社内SEは、SEの中でも「ホワイトな仕事」で有名です。Slerやベンダーの激務に疲れ果てて、社内SEへの転職を考える人もいますよね。
しかし、SlerやベンダーのSEにない社内SE特有の大変さがあります。約3年間、2社で社内SEとして働いた実体験から社内SEの大変さや楽な部分、社内SEに向いている人を赤裸々に語ります。
社内SEへの転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
社内SEとは、非IT系企業の情報システム部で働くITエンジニアのことです。基本的に「システム」と名のつく業務は、すべて社内SEの管理下にあると思って問題ありません。具体的には、次の業務を社内SEが担当します。
社内SE1人ひとりの業務範囲は会社により大きく異なりますが、社内での社内SEの役割はどの会社にいっても同じです。
社内SEの役割は、社員みんながパソコンやシステムを使ってスムーズに仕事ができる環境を整えること。SlerのSEのように最前線で活躍するのではなく、「裏で社員を支えること」が社内SEの仕事です。
一般的に社内SEの仕事は「SlerやベンダーのSEに比べて楽」といわれています。しかし、社内SEの仕事が必ず楽とは限りません。社内SEの仕事が、大変か楽かは会社次第です。
実際に製薬会社と私立大学で社内SEをやってみて、「役割は同じでも、業務範囲は2社でかなりちがう」と実感しました。実体験や知人の話をもとに、社内SEの仕事が大変になりがちな会社の特徴を簡単に紹介します。
大企業と比べて中小企業の社内SEは、業務範囲が広いです。中小企業は大企業のようにITに設備投資するお金がありません。ITに設備投資ができないので、社内SEの人数も少なく、業務の外注化もできません。そのため、社内SE1人あたりの業務量が増えます。社員数100人以下の会社だと、社内SEが1人しかいないことも珍しくありません。
逆に大企業だと情報システム部内で開発・インフラ・ヘルプデスクと、業務が細分化されることが多いです。職員数500人程度の私立大学の社内SEは正職員の担当業務は下記だけで、その他業務は外注に丸投げしていました。
毎日、定時退社する人がほとんどで、残業してもせいぜい1時間程度です。私の担当業務はパソコン関連のヘルプデスクで、それ以外の業務をやる必要はありません。今まで働いた中で、私立大学の社内SEが一番楽でした。
社内SEの仕事が大変か楽かは、業種も影響します。金融や医療、小売業界の社内SEは激務になりやすいようです。特に金融システムは、24時間365日稼働が止まることはありません。そのため、障害が発生したときは自宅に電話がかかってきて、深夜、休日と関係なく対応しなければなりません。
医療や小売業界も人手不足の業界です。人手不足を解消するため、業務のIT化が急務とされています。解決しなければならない課題が山積みのため、「社内SEが激務になりやすい」との話を耳にする機会が少なくありません。
企業規模、業種ベースで社内SEの大変なところを紹介しました。ここからは業種や企業規模に関係なく、どの会社でもありうる社内SEの大変なことをお伝えします。
とにかく社内SEの業務範囲は広いです。業務が細分化されていない会社の社内SEだと、浅く広くシステムの知識を身につけなければなりません。社員からのシステムの相談が、すべて情報システム部に来るからです。実際に私が製薬会社で社内SEとして働いたときの対応範囲はこんな感じでした。
MRに支給する家庭用プリンターまでは社内ネットワークにつなぐものなので、社内SEの対応範囲といわれて納得できました。しかし、オーディオ機器以下は、社内ネットワークにつなぐことはありません。社員から相談されても「これは社内SEの仕事?」とモヤモヤすることも……。
対応範囲外の相談でも断ると人間関係にヒビが入るので、調べて回答することがほとんど。自分の知らない分野や苦手なことでも、相談されたら調べて回答しなければならない点が、私にとって一番大変でした。
情報システム部のトップが社内政治に弱く、他部署から雑務を押し付けられやすい点も社内SE特有の大変さです。製薬会社では次の事務的な業務も「システムに関係するから」との理由で、社内SEが担当していました。
社内SEの客先常駐の経験が豊富な人曰く、「これらの業務は、本来社内SEが担当するものでない」とのことです。情報システム部のマネージャーも、「納得はしていないが、社内の人間関係にヒビが入るから仕方なく受けた」といっていました。
他部署の人に社内SEの仕事内容を理解してもらえないことも社内SE特有の悩みです。システムの仕事は知識がないと、具体的に何をやっているのかわからない人がほとんど。「パソコンで何か作業している」程度の認識しかありません。
私立大学の情報システム部の部長は、異動前にスポーツ関連の部署にいたため、仕事でパソコンを使う機会がほとんどなかったようです。
そのため、外注のSEや派遣社員をみて「いつもパソコンばかり見てるが、あいつらは本当に仕事してんのか」とぼやいていました。部長はパソコンを使った業務が具体的に理解できないので、外注の私たちがパソコンで働く姿は遊んでいるようにしか見えなかったようです。
