【作:momobutaさん】
「残業の少ない会社」「残業がない会社」を仕事探し・企業選びの条件としている人は少なくはないはずです。
政府も重要政策として『働き方改革』を掲げるなど様々なところで働き方が考えられるようになっています。
にもかかわらず、時間外労働に対し適切な賃金(残業代)を支払わない「サービス残業」を当たり前のようにさせている会社は、残念ながらまだあるようです。
サービス残業を強要されて困っている人、会社での残業ができなくなりやむを得ず持ち帰り残業をしなくてはいけなくなった人‥このままでいいですか?
サービス残業の実態から対抗策まで詳しく解説していくので、今後の働き方の参考にしてみてください。
では、サービス残業はどのようにして行われているのでしょうか?
気付かずにやっていること、当たり前だと思っていた会社のルールが実はサービス残業に当てはまっているかもしれません。
サービス残業の手口についてご紹介します。
タイムカードを切ったあとに働かせる、タイムカードに定時以降の時間記録ができない。
会社からの指示で持ち帰り残業をさせられている
始業前に出勤して仕事をした場合も残業とみなされる
管理監督者には残業代を支払わなくてよいとされている労働基準法を用い、社内の独自の基準で○○以上は管理職として残業代を支払わない
労働時間は1分単位で集計される必要があるが、会社独自のルールとして30分単位・15分単位で集計をし端数時間をカットされてしまう
「固定残業代(みなし残業)」を導入しているが適切な処理がされず、結果としてサービス残業となってしまう
会社によってはサービス残業が当たり前となっていたり、黙認している場合もあります。
厳密には、これら全てがサービス残業だとは判断しづらい部分もあり、違法にならない範囲で巧く行われている場合もあります。サービス残業になりやすいケースとして頭に入れておきましょう。
「サービス残業」を当たり前のようにさせる会社はブラック企業そのもの。
ここでは、サービス残業が多いと言われている業界と役職をそれぞれランキング形式で紹介します。
残業時間の多い業界というと「運輸業、郵便業」「情報通信業」「電気・ガスなどインフラ業」が挙げられますが、これらの業界では残業時間は多いけれど残業代が支払われているケースが殆どであるためサービス残業には当たりません。
しかし、ランキングに上がっている業界では残業時間の多さ・少なさに違いはあるものの残業代が支払われないサービス残業率が高い傾向にあります。
職種では営業系、クリエイティブ系、教育系が挙げられます。
上記は「サービス残業をせざるを得ないことがある」との問いに対し「はい」と答えた人の役職の割合をランキングにしたものです。
サービス残業をしている割合としては役職が上がるほど高くなる傾向にあり、1ヶ月の平均サービス残業時間としては課長クラス以上が平均28.0時間と長いことが分かります。
なぜ企業はサービス残業を強要してくるのでしょうか?
その理由は、コスト削減のためです。
残業代は無駄な人件費とみなされ、人件費をかけずとも労働力を確保するためにサービス残業を強要してくるのです。
「不景気だから残業代は出せないよ」という上司からの言葉に、「おかしいな?変だな?」と思う人も多くいます。しかし、社内ではサービス残業が当たり前となっていて、残業代を申請しづらく、「みんながやっているから‥」と諦めてしまう人が多いのも事実。その結果、サービス残業はなかなかなくなることがありません。
サービス残業は違法です。
そもそも労働基準法では「時間外労働と休日労働については割増賃金の支払いが必要(労働基準法37条)」と定められています。これを守らない場合は「懲役6ヶ月以下又は30万円以下の罰金」に処せられる可能性もあるのです。
会社側としては違法行為に当たることが分かっていても、
「気付かれなければいい」
「会社のためには仕方がない」
「他の会社でもやっている」
「誰も文句を言ってこないから」
と、意識の低さやサービス残業そのものを正当化してしまう傾向にあり、ますますサービス残業が常態化してしまう恐れがあります。
残業をするように言われたら、残業代が支払われるのかを確認し、支払われない場合はきっぱりと断りましょう。
先輩や同僚が当たり前のようにサービス残業をしている場合は断りづらい雰囲気ではありますが、受け入れてしまうと今後もサービス残業から逃れられなくなります。
サービス残業をしてしまった場合でも、2年以内であればその残業代をあとから請求することができます。
残業代の請求方法
サービス残業の証拠は、勤務記録、パソコンのログオン・ログオフ記録、勤務時間のメモなどが有効です。残業記録アプリ等もありますので、利用してみましょう。
社内での解決が難しいと感じたら労働基準監督署に立ち入り調査・指導をしてもらえるよう依頼しましょう。未払い残業代の請求を拒否された場合も労働基準監督署に申告すると良いでしょう。
未払い残業代の請求(在職中・退職後)やサービス残業に納得がいかない、未払い残業代請求を拒否された場合は弁護士に相談をして対応をお願いすることも可能です。場合によっては裁判を起こすことを検討している人も弁護士への相談が必要です。
自分ができる範囲で手を尽くしても改善されない場合は転職を考え始めましょう。サービス残業が違法であり会社側が悪いことでも、ここに挙げたような「サービス残業を拒否」「未払い残業代請求」「労働基準監督署に告発」「弁護士に相談」といったようなアクションを起こすことで会社に居づらくなる・立場が悪くなることも考えられます。
サービス残業を当たり前のようにさせるブラック企業からは転職が一番かもしれません。
社会の風潮として『ノー残業』を掲げられることも多くなってきている事のしわ寄せとして、表面上では残業をしていないサービス残業(持ち帰り残業含む)を強要されていませんか?
みんなやっているから仕方ない、無給でも会社のために頑張ることが大切、いつか還元してくれると言っているし‥と言われるがままにサービス残業を引き受けて会社にとって都合の良い社員になっていることも。
サービス残業は違法です!サービス残業をきっぱりと断る勇気を一人一人が持つことで少しでも改善されていき、働きやすい世の中に変わっていくことを願いますが‥実際にはそう簡単なことではありません。
残業代が出ないうえ残業時間が多く過労働気味になることで体調を崩してしまったり、うつ状態になってしまうことも考えられます。精神的・体力的にも限界を感じてしまう前に何らかの行動を起こしてみましょう。
無駄な争い、意味のない争いとなってしまうようであればホワイトな企業に転職をして新たな気持ちで頑張ってみてはいかがでしょうか?転職の際には事前に転職先の内情が知れる転職エージェントの活用がおすすめです。