転職を考えているけれど自分の経験やスキルに自信が無い人や、他業種への転職を希望している人も多いのでは無いでしょうか。
そんな人たちの心強い味方となってくれるのが、求職者の仕事を斡旋・仲介する公的機関であるハローワークで希望する仕事に就くために必要な職業スキル・知識を取得できるハロートレーニング(公共職業訓練、求職者支援訓練)という公的制度です。
※平成28年11月より公的職業訓練の愛称として「ハロートレーニング」と呼ばれるようになりました。ハロートレーニング(職業訓練)は年間約30万人の人が受講しています。
ハロートレーニングには、雇用保険(失業保険)を受給している求職者を主な対象とする”公共職業訓練”と雇用保険を受給できない求職者を主な対象とする”求職者支援訓練”の2つがあり、どちらも就職希望者に向けて仕事をする上で必要なスキルを提供してくれる制度です。
ここでは、”求職者支援訓練”と”公共職業訓練”の違い、ハロートレーニング(職業訓練)の種類、メリット・デメリットなど、ハロートレーニング(職業訓練)に関する内容を解説していきたいと思います。
職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない人(受給を終了した方も含む)でも訓練期間中に経済的支援を受け訓練を受けやすくするための制度です。求職者支援制度とも呼ばれています。
■支給の対象となる人→特定求職者
1.ハローワークに求職の申込みをしていること
2.雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
3.労働の意思と能力があること
4.職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
支援の対象となるにはすべての支給要件を満たす必要があります。
■支給額
・職業訓練受講手当:月額10万円
・通所手当:職業訓練実施施設までの交通費(※上限額あり)
・寄宿手当:月額10,700円 (※訓練を受けるために同居の配偶者などと別居する場合でハローワークが必要性を認めた方)
■支給要件
・本人収入が月8万円以下
・世帯全体の収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・全ての訓練実施日に出席している(※やむを得ない理由の欠席であっても支給単位期間ごとに8割以上の出席率)
・同世帯に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
これらの要件をすべて満たす必要があります。
■支給手続きの流れ
※職業訓練受講給付金の申請窓口は、原則として住所地を管轄するハローワークです
1.ハローワークに求職申込みを行い、求職者支援制度の説明を受ける
2.ハローワークで職業相談を受けながら、訓練コースを選び受講申込書などの書類を受け取る
3.受講申込み手続きを行い、同時に給付金の事前審査を申請する。その後、受講申込書を訓練実施機関に提出
4.訓練実施機関による選考(面接・筆記等)を受ける
5.訓練実施機関から合格通知が届いたら、訓練開始日前日までにハローワークで「就職支援計画」を作成してもらう
6.訓練受講中~訓練修了後3カ月間は月に1回、ハローワークが指定する日(指定来所日)に来所し職業相談を受ける。給付金の支給申請も同じ日に行います
注意点!
※やむを得ない理由の欠席を除く
ハロートレーニング(職業訓練)を受講するための流れは以下のようになっています。
公共職業訓練と求職者支援訓練で手続きの内容が異なるケースがあるので、良く確認をし進めていきましょう。
ハロートレーニング(職業訓練)の講座は全部で120種類以上あり主に下記の種類があります。公共職業訓練と求職者支援訓練では訓練内容やコースが異なります。
技術系のコースなどでは受講期間が1~2年と長期である場合が多いので4月入校が殆どとなっています。この他、管理・事務系や情報・通信系などのコースは3~6ヶ月の受講期間が多く、4・10月入校の場合や民間に委託されている訓練コースであれば随時募集しているところもあります。
厚生労働省のホームページから「ハロートレーニングコース検索」で詳細情報が検索できるので参考にしてみてはいかがでしょうか。
職業訓練校で実施されるハロートレーニング(職業訓練)には様々なコースがありますが、人気のあるコースもあれば人気の無いコースもあります。各都道府県によってコースごとの募集人数も異なるので一概に倍率を述べるのは難しいのですが、平成29年度東京都の民間委託訓練応募状況から傾向を見ていきたいと思います。
