきた彼女との会話)「ねぇねぇーたけし、この服どうかな?」
Aさん ちょっと派手だけど、でも可愛いよ!(可愛い!?ほんとー?じゃ買ってー)
Bさん 可愛いけど、ちょっと派手だね!(・・派手・・あっそ!!)
順番が違うだけで、印象が違いますね。
終わり良ければ全て良し。障害特性などネガティブな情報を伝えるときは、先にネガティブ情報、終わりにポジティブ情報の順番で伝えてみましょう。
以降は5つの安心材料の残り3つを紹介します。
其の三 得意(強み)
採用者側が発達障害者の採用で大切にしているキーワードは「適材適所」「得意(強み)を生かす」です。無理のないポジションで長く働いてほしい、そのためにも何が得意なのかという情報は安心に繋がります。あなたの「得意」はなんでしょうか?
例:暗算、物品管理、封入、折り込み作業、間違い探し、パソコンなどなど。
『あらゆるものが、「強み」によって報酬を手にする。「弱み」によってではない。最初に問うべきは、我々の強みは「何か」である』(経営学の巨人ドラッカー)
訓練などをして弱みを強みに、又は普通レベルに持ち上げようとすることはとても素晴らしいことですが、時間もかかりますし、訓練を続ける中で自己肯定感を崩すこともあるかもしれません。あなたの得意や強みを生かすことを考えてみましょう。「最初に問うべきは、我々の強みは何か」です。
其の四 苦手、其の五 配慮点
苦手なことやどのような配慮が必要かなども大切な採用側の判断材料です。あなたが安定して長く仕事を続けていくためにも苦手なこと、必要な配慮をしっかり伝えていきましょう。
内定をもらうのがゴールではありません、あなたが自分に合った職場で長く働くこと、仕事を通じてなりたい自分に近づくことがゴールです。焦って内定をもらうことをゴールに考えると、採用側に伝えなければいけないあなたの苦手なことなどが言えないことも出てくるかもしれません。自身のゴールがどこに設定されているのか今一度確認しましょう。
上記3つの安心材料をしっかり書面で伝えるために「自己紹介シート」を使いましょう。
自己紹介シートは自分の障害特性をA4用紙一枚に簡単にまとめたものです。
この中に、障害種別、手帳取得日、得意、苦手、配慮して欲しい点、支援機関、就労に関しての主治医の意見などを書きます。
まだまだ知られていませんが、このようなシートは現在多くのハローワークで使われており、大手携帯会社でも障害特性を記載するフォーマットを用意し応募者に提出を求めています。
応募者側にも企業側にも多くのメリットがあり、今後障害者枠において、履歴書や職務経歴書と一緒に同封する新たな用紙として広まっていくかも知れません。採用者側の不安感を安心感に変えるためにも自己紹介シートを作ってみましょう。
第3回は以上です、いかがでしたか?
履歴書、職務経歴書の書き方と採用側の「不安感」を「安心感」に変えるための5つの安心材料をお伝えしました。少しでもお役に立てましたら幸いです。履歴書などの書類作成で困ったときは一人で悩まずハローワークや障害者就業・生活支援センターなどの支援機関に相談しましょう。
発達障害者のための面接対策~障害者枠での面接はこう乗り越えろ!~
採用側の不安を今度は面接時にどのように安心に変えてあげて内定を勝ち得るかをお伝えします。
次回もお楽しみに!!