営業やマーケティングの社員と比べて年収が上がりにくい点も、社内SEにありがちな悩み。社内SEが所属する情報システム部は、人事・総務・経理と同じ管理部門です。営業やマーケティング、販売など会社の利益に結びつく部署ではありません。
社内SEの仕事は、営業や販売のように目に見せる成果を出しづらい部分もあります。それに加えて、経営陣がシステムの知識がないと、社内SEの仕事を正当に評価できません。
「目に見える成果を出しづらい」「評価しづらい」などの理由で、社内SEは年収が上がりにくい傾向にあります。実際に製薬会社のマネージャーは、「経営陣に成果を理解してもらうのが大変」と、よく口にしていました。
社内SEは大変な部分もありますが、Slerやベンダー勤務と比べて楽なこともありました。実体験から「社内SEはホワイト」と思ったことを紹介します。
社内SEが楽だと思ったことは、SlerやベンダーのSEと比べて残業や休日出勤が少ないところ。自社システムの開発・運用保守なので、納期はあってないようなものです。納期があっても、お客様に納品するシステムではないので、開発工程に遅れが出たときは納期を延長できます。
また、社内システムは一度リリースすれば、頻繁に大幅な改修やリニューアルをするものではありません。リリース後の主な業務内容は運用保守です。障害が発生しない限り、夜間や休日の緊急対応も滅多にありません。
ただし、SlerのSEと比べて最新の技術に触れる機会は少ないので、技術志向が強い人には社内SEの仕事は物足りないでしょう。
自分の知識がない分野、工数がとられる作業を外注に丸投げできる点も「社内SEが楽」といわれる理由の1つでしょう。
大企業の社内SEは、システムの企画や要件定義まで担当して、その後の設計・プログラミング・テストなど一連の開発業務を外注化することが多いです。ヘルプデスクも地味に工数がとられる作業なので、派遣やSlerに外注化する会社も珍しくありません。
自社システムなのでお客様から仕事の無茶ぶりをされないことも、社内SEが楽なところでしょう。
Slerだと、納期直前に急な仕様変更や機能追加を依頼されることも珍しくありません。しかし、社内SEはユーザーは同じ社員なので、情報システム部門の内情を理解してくれます。細々とした業務の依頼はあっても、徹夜や休日出勤が必要となる無茶な仕事の依頼はありません。少なくとも私が在籍した2社はそうでした。
社内SEの大変なところ、楽なところを踏まえて、社内SEに向いている人の特徴を紹介します。
社内SEは社内システム全般を担当します。アプリケーション、ネットワーク、ハードウェア、セキュリティなど幅広い業務に浅く広く携わることが苦にならない人が、社内SEに向いているでしょう。「ネットワークを極めたい」「AIの開発をしたい」などやりたいことが明確な人には、社内SEはおすすめできません。
他人のお世話をするのが好きな人も、社内SE向きといえます。
Slerやベンダーとちがい、社内にシステムの知識がある人がほとんどいません。そのため、社員からシステムの使い方やトラブル解決法で相談される機会が増えます。
自分の業務が中断されても、誰かの相談に乗ったり、世話を焼いたりするのが好きな人は、社内SEは天職かもしれません。Excelの使い方や複合機の紙詰まりなどスキルを必要としないことでも、解決すると感謝されます。お礼にお菓子をもらうこともよくありました。
チームワークが得意な人、チームを組んで仕事をするのが好きな人も、社内SEに向いています。
ITを使って社内の業務改善や効率化を図ることが社内SEの役割です。社内システムの企画には、各部署から現状の不満や問題点をヒヤリングしたうえで、取りまとめる作業が欠かせません。逆に他部署から「業務のIT化に何のツールを使うべきか」と、相談を受けることもあります。
社内SEは1人で仕事を進めるよりも、他部署のメンバーと連携する機会が多いです。コミュニケーション能力が高くて、チームでの仕事が苦にならない人は、社内SEを目指すとよいかもしれません。
最新の技術を身に着けてバリバリ働くよりも、自分の時間を大切にしたい人も社内SEに向いているでしょう。
一部の例外を除き、社内SEは残業や休日出勤がそこまで多くありません。2社で社内SEとして働きましたが、残業は多い月で40時間程度。2週間連続で定時退社の日もありました。Slerやベンダーの激務に疲れて、スキルアップよりも自分の時間を大切にしたい人は、社内SEへの転職を検討してみるとよいでしょう。
ここまでの記事で読んで「社内SEになりたい」と思った人もいることでしょう。自社で社内システムを内製する企業がひと昔前と比べて増えたため、社内SEの求人も増加傾向にあります。
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これらは、SlerやベンダーのSEにないデメリットです。しかし、次のメリットは社内SEならではの特権ですよ。
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