「強迫性障害が原因で、仕事が遅いといわれるのではないか」
「仕事が遅いことで職場や同僚に迷惑をかけてしまうかもしれない」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
自分では一生懸命取り組んでいるのに、障害が原因でスピードが落ちてしまうことは珍しくありません。
本記事では、強迫性障害の影響により「仕事が遅い」といわれる理由や、それを克服するための対策、適した仕事の特徴について詳しく解説します。
障害が原因で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
強迫性障害を持つ方が、職場で「仕事が遅い」といわれる理由には、強迫性障害の症状が関係しています。その主な特徴について紹介していきます。
強迫性障害の症状の一つに、何度も確認しないと気が済まない確認行動があります。
例えば、メールを送信する前に「本当に正しい内容か」「宛先は間違っていないか」と何度も内容を確認したり、ファイルを閉じる前に正しく保存されたかを繰り返し確認したりするといった行動です。
この確認行動が繰り返されるため、通常よりも多くの時間がかかり、仕事が進みにくくなってしまうことがあります。
強迫性障害の方は、ある特定の考えや行動に過度にこだわる傾向や、すべてを完璧にしないと気が済まないという完璧主義の傾向が強く見られます。
例えば、書類の誤字脱字をゼロにしたり、全ての手順を間違いなく行うことにこだわりすぎてしまうといった傾向があります。
この「完璧でなければならない」という思いが、作業を細分化しすぎたり効率を下げてしまう原因となり、それによって「仕事が遅い」とみなされてしまう恐れがあります。
強迫性障害の人は、「失敗したらどうしよう」という強い不安や恐怖を感じることが多いです。
このため、何かを決めるときや作業を進めるときに「これでいいのか」と迷ってしまい、決断や判断が遅れてしまうことがあります。
小さな決定でも、深く考えすぎてしまうことが原因で、作業がスムーズに進まないことがあります。
強迫性障害の方が職場で迷惑をかけないよう、仕事がスムーズに進むようにするためには、いくつかの対策をとることが有効です。
まず、自分がどのような場面で強迫行動をしてしまうのか、その症状がどのように仕事に影響を与えるかを理解することが大切です。
例えば、過度な確認行動や、完璧主義のせいで仕事が遅くなる傾向があると自覚することで、適切な対策を立てることが可能になります。
自分の症状を理解すれば、どこで時間を取られているかや、どの部分で周囲に迷惑をかけているかが明確になり、どのように対処すべきかを考えることができます。
タスク管理の方法を工夫して、仕事の効率を高めることは強迫性障害の方にとって有効な対策です。
例えば、優先順位を明確にすることで、確認に時間をかけすぎず、重要な仕事から着手できるようになります。
リストを作成し、一度終わった作業にはチェックを入れると、「もう一度確認しないと」と思う気持ちが抑えられるかもしれません。
また、タイマーを使って「この作業は◯分以内に終わらせる」と目標を設定することで、確認に時間をかけすぎるのを防ぐことができます。
視覚的に仕事の進行状況が確認できるような「見える化」を行うことは、強迫行為を減らす効果があります。
例えば、作業手順をリスト化してチェックリストとして使用することで、確認が必要な場面を減らし、作業効率を高めることが可能です。
業務を進める際に、チェックリストやマニュアルを活用すると、確認行動を減らすことができます。
何をいつ確認すれば良いのかを明確にすることで、不必要な再確認を避けられます。
強迫性障害の方には、基本的に作業のルールや手順が明確であり、過度なストレスや変動が少ない環境が向いています。
以下は、強迫性障害の方に適していると考えられる仕事の特徴です。
このような環境であれば、確認行動に振り回されることが少なくなり、強迫性障害の方でも無理なく働くことが可能です。
仕事が遅いという悩みを持つ強迫性障害の方によくある質問と回答を紹介します。
強迫性障害によって記憶に自信が持てない方でも、対策をすることで安心して働くことができます。
仕事の内容をメモしたり、タスク管理ツールを使用して確認行為を減らすことで、記憶に対する不安を和らげることができます。
事務職は、強迫性障害の方に適している職種の一つです。
定型的な業務が多いため、確認行動を行いやすい環境であり、手順を確認しながら作業を進めることが可能です。
また、業務の進行を「見える化」しやすいため、ストレスが少ない職場環境を構築できる点もメリットです。
しかし、事務職は確認作業が多いため、症状が悪化しやすい方もいますが、マニュアルやルールがしっかりしている職場であれば安定して働くことは可能です。
確認行動を減らすためには、タスク管理ツールやチェックリストを活用することが有効です。
また、作業を細分化し、一度に大量の情報を処理しないようにすることで、不安感を減らし、確認行動を減らすことができます。
過度なストレスを避け、一定のペースで仕事を進めることが重要です。
強迫性障害の方が「仕事が遅い」といわれる理由や、克服するための対策などを紹介してきました。
強迫性障害を抱えている方にとって、仕事を続けることや効率を上げることは大きな課題です。
しかし、強迫性障害があっても、自分に合った仕事を見つけることは可能です。
確認行動や思考のこだわりを軽減する対策を取り入れながら、職場での適応を目指しましょう。