ITストラテジストは難易度の高いすごい資格!試験の内容に合った学習方法は?

ITストラテジストという資格試験について聞いたことはあるでしょうか?

ITストラテジストは、システム開発における超上流工程を担当します。プログラマーがシステム開発に着手する前に、経営者目線から開発の方向性を決めていく立場です。

情報処理系の資格には様々なものがあります。その中でもITストラテジストは最高レベルにあたる資格です。取得のための難易度はかなり高く、合格率10%台の難関試験です。

合格するためには、試験の内容を詳しく知り、計画的に勉強することが大切です。

この記事では、ITストラテジストの資格試験概要、他の情報処理系資格との難易度比較、そして合格のための学習方法まで、詳しく解説しています。

ITストラテジストとは

ITストラテジストとは、簡単にいえば会社のITコンサルタントです。IT技術の高さはもちろん、経営戦略を立て、企画を推進する経営コンサルタントととしての実力も求められます。

仕事内容

IT業界におけるシステム開発の仕事は、実は細かく工程が分かれていることをご存知でしょうか。

基本的にシステム開発は以下の様な工程で行われます。

システム化の方向性→システム化計画→要件定義(ユーザーの「こうしてほしい」という要求をシステムの動きに落とし込む過程)→外部設計→内部設計→プログラミング→各種テスト

IT業界では要件定義~外部設計までを「上流工程」、それ以降を「下流工程」と分けて読んでいます。そして上流工程の前に存在する「システム化の方向性」や「システム化計画」を立てる最初の工程は「超上流」と呼ばれています。この超上流工程を担当するのがITストラテジストです。

仕事内容を簡単に解説しましょう。ITストラテジストはまず現場でヒアリングを行い、現状課題の洗い出しを行います。その上でIT活用戦略を立てて、経営陣に開発の提案を行います。

むやみに膨大なお金と人材を投入してシステム開発を行っても、確かな目標がなければビジネスとして成功する可能性はとても低くなることでしょう。

まず第一に、会社の成長戦略や経営戦略をもとにしたシステム開発案をしっかり立てることが重要です。その意味でITストラテジストは非常に大切な役割を担う存在なのです。

ITストラテジストに向いている人

ITストラテジストが関わるのは、システム開発の超上流工程です。そのため現場でシステムを組み立てるプログラマーとして活躍する機会は少なく、エンジニア経験は必ずしも必要ではありません。

その代わりIT、法律、コスト、スケジュール、災害時復興計画など幅広い専門知識が求められます。常に最先端の技術を広範囲にわたって学び続ける意欲のある人が向いているでしょう。

また、自身の考えを経営陣にアピールする力や現状分析におけるヒアリング能力も必要になるので、コミュニケーション能力が高い人もITストラテジストに適性があります。

ITストラテジスト試験と他のIT試験を比較

ITストラテジストとしての知識を証明するための試験に、情報処理推進機構が実施しているITストラテジスト試験があります。

情報処理技術者試験とは

情報処理技術者試験というのは独立行政法人情報処理推進機構が行っている試験です。「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が認定する国家資格にあたります。

情報処理技術者試験には以下のような試験があり、ITストラテジスト試験もこの中に含まれています。

●ITを活用する人向け
・ITパスポート試験
・情報セキュリティマネジメント試験

●情報処理技術者向け
・基本情報技術者試験
・応用情報技術者試験

●情報処理技術者向け(高度情報処理技術者試験)
・ITストラテジスト試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システム監査技術者試験

●情報処理技術者向け(情報処理安全確保支援士試験)
・情報処理安全確保支援士試験(試験合格後国家資格の情報処理安全確保支援士に申請)

持っているとすごい!情報処理技術者試験内での難易度比較

情報処理推進機構は、情報処理技術者試験を4つのレベルに区分しています。最も難しいレベル4に該当する試験は8つあり、高度情報処理技術者試験と呼ばれています。

ITストラテジスト試験もこの中に含まれます。他の試験と難易度比較してみると次のようになります。

〇ITパスポート試験 
合格率 54.3%(令和元年実績) 偏差値 45  難易度 易

〇基本情報技術者試験 
合格率 25.7%(令和元年実績) 偏差値 49  難易度 やや難

〇応用情報技術者試験 
合格率 22.3%(令和元年実績) 偏差値 65  難易度 難

〇プロダクトマネージャー試験 
合格率 14.1%(平成31年実績) 偏差値 69  難易度 かなり難

〇エンベデッドシステムスペシャリスト試験
合格率 16.0%(平成31年実績) 偏差値 67  難易度 かなり難

〇ITストラテジスト試験 
合格率 15.4%(令和元年実績) 偏差値 71  難易度 かなり難

ITストラテジストを含む高度情報処理技術者試験の合格率は10%中盤が多くなっています。他のIT系資格と難易度比較をしてもかなりの難関試験であることが分かるでしょう。

