【作:あまいろさん】
「求人情報に載っていた給料よりも安い」
「残業なしと書いていたのに残業ばかり」
など、入社後の仕事内容が求人情報と違うといったトラブルはありませんか?
自分がイメージしていた仕事内容と違う職場に入社してしまった場合、ミスマッチでモチベーションダウン、さらに“求人詐欺”ともいえる悪質なケースも横行しています。
せっかく入社した会社なのに早期退職や転職を考えなければいけなくなるのは、転職活動の手間や時間ももったいない話です。
今回は、求人情報と違うトラブルの実態と対策、求人詐欺にひっかからないためのポイントについてご説明させていただきます。
「応募者を騙して雇用するなんて!求人内容と違うのは違法じゃないの?」
と、疑問を抱く方も多いでしょう。
2018(平成30)年1月1日職業安定法の改正が施行され、労働者の募集や求人申込みの制度が変更されました。
と、労働者の募集を行う際の労働条件の明示等や求人内容と実際の労働内容が異なる場合の配慮などにより求人詐欺、ミスマッチ採用を防止する対策がとられています。
「求人内容と違う」「求人詐欺」を防ぐために、虚偽の求人内容により募集した場合は罰則の対象となるケースがあります。
従来の職業安定法第65条では、虚偽の条件を提示し職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者は6か月以内の懲役または30万円以下の罰金の対象となっていました。
そして、今回の改正により「虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行った者」が追加されました。
改正職業安定法では、求人内容の明示の方法や不適切(虚偽・不十分)な内容で募集した場合には罰則規定が明記され、企業は行政処分や改善命令などの指導監督の対象となります。
求人内容と違うミスマッチ採用を防ぐ対策が講じられていますが、それでも100%防ぎきれない理由があります。
それは、労働基準法第15条第1項「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」という規定です。
以下、13項目の具体的な労働条件について、労働契約の締結時に明示することとされています。
ここで注意しなければいけない点は、「労働契約の締結」であることです。
そのため面接時には実際の労働条件の提示がされておらず、「労働契約」「雇用契約」を締結する際に知らされるということもあります。
入社した日に突然知らされ、それを拒否できず労働契約を締結してしまったというケースも少なくないでしょう。
「求人内容と違う」となっても、それが企業の求人詐欺や故意なのか証明することは難しいため、ミスマッチ採用を100%防ぐのは難しいといえます。
自分自身でも、しっかりと情報収集し、求人内容や労働条件を確認するなどの対策が必要でしょう。
実際の労働条件と異なる“求人詐欺”は増加傾向にあり、ハローワークや相談窓口へ1年で1万件以上の相談が寄せられているとされています。
実際にどんな労働条件の違いがあるのかみていきましょう。
給料に関する相談が最も多く、「求人情報に提示されていた金額より低い金額が支給される」といった内容です。
例えば、基本給に残業代や手当が含まれた金額を求人情報に提示し、実際の給料額よりも高く見せかけるといった悪質なケースがあります。
また、賞与アリとかかれていたのに実際には支給がなかったり、管理職として雇用された場合に残業代を支払わなかったりといったケースなどもみられます。
給料のトラブルに次いで多いのが勤務時間に関する問題です。
「残業なし」または「残業少なめ」など提示しながら、実際にはほぼ毎日残業をさせられていたケースや、勤務時間が求人に提示されていた時間と大幅に異なるといったケースなどがあります。
また、有給の日数は定時しているものの、実際には有給消化が認められない、取得しにくいといった手口も求人詐欺の実態です。
入社後に業務内容が突然変更されるというのも悪質な求人トラブルのひとつ。
職種や勤務地、雇用形態など、入社後に実際の求人と異なる労働条件を指示されるといった内容です。
自己分析や企業研究を重ねて希望の職種に就いたはずが、いざ働きはじめると希望とは全く違う職種や部署だった…など、ミスマッチに耐え切れず入社早々退職や転職を検討しなくてはいけない実態も見受けられます。
自分に合わない仕事を続けていると、心身に支障をきたし鬱状態に陥ることもあり仕事の継続が困難になる方も少なくありません。
給料や労働条件など誇張した求人募集を行う「虚偽広告・求人詐欺」に悩む人は多いもの。
求人票や雇用契約書の記載内容を分かりにくくしたり、入社後に指示されたりと悪質なパターンも少なくありません。
求人票や面接時に業務内容を確認するといった対策があります。
しかし、求人詐欺を行う企業では「騙してでも人材を確保したい」という思惑があるため、十分な確認をすることは難しいでしょう。
求人内容と実際の労働条件が違い過ぎる場合、故意ではないにしても企業の未熟さや悪意を感じてしまいます。
求人詐欺の意思がなくても雇用する側の説明不足であり、応募者の人生の大きな分岐点である入社を軽視しているということです。
このような企業では、入社後のミスマッチによって早期離職する人が多く社風も良くないといった特徴があります。
ミスマッチ採用が起こる要因としては以下が挙げられます。
特に注意しなければいけないのは「ブラック企業による故意の虚偽内容」でしょう。
ブラック企業であるがゆえに労働の実態を求人内容に記載できない、違法労働を隠すために虚偽内容しか記載できないという結果です。
そのため、実際の職場環境や労働条件を不明瞭に記載し、分かりにくくさせるといった特徴があります。
労働環境がイメージできない曖昧な表現には注意を!
