経歴
・制作会社で映像・WEBクリエイター
・TSUTAYAの教育プログラム開発、研修講師、採用、販促支援
・女性誌出版社で人事リーダー
【作:ひがにしん(現:比嘉諒)さん】
1人減り2人減り…気づけば自分だけが取り残されてしまった!
まだ入社1年なのに残った同期は半数…
「企業研究もじっくりして就職先を決めたのに」
「せっかく頑張って入社したのに」
「入社したらブラック企業だった!」
と十分準備したはずなのに仕事を辞めたいなと感じている方。
離職率の高い企業に就職してしまって後悔してしまう前に、離職率の高い会社の特徴や業界をチェックし、できるだけ離職率の低いホワイト企業へ入社できるようにしましょう。
もし、すでに離職率の高い会社で働いている方はぜひ転職のご参考にしてください。
経歴
・制作会社で映像・WEBクリエイター
・TSUTAYAの教育プログラム開発、研修講師、採用、販促支援
・女性誌出版社で人事リーダー
プロフィール
企業人事歴トータル12年以上
5万人以上の応募書類を見てきた「採用とキャリア支援のプロ」
前職在職中に群馬県に移住
東京ー群馬往復6時間通勤&リモート勤務を2年間続けた後、2021年に独立
法人向け人事コンサルタントおよび
働く女性向けキャリア支援 iodus(アイオダス)主宰
せっかく頑張って入社した会社なのに1年以内に退職してしまった方も少なくありません。
どのような理由で退職されているのでしょうか?
厚生労働省の第6回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況によるとこのような結果が分かりました。
男性
女性
一昔前では、年齢を重ねるごとに給与は向上し、終身雇用が一般的でしたが、最近ではより給料の向上や職場環境や待遇のレベルアップを狙って転職される方が増えてきています。
また、労働者側も会社のために働くことからプライベートを重視しつつ仕事をするという雇用意識に変わりつつあります。
1つの会社に縛られて生涯を捧げるのではなく、自分の想いやライフプランの設計をして自分らしい働き方を望むモデルケースへと変わる今、若いうちに転職をして新しい職場を探すという形が珍しいことではなくなっています。
「最近の若者はすぐに辞める」と言われることもありますが、根性がないから・飽きっぽいからという理由ではなく、会社に将来性がないと判断したとき利口に生きるという選択肢のひとつなのです。
人々が「将来性のない会社」と判断し、退職する会社は離職率が高い会社ですがその特徴にはこのようなものがあります。
安い賃金で地道にコツコツ働いて経験を積む…こんな考えは今では時代遅れ。職場の待遇や自身のスキルに合った賃金を求め新しい職場へと転職しています。
誰しもが同じ仕事内容ならスキルや労働条件に見合った給料が高い会社で働きたいものです。
人材育成のノウハウがない会社は社員を大切にしようという意識に欠け、まるで社員を使い捨てのように雇用している会社は、会社自体の将来性もありません。
「仕事は見て覚えろ」という放置の指導方針では貴重な人材が育たず、仕事を教えてもらっていないので適切な業務もできません。
「仕事ができない人」とレッテルを貼られることに悩み、無責任な会社からの退職を決意するのでしょう。
1日のなかで長い時間過ごす会社は職場の人間関係が大切です。仕事へのモチベーションがあり、仕事内容に満足していたとしても派閥争いやハラスメントが横行するような人間関係に問題がある会社は居心地が悪いと感じてしまうでしょう。
「今日も残業」「今月の残業時間〇時間越え」「休日出勤は当たり前」という労働環境では心身共に疲弊してしまいます。
入社してすぐは意欲的に働けるかもしれませんが、これが定年まで続くのかと考えるときに退職を決意するきっかけになります。
健康や心を犠牲にしてまで働く価値があるのか考えてみましょう。
パワハラが横行しているようなブラック企業にありがちな社員を好き嫌いで評価するような会社では、いくら成績を上げても適切な評価がされません。
明確な評価基準がない会社はモチベーションが上がらず目的を見つけることができません。
適切な評価がされないことで給料アップも望めないため、自身を認めてもらえる会社へ転職したいと思うようになります。
入社前は自己分析や企業研究を重ねて社風や会社の企業理念、価値観を理解していたはずですが、実際に入社してみないと分からないこともたくさんあります。
入社して「こんなはずじゃなかった」と思う方も多く、会社のビジョンや価値観に違和感を感じ働いていることが苦痛になってくるでしょう。
離職率の高い会社の特徴のひとつで、ノルマに厳しいというのがあります。
労働基準法第36条では、労働時間を1日8時間、週40時間の定めや、1カ月の時間外労働を45時間までとしています。
しかし離職率の高い会社では残業や休日出勤をしないと達成できないほどの業務やノルマを強いてくる会社があります。
