【作:海里KAIRIさん】
家族と一緒に生活をしていると、「一人で自由気ままに生活してみたいな」と思うこともあるでしょう。
一人暮らしすると、どんな生活をしていても誰に咎められることもありません。親の監視の目もありません。
しかしいざ一人暮らしをスタートしようと思ったとき、自分の給料でちゃんと生活するのか不安になるものです。
2021年10月、Twitterでトレンド入りして話題になったのが「手取り13万円」。
手取り13万まじで悲惨だよ
外食できないお茶できない車持てない服コスメおしゃれできない習い事できない
息抜きできないし趣味も全部捨てなきゃだよ
ただ生きてるだけしかもちょっと気抜くと13万オーバー— さーちゃん (@nekMustang) October 26, 2021
ずっと実家暮らしの人は一人暮らしに憧れることもあると思いますが、「外食できない」「車持てない」「おしゃれできない」「ただ生きてるだけ」‥など、このようなツイートを見てしまうと理想と現実のギャップに不安を感じるのではないでしょうか。
手取り13万円で一人暮らしをするのは無謀なのか?
ここでは、手取り13万円のリアルな生活費を解説していくとともに、手取り13万円から収入をアップさせる方法までご紹介していきます。
一人暮らしはどのくらいの費用がかかるのか?
“国民一般の標準的な生活水準“ということで、人事院が「全国消費実態調査(総務省)」から18歳~26歳の単身勤労者世帯についての費目別標準生計費を算出した結果が以下の通りになります
費用(円)/世帯人員 | 1人目 | 2人目 | 3人目 | 4人目 | 5人目 |
---|---|---|---|---|---|
食料費 | 25,490 | 40,770 | 50,640 | 60,510 | 70,380 |
住居関係費 | 47,720 | 52,300 | 47,030 | 41,750 | 36,480 |
被服・履物費 | 2,580 | 9,010 | 10,350 | 11,690 | 13,020 |
雑費1 | 32,860 | 29,680 | 55,050 | 80,430 | 105,800 |
雑費2 | 8,280 | 18,930 | 23,450 | 27,970 | 32,480 |
※引用:人事院「平成30年人事院勧告」
https://www.jinji.go.jp/kankoku/h30/pdf/30sankou_seikeihi.pdf
◆住居関係費‥住居、高熱・水道、家具・家事用品
◆雑費Ⅰ‥保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽
◆雑費Ⅱ‥その他の消費支出(諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金)
世帯人員(1人)の費目別標準生計費を見ると11万6,930円であり、手取り13万円でも少し余る結果となっています。
贅沢をすることや余裕のある暮らしと考えると少々難しいかもしれませんが、この結果からは手取り13万円でも一人暮らしが可能です。しかし、外食ではなく自炊をする、家賃・水道光熱費を抑える‥など節約や工夫が必要となるでしょう。
一般的に“手取り金額の3分の1程度が家賃目安”と言われており、不動産屋での入居審査の際にも家賃は「月収の3分の1以内」が基準として設けられている場合が殆どです。
Point手取り13万円=4万3,000円
手取り13万円の人が家賃5万円以上の物件に申し込みをしても入居審査で落ちてしまう可能性が高いだけでなく、仮に住めたとしても貯金どころかギリギリの切り詰めた生活をしなければいけなくなるため、少しでも余裕を持つためには家賃3万円台の物件が理想かもしれません。
人によって生活費の内訳は異なる部分もあると思いますが、手取り13万円で生活をしていく場合のイメージは掴めるのではないでしょうか?
手取り月収13万円であれば、雑費・娯楽費などを抑えて節約生活する必要しなければいけません。通信費は格安SIMを利用することで出費を抑えることができますし、食費はなるべく自炊を心がけ節約を意識することが大切です。
家賃などの固定費をなるべく抑え、急な出費が必要となることも想定して貯金・予備費を少しずつでも貯めておくようにしましょう。
暮らす場所によって同じ間取りでも家賃が異なります。
全国8ヶ所の賃貸マンション(ワンルーム)の家賃相場を見てみましょう。
最安値 | 最高値 | |
---|---|---|
北海道 | 2.47万円(江別市) | 5.00万円(虻田郡倶知安町) |
宮城県 | 2.40万円(石巻市) | 5.45万円(仙台市宮城野区) |
東京都 | 3.40万円(あきる野市) | 12.38万円(港区) |
愛知県 | 2.60万円(あま市) | 6.20万円(岡崎市) |
長野県 | 2.18万円(諏訪市) | 5.64万円(松本市) |
大阪府 | 2.66万円(河内長野市) | 7.07万円(大阪市福島区) |
広島県 | 2.60万円(安芸郡海田町) | 5.13万円(廿日市市) |
福岡県 | 1.90万円(八女郡広川町) | 6.37万円(糟屋郡新宮町) |
※参照:アパマンショップ
https://www.apamanshop.com/sp/yachinsobasearch/mansion-madori10/
際だって家賃が高いのが東京都。23区内の家賃相場最安値は葛飾区の5.70万円であり、仮に23区内で家賃4万円の部屋を探してみると「築年数30年以上」「15㎡以下(全部で9畳ほど)」「木造住宅」が多いため、東京都で家賃3~4万円台の物件を探していて住環境をある程度気にする人は23区外が無難。
東京都内で正社員として働いているのであれば、近隣の埼玉県や千葉県で物件を探してみるのも一つの方法です。
そして、女性が一人暮らしをする場合はオートロックやモニター完備のマンションなど安全面に考慮する必要もでてきます。
安い物件を探せば出てくると思いますがただ安ければ良いのではなく、総合的に判断した上で自分に合った物件を借りることが大切です。
◆主な都市のワンルーム家賃相場
・東京(23区内)約7~9万円
・大阪 約6万円
・名古屋 約6万円
・福岡 約4~5万円
※引用:全労連
http://www.zenroren.gr.jp/jp/koukoku/2021/data/292_01.pdf
先ほど手取り13万円の家賃目安が約4万円とお話しました。全国どこでも家賃4万円前後の物件はあり、ワンルームもあれば2LDKの間取りもあるなど結局は暮らす場所によって同じ手取り13万円でも生活水準が変わってくるのです。
そして、全労連が公表した「最低生計費試算調査若年単身世帯総括表」を見ると、東京都や埼玉県は住居費が高いのですが交通の便や通信環境が整っているため交通・通信費は安い。
一方で、自家用車での移動が主となる地方では交通・通信費が高く、寒い地域は水道・光熱費が高いなど一人暮らしをする時は地域ごとの特徴を加味する必要もあります。
また、この調査は『25歳の若者が質素ながらも普通のひとり暮らしをするための費用』を示したものであり手取り18~20万円が必要と述べられています。
一人暮らしは自立への第一歩となり、きつい生活の中からでも節約や工夫を通して様々なことを学び“人間力が高まる”ことも否定出来ませんが「手取り13万円でどう生活するか?」ではなく、「手取り額をアップさせるにはどうしたらいいのか?」を考えていくことの方が堅実なのではないでしょうか?
