職場の結婚ラッシュ、おめでたいことが続きとても素敵なことですが、おかげさまで独身者の肩身は狭くなるばかり。
そんな独身者を悩ますマリハラやソロハラ…
パワハラやセクハラと同様にハラスメント(嫌がらせ)のひとつですが、マリハラやソロハラは善意が根本にあるのでハラスメントの意識が低く、コミュニケーションのひとつやただのイジリと言われがちです。
マリハラやソロハラを受けた当人としては、深く傷つき人間性を否定されたかのような気持ちになることもあるでしょう。どうすればマリハラやソロハラを突破できるのか?結婚圧力の対処法についてご説明します。
マリハラはマリッジハラスメント、未婚の人に対する嫌がらせの言動をいいます。
「まだ結婚しないの?」
「なんで結婚しないの?」
「早く結婚した方がいいよ!」
なんて言われていませんか?
職場のおしゃべりでよく聞かれますが、深く考えると恋愛や結婚などかなり個人的なプライバシーの侵害に近い嫌がらせともとれますね。
厚生労働省のパワハラ基本情報によると、パワハラには6類型あるとされています。
この6つの中でマリハラやパワハラは「個の侵害」にあたるものとなり、個人のプライバシーを侵害するパワハラと位置付けられ、「未婚ハラスメント」や「独身ハラスメント」とも呼ばれています。
参考:厚生労働省 あかるい職場応援団 パワハラ基本情報
https://no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/index
結婚に関してのハラスメントをマリハラと先述しましたが、ではソロハラは?
ソロハラは、ソロハラスメントの略で「おひとり様」「ソロで生きる」人生の生き方の根本を否定しかねません。
生涯未婚率は年々上昇傾向にあります。
1970年代では2%だったのが2017年には男性が16%、女性で7.3%でとなり、2022年には男性が20.1%、女性では10.6%となると予想されています。
生涯未婚率はこれからも上昇するといわれ、2人に1人はおひとり様という時代も遠くないのかもしれません。
参考:内閣府男女共同参画局 生涯未婚率の推移(男女別)
http://www.gender.go.jp/about_danjo/
whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
「お一人様」「ソロ」は結婚をしないひとつの生き方の選択であるにもかかわらず、世間は何とか結婚にこじつけようと婚活ブームや婚活施策に必死です。
結婚をしないという選択をした人は、「幸せになれない人」「おかしい」とレッテルをはられ、昇進に影響することも…
「いい年をして結婚をしない人は信用できない」「未婚の人間に部下の育成ができない」と理解不能な偏見がソロハラの現実です。
挙句の果てに、結婚をしないと孤独死するよとソロ人生を全否定される…もう嫌がらせレベルではなく脅迫ですよね。
職場でマリハラをしてくるのはいったい誰でしょうか?
まずは同僚。
最近結婚した同僚から「結婚はいいよ~」と言われた場合、たいていは「ふ~ん、そんなものなのね」と感じ、「まだ結婚したくないからいいよ」と本音を伝えることができます。
では後輩なら?
後輩であれば、先輩に対して上から目線で結婚を押し付けることは少ないでしょう。マリハラ的な言動があっても一蹴できますね。
となると先輩や上司?
そう、多くの場合は職場の先輩や上司によってマリハラが行われているのです。
シンプルに「結婚はいいよ」と善意のアドバイスであることもありますが、結婚マウンティングの場合もあるので侮れません。
どちらにしても余計なおせっかいであることには変わりありませんが。
実はマリハラは、相手との関係性や親密度によってハラスメントか、ただのジョークなのか受け取る側の気持ちが影響します。もし、仲の良い先輩や上司だったら冗談で返すこともできますが、大して仲も良くない相手なら…不愉快極まりない言動ですよね。
どれもこれも「面倒くさい!」の一言に尽きますよね。
マリハラは善意や親心という名のもとで結婚という価値観を押し付けているため、マリハラをしている本人にとっては悪意がありません。悪意がないせいでパワハラであると被害を訴えづらいという特徴があります。
でも、「余計なお世話」「他人に言われる筋合いないし」って内心思ってしまいますよね。
「結婚しないつもりもないし、いい人がいればしたい」
「しばらくお一人様を楽しんで縁があれば…」
「結婚したいけど家庭の事情があってできない」
「いい年だし焦る気持ちはあるけどなかなか相手がいないし…」
人にはそれぞれ言わないだけで事情があります。
それを心の中に土足で踏み込み、言いたいことだけ言って結婚を押し付けてくるのがマリハラ。
結婚は1人でできるものではなく、何よりも縁やタイミングが大切です。
「結婚してこそ一人前」という過去の価値観が根強く残っているため、結婚をしない独身者はマリハラに悩まされ続けています。
たとえ、悪意のない善意や親心であっても不愉快な気持ちしか残りません。
マリハラやソロハラは女性が被害者というイメージがありますが、最近は男性被害者も増加しています。
女性は出産というライフイベントがあるので、「早く結婚した方がいい」「若いうちに子供を産んでいた方がいい」とプレッシャーをかけられます。
では男性のプレッシャーは?というと、企業によっては結婚が仕事に影響するためプレッシャーがかかるとされています。
男性が被害を受けるソロハラの事例をご紹介します。
…あり得ません。
一生懸命仕事をしているのに「独身」「結婚をしていない」というだけで仕事の評価や査定にするなんて、もはやパワハラです。
結婚をすれば一人前、勝ち組といった考えを持つ人はなぜ結婚にこだわり続けるのでしょうか?