ノルマが達成できなかった場合、激しく怒鳴ったり社員全員の前で怒るといった精神的な苦痛を強いる会社もみられます。
離職率が高い会社の特徴をご紹介しましたが、いわゆるブラック企業と言われる会社が当てはまります。
ブラック企業で働き続けていると環境のおかしさに気付くことがなく、気づいたときには心身共に疲弊し適切な判断ができず退職のタイミングを逃してしまうという可能性もあります。
周りに同期は誰もいなくなり、気づいたときには自分1人だけが居残り業務の負担を背負い込む、結局退職できないという負のスパイラルに陥ってしまいます。
長時間労働が常態化していたり、過剰なノルマ、サービス残業、ハラスメント行為が横行しているような職場に勤めている方は、ご自身の心身を守るために早々に転職することをおすすめします。
社内に相談できる人がいない場合は、あなたの力になってくれる外部の相談先を遠慮せずに頼りましょう。いじめやハラスメントを受けている方は、労働局で相談が可能です。電話での相談も受け付けているので、最寄りの労働局にお問い合わせください。
また長時間労働や残業代の未払い、仕事が原因での健康被害など、様々な問題を無料で相談できる労働条件相談ほっとラインという電話相談窓口は、平日夜間や土日などでも受け付けてくれます。ぜひこのような外部機関の活用も検討してみてください。
厚生労働省が行った「令和2年雇用動向調査」によると、もっとも離職率が高い業界は「宿泊業・飲食サービス業」で26.9%、次いで「その他のサービス業」が19.3%、「生活関連サービス業・娯楽業」が18.4%、教育・学習支援業が15.6%でした。
反対に、最も離職率が低い業界は「鉱業、採石業、砂利採取業」で5.6%という結果がでています。
参考:厚生労働省 令和2年雇用動向調査結果の概要「産業別の入職と離職」
旅館やホテルの宿泊業、飲食チェーン店やファーストフード店の飲食サービス業が離職率ワースト1位です。
参入しやすく競争率が高く、慢性的な人材不足のため社員ひとりにかかる負担が大きいことから薄給激務となり、より給料の高い会社や落ち着いて働ける会社へ転職する方が多くみられます。
「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「複合サービス業」に分類されない「その他のサービス業」では、労働者派遣業、建物サービス業、自動車整備業、修理業、廃棄処理業などが含まれます。
現場は体を使う仕事であることが多く、薄給のため長く働けないということや、管理職になっても給料アップが期待できないという要因でしょう。
一方離職率が低い1位の複合サービス事業では郵便局や協同組合で組織が大きく安定性があることが特徴です。
会社としての歴史もあり、労働環境や福利厚生など職場の待遇改善に取り組み社員を大切にしているため、離職率が低いという結果になったのでしょう。
ワースト2位の生活関連サービス業・娯楽業は、美容院、旅行代理店、ブライダル関連、葬儀関連の生活関連サービス業、映画・パチンコ店などの娯楽業も宿泊業・飲食サービス業と同じく薄給激務が要因のひとつです。
旅行代理店、ブライダル関連は人気の高い業界ですが、いいイメージがあったけれど入社後の理想と現実のギャップに悩み、業務量が給与に見合わないと退職される方が多いのでしょう。
プレジデントオンラインが作成した「平均勤続年数ワースト300社ランキング2020」の上位10社を見ていきましょう。(従業員100人未満の上場企業はのぞく)
引用元:https://president.jp/articles/-/41749
ランキング1位は0.7年のKADOKAWAで出版、ゲーム、映像等の事業を展開。
2位はアイフリークモバイルで平均勤続年数1.3年。バイルコンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開しています。
3位はスシローグローバルHDで、回転寿司チェーン「スシロー」や海鮮居酒屋を全国展開しています。
この3社に関しては、会社の体制変更やM&Aによるものが大きいようです。
4位は以降は情報・通信業が多くランクインしています。業界全体と比べるとIT業界の離職率はそこまで高い方ではないのですが、今回の上場企業に限ったランキングだと上位を占めています。
変化が激しい業界なので、急成長している企業は人材の出入りが激しくなったりします。
離職率が高い会社がある一方で離職率が低い会社というのも存在します。社員に働く意欲があり、働きやすいと感じている会社です。
下記のような理由が挙げられます。
平均年収が高いだけでなく、業務内容やスキルに見合った賃金であるということが挙げられます。
仕事がきつくても給料という対価が良ければ働き続けたいと感じ、スキルに見合った賃金をもらえればもっとスキルアップしたいと意欲的に働くことができるでしょう。
