【作:森下えみこさん】
就職や面接では“少しでもいい印象をもってもらいたい!”という心理から、つい話を盛ってしまったり嘘をついてしまったり…という方も多いのではないでしょうか?
面接官からの質問に正直に答えマイナス評価になるよりも、ウケのいい答えの方が採用されるのでは?と考えてしまうでしょう。
しかし面接が終わった後の罪悪感。
「嘘がバレたらどうしよう」「採用されたら入社後どうしよう」といった不安がつきまといます。
今回は、就職や転職での面接で嘘をついてしまうリスクと、嘘をつかずに面接を乗り切るコツをお伝えします。
面接で嘘をついてしまった方、答えにくい質問をされた場合の答え方を知りたい方はぜひ参考にしてください。
内定が欲しい・採用されたいという気持ちが先走り、面接で自分を良くアピールしたいためについてしまう嘘。
スキルやキャリアに自信がない方が多いですが、嘘をつくのは許されるか?というとNG!
ちょっとくらいなら…話を盛るくらいなら…と、軽い気持ちでついた嘘はバレたときの大きなリスクとなる可能性が高いもの。
1度ついてしまった嘘は、上塗りし続けるしかないからです。
面接官は人事のプロです。
本質を見抜くことに長け、話の矛盾点があれば厳しくチェックされるでしょう。
内定後や入社後に嘘や誇張が発覚した場合、あなたの信頼度は下がり、就業規定に規定があれば罰則を受けることも…
学歴詐称、経歴詐称、資格や免許の詐称等は重大な詐称とみなされ、場合によっては懲戒解雇となることも少なくありません。
就職や転職の面接では、大きい嘘でも小さい嘘でも面接官を騙す行為になるため“嘘はつかない”ことが鉄則です。
「嘘をつくのは良くない」
これは面接だけでなく人間関係においてもルールですが、ダメだと思いながらもなぜ嘘をついてしまうのでしょうか。
それは“内定”“採用”を期待して、周りのライバルよりも自分を良くアピールしたい気持ちや、ネガティブな経歴を隠したいという気持ちが働くからです。
当人からすれば「そんなつもりはなかったのに」と軽くついた嘘が、企業からすれば学歴詐称や経歴詐称になってしまうのです。
就職や転職の面接で多い嘘にはどのようなものがあるのか、具体例をあげてみていきましょう。
学歴・経歴・資格に関する嘘は以下のような例があります。
これらの嘘は、資格や数値など何らかの形であれ証拠が残る嘘です。
運よく入社できても、後々に明確な嘘がバレる可能性が高いため絶対についてはいけない嘘です。
退職理由についてもネガティブな退職理由を素直に告げることができず、良いイメージになるように伝えてしまう人も多くみられます。
中でも多いのが、自分自身の業務の怠慢や自己都合による退職であるにも関わらず、職場環境の悪さやブラック企業、パワハラからの退職で前職企業が悪いと嘘をつく内容です。
また、職務怠慢などで解雇になったとのに自己都合退職したと嘘をつくケースも少なくありません。
退職理由については、ネガティブな内容はポジティブに言い換えて伝えることが望ましいとされています。
例えば、企業に不満をもって退職した場合には以下のようにポジティブなイメージにすると好印象です。
退職理由を伝える際、前職企業に非がないにも関わらず嘘をつくのはNG!
もし前職企業を知っている方がいた場合、明らかに嘘であるとバレてしまい人間性について不信感を抱かれるでしょう。
面接ではその企業が全国展開している場合など、「勤務地の希望はありますか?」という質問や漫画であったように「転勤が可能かどうか?」について聞かれることもあります。
また、「残業はできますか?」と、残業についての質問も多いでしょう。
ただ単に希望する勤務地を尋ねられている場合がありますが、志望の意欲を確認していることもあります。
求職者側からできないとは言えないのが実情ですし、「絶対にできません」とシャットアウトする人は採用したくないですよね。
勤務地や残業等の労働条件の質問に対して「つい、できます!」とイエスマンになりがち
どうしてもできない事情があれば素直に説明し、それで内定が出なかった場合は縁がなかったと諦めるしかありませんが、勤務地や残業が“できそう”“許容範囲”なら、前向きに考えたいという検討の姿勢をみせましょう。
イエスマンで面接を終え、本当は残業できない(したくない)のに嘘をついて「できます」と答えてしまった場合、面接後の後悔や不安で葛藤が残ります。
入社後「できるといったから採用したのに」と、嘘をついたことで社会人としてのマナーを疑われ信用を失うことになるでしょう。
入社後に不本意な業務を行わなくてはならず結局退職してしまう可能性が高い
転職の面接では、正社員・希望する職種で応募したのに面接になって「他の雇用形態(契約社員など)や職種が変わっても良いですか?」という質問をされることもあります。
こちらも希望や提案として質問される可能性もあるのですが、入社意思を確認する意味を持つ場合があります。
本当はしたくないのにあっさりOKと伝えてしまうと、「職種へのこだわりを捨て何が何でも入社したい人」とネガティブに捉えられますが、こだわりが強すぎるのもNGなのです。
かといって「したくない」と答えるのも柔軟性がない人とみられる可能性も…
この場合は、自分自身が語ったキャリアプランについて一貫性を持たせながら、前向きに検討しているという姿勢を伝える必要があります。
例えば上記のように、雇用形態や他職種への変更を前向きに検討しつつも、キャリアプランを実現させたい意思をアピールしましょう。
面接で答えにくい質問のひとつに、他社の選考状況や内定後の入社についての質問があります。
このように、選考プロセスや内定後の入社に関わる質問でも、嘘をついてしまう人が少なくありません。
第一志望でないのに「御社に是が非でも入社します!」と嘘を言い切ることや、第一志望の企業から内定が出た場合、入社します!と言い切ったにも関わらず内定辞退は避けたほうがいいでしょう。
どちらにとっても後味が悪く、もし新卒の学生なら大学の評価を下げるリスクがあり、次年度から採用されない可能性も…
前向きに検討するという入社意思の高さを伝えながら、状況を素直に相談してみた方が印象は良くなるでしょう。
例えば、前向きに検討したいことや内定後の条件を聞かせていただいた上で、再度ご相談させていただきたいことを伝えます。
内定を検討しているくらいですので、相談には応じてもらえる可能性が高いので、前向きな姿勢をアピールしましょう。
初めて会った面接官についた嘘、バレないと思っていてもいつの間にかバレてしまっていた!