マリハラやソロハラをする人たちは、シンプルな親切心な言動ですが、受ける側からすればただの価値観の押し付けでしかありません。
マリハラ・ソロハラの厄介なところが、悪意がないということです。
ハラスメント加害者という意識がなく、日常会話のひとつとして言っているだけ。
いや、むしろ好意で言ってあげているのにという人も多く、被害者の悩みの種となっています。
中には、「結婚」にステータスを全振りした結婚マウンティングをとっている人もいて、結婚=勝ち組と、「結婚」というステータスでしかあなたに勝てないと思っている人です。
どちらにしても結婚にしか価値観を持っていません。
結婚観や人生感は人それぞれ異なります。
人には自分のタイミングがあり、誰かに指図される権利なんてないはずです。
しかし、職場ではマリハラやソロハラが平然と行われ存在否定が続きます。
きっと、相手が望む「結婚」をしない限り。
人生や存在を否定され続けると、独身であることやおひとり様に信念を持っていたとしても「結婚できないのは自分がダメなんじゃないか」「結婚しない自分はおかしいんじゃないか」と自己肯定感がダウンしていまいます。
パワハラやセクハラと同様、心身を病み退職を選択する人も少なくありません。
マリハラやソロハラは日常茶飯事であいさつのようなものになっているケースも。
受け流せばいいのですが、言われ続けると「面倒くさい!」と我慢できなくなってしまうかもしれません。
職場でのマリハラやソロハラは、できるだけ相手との人間関係を壊さず穏便にかわしたいものですよね。そんなときの対処法をご紹介します。
「右から来たものを左に受け流す…」と一時期ブームがありましたが、最も良い方法です。聞いたふりをしながら沸き上がるイライラを押し殺し、愛想笑いで受け流しましょう。
マリハラ・ソロハラ加害者にはなかなか価値観を理解してもらえませんが、「〇歳までは仕事一筋でいきます」「結婚する気ゼロなんです」と、自分の人生観や結婚観をズバッと伝えるのもひとつの方法です。
マリハラ・ソロハラを受けていると相手に対して嫌悪感を抱いてしまいがちですが、あくまでも善意・好意なお節介ということを理解して、なるべく穏便に済ませられるようにしましょう。
嫌悪感を抱きながら対応していると、ギスギスした関係になり職場の人間関係が悪化したり職場環境にも影響があるので気を付けなければいけません。
たった1度きりの人生は限られた財産です。
時間やエネルギーを面倒くさいマリハラやソロハラに費やすのはモッタイナイ。
素直でまっすぐな人だからこそ、マリハラやソロハラの被害を受け悩んでしまいがちです。
心無い言葉にイライラしたり、心が病むほど悩んでしまったり、自分の人生の選択に土足で踏み込むような人とは「戦わずして勝つ」ことです。
かの武将、豊臣秀吉「戦わずして勝ちを得るのは、良将の成すところである」の言葉に習い、反論したり、嫌悪感を抱かず、「相手にしない・戦わない」テクニックもひとつの方法。
限りある時間やエネルギーを、足を引っ張る人に費やさずスキルアップや有意義な時間を費やすことに投資し自己成長すれば、ハラスメントの隙を作らないことにもつながるでしょう。
先述したように、マリハラやソロハラは厚生労働省が認めるパワハラの一種で、しつこいマリハラやソロハラはハラスメント認定がされ、損害賠償の対象となります。
特に、違法性が高いものとして既婚・未婚であることを人事評価や採用、昇給などに影響することが挙げられ、男女雇用機会均等法に違反する可能性も。
まずは上司や社内の相談窓口に相談し、解決されないなら外部のハラスメントに関する相談窓口で相談しましょう。
それでも解決されないときや悪質な場合は専門機関である総合労働相談コーナーや法テラスに訴えることが大切です。
マリハラやソロハラは、何気ない一言で相手を不快な思いをさせ苦しめます。多様な生き方が重視されている現代において、時代遅れでデリカシーのないハラスメントです。
結婚=幸せではないし、結婚は人生のゴールでもありません。
マリハラやソロハラに遭っても周りの意見に左右されず受け流し、自分の価値観や人生の選択を大事にしてください。
そして、自分がハラスメント加害者にならないよう日々の言動にも注意しましょう。