【作:フクミーさん】
職場での様々なハラスメントを理由に退職をした人、退職を考えている人は意外と多いと言います。
ハラスメントには、「パワーハラスメント」「セクシャルハラスメント」「モラルハラスメント」など色々ありますが、女性が特に不快や苦痛を感じるのは「セクシャルハラスメント」いわゆる“セクハラ“なのではないでしょうか?
いま会社でセクハラ被害を受けている人ができること、セクハラ被害を理由に退職したいと思っている人が退職前にやるべきことなど、ここではセクハラの対処法を紹介していきたいと思います。
はじめに、どのような理由で会社を退職している人が多いのかを厚生労働省が発表した「平成30年雇用動向調査結果の概要」を参考に見ていきたいと思います。
※参照:厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf
【女性】
1位 その他の理由(出向等を含む) 25.5%
2位 定年・契約期間の満了 14.8%
3位 労働条件が悪かった(労働時間、休日等) 13.4%
4位 職場の人間関係が好ましくなかった 11.8%
5位 給料等収入が少なかった 8.8%
年代によって多少のばらつきがあるものの、女性の退職理由上位5つはこのようになっています。
セクハラを含むハラスメントを理由とする項目は雇用動向調査には設けられていないため、詳細な実態は分かりませんがハラスメントによる退職は「その他の理由」に入るのでは?と考えられます。
それを裏付ける要素となるものとして、次に職場でのハラスメントに関する調査を紹介します。
1つ目に紹介するのはエン・ジャパン株式会社が行った『女性の「職場でのハラスメント」実態調査』です。
アンケートに回答した355名の女性のうち、72%がこれまでに職場でハラスメントを受けたことがあると答えました。
そして、そのハラスメントの内訳は‥
※参照:エン・ジャパン株式会社「女性の「職場でのハラスメント」実態調査」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/14159.html
全体で見てみるとパワーハラスメントが最も多く、次いでセクシャルハラスメントとなりました。
具体的なセクハラ被害はこのようなことが挙げられています。
・身体を触られた
・下品な話を聞かされた
・交際相手を詮索された
・接待の場にミニスカートで来いと言われた
2つ目として、日本労働組合総連合会が発表した『仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019』を見てみましょう。
エン・ジャパンの調査と同じように、ハラスメント被害を受けたことがある人が答えたハラスメントの内容としてパワーハラスメントに該当する被害を受けた人が多い結果となりました。
そして、セクシャルハラスメントの被害を受けたことのある人は「男性 14.2%」「女性 37.7%」と女性の約4割がセクハラ被害者であることが分かります。
また、ハラスメントを受けてどのような生活上の変化があったか?の質問には以下のようになりました。
※参照:日本労働組合総連合会「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20190528.pdf
セクハラだけに限った内容ではありませんがハラスメントを受けて男女ともに「仕事のやる気がなくなった」が最も多く、「仕事をやめた・変えた」と答えたのは20代女性が多い結果となりました。
仕事のやる気がなくなると言うことは結果的に退職に繋がる可能性もあるため、ハラスメントと退職との関係は見過ごせないものと考えられるのではないでしょうか?
どこまでがコミュニケーションで、どこからがセクハラになるのか?
線引きが曖昧に感じるかもしれませんが、セクハラも含めハラスメントは人それぞれの感じ方・捉え方であるため受けた側がセクハラだと思えばそれはセクハラになるのです。
セクハラとは‥
セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。
※引用:厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/sexual-harassment/
男女雇用機会均等法のセクハラに関する流れ
1999年4月 「女性労働者に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止のための配慮義務」が始まる
2007年4月 「男女労働者に対するセクハラ防止の措置義務」に改正 ※女性だけでなく男性に対するものも対象となる
2017年1月 「マタニティハラスメント(マタハラ)防止の措置義務」が追加
2020年6月 セクシャルハラスメント防止対策が強化され改正される
男女雇用機会均等の相談件数の推移を見てみると、セクシャルハラスメントに関する相談件数が最も多く平成29年度から平成30年度で増加しています。
これを見ても分かるように、セクハラに関する悩みを抱えている労働者が多いことが窺えます。
※参照:厚生労働省「平成30 年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での 法施行状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000521502.pdf
