ITエンジニアへの転職では、資格よりも実務経験が重視されます。
実際にITエンジニアの転職活動を何度かやりましたが、面接で資格の質問をされることはほとんどありませんでした。ひたすら前職の実務経験について質問された記憶があります。
しかし、スキルを証明できない未経験者の転職でも、資格は重視されないのでしょうか?
今回は、未経験からITエンジニアを目指す人にIT資格の種類、転職におすすめのIT資格、資格取得以外に転職前にやっておくと有利になることを解説します。
ITエンジニアになりたい未経験者が入社前にIT資格を取ることは、転職で有利になる可能性があります。
近年、どの企業もITエンジニアは不足していて、人材確保に苦戦する会社も少なくありません。
そのため、ひと昔前と比べて、未経験者や経験の浅い若手社員のポテンシャル採用を積極的に行う企業が増えてきました。
ポテンシャル採用をする企業は、選考の際に応募者の「積極的に学習する姿勢」を重視する傾向にあります。大企業を中心に企業側でも未経験者を受け入れる教育体制を整えていますが、技術の移り変わりが激しいIT業界では積極的に勉強する姿勢がないと務まりません。
最低限のスキルがない人や学習意欲のない人は、未経験者を採用に前向きな企業でも内定をもらうのはむずかしいでしょう。
IT資格を取っても、入社後に即戦力として活躍できるわけではありません。
しかし、資格試験の勉強をすることで体系的にITの知識が身につき、学習意欲や最低限の知識を面接の場でアピールするのに役立ちます。
資格はとっておいて邪魔にならないので、未経験者は転職活動を始める前に勉強しておきましょう。
ITエンジニア向けの資格は、国家資格とベンダー資格の2種類あります。
ITエンジニア向けの国家資格とは、情報処理技術者試験のこと。経済産業省所管のIPA(情報処理推進機構)が主催するもので、2020年1月時点で13種類の資格があります。
引用:IPA(情報処理推進機構)「試験区分一覧」
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html
図の上にあるピンク色の資格は高度なスキルを必要とする経験者向けの資格。
試験の合格率も15%前後と難易度が高いものばかりです。
あとで詳しく説明しますが、図の一番下にある基本情報技術者試験は、ITエンジニアの入門的な資格で学生や若手社員に人気があります。
国家資格を取るメリット、デメリットを簡単にまとめたので参考にしてみてください。
■メリット
・特定のベンダーに依存しないので総合的なITの知識が身につく
・受験料が5,700円と安い
・資格の有効期限がないので、一度合格すればずっと履歴書に書ける
■デメリット
・試験範囲が広いので勉強が大変
・ITの知識は身につくが、実務に役立たない資格もある
・年1回または2回しか受験できない
・国内でしか評価されない
ベンダー資格とは、マイクロソフトやオラクル、シスコなどITベンダーが主催する認定資格のこと。特定のベンダーの製品知識を深めるための資格で、幅広いITの知識を身につけるものではありません。
OSならOS、ネットワークならネットワークと専門分野の知識を身に着けたいときに役立ちます。次の4つが、ITエンジニアの転職で人気の高い資格です。
マイクロソフト認定資格(MCP)
シスコ技術者認定資格(CCNAやCCNPなど)
オラクルマスター(Oracle Master)
Linux認定資格(LPIC)
ベンダー資格のメリット、デメリットをまとめてみました。
■メリット
・世界中の企業で利用される製品資格なので実務で役立つものが多い
・世界共通資格なので海外でも通用する
・受験会場と受験日を自由に選べる
・製品資格なので実機を操作しながら勉強できる
■デメリット
・有効期限がある資格が多く、期限内に更新しないと失効する場合がある
・受験料が15,000~40,000円前後と高い
・専門分野に特化した資格なので、職種により実務で使えないこともある
国家資格とベンダー資格の中から、未経験者向けにITの基礎知識の学習や選考で有利になる資格を5つ紹介します。