職業安定法の改正により求人内容に明示しなければならない労働条件が追加されましたが、それでも求人内容と違うトラブルで悩む人が後を絶ちません。
求人詐欺、ミスマッチ採用を防ぐためには企業の認識だけでなく自衛することも重要です。
求人詐欺を回避する自衛策として4つご紹介します。
求人に応募する際は、求人情報だけでなく口コミや評判などもくまなくチェックしましょう。
実際に働いていた人の情報や口コミをチェックすることで入社後のイメージや労働の実態を知ることができますので、企業のホームページや代表者のインタビュー記事、SNSなど様々なツールを活用してください。
また、情報収集には「四季報」もおすすめです。
企業の業績や離職率、平均年齢、活動内容が詳しく記載されているので、その企業の働きやすさや職場環境をイメージすることができるでしょう。
入社時の労働条件通知書、労働契約書(雇用契約書)は隅々までチェックし、契約内容に相違がないか確認しましょう。
労働条件通知書には、労働契約の期間や就業場所、業務内容、時間外労働や休日、賃金、退職などに関する事項が記載されています。
労働契約書(雇用契約書)は、労働条件などの契約内容について労働者に「この条件で大丈夫ですか?」と最終的に確認をとる書類になり、労働者の合意が必要となり、契約内容に合意すれば署名・押印を行い、契約を締結します。
そのため、安易に署名・押印するのではなく気になる部分や相違点があれば、締結する前に必ず確認することが重要です。
求人サイトや求人広告には、人材を集めるため様々な謳い文句が記載され、応募者にとって魅力的なものも多数見受けられます。
魅力的な掲載内容ですが、実際には入社してみないと実態が分からない表現であることが分かります。
いいことばかりをピックアップした内容、いい印象を与える操作がされた内容などが多いことが特徴的です。
ミスマッチ採用にならないためには、「求人内容は正しいのか?」という応募者自身の求人を見極める目を養い、実態を把握できる情報を手に入れなければいけません。
例えば、「誰でもできる簡単な仕事!高収入を目指せる!」とある求人内容、見た瞬間「ラッキー!」と思ってしまいがちですが、そんな仕事本当にあるでしょうか?
将来的には高収入を目指せるけれど、実際の給与は低いというケースがほとんどで、高収入に至るまでに多くの人は退職するような劣悪な職場環境だったりします。
また以下のような謳い文句にも注意が必要です。
一見、魅力的な職場のように思えますが違う視点から見ると「本当に大丈夫?」と惑わされていることに気付くでしょう。
気になることは必ず確認し、少しでも怪しいと思った場合は応募しないというのも選択肢のひとつです。
しかし、中には実際に好条件の職場も存在しますので、企業研究と情報収集をして納得できる企業を見つけることが大切です。
求人広告や求人サイトでの情報が正しいかどうかの見極めは、一般の求職者にとって難しい判断です。
魅力的な広告は怪しいし、かといって疑い過ぎてホワイト企業を逃してしまう…
こんな悪循環にならないためには転職のプロに相談するのがおすすめです。
転職エージェントでは、業界や企業の情報に精通したキャリアアドバイザーが求職者にマッチした企業を紹介してくれるサービスです。
企業訪問を重ね、確かな情報をもとに仲介してくれるので「求人内容と違い過ぎる」といったリスクが少ないことがメリットです。
また、「入社後に求人内容と実態が違っていた」というアクシデントに対してのアフターフォローもばっちりで真摯に対応してくれるので安心。
正しい情報で納得できる職場と出会いたい方は、ぜひ転職エージェントの利用を検討してみてください。
いかがでしたでしょうか?
求人情報と違うトラブルの実態と対策、求人詐欺にひっかからないためのポイントについて詳しくご説明させていただきました。
実際に入社後のミスマッチから退職を決断せざるを得ず、せっかくの転職が無駄になったと悩む人は多いものです。
企業としては正しい求人情報を提示する義務がありますが、求職者自身も「業務内容の実態や労働条件」についての見極めが重要です。
いま入社後のミスマッチに悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、自分に合わない仕事を続けていてもモチベーションダウンにつながり、年齢を重ねるごとに転職もしにくくなります。
納得できない業務内容や条件のまま仕事を続けるのではなく、次こそは後悔のない転職ができるよう早めの転職活動をおすすめします。
転職エージェントは転職活動だけでなく、入社後のアフターフォローもサポートしてもらえますので、気軽に相談してみましょう。