入社後に嘘が発覚した場合、居心地の悪さや懲戒解雇の不安を抱く方がいます。
では、なぜ面接でついた嘘がバレるのでしょうか?
中途採用で選考する際に、かつて一般的だったのが前職調査。
企業が内定成立するまでの選考途中に、応募者の前職企業に問い合わせをしたり、興信所に依頼したりして経歴の調査をするものです。
最近ではプライバシーや個人情報保護の意識が高くなり行っている企業は少なくなりました。
しかし、信頼できる人材かどうかを確認するため、警備・金融業界では一部の企業では現在も行われているようです。
Point「マネジメント職をしていた」という嘘が、前職調査を行うと役職についていなかったことや人柄がバレてしまう
履歴書や職務経歴書にはこれまでの経歴等が詳しく書かれ、面接ではこれらをベースに掘り下げた質問が行われます。
その際、答えられなかったり矛盾した内容を話してしまったりといった行動で嘘がバレてしまうのです。
Point面接官は人を見るプロ!矛盾はすぐバレる!
同じ業界、同じ職種での転職の場合、思っていたよりも業界の世界は狭いものです。
実は前職で働いていた人が転職を考えている企業で働いていた、前職での上司が面接を受けている企業に知り合いがいたなど、共通の知り合いを通じて嘘や学歴・経歴詐称が発覚してしまうケースも少なくありません。
Point少しの嘘で信頼できない人とレッテルを貼られる!
在籍期間が短いことや転職回数が多いのを隠して嘘をついてしまう方もいます。
前職企業を履歴書や職務経歴書に記載しなかった場合の嘘や年収や休職期間などの嘘は、後日提出する雇用保険の書類や源泉徴収票によってバレてしまうので要注意。
Point明確な数値で表される嘘は絶対についてはいけない!
最近では、人事が応募者のSNSをチェックしていると言われています。
問題のない信頼できる人材を雇用したいと考えている企業としては、SNSによって一緒に働いていける人物かどうかを確認しています。
面接では魅力的な人柄をアピールしていても、就職活動や転職活動での不適切な投稿や企業や面接官に対しての悪口等を投稿しているケースがあります。
また、前職の退職理由や志望動機などもSNSから嘘が発覚するリスクもあります。
Point誰にSNSを見られてもいいように自分の発言に責任をもちSNSを活用しよう!
面接で嘘をついてそれがバレてしまった場合、どのような末路が待っているのでしょうか。
和やかに面接が進んでいてもバレた瞬間に圧迫面接に切り替わる可能性が大!
面接官によっては詰め寄る人もいるので、居心地が悪く、一刻も早く退室したいと思うでしょう。
即刻不採用となります。
また、転職エージェント等や求人サイトから応募した場合、紹介不可となる可能性も。
内定取り消しになります。
また、新卒学生の就職で悪質な詐称の場合、次年度からのその学校の応募が拒否されるリスクが高いでしょう。
社内での居心地が悪くなるだけでなく、内容や罰則規定によっては懲戒解雇となるリスクがあります。
また、資格を所持していると偽り所持しておらず業務を行った場合は、罰金や賠償金の請求が発生する恐れも。
Point嘘がバレてしんどい思いをするのはあなたです!
絶対に受かりたいという意欲を、嘘や偽りなどではなく前向きな姿勢でアピールしましょう。
「自分を良く見せたい」「大きく見せたい」「評価を高くしたい」という気持ちは理解できますが、面接中や業務を行えば自ずと人間性が分かりますので、素直に面接に臨むことが大切です。
嘘をつかずに面接にチャレンジするコツ
1人で面接対策が不安な方や、残業や転勤、休日出勤など面接の場で確認しにくい内容がある場合は、転職エージェントで相談することをおすすめします。
このような労働環境、職場待遇についてはなかなか聞きにくいもの。
面接中に聞けなかったことを改めて確認したい場合にも、転職エージェントから質問してもらうことができます。
また、アドバイザーは求人票には載っていない職場環境の実情を知っているので、等身大の自分で応募できるでしょう。
いかがでしたでしょうか?
就職や転職での面接で嘘をついてしまうリスクと、嘘をつかずに面接を乗り切るコツを紹介しました。
「嘘偽りなく正直に面接に臨むのが正しい」ということは、もちろん分かっていることですが、嘘をついてしまう心理としては「内定がほしい」一心だったからですよね。
学歴や経歴詐称などの重大な嘘は絶対にNGです。
しかし、本音と建前という言葉があるようにネガティブな答えをポジティブな答えで伝えるだけで印象は大きく変わるでしょう。
ぜひ等身大のあなたで前向きさをアピールして、面接を乗り切りましょう!