会社都合で退職する場合、「転職は不利!」という意見と「いやいや会社都合の方が有利!」という意見に分かれます。
会社都合退職された方は、スキル不足や勤務態度など本人が原因で退職勧奨される場合もありますが、経営不振による倒産や事業所の閉鎖によりやむを得ず退職となってしまう方など様々です。
転職の不利・有利は退職理由に影響されますが、「会社都合退職」というワードだけでネガティブなイメージを持たれやすいのは事実。
しかし退職理由やアピールの仕方でネガティブなイメージをポジティブに変えることは可能です。
今回は、会社都合退職された方が転職で成功させるポイントについて詳しくご紹介させていただきますのでぜひご参考にしてください。
新型コロナウイルスの影響で、解雇・倒産などで業績が悪化、正社員ですら安泰ではない時代が到来しています。あなたにも会社都合退職が迫っているかもしれませんよ。
“会社都合退職”とよく耳にしますが、簡単にいうと自分の都合や意思で退職を決めたのではなく「会社側の都合により退職すること」をいいます。
会社都合退職で退職すると、失業保険の給付を受ける際に「特定受給者資格者」となります。自己都合退職に比べて給付期間が長く3カ月の給付制限がないことから「会社都合退職は有利」と言われるひとつの理由があります。
ハローワークインターネットサービスでは、会社都合退職(特定受給資格者)は以下の場合になるとされています。
参照:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html
このような理由から会社側が労働者に対して労働契約の解除を申し出て退職した場合に会社都合退職となりますが、解雇の中でも労働者が違法行為や違反を行った際に解雇される「懲戒解雇」は会社都合には含まれません。
会社都合退職になるのか自己都合退職になるのか分からない!といわれる「退職勧奨」ですが、結論からいうと退職勧奨は会社都合退職になります。
退職勧奨はいわゆる“肩たたき”といわれ、会社から退職を促されることです。解雇の決定権が会社側にあるのに対して、退職勧奨の決定権はあくまでも労働者側にあることが違いとなります。
そのため、退職勧奨を受けてもそれを拒否して辞めず、会社で働き続けることも可能です。
退職勧奨は主に会社と労働者とのミスマッチや業績悪化による人員整理(整理解雇)などの理由があり、上司から直接退職を告げられることが多いとされています。
しかし直接退職を告げられないケースでは、どうしても退職させたい会社側から不当な人事異動やパワハラなどの退職強要があり、退職したくなるように仕向けて自己都合退職に誘導する悪質なケースがみられます。
また、退職勧奨と間違えられやすいものに“早期優遇退職”や“希望退職”がありますが、退職に対して労働者にメリットの多い条件を提示し労働者からの退職を募る退職になり、積極的に退職を促す退職勧奨とは異なります。
参照:厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html
会社都合退職した場合の転職活動では、自己都合退職と異なり失業給付の支給を受けるまで3カ月の給付制限がなく、給付期間も最大330日と長いためその点では有利かと思われます。
会社都合退職といっても理由は様々あり、経営悪化による倒産や事業所廃止など会社側の原因が明らかという場合には「本人に非がない」「しょうがないこと」と判断され採用にマイナスになることがないケースもあります。
しかしスキル不足や会社とのミスマッチが理由の解雇では、どちらかというと不利になりがちです。
その理由としては2つあります。
“会社都合”にもたれるイメージの多くはリストラ。
リストラの対象となるということは戦力外の人材だと思われやすく転職先の企業としては「採用していい人材なのか?」「活躍できるのだろうか?」と懸念を抱かれてしまいます。
応募者として採用に不利になるのであれば、会社都合退職と正直に伝えないほうがいいのでは?と気持ちが揺らぎますよね。
会社都合退職が不利だからという理由から、転職先へ応募する履歴書に対して退職理由を隠し“自己都合退職”と伝える面接でも嘘をつき続ける方もいらっしゃいます。
しかし、嘘はすぐバレるもの。