IT・WEB系や事務系のコースの人気が高く、入校の時期によっても多少のばらつきはありますが平均して2倍以上の倍率となっているコースが多くあります。また、交通アクセスの良い場所で行われる職業訓練も倍率が高くなる傾向になります。
逆に、介護福祉士養成科(2年)は平均して0.31倍ほどをはじめ、介護職員初任者研修・福祉用具専門相談員養成科や医療事務といった医療介護福祉系のコースは0~1倍程度と倍率は低くなっています。
では、ハロートレーニング(職業訓練)で就職しやすい職種には何があるのでしょうか?ポイントとして「未経験可である」「人手不足の業界」が挙げられます。
需要の高い職種にチャレンジしていくことで再就職への道が開きやすくなっていくので、職業訓練コースの倍率が高かったとしても諦めず取り組んでみましょう。
ハロートレーニング(職業訓練)を受講するためには選考(面接・筆記試験など)に通過する必要があります。誰でも希望するコースを受講できるとは限りません。
選考には面接や筆記試験などがありますが、多くの職業訓練校で筆記試験よりも面接に重きを置いているので大切なのは面接です!ここでは職業訓練校での面接を通過するためのポイントを解説していきたいと思います。
■服装
基本的にはスーツで面接に臨むことが好ましいです。
職種にもよりますが、スーツで面接に行かない場合でも清潔感のある服装を心掛けましょう。
■面接時間
・5~10分程度。
・個人面接が主ですが、応募人数が多い場合など2~5名での集団面接の場合も。
■質問される内容
・志望動機(このコースを希望した理由など)
・どのようなことを学びたいのか
・最後までしっかり通えるのか
・他の訓練生とのコミュニケーションへの自信(協調性の確認)
・訓練修了後の進路
・訓練中に再就職が決まった場合はどうするのか
■面接に受かる人・落ちる人
職業訓練校の面接ですが企業での採用面接と同じ気持ちで臨みしっかりと事前準備をしていきましょう。
ハロートレーニング(職業訓練)を受けるメリット・デメリットについて解説していきます。
ハロートレーニング(職業訓練)は再就職への支援を行っているので他にどうしたらいいのか分からない場合は支援を受けてみるのも一つの手段です。メリット・デメリットを理解し、よく考えてから前に進んでみましょう。
ハロートレーニング(職業訓練)を受講して就職に繋げることが出来た人の事例を何点か紹介します。
男性(33歳)‥アルバイトとして職を何回か替えながら働いていましたが、就職に有利となるようなスキルもなく専門的な知識を取得したいと思ったのでハロートレーニングを受講することに。以前からプログラマーの仕事に興味があり、知識は自己流で取得してはいましたが就職を考え本格的に始めてみることにしました。
「アイフォン・アンドロイドプログラミング習得科(実践コース)」を4ヶ月間受講し、訓練修了後にはハローワークで紹介されたプログラム・アプリケーション制作会社のアイフォン・アンドロイドアプリケーション開発として正社員採用されました。短期間の訓練でしっかりとスキルを身につけることが出来たので受講して本当に良かったと思っています。
女性(20代)‥私が通っていたコースではハロートレーニングの訓練修了時点で就職先が決まっていたのは20人中2名。訓練修了後すぐに働き始められるのが理想でしたが、訓練期間中は毎日訓練校に通うので併行して就職活動を進めていくのも大変でした。ハロートレーニングを受講せずに就職活動を始めるのがいいのか、しっかりと知識や技術を学んでからの就職がいいのかよく考えてから決めた方が良いのかなと感じました。
男性(41歳)‥長年プログラマーとして働いていましたが、将来のことを考え今とは異なる分野である製造業の仕事に就きたいと思いハロートレーニングを受講しました。
Bポリテクセンターで「CAD/CAM技術科(短期課程活用型デュアルシステム)」を学び、CAD操作だけでなく基本的な機械要素に関する知識も身につけることが出来ました。マナー講習や模擬面接もして貰えたのでビジネスマナーも取得することが出来、ハロートレーニングの実習先であった企業へ機械設計技術者として正社員採用となりました。一人で図面を見て仕事ができるようになったので、仕事でもとても役立っています。
専門的な知識や技術を身につけ、コースによっては資格取得も可能なハロートレーニング(職業訓練)は無料で受講することが出来ます。就職の幅を広げ有意義な就職活動となりますが、訓練修了後にすぐ就職できるわけではないことも頭に入れておきましょう。
しかし、一度身につけた知識や技術はきっと今後の役に立ちます。ハロートレーニングで学んだことは無駄になることは無いはずです。