職場でのセクハラは、先ほど紹介したセクハラの説明にもあるように「対価型」と「環境型」に分けられます。
この他にも‥
社内恋愛があるように会社内で上司、同僚、後輩、取引先であろうが人を好きになることは個人の自由です。
そうとは言え、一方的な想いであることや自分の立場を利用して拒否できない雰囲気を作り結果的に言動がエスカレートしていきセクハラになってしまうこともあります。
また、上司だから愛想良く振る舞っていただけなのに「自分に好意があるのかもしれない」と勝手に勘違いをしてセクハラが始まることもあります。
主に女性に対する言動が多いですが、男女雇用機会均等法にも定められているように男性もセクハラ被害の対象になります。
ここに挙げたような言動をされストレスを感じている人、心身に不調を感じるようになっている人、退職まで考えてしまっている人はセクハラ被害を我慢すること・放置することはせずにできることから行動に移してください。
セクハラ被害者は「(セクハラ被害の)相談をしても無駄」や「自分が我慢すればいい」と思い誰にも相談をしないケースが多いそうです。
しかし、それでは何の解決にもならず日に日に精神的な苦痛が大きくなり、心身の不調から退職せざるを得ない状態になってしまうことも考えられます。
そうならないために、セクハラ被害に遭ったときの対処法を紹介します。
・状況をメモで残す(日付、時間、場所、誰から、セクハラ内容、どう不快に感じたのか、周りにいた人)
・ボイスレコーダーで録音、動画に残す
・セクハラメールや画像がある場合は保存や印刷をする
・セクハラが原因で通院した場合は通院記録・診断書を残しておく
後々、セクハラ被害のことを誰かに相談をする場合に具体的な証拠がある・ないとでは対応が全く異なります。
できる限り詳細なセクハラ内容を証拠として集めておきましょう。
セクハラ加害者は相手が不快に思っていることを気付いていない場合があるため、はっきりと拒否・拒絶することで収まることもあります。
同じようにセクハラ被害に遭っている人と結束し、一人ではなく複数で本人にセクハラをやめるように訴えることも一つの方法です。
しかし、拒否・拒絶・訴えたことで「対価型」のような嫌がらせをしてくる場合もあるのでその時は社内の相談窓口などに相談しましょう。
社内の相談窓口や人事部、総務部、または他の上司にセクハラの証拠を持って相談に行きましょう。
具体的なセクハラの証拠があることで解決に向け迅速に動いてくれる可能性が高まります。
社内で解決が難しい場合は労働基準監督署の相談窓口で相談が行えます。この場合もセクハラの証拠が揃っていることが大切です。
この他にも、慰謝料の請求や民事訴訟を起こすことなども可能ですが、その場合は弁護士など法律の専門家に相談をすることが望ましいです。
セクハラ被害が改善しない場合やセクハラ被害がなくなったとしても今まで通りのように円満に働くことが難しい場合、セクハラ加害者のいる会社で働きたくないと思うときは退職も視野に入れていく必要があります。
退職をする場合は自分の意思で退職をする「自己都合退職」ではなく、労働者に退職を余儀なくさせる「会社都合退職」での退職を求めることも一つの方法です。
パワハラやセクハラ、いじめなどの被害に遭った場合、自己都合退職ではなく会社都合退職となる可能性は高くあります。
会社都合退職では自己都合退職よりも失業手当を早く受け取れ、給付日数も90~330日と長く設定されているため、セクハラ被害が原因で予期せぬ退職となる場合は再就職先が決まるまでの間に少しでも早く失業手当が受給されると有り難いはずです。
「退職」の違いについても頭に入れておきましょう。
一度でも職場で嫌な思いをした人は、セクハラも含むハラスメントのない職場で働きたいと思うことは当たり前のことです。
しかし、ハラスメントを理由に退職をした会社がそうであったように実際に働いてみないと内部事情が分からないものです。
「転職先でまたセクハラされたら‥」このような不安や悩みを解決する方法には、転職エージェントを活用した転職活動をおすすめします。
転職エージェントのサポート
セクハラが原因とは言え「会社都合退職は転職活動に不利になる」と言われることがあります。会社側に非がある場合と個人の問題による解雇の場合があるため、会社都合退職の場合は退職理由を確認されることも。
もちろんセクハラについて答える必要はなくセクハラでの退職が不利になることもありませんが、このように個人での転職活動で不安に感じることも転職エージェントのフォローがあれば安心して進めていけます。
また、転職先に関する詳細情報(人間関係、労働環境など)を事前に教えてくれるので入社後のミスマッチを感じにくいこと、万が一の時があっても相談窓口などフォロー体制が充実した企業などの紹介をしてくれます。
個人での転職活動よりも効率良く安心して進めていけるのが転職エージェントです。
サービス・サポートは無料で利用出来るので、まずは相談だけでもしてみましょう。
セクハラ被害に遭っている人。
我慢しないでください。一人で抱え込まないでください。
行動を起こすことは勇気のいることですが、ツラい状況を変えられるのはあなた自身です。
転職をするにしても2度、3度と繰り返すのではなく、転職エージェントを利用して確実に失敗のない転職を目指しましょう。
余計な心配のない仕事に専念できる職場に出会えますように。