手取りとは総支給額から保険料や所得税、住民税などの控除額を天引きされた差引支給額のことを言い、手取り13万円の人は月収16万円/年収192万円程となります。
アルバイトと考えると稼いでいるように見えるかもしれませんが、正社員の月収/年収としては低い水準です。
以下の表をご覧ください。
※引用:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/02.pdf
厚生労働省が公表した「令和2年賃金構造基本統計調査」を見れば一目瞭然です。年齢別では~19歳(男女計)の賃金が最も低く17万9,600円。
月収18万円の手取りは約15万円であるため、~19歳の賃金平均が手取り13万円よりも多いことは明らかです。
そして、総務省統計局が公表している「労働力調査」では年収別の割合を出しています。
※引用:総務省統計局「労働力調査」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/ndtindex.pdf
手取り13万円の年収がおよそ192万円であることから、それに該当する正規の職員・従業員の100~199万円を見ると「男:3.8%」「女:12.4%」となります。
非正規の職員・従業員では200万円以下が割合として多いのですが、正社員となるとグッと少なくなります。
仕事をサボっているわけでもなく頑張って働いているのに手取り13万円であるならば、もう一段階でもレベルアップを目指し毎月貯金ができるくらいの仕事に転職を考えてみるべきなのではないでしょうか。
実家暮らしとは異なり手取り13万円での一人暮らしはギリギリの生活が待っています。
「それでも大丈夫!」と思う人もいるかもしれませんが、将来のために十分な貯金ができますか?不安は全くありませんか?
手取り13万円は平均的な所得よりも低い給料です。将来のために、ひいては今ある生活のために収入を増やす方法を紹介します。
転職はしたくない、できないと思う人は昇進や昇格をして給与を上げる方法が考えられます。会社の評価基準を把握しておき、実績・成果を出せるよう日々の業務に取り組んでみましょう。
職場によっては資格手当(月々数千~数万円)が付く場合もあるので、業務に必要な資格取得を目指してみるのも良いでしょう。
しかし、給与のベースアップを目指す方法はすぐに反映されにくいため「今すぐにでも収入アップしたい」と思っている人には向いていません。
本業の合間にクラウドソーシングやアルバイトなどの副業をして収入を増やすことも可能です。
クラウドソーシングはインターネット上で業務を受注しオンラインで完結できる仕事が多いので、仕事後の空いた時間を在宅で活用できるので副業として働きやすいメリットがあります。
しかし、本業以外に副業を始めると負担が大きくなるため本業に支障を出してしまうことも。それでは元も子もありません。
無理のない範囲で続けられる副業であることが大事であり、会社が副業を容認しているのか?も確認しておきましょう。
現在と同じ職場で給料のベースアップを実現するためにはそれなりの時間が必要となるだけでなく、会社の業績や実績次第では確実に給料アップが叶うとも限りません。
やはり最も現実的な収入アップ方法は“転職”をすることです。
しっかりと転職先を選べば同じ業務内容でも収入アップとなることがあり、異職種への転職でもこれまでの経験を活かせる職種であれば収入アップに繋がります。
◆転職先を選ぶポイント
・なるべく経験が活かせる仕事に
・待遇・福利厚生にも注目(賞与、手当、条件など)
・伸びている業界を選ぶ
ここまで手取り13万円の一人暮らしについて、手取り13万円という給料について解説してきました。
Twitterでトレンド入りしたように、手取り13万円で生活をしている人や過去にしていた人が少なくはなく話題となりました。
正直、手取り13万円一人暮らしはきついし、投資や貯蓄など老後の資産形成などは話題にもできないレベルです。
少ない手取りで「ただ生きてるだけ‥」と嘆くのではなく、自分が理想とする生活を手に入れるために転職も検討してみてはいかがですか?
ほんの少しの行動力があなたの生活を大きく変えてくれるかもしれませんよ。