難易度や平均的な学習時間も間単に説明するので、転職活動の参考にしてみてください。
ITパスポートはIPA主催の国家資格の1つ。
パソコンやネットワーク、セキュリティ、ITを活用した経営活動などITの基礎知識を総合的に勉強できます。
IPA主催の国家資格のなかで最も難易度の低いもので、IPAの調査によると2023年の1月~9月までの平均合格率は51.4%。
難易度が低いので、ITの知識が全くない人でも参考書を買って独学で勉強できます。
未経験者の平均的な学習時間は、パソコンの操作に慣れた人が20~30時間程度です。パソコンの操作が苦手な人だと100時間は必要とのこと。
ITパスポートは、ITに携わるすべての社会人に必要な基礎知識が身につく資格なので、未経験者でもITエンジニアの転職ではあまり評価されません。
しかし、IT用語は耳慣れない専門的な用語だらけです。
何の知識もない未経験者がいきなり高度なIT資格を勉強しても、問題の意味を理解できないでしょう。
まったくの未経験者が情報技術の基本を学ぶのにおすすめの資格といえます。
「パソコンは苦手だけど、手に職をつけるためにITエンジニアになりたい」人は、まずはITパスポートから勉強してみてください。
基本情報技術者試験もIPA主催の国家資格。ITパスポートの1つ上のレベルの資格です。
システム開発からインフラ、セキュリティ、企業の経営活動や法律などIT業界で働くために必要な基礎知識を総合的に学ぶためものと思ってください。
ITパスポートと出題範囲が似ていますが、ITエンジニアとしてより実践的な知識を勉強できます。若手のITエンジニアに人気の高い資格で、新入社員に基本情報処理技術者の取得を義務付けるSlerも少なくありません。
IPAの調査によると、2022年の基本情報技術者試験の合格率は37.4%でした。
ITパスポートと比べたら難易度の高い資格ですが、未経験者でも独学で合格する人が少なくありません。
ITの知識のない未経験者の平均学習時間は、100~200時間前後。
知識のない人には少しハードルの高い資格しかもかもしれません。
しかし、面接で未経験でもITエンジニアとして最低限のスキルがあることを証明するのに役立つので、勉強する価値は十分にありますよ。
シスコ技術者認定資格とは、ネットワークベンダーのシスコシステムズ主催のベンダー資格。多くの企業がシスコシステムズのネットワーク機器を使っているため、実践向けの資格として有名です。特にネットワークの分野で活躍したいITエンジニアに人気がありますよ。
シスコ技術者認定資格は、4つのレベルに分かれています。
経験者の転職で評価されるのはCCNAやCCNPですが、未経験者は入門レベルのCCNETを勉強してネットワークの基礎知識を身につけるとよいでしょう。
学習時間は人によりますが、全くの未経験者がCCNETを取得するのに3か月はかかると思ってください。
ネットワークの知識がそれなりにある未経験者は、CCNAから勉強して構いませんよ。
オラクルマスターは、世界有数のソフトウェアベンダー・オラクルが主催するベンダー資格。オラクルのデータベース製品は、世界各国で使用されていて、日本でも大手企業の基幹システムのデータベースはほとんどオラクルを使っています。
そのため、オラクスマスターもITエンジニアの転職で歓迎される資格と考えてよいでしょう。
難易度は4段階に分かれています。
未経験者はオラクルデータべースの基礎を学ぶために、Bronzeを取っておけば十分です。
データベース自体が複雑でむずかしいので、未経験者には難易度が高いかもしれません。
しかし、データベースの知識があるITエンジニアは、開発とインフラどちらの分野でも重宝されます。
自分が開発かインフラどちらのITエンジニアになるか明確に決めていない人は、取っておいて損はないでしょう。
学習時間は人によりますが、50~100時間は必要と思っておいたほうが無難です。
Linux認定資格とは、Linuxと呼ばれるOSのスキルレベルを図るためのもの。