期待できる年収

超上流工程を担当するITストラテジストは、IT専門職の中でも高い年収が期待できます。他の試験合格者やIT専門職と平均年収を比べてみましょう。

ITストラテジスト試験合格者 670万円
プロダクトマネージャー試験合格者 500万~1000万円

エンベデッドシステムスペシャリスト試験合格者 400万~600万円
システムエンジニア 533万円
プログラマー 410万円
ITパスポート試験合格者 380~500万円

ITストラテジストはIT系の仕事として有名なプログラマーやシステムエンジニアよりも、約200万ほど高い平均年収を記録しています。

難易度比較でITストラテジスト試験と同じぐらい難しかったプロダクトマネージャ―やエンベデッドシステムスペシャリストも高い年収を得ているという結果になりました。

ただしITストラテジストに合格したら、必ず高額な年収を得られるというわけではありません。

ITストラテジストとして活躍している人材は、すでにある程度キャリアと地位を持っているから年収が高いと考えることができるからです。

ITストラテジストになって高い年収を得たいと考えるなら、資格試験で問われる内容を仕事で活かすだけのキャリアや経験を積むことも必要になります。

ITストラテジスト試験の概要

ITストラテジスト試験は午前2部、午後2部の計4部制となります。午後の試験では記述式と論述式の試験が実施されます。受験できるのは年に1回だけです。

■受験資格
特になし

■試験日程
秋季1回(2020年は10月実施)

■試験時間
午前Ⅰ 50分
午前Ⅱ 40分
午後Ⅰ 90分
午後Ⅱ 120分

■受験費用(税込)
5,700円

■試験方式
午前Ⅰ 四肢択一
午前Ⅱ 四肢択一
午後Ⅰ 記述式
午後Ⅱ 論述式

■試験内容
・午前Ⅰ
テクノロジー系、マネジメント系、ストラテジ系全分野(同日開催の応用情報技術者試験より選抜された30問が出題)
・午前Ⅱ
午前Ⅰの範囲の中の8分野(セキュリティ・システム戦略・システム企画・経営戦略マネジメント・技術戦略マネジメント・ビジネスインダストリ・企業活動・法務)から集中して出題
・午後Ⅰ・Ⅱ 
情報技術を使った事業戦略の策定と支援
情報システム戦略と全体システム化計画の策定
個別システム化構想・計画策定
情報システム戦略の実行管理と評価
組込みシステム・IoT を利用した企画、開発、サポート、保守計画策定と推進

■合格基準
午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ 100点満点中60点以上で合格
午後Ⅱ 論述内容の評価でレベルAをとると合格

■免除制度
以下の条件のうち、いずれかを満たした受験者は午前Ⅰの試験が免除になる。
・応用情報技術者試験合格者
・高度情報処理技術者試験または支援士試験合格者(どの試験でも可)
・高度情報処理技術者試験または支援士試験を受験し、午前Ⅰ試験で基準点以上を取得した者
(参考元:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_6.pdf)

ITストラテジスト試験の学習方法

難易度の高いITストラテジスト試験の学習方法は、主に2つあります。独学、通信教育での学習方法について詳しく見てみましょう。

独学で勉強する場合

独学のメリット・デメリット

難易度の高いITストラテジスト試験ですが、独学で勉強することも可能です。

独学のメリットは学習コストが安いこと、そして自分のリズムで勉強を進められることです。ITストラテジスト試験については参考書や問題集が豊富に出題されていますので、これらを利用すれば、格安で勉強をすることができます。

一方で独学のデメリットは、勉強をさぼりやすくなってしまうことです。目標を自分でしっかり立てないと、試験日までに学習を終えられないかもしれません。

またITストラテジスト試験では、午後に記述式と論述式の試験が実施されます。択一式とは違い明確な合格基準が分かりにくいのが記述式、論述式の問題です。独学では自分の書いた解答が本当に正解なのか判断しづらいのがデメリットです。