退職する際に発行された失業給付受給のための書類、離職票には退職理由が明記されています。内定が決まった後、会社から提出を求められることもあるため、「一身上の都合による自己都合退職」と自己申告していても離職票を見れば本当の退職理由は一目瞭然。
身元の確認や前職での不正の確認などの前歴紹介や失業給付期間の日数により退職理由が虚偽だとバレる可能性もあります。
会社都合退職を隠し通すのは難しく、虚偽がバレた場合は内定取り消しや懲戒解雇となるケースがあるため退職理由は隠さず「会社都合退職」とありのままに伝えましょう。
転職活動の要、応募者の顔といっても過言でない履歴書、会社都合退職になった方が悩むのは履歴書の職歴欄ですね。これまでの職歴を記入する必要がありますが、退職の理由まで詳細に書かなくてはいけないと思っている方が多いのではないでしょうか。
履歴書に記載する場合は細かい退職理由は記入しなくても構いません。
限られたスペースで退職理由を伝えるのは難しく、詳細は面接で伝えればいいので簡潔に「会社都合により退職」と書けば大丈夫です。
どうしても書類選考で不利になりたくない場合や会社側に明確な原因がある場合は「会社都合(倒産)により退職」と記入し、備考欄に詳細な理由を補足すれば、退職の背景が分かりやすくマイナス評価にはならないでしょう。
履歴書には退職理由をシンプルに記載することをご説明しましたが、無事書類選考に通過し面接まで進んだ場合はしっかりと説明する必要があります。経営悪化による倒産や事業所廃止の場合は、やむを得ない事情なので採用に影響することはほぼありませんので、退職までの経緯を聞かれたらありのまま伝えて構いません。
スキル不足や勤務態度などが理由で退職された方については、退職理由の伝え方次第で評価が下がる可能性があることを理解しネガティブなイメージにならないよう伝え方に工夫しましょう。
会社都合退職がマイナス評価につながると不安に思っている方は「私のせいではない」ことをアピールしてしまいがち。やむを得ず会社都合で退職しなければいけなかった点は伝えるべきですが、度が過ぎると信憑性に欠けます。
退職理由は、退職に至った経緯について事実を伝えましょう。
退職理由を伝える際は、ネガティブな事実であってもポジティブに変換し伝えることが大前提です。プラス評価につながるアピールの仕方についてご説明します。
面接では退職理由とともに志望動機や自己PRについても質問されますが、面接担当者は「入社して貢献してくれる人材かどうか」を重視しています。
会社都合退職でマイナス評価をされないためには、これまで前職で貢献した成果を具体的に伝えることが大切です。
これまで培ったキャリアやスキルで会社に貢献してきた内容を、具体的なエピソードを交えて話すと信憑性が増し伝わりやすいでしょう。
会社都合退職になったからといって「自分が悪いわけではないのに仕方なく転職した」ことを強調してしまうと、採用にはマイナス評価となってしまいます。入社意欲やチャレンジ精神を重視している企業が多いことから、面接でプラス評価になるためには、「御社に貢献したい」「御社で働きたい」と勤労意欲のアピールはしっかりと!
ただし、表層的な言葉にならないように、面接までに業界研究、企業研究、商品・サービスの情報収集などについて調べ、将来のビジョンや目標と合わせて話せるようにしましょう。
会社都合退職で大きなマイナスとなる点は、転職先の企業が採用を懸念することです。
しっかりと退職理由や真剣さをアピールすることで新しいキャリアへのチャレンジ精神が伝わり、採用しても大丈夫と安心してもらえるでしょう。
いかかでしたでしょうか?
会社都合退職された方が転職で成功させるポイントについてご紹介させていただきました。
会社都合退職は自己都合退職と異なり、転職活動までの時間が十分にとれないというデメリットがありますので、転職活動はスピーディーに始めなければいけません。
退職を告げられたら落ち込む暇もなく、すぐにスタートして新しい仕事を探しましょう。
転職活動では自己分析や企業研究、情報収集が不可欠ですが十分な時間がない、転職に自信がないという方は転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職のプロのサポートで、企業とのマッチングや短期間での転職がスムーズとなるでしょう。