年間休日や有休休暇が充実し休みやすい会社では仕事とプライベートの区別がつき、スイッチの切り替えがしやすいという特徴があります。
しっかりと心と体を休めた後は「さあ仕事も頑張ろう」と気合も入り、仕事に集中することができます。
誰しもが取得する権利がある有給休暇ですが、離職率が高い会社では申請しにくい会社や拒否されることも多く、休みたいときにちゃんと休めるというのは当たり前のようですが大切なことです。
入社後研修やスキルアップ研修が充実することで、社員が成長できモチベーションアップにつながります。
仕事への意欲が高まることで、社員一人一人の業務効率も上がり「もっと頑張ろう」と気持ちになるでしょう。
残業代や手当が整備されていたり、有給休暇が取りやすかったりと福利厚生がしっかりしている会社は離職率が低く社員が働きやすいと感じています。
最近ではプライベートを充実させながら働きたいと希望する方が増えワークライフバランスのとれた働き方が主流になりつつあります。残業時間が少なかったり、休みがとりやすかったりと自己成長や家族のための時間を確保できる環境をつくることで仕事への意欲向上につながっています。
社員一人一人を大切にしたいという気持ちの表れから、適切な評価をしたり社員の意見に耳を傾けたりと企業努力されている会社では「辞めたい」と感じる社員が少ないようです。
社員から意見を反映させることで不満がつのることなくのびのびと働ける環境作りや企業のブラッシュアップにつながっていきます。
せっかく転職するなら、労働環境が良く働きやすい、いわゆるホワイト企業のほうがいいですよね。ホワイト企業の見分け方の一つに、国の認定を受けている会社か、という判断基準もあります。
例えば、女性活躍推進法に基づき厚生労働省が行っている認定制度「えるぼし認定」は、女性の活躍を推進する取り組みが優良な企業です。また、次世代育成支援対策推進法に基づき同じく厚生労働省が行う「くるみん認定」は、仕事と子育ての両立支援に取り組んでいる企業を認定する制度。他にも、労働者の安全・健康に積極的に取り組み、安全衛生において高い水準を維持している企業を認定する「安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク)」などもあります。
認定を受けているから誰にとっても働きやすい会社だとは一概には言えませんが、一つの目安にはなりそうです。
離職率は就職時や転職先を選ぶときのひとつの目安になりますが、大切なのは離職率だけで判断しないということです。
離職率が低い=ホワイト企業、離職率が高い=ブラック企業という基準だけはしてはいけません。
確かに離職率が高い会社はブラック企業の傾向がありますが、離職率が低いからといってブラック企業の可能性がゼロだとは限らないからです。
転職先を決めるときに大切なことは、離職率を含めた総合判断で「自分に合っているかどうか」ということです。いくら離職率が低くても自分に合っていない会社ではすぐに退職したくなりますし、離職率が高くても自分に合っていれば辞めたいと感じません。
今は売り手市場なので転職の成功率も高いですが、選択を間違えずに転職先を決めましょう。
そのためには、転職支援を行う転職エージェントを利用し、客観的なアドバイスをしてもらうというのもひとつの方法です。
転職先選びに失敗したくない方や応募や面接のサポートを受けたい方はぜひ利用を検討してみてください。
一定期間内の退職者数を在籍者数で割ったものを離職率と言います。離職率が高いからと言って必ずしもブラック企業であるとは言えないのは、これまで述べられたとおりです。特に業界や会社が成長している時は、ヘッドハンティングの打診を受けたり他へ転職できる優秀な社員が多く、成長できる環境にあるとも言えます。
逆に離職率が低い会社は働きやすい一方で、上のポストがなかなか空かず昇進しづらかったり、自身の市場価値を上げようと考える社員が少なく、外部で活躍できるスキルが身につきにくいというデメリットもあります。
マンガのように心身がボロボロになるような企業はもちろん論外ですが、離職率の数字に振り回されるよりは、自分が仕事や働く環境に求める条件が何か、その優先順位とともに明確にしておくことが大切ですね。
離職率が高い会社の特徴や退職理由についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
たくさんの見極めるポイントはありますが、最も大事にしてもらいたい感性は「企業への違和感」です。
何となく仕事しにくいなとか、居心地が悪いなと感じたときはイエローカードです。
ただの気のせいかもしれませんが、離職率が高い原因がある会社は違和感を抱きやすいものです。
違和感の原因が何なのか、解消できるのかという部分をしっかりと精査しリスク判断し、入社や転職の参考にすることをおすすめします。