学習方法

もし独学でITストラテジスト試験を受験する場合は

・午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱにわけて対策をする
・過去問を徹底的に勉強する

という2つの方針で勉強するとよいでしょう。
午前Ⅰの試験は幅広い内容が問われますが、基本的な問題が中心です。応用情報技術者試験午前の部の問題が流用されるので、こちらの試験向け参考書を使って勉強します。

午前Ⅱは出題分野が絞られる分、難易度も高くなります。午前Ⅱは過去問からの流用が多いとされる試験なので、過去問集などを利用して傾向をしっかり身に着けるようにしましょう。

午後Ⅰ試験は与えられた問題文の中から解答の中に使う部分を発見し、文字数内にまとめる訓練が必要です。国語の記述問題のような試験と考えてください。

午後Ⅱは論述試験で、論理的な文章を経営者目線に立って作成しなければなりません。独学においては最も対策のしづらい試験といえるでしょう。

模範解答を参考に、自分の文章を組み立てる訓練をすると有効です。

午後試験対策には、以下の参考書が人気です。

『ITストラテジスト 合格論文の書き方・事例集 第5版』岡山 昌二著
この参考書の特徴は、論文事例が36本と多数掲載されていることです。論文事例を模写するだけでも、勉強になります。

勉強時間

ITストラテジスト試験を独学で攻略するための勉強時間は、学習者に基礎知識があるかどうかによってかなり幅があります。

応用情報技術者試験、もしくは高度情報処理技術者試験の合格者ならば、午前Ⅰの試験は免除されます。また基礎知識がある分独学での勉強も比較的楽になるので、1ヶ月程度で合格できたという人もいます。

一方、全くITの知識がない状態からITストラテジスト試験を受験する場合は、3~6か月程度の勉強期間をとるとよいでしょう。

上記を踏まえると、やや遠回りにはなりますが、応用技術者試験に合格してからITストラテジスト試験を受験するという戦略もあります。基礎知識と午前Ⅰ免除の権利を手に入れてから、難易度の高いITストラテジスト試験に臨むのです。

応用技術者試験は春季、秋季の年2回受験チャンスがあります。また難易度もITストラテジスト試験に比べれば低く、合格しやすいです。

なお、ITストラテジスト試験向けの参考書には「午前Ⅰ試験が免除されていることを前提にしたもの」「午後試験のみに対象を絞ったもの」などが発売されています。

参考書を購入するときは、まず自分が必要な試験対策が十分にできる本かどうかを確かめて購入してください。

通信教育で勉強する場合

メリットとデメリット

もう1つの学習方法は、ITストラテジスト試験対策向けの通信教育に申し込むというものです。

通信教育のメリットは、独学に比べ効率的な勉強ができることです。

ITストラテジスト試験は、参考書、問題集を使って独学で勉強することができます。しかし発売されている教材が多くて、どれを選べばよいのかわからなくなることもあるでしょう。

また4部制の試験に対し、自分で計画を立てて対策をしなければなりません。前述したとおり、ITストラテジスト試験は「午前の選択式試験」「午後の記述・論述試験」に分かれており、特に記述・論述試験対策は難しく感じる人が多いです。

通信教育を使えば厳選された教材が届くので、自分で参考書を選ぶ手間が省けます。カリキュラムに従って学習することで、4つの試験に対し効率的なアプローチをすることもできます。

また、論文対策では添削サービスを利用することができるので、難しい午後試験対策にも悩むことがないでしょう。

特にITストラテジスト試験対策向けの通信教育では、公開模試がセットになっているサービスが多いです。本番さながらの予行練習ができる点も通信教育のメリットといえます。

デメリットとしては独学に比べれば学習費用が高くなることです。様々なサービスが付加されている分、参考書や問題集単体よりも金額が高くなるのです。

ITストラテジスト試験対策向け通信講座

では、ITストラテジスト試験対策ができる通信講座を2つご紹介します。

ITECのITストラテジスト通信講座

情報処理技術者試験関連の書籍を出版しているITECの通信講座です。

ITECの書籍が教材内容に含まれているため、書籍をすでに持っている人向けの受講料割引制度があります。午前試験免除者向け、午後試験対策など、学習者のニーズに合わせた全10コースから選択が可能です。今回はその中から5つのコースについて概要を紹介します。

