いい会社と悪い会社(ブラック企業)は福利厚生で見極められる?

いい会社と悪い会社は福利厚生で見極められる?
どんな求人でもほぼ必ず要項に明記されている『福利厚生』。

求職者の多くは、給料や仕事内容の他に、この福利厚生の内容を気にしていることでしょう。

けれど、いい会社の目安になる「充実した福利厚生」の内容がどんなものか、正しく理解できているでしょうか?

この記事では、福利厚生がいい会社・悪い会社の例を詳しく解説していきます。

この記事の出典

この記事の監修者:森田征さん
  • 株式会社さかえ経営(併設 さかえ経営労務事務所) 代表取締役
  • 社会保険労務士

プロフィール

関西学院大学社会学部卒業後、フジパン株式会社(現フジパングループ本社)に入社、その後、社会保険労務士事務所(現在は社会保険労務士法人)、株式会社ビジネスブレイン太田昭和等、監査法人系コンサルティング会社を得て、株式会社さかえ経営を設立。
現在は、中堅企業向けに人事労務コンサルティングサービスを展開、近年、人事DXを見通し、給与社会保険のアウトソーシングサービスを展開している。
人事労務の視点から企業の業績向上を目指すことが得意としている。

運営サイト・著書

株式会社さかえ経営:https://www.sakae-office.com

さかえ経営労務事務所:https://it-sr.sakae-office.com

ブログ運営サイト「労務管理ナビ」:https://www.sakae-office.com/roumukanrinavi/

【ランキング】従業員が必要だと思う福利厚生とは

福利厚生の大切さが定着した昨今では、大企業やベンチャー企業などでは積極的に様々な福利厚生が考えられ、実践されています。会社の個性を出すという意味でも、福利厚生の多様性が利用されているように感じます。

でも、いくら話題性のあるユニークな福利厚生だとしても、実際に従業員にとって有益なものでなければ、単に企業側の自己満足と言えなくもありません。
そして実際には、従業員側としてどんな福利厚生が必要だと感じているのでしょうか。

2015年のデータですが、人材サービスを行うマンパワーグループが福利厚生についてアンケートを行っています。
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実際にあった福利厚生で良かったと思うものを挙げたアンケートですが、一番多い回答が「食堂、昼食補助」二番目が「住宅手当・家賃補助」、三番目が「余暇施設、宿泊施設・レジャー施設などの割引制度」という順番になっています。

上位2件が生活に関する出費に密接に関わるもので、3番めにレジャー関連の割引となっており、4番目にも「財形貯蓄制度」が来ていることから、従業員側としては手堅く出費を抑えたい、またはうまく貯蓄をしたいという意識が伺えます。

意外なのは休暇関連が出てくるのが12番目と、思ったよりも下位にある点です。まず第一に生活に余裕を持ちたい。余暇はそれから。ということなのかもしれませんね。

専門家がアドバイス!
短期的・長期的な視点を含めて自分が求めている福利厚生サービスを検討

企業の規模感によってできる福利厚生の内容は異なるかと思います。中小企業において、持ち株会や社宅等の福利厚生は難しいですし、一方で、食事補助等は中小企業の方が小回りが利くことが多いため、容易に導入できるのではないでしょうか。

弊社の支援先では、以下が多いかと思います。
財形貯蓄、持株会(ストックオプション含む)、バースデー休暇・家族休暇、食事(食費)補助、社内優待など

一般的な感覚では、退職金制度や財形貯蓄等の長期的な視点よりも、食事(食費)補助やレジャー割引、バースデー休暇等、短期的な視点のものの方が喜ばれる傾向になりますが、会社を選ぶ際は、短期的・長期的な視点を含めてご自分が求めている福利厚生サービスを検討した方が良いかと思います。

森田征さん
  • 社会保険労務士

必要な福利厚生・不要な福利厚生の見極めが必要

福利厚生いい会社福利厚生が整っているところといっても、会社によって方向性もあり、自分に必ずしも必要な条件であるとは限りません

例えばジムやアウトドアなど、体を動かすことに興味がなければ、それらの料金割引特権があったところで宝の持ち腐れです。

福利厚生を基準に働きたい会社を選ぼうと考えたなら、まずは自分の立場としてどんな福利厚生があると働きやすいか、自分の生活を豊かにできるかについて考え、自分に合った福利厚生を選ぶようにしてください。
例えばどんな法定外福利厚生があるのか、チェックしてみましょう。

一般的な福利厚生

  • 住宅手当
  • 健康診断
  • 交通費支給
  • 被服費支給、制服貸与
  • 慶弔手当、慶弔休暇
  • 社員食堂 など

単身者でも既婚者でも、一般的にはこれらの福利厚生が整っていると生活面や健康面、プライベートの充実で満足度は得られるのではないでしょうか。

女性が働きやすい福利厚生

  • 出産休暇、育児休暇
  • 時短勤務制度
  • 託児サービス
  • 在宅勤務制度
  • 社内カフェ
  • レジャー補助金

株式会社サイバーエージェント

女性に優しい福利厚生と言えば、株式会社サイバーエージェントの『macalon(マカロン)パッケージ』が話題になっています。女性特有の体調不良時に取得できる「エフ休」。「妊活コンシェル」や「キッズ在宅」など、女性にとって助かる制度が充実しています。

最近では生理休暇や妊活休暇なども話題に登るようになってきました。女性ならではの悩みも多く、男性には理解されにくく今まで軽視されていた事も、少しずつ理解される風潮が高まっています。

