【作:くららさん】
生理痛の症状や重さは人それぞれ。
それほど酷くない人もいれば、外出することも困難に感じるほど酷いという人もいるでしょう。
出社できないくらいの症状なら、生理休暇を取得したいもの。
ですが、生理休暇制度があっても正直取得しづらいと思いませんか?
ここでは生理休暇制度の背景や、スマートな生理休暇の取り方など、『生理休暇』にスポットをあてて、生理痛に悩む女性に少しでも役立つ情報を紹介します。
そもそも生理休暇とはどのような制度なのでしょうか?
労働基準法 第68条
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
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このように生理休暇は労働基準法第68条に定められています。
つまり、「生理休暇制度のある会社/ない会社」とで分けられるわけではなく、全ての会社に生理休暇制度は設けられているのです。
これを守らない会社には、30万円以下の罰金が処せられることになっています。
また、生理休暇制度は意外にも欧米諸国ではあまり普及していません。
日本を含め、インドネシア・台湾・韓国など一部のアジア諸国特有の制度だと言われています。
生理休暇のルール
生理休暇は仕事が出来ないほど酷い症状のある女性が取得できる制度です。
そして、生理休暇が「有給」なのか「無給」なのかは会社の規定によって異なります。
有給・無給の割合を参考までに見てみましょう。
平成19年度・平成27年度ともに生理休暇を「無給」とする会社が多いことには変わりありませんが、平成19年度よりも平成27年度の方が「無給」の割合が高くなっています。
生理休暇を取得する可能性のある女性は、勤めている会社が「有給」扱いなのか「無給」扱いなのかを確認しておくと良いでしょう。
以下のグラフは製薬会社が「月経痛の程度」に関して行ったアンケート結果です。
「月経痛はあるが我慢できる程度」「月経痛は感じない」という女性が半数以上と多いのですが、「かなりひどい」「ひどい」と答えている女性が30%近くもいることが分かり、およそ3.5人に1人の割合で生理痛に悩まされている女性がいるという現実があります。
もちろん、このアンケートは働く女性だけに行ったものではありませんが会社に行けないほど酷い生理痛の症状がある女性も少なからず含まれているでしょう。
生理休暇制度が定められているからといっても、生理痛に悩む女性は適切に生理休暇を取得できているのでしょうか?
厚生労働省が発表した「平成27年度雇用均等基本調査」などを参考にした生理休暇の取得率を表したグラフを見てください。
昭和40年に生理休暇取得率26.2%であったことを境に、右肩下がりで取得率が低くなっています。
そして、平成26年には生理休暇取得率が0.9%と1%にも届かないほど低下しました。
女性の就業率が増加してきているにもかかわらず、反比例するように生理休暇取得率が低下していては制度のある意味・必要性に疑問を感じてしまうくらいです。
男女雇用機会均等法の制定
男女雇用機会均等法(※男女平等を求める)成立に向けた流れの中で取得率が徐々に減っていき、男女雇用機会均等法が制定された昭和60年には生理休暇取得率9.2%となりました。
雇用における男女平等を求める中、女性の活躍が広がる一方で「女性だから」「生理だから」と女性が優遇されるような流れがなくなってきてしまった。
医療、医薬品の発達
婦人科で薬を処方してもらうことや、市販薬で鎮痛剤を服用するなど生理痛をコントロール出来るようになった。生理用品の性能向上。
生理休暇を取りづらい
周りで誰も取得していない、生理で休むと言うことが恥ずかしい、男性の上司に言いづらい、生理休暇を取ることで評価が下がりそう・今後不利になりそう、忙しい職場で雰囲気的に取りづらい、仮病だと思われることもある、無給なので給料に影響してしまう‥
このように生理休暇を取りたいと思っても取りづらい職場環境にあるため取得しない人が多いことも理由の一つとなる。
生理休暇は元々予定が分かっていて前もって休暇を取ることとは違い、生理による不調はその日・その時になってみないと分からないものです。
会社に行けないほど生理痛が酷いときはシンプルに「生理痛のため生理休暇をいただけますか?」と電話連絡など会社のルールに従って上司に報告しましょう。
生理痛とは言いづらいからと“腹痛”や“体調不良”と濁してしまうと、また生理痛で休むときに「今月も体調不良?」と不審に思われてしまうかもしれません。
毎月のように酷い生理痛に悩まされることがあるかもしれないことを考えると、変に濁さず生理痛とはっきり伝えるべきです。
誰かが生理休暇を取得することで、周囲の女性も生理休暇を取得しやすい雰囲気になることもあるでしょう。
困ったときはお互い様の気持ちを心掛け、生理休暇を取得した後は周囲にさりげなくお礼を伝えることや生理休暇を取得した同僚への配慮も大切なのではないでしょうか。
中には困った上司も‥
はじめに話したように生理休暇は法律で認められている特別休暇の一つです。
生理痛の酷いその日に伝え急に休むことになるため、申し訳なさを感じたり後ろめたさを感じることもあると思いますが、女性上司や普段からコミュニケーションを取っている上司であれば生理痛が重いことを事前に相談しておくことも考えてみましょう。
生理休暇制度を取れるのなら、生理による強い痛みや重い症状を我慢してまで会社に行かなくても‥と思いますが、どうしても休めない事情があるときは少しでも痛みや症状を緩和してみましょう。
生理痛の対処法
ゆっくり湯船に浸かる、半身浴をする、痛みのある部分をカイロや温タオル、腹巻きなどを使い温める など
カーディガンなど1枚多めに羽織る、ブランケットを使用する など
生姜、味噌、納豆、大根、麦茶、ハーブティー など
アロマオイル、ストレッチ、体を締め付けない服装で過ごす など
そして、生理休暇制度があるのに取らない・取りづらいと言うこと以前に、会社に行けないほど重い症状のある生理痛や毎月のように強い痛みなど何かしらの症状が出て生活に支障をきたす場合は月経困難症の可能性があります。
10代後半~20代前半に多く、生理初日~2日目に症状が強いことが特徴であり、子宮の強い収縮、子宮頸管(子宮の入り口)が狭い、自律神経の乱れなどが原因とされています。
身体の成熟、妊娠・出産を経験することで症状が治まるとされていますが、強い症状がある場合は婦人科を受診しましょう。
治療法としては、低用量ピルの処方・鎮痛剤での対処療法・生活習慣の改善などがあります。
20代後半~30代以降に多く、加齢とともに増加していきます。
月経期間中ずっと痛みが続くことや、月経4~5日目から月経が終わったあとまで痛みが続く持続性の痛みであることが特徴です。
器質性月経困難症の原因として挙げられる疾患には「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮腺筋症」の3つがあります。
重い生理痛に悩まされている人は病気の可能性も考えられるので、婦人科を受診してみましょう。
今まで自分が勤める会社に生理休暇制度があることすら知らなかった人もいるのではないでしょうか?
生理休暇が有給であるか無給であるかは会社の判断に委ねられていますが、基本的に生理休暇のない会社はないのです!
‥とは言っても、生理休暇を取得しづらい雰囲気の会社もあるはずです。
自分の体調と上手く付き合いながら仕事も充実させたいと思うのであれば、転職エージェントを活用して「生理休暇の取りやすい職場」への転職を考えてみるのも一つの方法です。
転職エージェントでは事前に職場の雰囲気や内部情報の提供を受けられるので、ミスマッチの少ない自分の希望にあった職場に巡り会えるチャンスが広がります。
まずは現在の職場で生理休暇の取得を試みる。もしも難しいようなら転職も視野に‥と無理・我慢をしない働き方を見つけてみましょう。