●ITストラテジスト スタンダードコース
午前Ⅰ~午後Ⅱまですべての科目に対応したコースです。参考書教材、e-ラーニング(電子書籍、動画、問題演習)、質問解答、論文添削、全国統一公開模試(自宅受験)付き
受講期間 最大8ヶ月 
受講費用(税込) 57,200円

● ITストラテジスト 午前Ⅰ免除コース
応用情報技術者試験合格者など、午前Ⅰの試験を受験する必要のない人向けのコースです。スタンダードコースに比べて、若干受講費用が安くなり、受講期間が短くなります。内容としては午前Ⅰの教材、学習テストを除いてスタンダードコースとほぼ同じです。
受講期間 最大6ヶ月
受講費用(税込) 53,900円

● ITストラテジスト プラクティスコース(模試付・模試なし)
書籍の教材、論文添削がついていないWEB演習のみのコースです。すでに教材を揃えている、再受験者など既にある程度基礎知識がある人向けです。
受講期間 最大6か月
受講費用(税込) 模試付き:29,150円 模試なし:18,700円

● ITストラテジスト 論文対策コース(模試付・模試なし)
午後Ⅱの論文対策に特化したコースです。書籍や動画で論文の書き方を勉強し、2回の添削指導を受けることができます。また、公開模試の有無を選ぶことも可能です。
受講期間 最大6か月
受講費用(税込) 模試付き:26,950円円 模試なし:16,500円

● ITストラテジスト 宿題メール
午前試験対策に使えるコースです。毎日メールアドレスに問題が配信され、これをチェックするだけで午前試験のための知識が身に着きます。価格は参考書一冊分程度と非常にリーズナブルで、他の教材と併用することもできます。
受講期間 1日2問コース:約5か月 1日3問コース:約3か月
受講費用(税込) 2,750円

TACのITストラテジスト講座

資格の学校TACでは、ITストラテジスト試験対策ができる通信講座を4つのコースに分けて展開しています。

ツーウェイ添削という独自の添削が特徴的です。これは1度目に自分の思った通りに課題を解き、添削を受けてもう一度答案を書きなおすというシステムで、受講者のより深い理解を促します。

TACの通信講座は、WEB通信講座、DVD通信講座、資料通信講座に分かれているので、自分に合った学習方法ができる講座を選びましょう。

●本科生
午前Ⅰ~午後Ⅱ、公開模試、公開模試解説とそろったオールインワンのコースです。Web通信講座とDVD通信講座のどちらかを選択できます。
受講期間 Web通信の場合、配信期間は約4ヶ月(目標試験日まで)
受講費用(税込) Web通信講座:60,000円 DVD通信講座:67,000円

●本科生プラス
本科生コースの講義内容をより深く理解できる参考書3冊が付いています。Web通信講座とDVD通信講座のどちらかを選択できます。
受講期間 Web通信の場合、配信期間は約4ヶ月(目標試験日まで)
受講費用(税込) Web通信講座:70,000円 DVD通信講座:77,000円

●本科生(午前Ⅰ験免除)
午前Ⅰの試験免除者向けのコースです。Web通信講座とDVD通信講座のどちらかを選択できます。
受講期間 Web通信の場合、配信期間は約4ヶ月(目標試験日まで)
受講費用(税込) Web通信講座:46,000円 DVD通信講座:52,000円

●チャレンジパック
午前Ⅱ~午後Ⅱまでを対象とした通信講座です。既にある程度ITストラテジストの学習経験がある人を対象にしています。自宅受験か会場受験か選べる公開模試付き(午前Ⅰ試験免除者向け)です。資料通信講座での受講になります。
受講費用(税込) 41,000円
※各コースの受講費用に加え、入会金10,000円が別途必要です。

まとめ 難易度の高いITストラテジスト試験、戦略を練った受験対策を

ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の中でも、最も難易度の高い試験です。試験は午前2部、午後2部に分かれており、それぞれ試験範囲や試験方式が異なります。

特に午後の記述式、論述式試験は対策が難しくなっています。合格のためには、それぞれの部別に戦略を練って試験対策をする必要があるでしょう。

ITストラテジスト試験向けの参考書はたくさん発売されていますが、午後の試験は一人で学習するには難しいところもあります。

一方通信教育を使えば、プロによる午後試験問題の添削サービスを受けることができます。通信教育にもいろいろなコースがあるので、学習予算と相談しながら上手に活用して下さい。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