しかし、日本ではまだまだ理解が浅く、制度はあるけど実際には使いづらいと感じてしまう企業もあるため、見極めが肝要です。

参照:株式会社サイバーエージェント

ユニークな福利厚生例

Chatwork株式会社

chatwork株式会社にはユニークな制度がいくつかあります。
『最新デバイス購入支援制度』最新デバイス購入費半額を支援する制度です。最新のデザイン、技術に触れる機会を増やすための制度となっています。

『出産立ち会い制度』お子様の出産に確実に立ち会いができるように、産前4週、産後8週まで在宅勤務ができます。
『ゴーホーム制度』実家へ帰省する費用を14,000円まで支給。
他にもユニークな制度がたくさんあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

参照:chatwork株式会社

サイボウズ株式会社

『働き方宣言制度』
自分の働き方を自分の好きなように決め、それを文書化して宣言。社内に公表・共有することで働き方改革を実現した制度です。

サイトでは例えば「基本は9時〜17時出社。日によって18時退社も可能。月に3日ほど在宅勤務の可能性あり」「副業のため週4日勤務。満員電車を避けるため10時出社」といった実社員の例が上がっています。

参照:サイボウズ株式会社

ヤフー株式会社

『勉学休職制度』
専門的知識や語学力アップのために、勤続3年以上の正社員を対象に、最長2年休暇が取れるキャリアアップを目的とした休暇制度です。

ヤフーではこの他にも、ボランティア活動を通じて誰かの課題解決に貢献する『課題解決休暇』。勤続10年の社員が2〜3か月程度自分のキャリアや経験を見つめ直すために休暇が取れる制度『サバティカル制度』など、さまざまな休暇制度を取り入れています。

参照:ヤフー株式会社

株式会社クックパッド

レシピサイト運営のクックパッドらしい福利厚生として、毎日届く新鮮な食材で自由に「まかない」を作ることができるシステムがあり、社員同士のコミュニケーションも推奨されています。

参照:株式会社クックパッド

このように、個性豊かな福利厚生が多様にあります。自分にとって仕事とは?どのような福利厚生で自分のキャリアとプライベートを豊かにできるか?そんな視点で働く会社を探してみると楽しいのではないでしょうか。

専門家がアドバイス!
福利厚生によって会社のスタンスが示される

社会保険等の法定福利以外の福利厚生サービスにおいて重要なのは、会社の人材マネジメントの施策に沿っており、且つ従業員にとって利益があり、モチベーションがあがるものである必要があります。

一般的な福利厚生がある会社は多いかと思いますが、それ以外の福利厚生サービスにおいてどのようなものがあるかということが、会社のスタンスを示されると思います。

その会社の中の多くの従業員が求めているものがある、または、あまり意味のないものが沢山あるなどから、その会社が福利厚生をどのように考えているかの判断材料になるのではないでしょうか。

森田征さん
  • 社会保険労務士

ブラック企業の福利厚生の特徴

福利厚生が充実していない。本当に最低限の内容しか盛り込まれていないからと言って、ブラック企業だと判じてしまうのはさすがに早計です。

先にも言っているように、法定福利厚生については企業の義務ですが、法定外福利厚生については企業の裁量にかかっています。

盛り込んだそれらの諸経費は会社側の負担になるわけですから、企業の規模によっては、あまり経費を割けないところも当然ながらあります。

中小企業には職場環境が良くても、福利厚生を盛り込めないところも多くあります。本当にその福利厚生が必要か、なくても職場環境が良ければ快適に仕事ができる場合も当然あるので、その辺の見極めはしっかりと行ってください。

でも、そうなるとブラック企業の特徴は福利厚生という面から推し量ることはできないのでしょうか?

福利厚生で見分けるブラック企業

実は福利厚生の面からでも、ブラック企業かそうでないか、目安にできることはあります。

福利厚生は、いかに社員を大事にしているかの目安とも言えるものです。その内容が本当に社員のためを思って取り入れられている制度なのか?一見いい制度に見えて、実は体よく働かせるための制度になってはいないか?

更に求人で時折見かけますが、「福利厚生充実!」と大きく謳っている割には、詳細が書かれていないというものもあります。

一例として挙げられているのが「有給休暇完備!」「各種手当て充実!」と従業員として当然の権利と、曖昧な情報で釣ろうという意図が見える書き方がされているものも怪しいです。

制度をしっかりと運営して、それに自信を持っている企業は、何一つ隠す必要がないので、詳細をしっかりと教えてくれるものです。

面接で福利厚生について聞いたら、曖昧にはぐらかされたり、何でそんなことばかり聞くんだと嫌な顔をされたという経験はありませんか?教えたくない理由がある=後ろめたいことがあると受け取れます。

社内の内情を隠したがるような企業は注意が必要です。

Point

詳細が曖昧な福利厚生は怪しい

【まとめ】社員が喜ぶ福利厚生が「いい会社」の特徴

いくら細々とユニークな福利厚生、話題性のある福利厚生を取り入れていても、それが実際に社員のためになっていなければ、ただのお飾りになってしまいます。それがしっかりと機能していて、社員の生活や業務を豊かにしているか、チェックすべきはそんな内情です。

福利厚生は社員のための制度です。福利厚生を目安にしていい会社に出会いたいと考えるのであれば、社員のためになる福利厚生を取り入れているかをチェックしてください。

もちろん面接時に質問するのも遠慮はいりません。福利厚生を正しく運用していれば、それは会社の売りになるものですから、喜んで教えてくれるはずです。もしも隠そうとするようであれば、それらはお飾りで実際に入社したら何かと理由をつけて利用を断られるなんて可能性も…。

自分にはどんな福利厚生が必要なのか、そして求める福利厚生がしっかりと運用されているのか、自主的にチェックしていい会社に出会ってください!


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