一般的には「LPIC」と呼ばれていて、NPO法人Linux技術者認定機関が主催する資格です。
WindowsやMACとちがい市販のパソコンに使われるOSではないので、知らない人もいるでしょう。
しかし、サーバと呼ばれる大型マシンやソフトウェアの開発環境で採用されることが多いので、ITエンジニアの転職では歓迎される資格です。
LPICは難易度別に3種類の試験があります
初級レベルのLPIC-1は、Linuxの基礎知識が学べるのでサーバーエンジニアを目指す人におすすめの資格です。難易度はそこまで高い資格ではありません。
しかし、Linux OSの操作経験がないと、資格取得までに2か月から半年程度かかるでしょう。
IT資格の取得と合わせて、ITエンジニアを目指す未経験者が転職を有利に進めるための対策を2つ紹介します。
IT資格を取るよりもこれから紹介する2つの対策のほうが転職活動で役に立つでしょう。
未経験者が転職を有利に進めるなら、操作しながら勉強できる学習コンテンツでスキルを身につけるとよいでしょう。資格試験の勉強は、あくまでも机上で知識を詰め込むもの。
ITの知識は、参考書を読むだけだと理解できないものも少なくありません。
参考書を読んでもピンとこなかった知識が、実機を操作してはじめて理解できることがたびたびあります。
約10年、運用系ITエンジニアとしてSlerやベンダーなどで働いてきましたが、スキルを深めるのに役立ったのは実機の操作です。実務で学んだスキルを補うために、必要に応じて資格試験の勉強をしていました。おそらく、企業規模問わず、IT資格の取得よりも未経験者でも実機を触って学習した経験のある人が歓迎されるでしょう。
操作しながら勉強できる初心者向けの学習コンテンツにProgateやPaizeラーニングがあります。2つともインターネットにアクセスできれば、誰でも勉強できますよ。
独学で勉強する自信のない人のおすすめするのが、GEEK JOBやエンジニアカレッジなど無料で学べるITスクールです。専門の講師に教わりながら実機を使って勉強するので、短時間でITの知識が身につき、資格合格も実現できるでしょう。
ITスクールは、講座終了後に就職支援を行うところも少なくありません。
はじめての転職活動で何をしてよいかわからない人は、ITスクールを使ってみてください。
プログラミングの知識があり、自作のゲームやシステムが作れる未経験者は、転職活動前にポートフォリオを作成しましょう。ポートフォリオとは、自分のスキルや実績をまとめた作品集のこと。一般的にデザイナーやライターなどクリエイターの営業活動や転職活動で利用されるものです。
しかし、ITエンジニアの転職でも、選考の際にポートフォリオの提出を希望する企業が増えてきました。ポートフォリオを提出すれば、一目で面接官に自分のスキルをアピールできて便利ですよ。
特に口下手な人におすすめしたい自己PRの方法です。
ポートフォリオを見て、面接で話が弾むことも少なくありません。
システムやゲームをつくる過程で発生したエラーや不具合を解決した経験がある人は、トラブル解決能力の証明になるので積極的に面接でアピールしましょう。
どの会社にいってもITエンジニアは、問題解決能力の高い人は歓迎される傾向にあります。
ITエンジニアは実務経験が重視される職業なので、資格=即戦力になるとは限りません。
しかし、未経験者の転職活動では、「前向きにスキルを身に着ける姿勢」をアピールするのに資格取得は効果があります。
ITエンジニア向けの資格はたくさんありますが、未経験者におすすめの資格は次の5つです。
資格取得と合わせて、手で操作できる学習コンテンツでの知識を深めるのも未経験者におすすすめの勉強方法です。
プログラミング経験のある人はポートフォリオを作成すると、最低限のスキルと学習意欲があることを面接官にアピールできますよ。自分の現在のスキルや将来進みたい方向にあった勉強をして、希望の会社から内定をもらえるよう頑張ってくださいね。
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